プラント設備、エレベーター、集塵設備、立体駐車設備などの設置工事を、1件税込500万円以上で請け負うのであれば、原則として機械器具設置工事業の建設業許可が必要です。
ただし、「機械を設置する工事」がすべて機械器具設置工事に区分されるわけではありません。
建物内の空調設備は管工事、電気設備は電気工事、通信設備は電気通信工事、消防用設備は消防施設工事に区分されるのが基本です。これらの専門工事に当てはまらない機械や、複合的な機械器具を設置する工事が、機械器具設置工事に当たります。
この記事では、機械器具設置工事業に含まれる工事、税込500万円基準、管工事などとの違い、営業所技術者等に使える資格・実務経験について解説します。
機械器具設置工事業に含まれる工事
機械器具設置工事とは、機械器具の組立てなどによって工作物を建設したり、工作物へ機械器具を取り付けたりする工事をいいます。
代表的な工事は以下のとおりです。
・プラント設備工事 ・運搬機器設置工事
・内燃力発電設備工事 ・集塵機器設置工事
・給排気機器設置工事 ・揚排水機器設置工事
・ダム用仮設備工事 ・遊技施設設置工事
・舞台装置設置工事 ・サイロ設置工事 ・立体駐車設備工事
エレベーターやエスカレーターなどの昇降機設置工事も、運搬機器設置工事として機械器具設置工事業に含まれます。
税込500万円以上では許可が必要
機械器具設置工事は建築一式工事ではないため、1件の請負代金が税込500万円以上になるのであれば、原則として機械器具設置工事業の許可が必要です。
税込500万円未満の工事だけを請け負うのであれば、軽微な建設工事に当たり、原則として許可はいりません。
金額を判定するときは、次の点にも注意しましょう。
・消費税を含める
・注文者が支給する機械器具や材料の市場価格と運送費を加える
・正当な理由なく契約を分割した場合は合計額で判断する
たとえば、据付工事の請負代金が税込450万円であっても、注文者から支給される材料などを加えて500万円以上になれば、許可が求められます。
機械の設置がすべて機械器具設置工事になるわけではない
機械器具設置工事は、他の専門工事との区分が特に重要な業種です。
国土交通省では、電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事などと重なる場合、原則としてそれぞれの専門工事へ区分するとしています。
主な区分を整理すると、次のとおりです。
| 工事内容 | 主な許可業種 |
|---|---|
| 建築物内の一般的な空調設備 | 管工事業 |
| 排水処理設備 | 管工事業 |
| 電気設備・配線設備 | 電気工事業 |
| 通信・ネットワーク設備 | 電気通信工事業 |
| 消火・警報・避難設備 | 消防施設工事業 |
| 集塵設備 | 機械器具設置工事業 |
| トンネル・地下道などの給排気設備 | 機械器具設置工事業 |
| エレベーター・エスカレーター | 機械器具設置工事業 |
| 立体駐車設備 | 機械器具設置工事業 |
機械の名称だけではなく、何のための設備を、どのような方法で設置するのかから判断していきます。
管工事との違い
機械器具設置工事業で特に迷いやすいのが、管工事業との区分です。
建築物内に設置する一般的な空調設備は、管工事に区分されます。
一方、トンネルや地下道などの給排気を目的として設置する大型の給排気機器は、機械器具設置工事の扱いです。
また、公害防止設備でも区分は異なります。
・排水処理設備:管工事 ・集塵設備:機械器具設置工事
同じ「設備工事」という名称でも、設備の機能によって必要な許可業種が変わります。
電気・電気通信・消防施設工事との違い
機械器具に電源や通信機能が付いていても、それだけで機械器具設置工事に区分されるわけではありません。
電気設備そのものを施工する工事は電気工事、有線・無線通信設備やネットワーク設備を施工する工事は電気通信工事です。
また、屋内消火栓、スプリンクラー、火災報知設備などの消防用設備を設置する工事は、消防施設工事に区分されます。
たとえば、機械本体の据付けが機械器具設置工事に当たる場合でも、その機械に伴う電気配線は電気工事に区分されることがあります。
一つの現場に複数の業種が含まれるときは、それぞれの施工内容を分けて考えていきましょう。
機械の搬入・据付けは工事内容で区分する
機械を現場へ運ぶ作業についても、内容によって扱いが異なります。
単に機械を販売し、現場まで納品するだけであれば、通常は建設工事には当たりません。
一方、大型機械をクレーンなどで揚重し、所定の位置へ運搬・配置する工事は、「重量物の揚重運搬配置工事」として、とび・土工・コンクリート工事に区分されることもあります。
これに対して、現場で機械器具を組み立て、工作物として据え付けたり取り付けたりする工事は、機械器具設置工事に当たる可能性が高いといえます。
したがって、
・商品の販売・納品 ・重量物の揚重運搬配置 ・機械器具の組立て・据付け
を分けて判断することが重要です。
機械器具設置工事業の許可要件
機械器具設置工事業でも、次のような建設業許可の共通要件を満たす必要があります。
・経営業務を適正に管理できる体制
・営業所技術者等
・財産的基礎
・社会保険への適切な加入
・請負契約に関する誠実性
・欠格要件に該当しないこと
このうち、機械器具設置工事業で特に注意したいのは、営業所技術者等の要件です。
営業所技術者等に使える資格
一般建設業の機械器具設置工事業では、資格だけで直接要件を満たせる代表的なものとして、次の技術士資格があります。
・技術士「機械部門」 ・技術士「総合技術監理部門(選択科目が機械部門)」
機械器具設置工事業には、施工管理技士の資格だけで直接営業所技術者等になれる一般的なルートはありません。
