大工工事業の建設業許可|500万円基準・必要資格・建築一式との違い

大工工事業の建設業許可について、木造住宅の建て方の写真とともに、建築一式・内装仕上・建具との違いや500万円基準を示したアイキャッチ画像。

木造住宅の建て方、型枠の組立て、建物内部の造作といった工事を、1件税込500万円以上で請け負うなら、原則として大工工事業の建設業許可が必要です。

ここで注意したいのが、建築一式工事業の許可では代用できないという点です。建築一式の許可を持っていても、税込500万円以上の大工工事だけを単独で請け負うことはできません。

また、室内の木工事は内装仕上工事、ドアやサッシの取付けは建具工事と、区分が重なる場面もあります。

この記事では、大工工事業に含まれる工事、税込500万円基準、隣接業種との違い、営業所技術者等に使える資格・実務経験ルートを解説します。

目次

大工工事業に含まれる工事

大工工事とは、木材の加工または取付けによって工作物を築造し、または工作物に木製設備を取り付ける工事をいいます。

国土交通省が示す代表例は、次の3つです。

・大工工事 ・型枠工事 ・造作工事

木造建築物の柱や梁を組み上げる建て方、木製下地や造作材の加工・取付け、コンクリートを流し込むための型枠の組立てなどが該当します。

型枠工事も大工工事業に含まれる

コンクリート工事で使用する型枠の加工・組立て・取外しは、いずれも大工工事業の範囲に入ります。

一方、型枠へコンクリートを流し込む打設工事となると、とび・土工・コンクリート工事業の担当です。

型枠工事とコンクリート打設工事をまとめて請け負うなら、契約の目的、施工範囲、主たる工事と附帯工事の関係から、必要な許可業種を判断しましょう。

税込500万円以上の大工工事には許可が必要

大工工事は建築一式工事ではありません。そのため、1件の請負代金が税込500万円以上となる場合は、原則として大工工事業の許可を取得しておく必要があります。

税込500万円未満であれば、建設業法上の軽微な建設工事に当たり、原則として許可はいりません。

金額を判断するときに注意したい点を、3つ挙げます。

・消費税を含める
・注文者が支給する材料の市場価格と運送費を加える
・正当な理由なく契約を分割した場合は合計額で判断する

たとえば、工事代金が税込480万円だったとしても、注文者が支給する木材などの市場価格を加えて500万円以上となれば、許可が必要です。

許可が必要な工事については、大工工事業の許可を取得してから請負契約を締結しましょう。

建築一式・内装仕上・建具工事との違い

大工工事業と隣接業種は、使用する材料だけでなく、工事の目的と施工内容から判断します。

工事内容主な許可業種
木材を加工・取り付けて構造物や木製設備をつくる大工工事業
型枠を加工・組み立てる大工工事業
建物内部の床・壁・天井などを仕上げる内装仕上工事業
ドア、サッシ、シャッター、ふすまなどを取り付ける建具工事業
総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する建築一式工事業

建築一式工事との違い

建築一式工事とは、原則として元請の立場で、総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事です。

複数の専門工事を含んでいるかどうかだけで、建築一式工事になるわけではありません。

一方、大工工事は木材の加工・取付けなどを行う専門工事にあたります。建築一式工事業の許可があっても、税込500万円以上の大工工事を単独で請け負うなら、大工工事業の許可が別に必要となります。

内装仕上工事との違い

大工工事は、木材を加工・取り付けて工作物を築造し、木製設備などを取り付ける工事です。

対して内装仕上工事は、木材、石膏ボード、壁紙、床材などを用いて、建物内部の床・壁・天井を仕上げる工事にあたります。

大工工事には造作工事も含まれるため、単純に「下地なら大工」「仕上げなら内装」と分けられるわけではありません。

契約の目的、使用材料、施工方法、見積書の内訳から、主たる工事を判断します。大工工事と内装仕上工事をそれぞれ税込500万円以上で単独受注するなら、両方の許可が必要です。

