特殊車両を許可なく通行させたり、許可証に付された条件に違反したりすると、道路法に基づく罰則の対象になることがあります。
違反の内容によっては罰金だけで終わらず、道路管理者による警告・是正指導、悪質な重量超過に対する刑事告発、特殊車両通行許可の取消しなどにつながる場合もあります。
高速道路では、車両制限令違反を繰り返した事業者について、大口・多頻度割引の停止措置が行われることもあります。
特殊車両の違反にはどんな罰則がある?
国土交通省は、特殊車両に関する主な罰則を次のように整理しています。
| 違反の内容 | 主な罰則 |
|---|---|
| 個別に通行を禁止・制限された道路で制限に違反 | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 道路管理者・道路監理員による通行中止等の命令に違反 | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 特殊車両を無許可で通行させた | 100万円以下の罰金 |
| 許可条件に違反して通行した | 100万円以下の罰金 |
| 許可証・回答書を備え付けなかった | 100万円以下の罰金 |
| 軽減・徐行等の命令に違反 | 50万円以下の罰金 |
すべての違反が同じ罰則になるわけではありません。
違反した道路、車両の重量・寸法、許可の有無、条件違反の内容、道路管理者から命令を受けていたかなどによって扱いが変わります。
無許可通行・許可条件違反は100万円以下の罰金
車両制限令で定められた幅・長さ・高さ・重量などを超える特殊車両を、必要な許可を受けずに通行させた場合は、道路法104条により100万円以下の罰金の対象になります。
許可を取得していても、交付された条件に違反して通行した場合は同様です。
たとえば許可証や条件書に、
- 徐行
- 連行禁止
- 誘導車の配置
- 通行方法
- 通行時間
などが定められている場合は、その内容に沿って運行する必要があります。
A〜D条件については、特車申請の通行条件A〜D|判定基準と誘導車の配置要件で解説しています。
許可証などを備え付けていない場合も罰則がある
許可を取得していても、通行時に必要な許可証を備え付けていなければ、道路法上の罰則の対象になります。
国土交通省の資料では、特殊車両通行許可証や回答書の備付け義務に違反した場合についても、100万円以下の罰金が定められています。
電子データで携行する場合も、必要になった際に表示できる状態にしておきます。
携行する書類については、特車許可証の携行義務|必要書類・電子携行・不携帯の罰則でまとめています。
法人や事業主にも罰金が科される場合がある
特殊車両の違反は、運転者だけの問題とは限りません。
道路法107条には両罰規定があり、法人の代表者、代理人、従業者などが業務に関して違反行為をした場合、行為者に加えて法人や事業主にも罰金刑が科される場合があります。
そのため、運転者だけに許可内容を任せるのではなく、会社側でも対象車両、経路、通行期間、条件書などを管理することが重要です。
特に複数の許可を使用している会社では、別車両や別経路の許可証を取り違えないよう運行管理に組み込んでおく必要があります。
道路管理者の命令に従わない場合
違反車両が取締りを受けると、道路管理者や道路監理員から通行の中止などを命じられることがあります。
こうした命令に従わない場合は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。
また、道路管理者から重量の軽減や徐行などを命じられ、それに違反した場合には50万円以下の罰金が定められています。
取締りでは、違反内容に応じて、
- 指定場所やインターチェンジからの退出
- 積荷の減載
- 通行の中止
- 許可条件を満たすための措置
などを命じられる場合があります。
なお、2025年6月から刑法上の「懲役」と「禁錮」が「拘禁刑」に一本化されたため、道路法の罰則表記も拘禁刑となっています。罰則そのものが2025年に新設されたという意味ではありません。
基準の2倍以上の重量超過は即時告発の対象
重量違反の中でも特に重大なのが、基準を大幅に超える車両です。
高速道路機構では、総重量が基準の2倍以上となる悪質な重量超過について、現地取締りで違反事実を把握した段階で警察へ即時告発する運用を行っています。
無許可車両では、基本的に、
一般的制限値 × 2
が基準となります。
すでに許可・回答を受けた車両については、
一般的制限値 × 2 +(許可・回答総重量 − 一般的制限値)
