建設業許可票と帳簿|掲示場所・記載事項・保存期間

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建設業許可を取得した後は、営業所への許可票の掲示や、工事ごとの帳簿作成・書類の保存が求められます。

建設業許可票には「営業所に掲示するもの」と「工事現場に掲示するもの」の2種類があり、それぞれ掲示場所や記載事項が異なります。

帳簿やその添付書類は原則として5年間保存します。一方、元請業者が発注者から直接請け負った工事について作成した完成図、発注者との打合せ記録、施工体系図などの「営業に関する図書」は、10年間の保存が必要です。

この記事では、建設業許可取得後に必要となる許可票の掲示、帳簿の記載事項、契約書などの保存、5年・10年の保存期間の違いについて解説します。

目次

営業所用と工事現場用の許可票は別物

建設業の許可票は、大きく分けて次の2種類です。

種類掲示する場所主な内容
営業所用建設業を営む各営業所商号、代表者、許可番号、許可業種など
工事現場用発注者から直接請け負った工事現場許可情報、主任技術者・監理技術者など

営業所用は、建設業許可を受けて営業していることを来客などへ示すためのものです。

工事現場用は、その工事を元請として施工している建設業者の許可情報や配置技術者を示します。

営業所の許可票は営業所ごとに掲げる

建設業者は、建設業を営む営業所ごとに許可票を掲示する必要があります。

本店に1枚だけ掲示すればよいわけではありません。支店であっても、建設工事の請負契約を締結するなど、建設業法上の営業所に該当する場合は、その営業所にも許可票を掲示します。

営業所用許可票の主な記載事項

営業所用の許可票に記載するのは、主に次の事項です。

・商号または名称
・代表者の氏名
・一般建設業または特定建設業の別
・許可を受けた建設業
・許可番号
・許可年月日
・その営業所で営業している建設業

複数業種の許可を持っていても、すべての営業所が同じ業種を営業しているとは限りません。

許可票には、その営業所で実際に営業する業種を記載します。

営業所用の大きさ

営業所用許可票の大きさは、

・縦35センチメートル以上 ・横40センチメートル以上となります。

材質までは指定されていないため、必ずしも金属製の高価なプレートを用意する必要はありません。

必要な寸法と記載事項を満たし、継続して掲示できるものであれば問題ないでしょう。

公衆の見やすい場所へ掲示する

許可票は、営業所内のどこかに置いてあればよいというものではありません。

営業所の入口、受付、来客スペースなど、訪問者から見やすい場所へ掲示します。

自宅兼事務所やマンションの一室でも考え方は同じです。

共用部分への掲示が難しい場合は、営業所として使用する専用区画の入口や来客対応を行う場所など、確認しやすい位置へ掲げます。

工事現場の許可票は元請業者が掲示する

工事現場用の許可票を掲示するのは、発注者から工事を直接請け負った元請業者です。

下請として現場に入る建設業者には、現場用許可票の掲示義務は課されていません。

施工体系図などに下請業者の名称が表示される場合もありますが、施工体系図と建設業許可票は別のものです。

現場用許可票の主な記載事項

工事現場用に記載するのは、主に次の事項です。

・商号または名称
・代表者の氏名
・主任技術者または監理技術者の氏名
・専任の有無など
・資格名など
・一般建設業または特定建設業の別
・工事に対応する許可業種
・許可番号
・許可年月日

監理技術者資格者証の交付番号など、工事や配置する技術者によって追加で記載する事項もあります。

現場用許可票の大きさは、

・縦25センチメートル以上 ・横35センチメートル以上となります。

工事現場の入口や掲示板など、公衆から見やすい場所へ掲示します。

500万円未満の元請工事でも掲示する

工事現場用の許可票に、「500万円未満なら不要」といった金額基準はありません。

建設業許可を受けている業者が発注者から直接建設工事を請け負った場合は、軽微な工事であっても掲示対象です。

反対に、下請として受注した工事であれば、請負金額が大きくても現場用許可票の掲示義務はありません。

判断するポイントは工事金額ではなく、発注者から直接請け負った元請工事かどうかです。

更新・業種追加・変更後は許可票も見直す

許可票の内容は、現在の許可情報と一致していなければなりません。

たとえば、次のような場合は許可票を確認します。

・建設業許可を更新した ・業種追加をした ・一般建設業と特定建設業の区分が変わった ・商号を変更した ・代表者を変更した ・営業所を新設・移転した

更新後は新しい許可年月日に修正し、商号や代表者が変わった場合も現在の情報へ書き換えます。

東京都へ変更届や更新申請を提出したとしても、新しい許可票が自動的に送付されるわけではないため、修正や作り直しは許可業者自身で行います。

帳簿は営業所ごとに備える

建設業者は、営業所ごとに営業に関する帳簿を備える必要があります。

帳簿は行政庁へ毎年提出するものではありません。

建設工事の請負契約や完成・引渡しなどについて記録し、営業所で保存しておくものです。

全国共通の決まった帳簿様式はないため、必要事項を記録できれば、Excelや帳簿ソフトなどで管理しても構いません。

帳簿に記載する主な内容

帳簿には、工事ごとに主に次の事項を記録します。

・工事名 ・工事現場の所在地 ・契約日
・注文者の名称・住所 ・注文者の許可番号(許可業者の場合)
・完成検査を行った日 ・目的物を引き渡した日 ・下請工事の内容
・下請業者の名称・住所・許可番号
・下請契約日 ・下請工事の検査日・引渡日

