建具工事業の建設業許可|サッシ・ドア・シャッターの範囲と取得要件

建設業許可の建具工事業とサッシ・ドア・シャッターの施工例

サッシ、ドア、シャッター、自動ドアなどを建物へ取り付ける工事は、建具工事業に分類されます。木製建具やふすま、金属製カーテンウォールの取付けも同じ業種です。

ただし、窓や開口部まわりの工事が、すべて建具工事になるわけではありません。

ガラスだけを取り付ける工事はガラス工事、建具を納めるための木下地を造作する工事は大工工事という区分です。自動ドアの電源配線やサッシまわりのシーリングでは、電気工事や防水工事との線引きも問題となります。

判断のポイントは、製品名だけでなく「何を取り付け、どこまで施工する工事なのか」という点です。

この記事では、東京都知事許可を軸に、建具工事業の範囲、関連業種との違い、営業所技術者等の資格や実務経験について解説します。

目次

税込500万円以上の建具工事には許可が必要

建具工事は、建築一式工事以外の専門工事に該当します。

工事1件の請負代金が消費税込みで500万円未満であれば、原則として「軽微な建設工事」の扱いです。許可がなくても請け負えます。

税込500万円ちょうどから、建具工事業の建設業許可が必要となる仕組みです。元請・下請のどちらで受注する場合も同じ基準で判断します。

製品代や支給品も含めて判断する

500万円基準では、取付工事代だけでなく、サッシやドアなどの製品代も金額に含めます。

たとえば玄関ドア本体が400万円、取付工事が150万円なら、合計は550万円です。

注文者からサッシなどを支給される場合は、その市場価格と運送賃も加えて判定する取扱いです。取付工事が300万円でも、市場価格250万円のサッシを支給されれば、判定額は550万円になります。

また、正当な理由がある場合を除き、一つの工事を複数の契約に分けても合計額で判断される点にも注意が必要です。500万円未満にするためだけに契約を分割しても、許可不要にはなりません。

なお、500万円未満の工事でも、元請会社などが建設業許可を取引条件としているケースもあります。

建具工事は建具を建物へ取り付ける工事

建具工事とは、木製または金属製の建具などを建物へ取り付ける工事です。

代表的なものは、次のとおりです。

  • サッシ取付け工事
  • 金属製建具取付け工事
  • 金属製カーテンウォール取付け工事
  • シャッター取付け工事
  • 自動ドア取付け工事
  • 木製建具取付け工事
  • ふすま工事

