石材やコンクリートブロックを使った工事を、1件税込500万円以上で請け負う場合は、原則として工事内容に対応する建設業許可が必要です。
ただし、コンクリートブロックを扱う工事のすべてが石工事業に当たるわけではありません。
ブロックで擁壁や土留めをつくる工事、建築物や門塀を築造する工事、消波ブロックなどを据え付ける工事では、それぞれ許可業種が変わります。
この記事では、石工事業に含まれる工事、税込500万円基準、ブロック工事の区分、営業所技術者等に使える資格・実務経験について解説します。
石工事業に含まれる工事
石工事とは、石材を加工し、積み上げて工作物を築造したり、工作物へ取り付けたりする工事です。
ここでいう石材には、天然石だけでなく、石材に似たコンクリートブロックや擬石も含まれます。
代表的な工事は次のとおりです。
・石積み工事 ・石張り工事
・コンクリートブロック積み工事 ・コンクリートブロック張り工事
・擁壁や土留めのブロック積み ・建物の内外装への石材
・擬石の張り付け ・墓石や石鳥居などの据付け
判断のポイントは工事名ではありません。何をつくるために、どのような方法で石材やブロックを施工するのかで業種を見極めます。
税込500万円以上では石工事業の許可が必要
石工事は建築一式工事に該当しません。そのため、1件の請負代金が税込500万円以上になる場合は、原則として石工事業の建設業許可が必要です。
税込500万円未満の石工事だけを請け負う場合は、軽微な建設工事に当たり、原則として許可はいりません。
金額を判定するときは、次の点にも注意します。
・消費税を含める
・注文者が支給する石材やブロックの市場価格と運送費を加える
・正当な理由なく契約を分割した場合は合計額で判断する
たとえば、施工代金が税込450万円でも、注文者から支給される石材やブロックの市場価格などを加えて500万円を超える場合は、許可が必要になります。
コンクリートブロック工事は目的によって業種が変わる
コンクリートブロックを使う工事は、何を築造・設置するのかによって、主に3つの業種に分かれます。
| 工事内容 | 主な許可業種 |
|---|---|
| 擁壁・土留めとしてブロックを積む、張る | 石工事業 |
| ブロックで建築物の壁や門塀などを築造する | タイル・れんが・ブロック工事業 |
| 根固めブロック・消波ブロックなどを据え付ける | とび・土工・コンクリート工事業 |
擁壁・土留めをつくる工事
法面や敷地の高低差に対して、コンクリートブロックを積み上げ、土圧を支える擁壁や土留めをつくる工事は、原則として石工事業に区分されます。
「外構工事」「造成工事」という名称だけでは判断できません。実際に施工する構造物を見て見極めます。
建築物や門塀を築造する工事
コンクリートブロックを積み、建築物の壁や門塀などを築造する工事は、タイル・れんが・ブロック工事業に区分されます。
同じブロック積みでも、土圧を支える擁壁なのか、建築物や塀をつくる工事なのかで業種が変わります。
大型ブロックを据え付ける工事
河川や海岸などで使用する根固めブロック、消波ブロックなどの大型コンクリートブロックを据え付ける工事は、とび・土工・コンクリート工事業に区分されます。
材料がコンクリートブロックだからといって、石工事業になるとは限りません。
石張り・タイル張りとの違い
建物の内外装や床などへ石材を張る工事は、石工事業です。
一方、タイルを張る工事はタイル・れんが・ブロック工事業に区分されます。
| 張り付ける材料 | 主な許可業種 |
|---|---|
| 天然石・人造石・擬石 | 石工事業 |
| タイル | タイル・れんが・ブロック工事業 |
石材とタイルを併用する現場も少なくありません。その場合はそれぞれの施工内容、工事金額、主たる工事と附帯工事の関係から必要な許可を見極めます。
墓石や石鳥居の設置も石工事に含まれる
墓石や石鳥居などの石材を加工・組み立て、現地へ据え付けて工作物を築造する工事は、石工事業に含まれます。
ただし、石材の販売、文字の彫刻、工場内での加工だけでは、建設工事に当たらないことがあります。
石工事の実務経験として扱うためには、石材を工作物へ取り付けたり、現地で組み立てたりした請負工事であるかどうかがポイントです。
石工事業の許可要件
石工事業でも、次のような建設業許可の共通要件を満たす必要があります。
・経営業務を適正に管理できる体制
・営業所技術者等
・財産的基礎
・社会保険への適切な加入
・請負契約に関する誠実性
・欠格要件に該当しないこと
このうち、申請する業種によって対応資格や必要な経験が変わるのが、営業所技術者等の要件です。
営業所技術者等に使える主な資格
一般建設業の石工事業に対応する主な資格は、次のとおりです。
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士「土木」
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士「仕上げ」
・所定の部門・選択科目の技術士
・ブロック建築関係の技能士
・コンクリート積みブロック施工技能士
・石材施工、石積み、石工関係の技能士
・登録石材施工基幹技能者
2級技能士は実務経験が必要
対象となる1級技能士は、原則として資格だけで営業所技術者等の要件を満たせます。
一方、2級技能士は資格だけでは足りません。原則として合格後に石工事について3年以上の実務経験が必要です。
ただし、平成16年4月1日時点ですでに2級技能検定へ合格していた場合は、経過措置により合格後1年以上の実務経験で対応できることがあります。
技能検定には旧名称や作業区分があります。申請時には合格証書に記載された職種・作業名まで照合しましょう。
指定学科・第一次検定・10年実務経験のルート
対象資格がない場合でも、学歴や実務経験によって営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。
指定学科卒業後の実務経験
石工事業の指定学科は、土木工学または建築学に関する学科です。