建具工事との違い

ドア、サッシ、シャッター、ふすま、障子といった建具を取り付ける工事は、原則として建具工事業に区分されます。

木製の製品を扱う場合であっても、建具そのものを取り付ける工事であれば、大工工事業ではなく建具工事業を検討しましょう。

大工工事業の許可要件

大工工事業でも、建設業許可に共通する要件を満たさなければなりません。求められるのは次の6項目です。

・経営業務を適正に管理できる体制
・営業所技術者等
・財産的基礎
・社会保険への適切な加入
・請負契約に関する誠実性
・欠格要件に該当しないこと

このうち、申請する業種によって資格や経験の内容が変わるのが、営業所技術者等の要件です。

営業所技術者等に使える主な資格

一般建設業の大工工事業に対応する主な資格を、以下の表にまとめました。

資格実務経験の上乗せ
一級建築士・二級建築士・木造建築士不要
1級建築施工管理技士不要
2級建築施工管理技士「躯体」不要
2級建築施工管理技士「仕上げ」不要
1級建築大工技能士不要
2級建築大工技能士原則として合格後3年以上
1級型枠施工技能士不要
2級型枠施工技能士原則として合格後3年以上

2級建築施工管理技士は、種別が「躯体」または「仕上げ」であることが求められます。「建築」は資格だけでは大工工事業へ直接対応しません。

2級建築大工技能士と2級型枠施工技能士については、原則として合格後3年以上の大工工事の実務経験が求められます。ただし、平成16年4月1日時点ですでに合格していた人は、1年以上の実務経験で足りる取扱いです。

指定学科・第一次検定・10年実務経験のルート

対象資格がなくても、学歴や実務経験から一般建設業の営業所技術者等になれる道があります。

指定学科卒業後の実務経験

大工工事業の指定学科は、建築学または都市工学に関する学科と定められています。

学歴必要な実務経験
大学・短期大学・高等専門学校などの指定学科卒業卒業後3年以上
高校・中等教育学校などの指定学科卒業卒業後5年以上
指定学科以外10年以上

なお、専修学校については、専門士・高度専門士の称号や修業年限などによって、必要な経験年数が変わります。

第一次検定合格後の実務経験

対応する施工管理技術検定の第一次検定合格者を、指定学科卒業者と同等に扱うルートもあります。

大工工事業で対象となるのは、建築施工管理技術検定の第一次検定です。

・1級第一次検定合格後:大工工事の実務経験3年以上
・2級第一次検定合格後:大工工事の実務経験5年以上

この制度は、1級の第一次検定合格者を大学の建築学指定学科卒業者、2級の第一次検定合格者を高校の建築学指定学科卒業者と、それぞれ同等に扱う仕組みになっています。

2級建築施工管理技士の種別「建築」に合格している人も、大工工事について5年以上の実務経験を積めば、要件を満たせることもあります。

10年以上の実務経験

資格や指定学科の学歴がなくても、大工工事について10年以上の実務経験を証明できれば、営業所技術者等になれる可能性があります。

ただし、単に大工として10年間働いていたという申告だけでは足りません。

どの期間に、どのような大工工事へ従事していたのかを、工事資料と在籍資料で示していきます。

複数業種の実務経験を通算できる特例

大工工事だけでは10年に届かないという場合に検討したいのが、次の通算特例です。

・建築一式工事と大工工事の実務経験が通算12年以上あり、そのうち大工工事が8年を超える
・大工工事と内装仕上工事の実務経験が通算12年以上あり、そのうち大工工事が8年を超える

ポイントとなるのは、「8年以上」ではなく「8年を超える」と定められている点にあります。

建築一式工事や内装仕上工事にも従事してきたなら、業種ごとの期間を整理したうえで、この特例を使えるか検討しましょう。

実務経験を証明する資料

実務経験ルートを使うなら、大工工事へ従事していた事実と期間を、資料で証明します。

活用できる主な資料には、次のようなものがあります。

・工事請負契約書 ・注文書
・請求書 ・入金記録
・工事台帳 ・見積書や工事明細書
・在籍期間を示す資料

契約書や請求書に「改修工事一式」などとしか書かれていない場合、それだけでは大工工事の内容を判別できません。

そこで、見積明細、工程表、施工写真などを加え、木材の加工・取付け、建て方、型枠、造作などを行ったことが読み取れる状態に整えていきます。

建設業許可を持たない事業者での経験も、税込500万円未満の軽微な大工工事など、適法に施工された工事であれば、資料で証明できることを条件に、実務経験に使える道があります。