という基準が示されています。
この基準は「多少重量を超えた場合」の扱いではなく、悪質な重量超過を刑事告発するための基準です。
特車許可があっても重量はいくらでも増やせない
特殊車両通行許可を取得していても、許可された重量を超えて自由に走行できるわけではありません。
また、特車許可によって車検証の最大積載量が増えることもありません。
最大積載量を超えた積載は過積載の問題となり、特車許可とは別に扱われます。
そのため、
- 車検証上の最大積載量
- 特車許可で認められた重量
- 許可証に記載された経路
- 通行条件
のそれぞれに沿って運行する必要があります。
詳しくは、特車申請と過積載の違い|判定基準・罰則と同時違反になるケースをご覧ください。
違反を繰り返すと是正指導や許可取消しにつながる場合がある
特殊車両の違反については、刑事罰とは別に道路管理者による指導も行われています。
高速道路では、違反情報を高速道路会社6社で集約し、重大な違反者に警告書を発出したり、常習違反者に是正指導を行ったりする仕組みがあります。
是正指導を受けても改善が見られない場合には、
- 指導内容の公表
- 特殊車両通行許可の取消し
- 刑事告発
につながる場合があります。
違反したから直ちに会社が保有するすべての許可が取り消されるという一律の制度ではありません。
違反の内容、回数、道路管理者による指導への対応などによって扱いが変わります。
WIMによる重量取締りも行われている
大型車両の重量取締りでは、道路上に設置した**WIM(自動計測装置)**も使われています。
WIMでは走行中の車両の軸重などを計測し、車両番号などの情報と組み合わせて違反車両の取締りに利用します。
国土交通省の2024年度実績では、WIMは直轄国道46か所、高速道路機構482か所に設置されています。高速道路では2023年度から大型車両を対象としたWIM取締りが運用されています。
取締りは料金所や取締基地だけで行われているわけではありません。
高速道路では大口・多頻度割引が停止される場合もある
高速道路を利用する事業者では、道路法上の罰則とは別に、高速道路会社の利用制度にも影響する場合があります。
NEXCOでは、車両制限令違反を繰り返した大口・多頻度割引制度の契約者について、割引停止などの措置を行っています。
これは道路法上の罰金とは別の仕組みです。
高速道路を頻繁に使用する運送事業者では、特車違反が継続的な運行コストにも影響する可能性があります。ます。
よくある質問
- 特車許可を取らずに走った場合の罰金はいくらですか?
-
許可が必要な特殊車両を無許可で通行させた場合は、道路法104条により100万円以下の罰金の対象になります。
車両の状態や道路によって許可の要否は異なるため、一般的制限値だけでなく実際の通行経路も含めて判断します。
- 許可を持っていても違反になることはありますか?
-
許可証に記載された経路や通行条件から外れて運行した場合は、許可を取得していても条件違反となることがあります。
車両、経路、通行期間、条件書の内容に沿って運行する必要があります。
- ドライバーが違反すると会社も処罰されますか?
-
道路法107条の両罰規定により、従業者などが会社の業務に関して違反した場合、行為者に加えて法人や事業主にも罰金刑が科される場合があります。
すべてのケースで自動的に会社が処罰されるという意味ではなく、違反の内容や関係によって扱われます。
- 重量を大幅に超えるとすぐに告発されますか?
-
総重量が基準の2倍以上となる悪質な重量超過については、現地取締りで警察へ即時告発する運用があります。
許可を受けている車両については、許可重量を考慮した別の算定基準が用いられます。
- 違反すると特車許可は取り消されますか?
-
違反を繰り返したり、是正指導後も改善が見られなかったりする場合は、特殊車両通行許可の取消し対象となることがあります。
1回の違反ですべての許可が必ず取り消されるという扱いではありません。
まとめ
特殊車両の違反には、無許可通行、許可条件違反、許可証等の備付け違反、道路管理者の命令への違反などがあります。
無許可通行や許可条件違反には100万円以下の罰金が定められており、法人や事業主にも罰金刑が科される場合があります。
さらに、基準の2倍以上となる悪質な重量超過は即時告発の対象となり、常習的な違反では是正指導、公表、許可取消しなどにつながることもあります。
特殊車両通行許可や通行条件への対応でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