建具を製造しただけ、現場へ納品しただけであれば、通常は建設工事には当たりません。建物への取付けまで請け負う場合が、建具工事の範囲です。

サッシ・ドアの取付け

アルミサッシ、樹脂サッシ、鋼製ドア、玄関ドア、室内ドアなどの取付けは、一般に建具工事です。

既存のサッシやドアを撤去して、新しい建具や枠を取り付ける交換工事も対象に含みます。

一方、建具を納めるために柱、壁、木下地などを造作する部分は、大工工事が関係するケースです。

シャッター・自動ドアの取付け

重量シャッター、軽量シャッター、オーバースライダーなどを建物の開口部へ取り付ける工事は建具工事に区分されます。

シャッターが金属製だからといって、板金工事になるわけではありません。

完成したシャッター装置を取り付ける工事は建具工事、金属薄板を加工して屋根や外壁などへ取り付ける工事は板金工事、という違いです。

自動ドア本体や駆動装置などの取付けも建具工事に含みます。ただし、分電盤から電源線を敷設するなど、独立した電気工事まで施工する場合は電気工事との区分が必要です。

木製建具・ふすまの取付け

木製ドア、引き戸、障子、収納扉などの取付けも建具工事です。

木材を使用していても、完成した建具を開口部へ取り付ける工事と、柱や壁下地などを木材で造作する大工工事は区別されます。

ふすま工事は、建具工事と内装仕上工事の双方に例示されている業種です。実際の契約内容や施工範囲を踏まえ、工事の中心がどこにあるかで見極める必要があるでしょう。

ガラス・大工・内装・電気工事との違い

建具工事は、ガラス工事、大工工事、内装仕上工事、板金工事、防水工事、電気工事といった業種と隣接します。

主な区分をまとめると次のようになります。

工事内容主な業種判断のポイント
既存の窓枠へガラスだけを取り付けるガラス工事ガラスの取付けが中心
ガラス入り完成サッシを取り付ける建具工事サッシの取付けが中心
木製ドアや引き戸を取り付ける建具工事完成した建具を取り付ける
建具を納める木下地を造作する大工工事木下地の施工が中心
壁・天井・床などを仕上げる内装仕上工事内装の仕上げが中心
シャッターを取り付ける建具工事完成した建具装置を設置する
金属薄板を加工して外壁などを施工する板金工事金属薄板の加工・取付けが中心
自動ドアの電源配線を施工する電気工事電線の敷設・接続が中心
サッシまわりをシーリングする防水工事建具工事に伴う場合は附帯工事の扱いも確認

ガラス入りの完成サッシを取り付ける場合は、通常、建具工事が中心となる工事です。一方、ガラスの加工・取付けを独立した工事として請け負う場合は、ガラス工事の扱いになります。

サッシまわりのシーリング工事そのものは、防水工事に区分されるのが原則です。ただし、建具の取付けに伴って必要となるシーリングは、附帯工事として施工できるケースもあります。

自動ドアについても、本体の取付けと電源工事を分けて考えることが大切です。

建具工事業の許可を取るための要件

建具工事業でも、建設業許可に共通する要件を満たす必要があります。

主なものは、建設業の経営管理を適正に行える体制、財産的基礎、社会保険への適切な加入、欠格要件に該当しないことなどです。

さらに、営業所ごとに建具工事業の要件を満たす営業所技術者等を配置しなければなりません。

建具工事業では、この営業所技術者等をどの資格や実務経験で証明するかが重要な論点です。

営業所技術者等は資格または実務経験で満たす

一般建設業の建具工事業では、対象資格を持つ人を置く方法のほか、指定学科卒業後の実務経験を使う方法、そして原則10年以上の実務経験を使う方法から選べます。

主な資格

代表的な資格は次のとおりです。

資格・検定一般建設業での取扱い
1級建築施工管理技士対象
2級建築施工管理技士(仕上げ)対象
1級建具製作・建具工・サッシ施工などの技能士対象
2級建具製作・建具工・サッシ施工などの技能士原則として合格後3年以上の実務経験が必要
登録サッシ・カーテンウォール基幹技能者対象となる修了証を確認

2級技能士については、原則として合格後3年以上の実務経験が必要です。ただし、2004年4月1日時点ですでに合格していた人については、必要な実務経験を1年以上とする経過措置が設けられている点も押さえておきましょう。

また、一定の施工管理技術検定に合格した後、建具工事について3年以上または5年以上の実務経験を積むことで、営業所技術者等の要件を満たせるルートもあります。

資格名だけで判断せず、検定種目、等級、合格時期、実務経験の内容まで踏み込んで見極めることが大切です。

資格がなければ実務経験を使える

対象資格がなくても、一般建設業であれば、建具工事の実務経験によって営業所技術者等になれる可能性があります。

建具工事業の指定学科は、建築学または機械工学に関する学科です。

主な必要年数は次のとおりです。

学歴など卒業後に必要な実務経験
大学・短期大学・高等専門学校の指定学科卒業3年以上
専門士・高度専門士となる指定学科卒業3年以上
高校・中等教育学校の指定学科卒業5年以上
その他の対象となる専門学校の指定学科卒業5年以上
指定学科の卒業歴なし10年以上

