建設業許可では、常勤役員等や営業所技術者等について、申請会社の営業所で常勤していることを資料で示さなければなりません。
東京都では2026年7月1日から、常勤性を確認する書類の取扱いが変更されています。
法人の場合、まず申請法人への所属を示す資料を用意し、その資料に生年月日の記載がなければ、資格確認書や運転免許証、住民票などを追加する流れです。
個人事業主は、原則として所得税確定申告書と生年月日を確認できる資料の組み合わせとなります。
この記事では、東京都知事許可を前提に、2026年7月1日以降の常勤性確認資料を法人・個人事業主に分けて解説します。あわせて、他社との兼務、出向者、経管や営業所技術者等を交代する場合の注意点も取り上げていきます。
2026年7月1日から常勤性の確認書類が変更された
東京都は2026年7月1日から、次の人について常勤性の確認書類を変更しました。
・常勤役員等
・常勤役員等を直接補佐する者
・営業所技術者等
・建設業法施行令第3条の使用人
申請書に氏名を記載するだけでは足りず、その人が申請会社に所属し、営業所で常勤していることを資料で裏付けていく仕組みです。
法人と個人事業主とでは、基本となる確認資料が異なります。
法人は「所属資料+生年月日資料」で証明する
法人ではまず、申請会社に所属していることを示す資料を用意します。
その資料だけで生年月日まで確認できない場合には、生年月日を示す資料の追加が必要です。
申請法人への所属を示す主な資料
対象者の状況によって、使用する資料は変わってきます。
| 対象者の状況 | 主な確認資料 |
|---|---|
| 社会保険に加入している | 標準報酬決定通知書、資格取得確認・標準報酬決定通知書、被保険者記録照会回答票など |
| 新たに入社・就任した | 資格取得届、資格取得確認・標準報酬決定通知書など |
| 70歳以上 | 70歳以上被用者に関する標準報酬月額相当額の通知書・届出など |
| 住民税で所属を示す | 特別徴収税額通知書(徴収義務者用)など |
| 役員 | 法人税確定申告書や役員報酬の明細など |
資料には、申請法人の名称と対象者の氏名が確認できることが求められます。
新たに認定を受ける人について届出書を使用するときは、受付済みであることが分かる資料も添えます。
資格確認書で1枚にまとめられる場合もある
健康保険の資格確認書に、
・申請会社の事業所名 ・本人の氏名 ・生年月日
が記載されており、有効期限内であれば、所属と生年月日を1枚で確認できるケースもあります。
一方で、事業所名が記載されていない資格確認書だけでは、申請会社への所属までは確認できません。
生年月日を確認する資料
法人の所属資料に生年月日が記載されていないときは、次のいずれかを追加します。
・有効期限内の健康保険の資格確認書 ・有効期限内の運転免許証の両面 ・発行後3か月以内の住民票
住民票については、個人番号と住民票コードの記載がないものが対象です。
2026年7月1日以降に東京都が示している通常の生年月日確認資料に、マイナンバーカードの表面や「資格情報のお知らせ」は含まれていません。
また、従来の健康保険証も、現在の常勤性を確認する通常資料としては使えなくなりました。
ただし、過去の在籍期間や実務経験の証明では別の取扱いになる場合もあるため、古い健康保険証などを自己判断で処分するのは避けたほうが無難です。
個人事業主は確定申告書を中心に証明する
個人事業主の場合、原則として直近の所得税確定申告書を使い、自ら事業を営んでいることを示します。
主に用意するのは、
・所得税確定申告書の第一表 ・所得税確定申告書の第二表 ・電子申告の場合は受信通知
の3点です。
個人番号が記載されているときは、マスキングして提出します。
これに加え、資格確認書や運転免許証、住民票などで生年月日を確認していく流れです。
なお、2025年1月以降に確定申告書を紙で提出した場合には、個人事業税の納税証明書または事業所得金額を確認できる納税証明書その2などを追加する取扱いがあります。
書類があっても常勤性が認められない場合がある
社会保険や住民税の資料に申請会社の名称が記載されていても、実際の勤務状況から常勤性に疑問があるときは、追加確認を受けることがあります。
特に注意したいのは、次のケースです。
他社から給与・役員報酬を受けている
申請会社以外から給与や役員報酬を受けているときは、原則として申請会社での常勤性が認められにくくなります。
他社でも勤務しているケースでは、勤務時間や勤務場所、役職などから、申請会社の営業所で常勤できる状態なのかを判断します。
健康保険の被扶養者になっている
他人の健康保険の被扶養者となっている場合、申請会社で常勤し、相応の報酬を受けていることを説明しにくくなるでしょう。
役員報酬がない役員についても、実際に営業所で常勤しているのか慎重に確認されます。
営業所までの通勤時間が長い
住居から営業所までの通勤時間が、おおむね片道2時間以上になる場合には、現実に日常的な通勤が可能かどうか追加確認されることがあります。
通勤定期券やETCの利用記録などで、通勤実態を示すケースも少なくありません。
片道2時間を超えれば一律に不可というわけではないものの、営業所で常勤できることを説明できる状態にしておく必要があります。
他社の役員や宅建士などとの兼務に注意する
他社の代表取締役や常勤役員を兼ねているケースでは、原則として申請会社での常勤性が認められにくくなります。
ただし、他社が実質的に休眠している場合など、勤務実態によって個別に判断される余地はあります。