| 学歴等 | 必要な石工事経験 |
|---|---|
| 大学・短期大学・高等専門学校などの指定学科卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高校・中等教育学校などの指定学科卒業 | 卒業後5年以上 |
| 指定学科以外 | 10年以上 |
土木工学には、農業土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園などに関する学科が含まれることがあります。
専修学校の扱いは学校ごとに異なります。修業年限や専門士・高度専門士の称号などにより、必要な実務経験が3年または5年に分かれます。
第一次検定合格後の実務経験
対応する施工管理技術検定の第一次検定合格者を、指定学科卒業者と同等に扱う制度があります。
・対応する1級第一次検定合格後:石工事の実務経験3年以上
・対応する2級第一次検定合格後:石工事の実務経験5年以上
利用できる検定種目や種別は、申請時の資格区分表と照合しましょう。
10年以上の実務経験
資格や指定学科の学歴がない場合でも、石工事について10年以上の実務経験を証明できれば、一般建設業の営業所技術者等になれる可能性があります。
ただし、単に石材店や外構会社へ10年間勤務していたことを示すだけでは足りません。
どの期間に、石積み、石張り、擁壁のブロック積み、墓石の設置などの石工事へ従事したのかを資料で示す必要があります。
実務経験を証明する資料
実務経験ルートを使う場合は、石工事を請け負い、施工していた事実と期間を資料で証明します。
代表的な資料は次のとおりです。
・工事請負契約書 ・注文書 ・請求書 ・入金記録 ・見積書や工事明細書 ・工事台帳 ・在籍期間を示す資料
注意したいのは工事名の書き方です。「外構工事一式」「造成工事一式」「墓地工事一式」とだけ記載された資料では、石工事の経験かどうかを判断できないことがあります。
擁壁ブロック積み、石張り、石積み、墓石建立など、具体的な施工内容が分かる見積明細、工程表、施工写真などを組み合わせましょう。
建設業許可を持たない事業者での経験でも構いません。税込500万円未満の軽微な石工事など、適法に施工された工事であり、資料によって裏付けられれば使えます。
特定建設業が必要になる場合
発注者から直接工事を請け負った元請業者が、1件の工事について締結する下請契約の合計額を税込5,000万円以上とする場合は、原則として石工事業の特定建設業許可が必要です。
判断するのは、元請として受注した工事金額ではありません。自社が締結する下請契約額の合計です。
石工事業は指定建設業ではありません。
そのため、一般建設業の営業所技術者等の要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った税込4,500万円以上の石工事について、2年以上の指導監督的実務経験があれば、特定営業所技術者等の要件を満たせることがあります。
下請として受注する金額が大きくても、それだけを理由に特定建設業許可が必要になるわけではありません。ただし、税込500万円以上の石工事を請け負うには、石工事業の建設業許可が必要です。
よくある質問
- コンクリートブロックを積む工事は、いつも石工事業の許可で対応できますか?
-
いいえ、内容によって業種が変わります。ブロックを土留め・擁壁として積む工事は石工事業ですが、ブロックで建築物そのものを建てる工事はタイル・れんが・ブロック工事業、根固めブロック・消波ブロックなどの大型ブロックを据え付ける工事はとび・土工・コンクリート工事業になります。何をつくるかで判断してください。
- 墓石の設置だけを業として行う場合でも、石工事業の許可は取れますか?
-
はい、取れます。墓石の建立や石鳥居の設置は石工事業に含まれます。墓石業者が石工事業の許可だけを単独で取得することもあります。請負代金が500万円以上になる工事を請け負うなら許可が必要です。
- 石材施工技能士の資格があれば、すぐに営業所技術者になれますか?
-
1級石材施工技能士なら、原則として合格後の実務経験なしで営業所技術者になれます。2級の場合は合格後3年以上の実務経験が必要ですが、平成16年4月1日時点ですでに合格していた人は、合格後1年以上の実務経験で足ります。
- 石材の張り付けとタイルの張り付けでは、許可業種が違いますか?
-
はい、違います。石材を工作物に張る工事は石工事業、タイルを張る工事はタイル・れんが・ブロック工事業です。石とタイルを併用する現場もありますが、張る材料がどちらかで業種を判断します。
- 資格者がいなくても石工事業の許可は取れますか?
-
10年以上の石工事の実務経験があれば、営業所技術者の要件を満たせます。土木工学・建築学などの指定学科を卒業していれば、必要な実務経験の年数は短くなります。令和5年7月からは、対応する施工管理技術検定の第一次検定合格者(技士補)に実務経験を組み合わせるルートも使えるようになりました。
まとめ
石工事業には、石積みや石張り、擁壁・土留めのコンクリートブロック積み、墓石などの設置工事が含まれます。1件税込500万円以上の工事を請け負う場合は、原則として建設業許可が必要です。
コンクリートブロック工事は、擁壁・土留めなら石工事、建築物の壁や門塀ならタイル・れんが・ブロック工事、根固め・消波ブロックの据付けならとび・土工・コンクリート工事に区分されます。
申請前に施工内容、請負金額、保有資格、実務経験資料を整理し、必要な許可業種を確認しておきましょう。
お困りの際は当事務所へ
石工事業の建設業許可では、コンクリートブロックを使う工事が、石工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、とび・土工・コンクリート工事業のどれに当たるのかを見極める必要があります。
当事務所では、葛飾区を拠点に、東京都全域および周辺地域の建設業許可申請をサポートしています。どの業種の許可を取得すべきかお分かりにならない段階から、ご相談を承っております。