複数の勤務先で積んだ建具工事の経験は、合算可能なケースもあります。ただし、同じ期間を二重に数えることはできません。

前職での経験や、個人事業主として建具工事を施工していた期間も、要件を満たせる材料になり得るでしょう。

実務経験は工事内容と在籍期間の両方を示す

「建具会社に10年間勤務していた」というだけでは、建具工事の実務経験を証明したことにはなりません。

申請では主に、

  • その期間に建具工事を施工していたこと
  • その期間に本人が会社へ在籍していたこと

の両方を確認する仕組みです。

経験した会社が当時、建具工事業の建設業許可を持っていたかどうかなどによって、確認方法は変わってきます。

無許可期間の経験を使う場合などは、工事請負契約書、注文書、請求書と入金資料などから、実際に建具工事を施工していた事実を確認します。

「改修工事一式」などの記載だけでは工事内容が分かりにくいため、サッシ交換、ドア取付け、シャッター工事など、具体的な施工内容を確認できる資料が重要です。

本人の在籍期間についても、当時の立場や勤務先の状況に応じた確認資料を用意しましょう。

販売、採寸、運搬、納品だけの期間は、通常、建具工事の実務経験には当たりません。保守点検や調整も、建設工事としての施工経験に該当するかを個別に確認する必要があるでしょう。

特定建設業は下請への発注額で判断する

発注者から直接建具工事を請け負った元請業者が、その工事について下請へ発注する建設工事の合計を税込5,000万円以上とする場合は、原則として特定建設業の許可が必要です。

基準になるのは元請工事の受注額ではなく、下請へ発注する金額の合計です。

建具工事業は、指定建設業7業種には含まれていません。

そのため、特定建設業の営業所技術者等については2つのルートを選べます。1級建築施工管理技士など一定の資格を使う方法と、一般建設業の営業所技術者等としての要件を満たしたうえで指導監督的実務経験を使う方法の2つです。

指導監督的実務経験を使う場合は、発注者から直接請け負った税込4,500万円以上の建具工事について、2年以上にわたり技術面を総合的に指導監督した経験が求められます。

特定建設業の5,000万円基準と、指導監督的実務経験の4,500万円基準は別のものなので注意してください。

よくある質問

サッシの取付けは建具工事業に該当しますか?

はい。アルミ製、樹脂製を問わず、サッシを建物へ取り付ける工事は建具工事にあたります。ただし、販売や納品だけで取付けを伴わない場合は、通常、建設工事に当たりません。

サッシとガラスを一緒に取り付ける場合は何業種ですか?

ガラス入りの完成サッシを取り付ける場合は建具工事が中心になりますが、サッシ取付け後に別工程としてガラスを加工・施工するときは、ガラス工事も関わってきます。

シャッターの取付けは板金工事ではありませんか?

金属薄板を加工して外壁材やカバーを製作・施工する場合は板金工事にあたりますが、完成したシャッターを建物の開口部へ取り付ける工事そのものは建具工事です。

自動ドア工事には電気工事業の許可も必要ですか?

自動ドア本体や駆動装置の取付けは、原則として建具工事に区分されます。ただし、分電盤からの電源線敷設や電気設備への接続まで請け負う場合は、電気工事業の許可や電気工事業法上の手続きも別途必要になります。

建具製作技能士がいれば許可を取得できますか?

建具工事業に対応する1級技能士であれば、営業所技術者等の資格としてそのまま使用できます。2級の場合は、原則として合格後3年以上の建具工事経験が必要です。古い資格には名称や経過措置があるため、合格証の内容を確認したうえで判断します。

まとめ

サッシ、ドア、シャッター、自動ドア、木製建具などの取付けは、建具工事に該当します。

1件税込500万円以上の建具工事を請け負う場合は、原則として建設業許可が必要です。

ただし、ガラスの取付けはガラス工事、木下地の造作は大工工事、シーリングは防水工事に区分される場合があります。自動ドアでは、電気工事との区分にも注意が必要です。

営業所技術者等は、対象資格のほか、指定学科卒業後の実務経験や10年以上の実務経験などで要件を満たせます。

実務経験を使う場合は、建具工事の施工実績と在籍期間を資料で示せることが重要です。

お困りの際は当事務所へ

建具工事では、サッシやガラス、シーリング、電気配線など複数の工種が含まれることがあります。

「建具工事業だけで足りるのか分からない」「実務経験をどの資料で証明すればよいか分からない」といった場合もご相談ください。

当事務所では、葛飾区を拠点に東京都の建設業許可申請をサポートしています。工事内容や資格、実務経験を整理し、必要な許可業種と申請方法をご案内します。

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