ただし、建築・電気工事・管工事の施工管理技術検定と、機械器具設置工事の実務経験を組み合わせる方法はあります。
指定学科・施工管理技術検定・10年実務経験のルート
技術士資格がなくても、学歴や実務経験によって営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。
指定学科卒業後の実務経験
機械器具設置工事業の指定学科は、次の分野に関する学科です。
・建築学 ・機械工学 ・電気工学
| 学歴等 | 必要な機械器具設置工事経験 |
|---|---|
| 大学・短期大学・高等専門学校などの指定学科卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高校・中等教育学校などの指定学科卒業 | 卒業後5年以上 |
| 指定学科以外 | 10年以上 |
専修学校については、修業年限や専門士・高度専門士の称号などによって必要な実務経験年数が変わります。
施工管理技術検定合格後の実務経験
建築施工管理、電気工事施工管理、管工事施工管理の技術検定合格者であれば、機械器具設置工事の実務経験を組み合わせて要件を満たせる場合があります。
・1級の第一次検定または第二次検定合格後:3年以上
・2級の第一次検定または第二次検定合格後:5年以上
ここで必要なのは、あくまで機械器具設置工事についての実務経験です。管工事や電気工事の経験を、そのまま機械器具設置工事の経験として使うことはできません。
10年以上の実務経験
資格や指定学科の学歴がない方でも、機械器具設置工事について10年以上の実務経験を証明できれば、一般建設業の営業所技術者等になれる可能性があります。
機械器具設置工事業は、工事の業種区分そのものが難しいため、10年経験を使うときには特に工事内容の整理が重要です。
実務経験を証明する資料
実務経験ルートを使うのであれば、機械器具設置工事を施工していた事実と期間を、資料で証明していきます。
代表的な資料は次のとおりです。
・工事請負契約書 ・注文書 ・請求書
・入金記録 ・見積書や工事明細書
・仕様書 ・工事台帳 ・在籍期間を示す資料
「設備工事一式」「機械工事一式」とだけ記載された資料では、機械器具設置工事の経験かどうかを判断できないことがあります。
そのため、プラント設備据付け、集塵機器設置、昇降機設置、立体駐車設備設置など、具体的な施工内容が分かる見積明細や仕様書を組み合わせていきます。
なお、機械の製造、販売、納品、点検だけを行った期間は、機械器具設置工事の施工経験として扱えないケースがあります。
建設業許可を持たない事業者での経験でも、税込500万円未満の軽微な機械器具設置工事など、適法に施工された工事であり、資料で裏付けられれば使える場合もあります。
特定建設業が必要になる場合
発注者から直接工事を請け負った元請業者が、1件の工事について締結する下請契約の合計額を税込5,000万円以上とするときは、原則として機械器具設置工事業の特定建設業許可が必要です。
機械器具設置工事業は指定建設業ではありません。
そのため、一般建設業の営業所技術者等の要件を満たしたうえで、発注者から直接請け負った税込4,500万円以上の機械器具設置工事について、2年以上の指導監督的実務経験があれば、特定営業所技術者等の要件を満たせる可能性があります。
4,500万円はあくまで技術者の経験要件であり、特定建設業が必要になる下請契約額5,000万円とは別の基準です。
よくある質問
- 機械を据える工事は、すべて機械器具設置工事ですか?
-
いいえ。電気設備は電気工事、空調・給排水設備は管工事、通信設備は電気通信工事、消防用設備は消防施設工事に区分されるのが原則です。ほかの専門工事に当てはまらない機械や、複合的な機械の設置が機械器具設置工事に当たります。
- 完成した機械を搬入して置くだけでも許可は必要ですか?
-
完成品を所定の場所に搬入して置くだけの作業は、通常、建設工事には当たりません。現場での組立て、固定、据付け、接続、調整などを伴う場合は、機械器具設置工事に該当する可能性があります。
- 施工管理技士の資格で営業所技術者になれますか?
-
機械器具設置工事業には、施工管理技士の「機械」という区分がありません。資格だけで要件を満たせる主な資格は、技術士の機械部門などです。
ただし、建築・電気工事・管工事の施工管理技術検定の第一次検定に合格した人は、合格後3年または5年以上の機械器具設置工事の実務経験を組み合わせる方法があります。
- 特定建設業を取るには1級資格者が必要ですか?
-
必須ではありません。機械器具設置工事業は指定建設業ではないため、一般建設業の営業所技術者の要件に加え、所定の指導監督的実務経験を持つ人を置く方法もあります。
- エレベーターの設置はどの業種ですか?
-
エレベーターやエスカレーターなどの昇降機の設置は、機械器具設置工事の運搬機器設置工事に区分されます。
まとめ
機械器具設置工事業には、プラント設備、昇降機、集塵設備、給排気設備、立体駐車設備などの設置工事が含まれます。1件税込500万円以上の工事を請け負う場合は、原則として建設業許可が必要です。
ただし、機械を設置する工事がすべて機械器具設置工事になるわけではありません。空調設備は管工事、電気設備は電気工事、通信設備は電気通信工事など、工事の内容によって区分されます。
申請前に、施工内容、請負金額、保有資格、実務経験資料を整理し、必要な許可業種を確認しておきましょう。
お困りの際は当事務所へ
「機械器具設置工事と管工事のどちらに当たるか分からない」「過去の機械据付工事を実務経験として使えるか判断できない」といった段階でもご相談ください。
工事内容や実務経験資料を整理し、必要な許可業種と申請書類をご案内します。
当事務所は葛飾区を拠点に、東京都内の建設業許可申請に対応しております