特定建設業者が一定の一般建設業者などへ下請発注する場合は、下請代金の支払額、支払日、支払手段なども記録の対象です。

契約内容を変更した場合は、当初の記録を消すのではなく、変更日と変更内容を追加して管理します。

契約書なども帳簿とあわせて保存する

帳簿だけを作成すれば足りるわけではありません。

工事ごとに、契約内容を裏付ける書類もあわせて保存します。

代表的なものは次のとおりです。

・建設工事請負契約書 ・注文書・請書
・追加工事や変更工事の契約書 ・一定の場合の下請代金支払資料
・施工体制台帳を作成した場合の所定部分

請求書や見積書を保存しているだけでは、建設業法上必要となる契約内容を確認できない場合があります。

契約書、注文書、請書などは、工事ごとに整理しておきましょう。

完成図・見積書などは10年間保存する

帳簿や契約書とは別に、「営業に関する図書」として10年間保存する書類があります。

主なものは次のとおりです。

対象保存する主な図書
発注者から直接工事を請け負った元請業者完成図
発注者から直接工事を請け負った元請業者発注者との工事内容に関する打合せ記録
施工体制台帳を作成した元請業者施工体系図
材料費等記載見積書を作成した建設業者材料費等記載見積書
材料費等記載見積書を作成した建設業者契約前の見積内容に関する打合せ記録

2025年12月12日施行の改正により、材料費等を記載した見積書や、契約前の見積内容に関する一定の打合せ記録も保存対象に加わりました。

見積書は元請だけが対象とは限らない

完成図や発注者との打合せ記録は、主に発注者から直接工事を請け負った元請業者が保存します。

一方、材料費等記載見積書や、その見積内容について契約前に交わした打合せ記録は、元請・下請を問わず、対象となる建設業者が保存の対象です。

契約締結までに見積内容を修正した場合は、当初の見積書と契約内容を示す最終的な見積書の双方を残しておくことが重要になります。

帳簿は5年、営業に関する図書は10年保存

保存期間は、書類の種類によって異なります。

保存するもの保存期間
帳簿・その添付書類原則5年間
一定の住宅新築工事の帳簿・添付書類10年間
営業に関する図書10年間

帳簿とその添付書類は、原則として工事目的物を引き渡した時から5年間の保存です。

請負契約に基づく債権債務が消滅した場合は、その消滅した時が保存期間の起算点となります。

住宅新築工事は10年間

発注者から直接請け負った住宅新築工事については、帳簿と添付書類を10年間保存します。

ただし、発注者が宅地建物取引業者である場合は、この10年保存の対象から除かれます。

営業に関する図書も10年間

完成図、打合せ記録、施工体系図、材料費等記載見積書などの営業に関する図書は、10年間の保存です。

帳簿が原則5年だからといって、工事関係資料をすべて5年で廃棄しないよう注意しましょう。

帳簿や契約書は電子保存もできる

帳簿、添付書類、営業に関する図書は、法令上認められた方法で電子保存することもできます。

紙でなければならないわけではありません。

実務では、

・工事ごとに資料を検索できる ・必要な帳簿や契約書を速やかに表示できる ・保存期間中にファイルを確認できる ・営業所から必要なデータへアクセスできる

といった状態にしておくと管理が楽になります。

電子契約を利用する場合も、当初契約だけではなく、追加工事や変更契約などのデータを同じ工事単位で整理しておくとよいでしょう。

許可票・帳簿の義務に違反すると過料の対象になる

許可票を掲示しなかった場合や、営業所に帳簿を備えなかった場合は、10万円以下の過料の対象です。

帳簿については、

・必要事項を記載しない ・虚偽の内容を記載する ・帳簿や添付書類を保存しない ・営業に関する図書を保存しない

といった行為も対象に含まれます。

許可取得後にまとめて対応するのではなく、許可票は営業開始時から掲示し、帳簿は最初の工事から記録しておくことが大切です。

よくある質問

下請として入る現場にも建設業の許可票が必要ですか?

現場用許可票は必要ありません。掲示するのは、発注者から工事を直接請け負った元請業者です。

ただし施工体系図など、別の掲示物に下請業者の会社名や工事内容が記載されることはあります。

500万円未満の工事なら現場の許可票は不要ですか?

元請として発注者から直接請け負った工事なら、500万円未満でも掲示が必要です。現場用許可票には、軽微な工事を除外する金額基準がないからです。

営業所の許可票は金属製でなければなりませんか?

金属製である必要はありません。材質までは指定されていないのです。

ただし必要な大きさと記載事項は満たしたうえで、文字が消えにくく、破損しにくいものを選びます。

帳簿は紙で作らなければなりませんか?

紙に限られません。必要事項を記録し、営業所で画面表示や出力ができれば、Excelや帳簿ソフトによる管理でも構いません。

契約書などの添付書類も、一定の条件を満たせば電子保存が可能です。

請求書を保存していれば帳簿は不要ですか?

請求書だけでは足りません。

帳簿には契約日、注文者、工事名、現場所在地、完成検査日、引渡日などを記載します。契約書や変更契約書といった添付書類も、あわせて必要になります。

許可を更新したら許可票も作り直しますか?

更新後の許可年月日に合わせて修正します。業種追加、一般・特定の変更、商号や代表者の変更があった場合も同じく、現在の許可情報と一致するよう許可票を直します。

まとめ

建設業許可を取得した後は、許可票の掲示と帳簿・関係書類の保存が必要です。

営業所用許可票は建設業を営む各営業所に、工事現場用許可票は発注者から直接工事を請け負った元請現場に掲示します。

帳簿と契約書などの添付書類は、原則として5年間の保存です。

一方、一定の住宅新築工事の帳簿・添付書類や、完成図、施工体系図、材料費等記載見積書などの営業に関する図書は、10年間保存します。

2025年12月12日からは、一定の見積書や契約前の見積内容に関する打合せ記録も保存対象となっているため、注意が必要です。

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