また、専任の宅地建物取引士や管理建築士など、他の法律によって特定の事務所への配置が求められる資格者との兼務にも注意が必要です。
同じ法人・同じ営業所で双方の制度上の要件を満たせるのであれば、兼務できることもあります。
建設業法だけではなく、それぞれの資格制度の専任性・常勤性もあわせて確認する必要があります。
出向者は出向先での勤務実態を示す
出向者が常勤役員等や営業所技術者等になる場合、社会保険の加入先だけでは勤務実態を判断できないことがあります。
そのため、出向元・出向先・出向者・出向期間・費用負担などが分かる出向契約書や出向協定書などが必要です。
これらの資料だけで確認できないときは、出向負担料の請求書や入金資料によって、出向先で勤務している実態を示す方法もあります。
出向元の社会保険に加入したままでも、出向先で実際に常勤しているケースはあるため、形式的な所属だけではなく出向の実態が重要となります。
経管・営業所技術者等を交代するときは空白を作らない
常勤役員等や営業所技術者等を交代するときは、前任者と後任者の在職期間に空白を作らないことが重要です。
東京都は、交代日における前任者・後任者の在職を資料で確認し、1日以上の間隔がある場合には交代できない取扱いを示しています。
たとえば、
・前任者の退任日 ・後任者の就任日 ・社会保険の資格取得日・喪失日 ・役員の場合は登記上の就任日・退任日
といった日付を整理していきます。
社会保険の資格喪失日は原則として退職日の翌日となるため、すべての書類の日付を機械的に同じにするのではなく、実際の退任・就任関係を説明できる状態にしておく必要があります。
なお、変更届は原則として変更後2週間以内の提出が必要です。
現在の常勤性と過去の経験は別に証明する
建設業許可では、「現在その会社で常勤していること」と、「過去に必要な経験を積んできたこと」を別々に証明します。
たとえば、10年以上の実務経験によって営業所技術者等になるケースでは、
・現在、申請会社の営業所で常勤していること
・過去10年間、対象となる工事に従事していたこと
・その期間、経験を積んだ会社などに在籍していたこと
の3点をそれぞれ示す必要があります。
現在の標準報酬決定通知書だけでは、過去10年間の在籍や工事経験までは証明できません。
常勤役員等についても同様で、現在の常勤性を示す資料と、過去の経営経験を示す登記事項証明書や確定申告書などは分けて用意する形になります。
通常の資料で証明できない場合
東京都が示す通常の確認資料だけで常勤性を確認できない場合でも、それだけで申請できないと決まるわけではありません。
勤務状況によっては、工事日報など別の資料で常勤実態を確認するケースもあります。
また、通常資料だけでは確認できない場合には、郵送ではなく窓口での審査が必要になることがあります。東京都の郵送案内でも、所定資料で在職確認できることを郵送受付の条件としています。
特殊な勤務形態のときは、申請前に、
・対象者の役職 ・就任日・入社日
・社会保険の加入状況 ・他社との兼務状況
・用意できる確認資料
を整理しておくとスムーズです。
よくある質問
- 2026年7月以降、生年月日は何で証明しますか?
-
健康保険の資格確認書、運転免許証、住民票のいずれかが基本となります。
東京都が2026年7月1日から示している通常の資料に、マイナンバーカード表面や「資格情報のお知らせ」は含まれていません。
- 資格確認書だけで常勤性を証明できますか?
-
申請会社の事業所名、本人の氏名、生年月日が記載され、有効期限内であれば、1枚で所属と生年月日の両方を示せることがあります。
事業所名が記載されていないときは、別の所属資料が必要です。
- 他社の代表取締役でも常勤役員等になれますか?
-
原則として、他社を代表しながら申請会社でも常勤するのは認められにくくなります。
他社が休眠しているなど特殊な事情があるときは、登記事項証明書や勤務状況を示す資料をもとに個別に判断される余地もあるでしょう。
- 別会社の代表取締役でも経管になれますか?
-
他社の代表取締役を兼ねている場合、申請会社の常勤者とは基本的に認められません。
他社が休眠している場合や、その会社に事務一般を掌理する常勤取締役が別にいることを証明できる場合は、例外的に認められる可能性があります。登記事項証明書などを用意したうえで、申請前に相談しましょう。
- 経管と営業所技術者等を1人で兼ねられますか?
-
双方の要件を満たし、同じ営業所で常勤できるのであれば兼ねることが可能です。
その場合も、経営経験や資格・実務経験だけではなく、申請会社での現在の常勤性を証明する必要があります。
まとめ
東京都では2026年7月1日から、建設業許可における常勤性の確認書類が変更されました。
法人では申請法人への所属を示す資料を用意し、生年月日の記載がなければ、資格確認書や運転免許証、住民票などを追加します。個人事業主は、原則として所得税確定申告書と生年月日を確認する資料を使用します。
ただし、他社で勤務している、営業所から著しく遠方に住んでいるなどの場合は、書類がそろっていても常勤性が認められないことがあります。
また、現在の常勤性と、過去の経営経験・実務経験は別に確認します。
申請前に、常勤役員等や営業所技術者等の勤務状況と必要な資料を整理しておきましょう。
お困りの際は当事務所へ
「どの資料で常勤性を証明すればよいか分からない」「経管や営業所技術者等を交代できるか判断できない」という段階でも構いません。
対象者の社会保険、役職、勤務状況、保有資格や実務経験を整理したうえで、必要な確認資料をご案内いたします。
当事務所では葛飾区を拠点に、東京都の建設業許可申請や変更届をサポートしています。