特定建設業が必要になる場合

発注者から直接大工工事を請け負った元請業者が、1件の工事について締結する下請契約の合計額を税込5,000万円以上とするなら、大工工事業の特定建設業許可が求められます。

判断の基準となるのは、元請として受注した工事金額ではなく、自社が下請業者と締結する契約金額の合計です。

大工工事業は、指定建設業7業種には含まれません。

そのため、一般建設業の営業所技術者等の要件を満たしたうえで、元請として直接請け負った税込4,500万円以上の工事について、2年以上の指導監督的実務経験があれば、特定営業所技術者等の要件を満たせます。

なお、この4,500万円は技術者の経験要件にあたります。特定建設業が必要になる下請契約額5,000万円とは、別に判断します。

下請として大工工事を受注する場合は、受注額が大きいことだけを理由に特定建設業許可が必要になるわけではありません。ただし、税込500万円以上の大工工事を請け負うなら、大工工事業の建設業許可は必須です。

よくある質問

建築一式工事の許可があれば、大工工事もできますか?

建築一式工事として建物全体を請け負う場合と、大工工事だけを単独で請け負う場合は、分けて考えます。

税込500万円以上の大工工事を単独で請け負うなら、大工工事業の許可が別に必要です。

型枠工事は大工工事業ですか?

型枠の加工・組立て・取外しは、大工工事業に含まれます。

コンクリートの打設まで請け負うなら、とび・土工・コンクリート工事との関係も踏まえて判断しましょう。

型枠工事だけをしている場合、どの業種になりますか?

型枠工事は、国土交通省の例示で大工工事に含まれています。技能検定の「型枠施工」も、大工工事業の営業所技術者資格に対応し、2級は合格後3年以上の大工工事経験が必要です。ただし、コンクリート工事まで一括して請け負う場合などは、契約内容に応じて許可業種を判断します。判断に迷う場合は、請負前に許可行政庁へ確認してください。

資格がなくても大工工事業の許可を取れますか?

大工工事について10年以上の実務経験を証明できれば、資格がなくても一般建設業の営業所技術者等になれる道があります。

指定学科卒業後や、建築施工管理技術検定の第一次検定合格後の実務経験を使える道もあります。

一人親方でも許可を取れますか?

個人事業主や一人親方でも、経営業務の管理体制、営業所技術者等、財産的基礎などの要件を満たせば取得可能です。

本人が経営管理と営業所技術者等の両方の要件を満たし、それぞれの職務を行える場合は、1人で兼ねることもできます。検討してください。

内装工事も請け負う場合は大工工事業だけで足りますか?

木材の加工や造作を中心とする工事は、大工工事業に当たることがあります。

一方、床・壁・天井などの内装仕上工事を税込500万円以上で単独受注するなら、内装仕上工事業の許可も別途必要です。

まとめ

大工工事業に含まれるのは、木造建築物の建て方、木材の加工・取付け、造作工事、型枠工事などです。

1件税込500万円以上の大工工事を請け負うなら、原則として大工工事業の建設業許可が要ります。建築一式工事業の許可があっても、単独の大工工事を金額の制限なく請け負えるわけではありません。

営業所技術者等については、建築士、建築施工管理技士、建築大工・型枠施工技能士の資格ルートに加え、指定学科、第一次検定、10年実務経験、複数業種の通算特例が用意されています。

まずは、自社の工事内容、請負金額、保有資格、過去の工事資料を整理しましょう。そのうえで、大工工事業だけで足りるのか、内装仕上工事業や建具工事業も必要になるのかを見極めます。

お困りの際は当事務所へ

「自社の工事が大工工事と内装仕上工事のどちらに当たるか分からない」「10年の実務経験を資料で証明できるか判断できない」といった段階でのご相談でも構いません。

工事内容、資格者の状況、過去の実務経験資料を整理したうえで、必要な許可業種と申請書類をご案内いたします。

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