特車ゴールドは、業務支援用ETC2.0車載器を車両へ装着するだけでは使えません。車両番号・車載器管理番号・ASL-IDを特殊車両通行許可のオンライン申請システムへ登録し、その車両で通常の特殊車両通行許可申請を行って初めて利用対象になります。
申請経路に大型車誘導区間が含まれていれば、区間内での経路選択や、更新時のワンクリック更新といった手続きの簡素化を利用することができます。
特車ゴールドは従来の特殊車両通行許可制度とは別の許可制度ではなく、その中でETC2.0を活用する仕組みです。この記事では制度そのものの説明よりも、利用登録から許可取得、ワンクリック更新までの実務の流れを中心に取り上げます。
特車ゴールドの申請に必要なもの
まずは申請を始める前に、対象車両とETC2.0車載器の情報を手元でそろえておいてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ETC2.0車載器 | 業務支援用ETC2.0 |
| 車両番号 | 自動車登録番号 |
| 車載器管理番号 | 20桁 |
| ASL-ID | 12桁 |
| 通行経路 | 大型車誘導区間を含む経路 |
| 申請方法 | 特殊車両通行許可のオンライン申請 |
一般用ETC2.0や従来のDSRC車載器では、特車ゴールドを利用することができません。車載器管理番号とASL-IDは、車載器の梱包箱や添付書類に記載されています。
見当たらない場合は、車載器メーカーや取付店のほか、特車ポータルの照会窓口で把握できることもあります。車載器管理番号とASL-IDは別の番号なので、入力時に取り違えないようにしましょう。
特車ゴールドは5つのステップで進める
大きな流れは次のとおりです。
特車ゴールドは、ETC2.0を取り付けるだけでは利用できません。 利用登録 → 特車申請 → 許可取得まで順番に進めます。
業務支援用ETC2.0をセットアップ
対象車両へ業務支援用ETC2.0車載器を装着します。
ETC2.0簡素化制度の利用登録
車両番号・20桁の車載器管理番号・12桁のASL-IDを登録します。
特殊車両通行許可を申請
大型車誘導区間を含む、出発地から目的地までの経路を申請します。
許可証・算定結果帳票を取得
大型車誘導区間の通行条件まで確認します。
許可内容に従って運行
必要書類を備え付け、大型車誘導区間では算定された条件に従って通行します。
STEP1 業務支援用ETC2.0を用意する
特車ゴールドで使用するのは、業務支援用ETC2.0車載器です。一般用ETC2.0にもGPSを利用する製品がありますが、特車ゴールドの利用登録に使う車載器とは区別されます。
セットアップ後は、利用登録に必要な車載器管理番号とASL-IDを把握してください。車載器管理番号は20桁です。最後の1桁だけ別枠で表示されている車載器でも、その1桁を含めた20桁すべてを使用します。ASL-IDは12桁の数字です。
ASL-IDが分からない場合は、車載器の梱包箱や添付資料を確認しましょう。資料が残っていなければ、取付店やメーカーに問い合わせるほか、特車ポータルにはASL-IDの照会窓口も用意されています。車載器管理番号とASL-IDは別の番号のため、入力の際は混同しないよう注意してください。
STEP2 ETC2.0簡素化制度の利用登録を行う
業務支援用ETC2.0の準備ができたら、特殊車両通行許可のオンライン申請システムで利用登録を行います。初めて利用する場合は規約に目を通し、対象車両について車両番号・車載器管理番号・ASL-IDを入力したうえで、「ETC2.0簡素化制度」を利用する設定を行いましょう。
ETC2.0を車両へ取り付けただけでは、特車ゴールドの対象にはなりません。オンライン申請システム上の利用登録まで済ませて初めて対象車両になります。
STEP3 利用登録後に特殊車両通行許可を申請する
利用登録が終わったら、通常の特殊車両通行許可申請を作成します。特車ゴールド専用の別申請があるわけではなく、登録済みの車両を使って出発地から目的地までの通行経路を組み立てることになります。
その経路に大型車誘導区間が含まれていれば、ETC2.0簡素化制度を利用するための案内がシステム上に表示されます。
申請経路の一部に大型車誘導区間が含まれていることが前提となり、大型車誘導区間をまったく含まない経路では、特車ゴールドを利用できないので注意が必要です。大型車誘導区間は、高速道路や直轄国道などを中心に指定されています。
大型車誘導区間なら、無条件にどこでも走れるわけではない
特車ゴールドの大きな利点は、大型車誘導区間内で経路を選択しやすくなることです。同じ出発地・目的地であれば、区間内の迂回経路を一本ずつ申請する負担を減らせます。
ただし、申請した車両が大型車誘導区間の全道路を無条件に通行できるわけではありません。車両諸元をもとに区間内の通行条件が算定され、個別審査が必要な箇所などは対象外になることもあります。大型車誘導区間外の道路は通常どおり申請した経路のみを通行し、出発地や目的地が変われば別の申請が必要です。
STEP4 大型車誘導区間算定結果帳票を確認する
許可後に重要になるのが、大型車誘導区間算定結果帳票です。この帳票には、申請した車両が大型車誘導区間を通行するときの条件が記載されます。区間内で申請経路以外の経路を選ぶときも、算定結果帳票に示された通行条件に従ってください。
C・D条件や通行できない箇所が含まれることもあるため、「特車ゴールドの許可がある」という事実だけで経路を決めるのではなく、実際の算定結果を把握してから配車を組みましょう。
特車ゴールドを使っても審査期間が短くなるわけではない
ここは特車ゴールドで誤解されやすい部分です。特車ゴールドは、許可更新の簡素化と大型車誘導区間での経路選択を目的とした制度であり、選択しただけで新規申請の審査が通常より早く終わる制度ではありません。
大型車誘導区間外に未収録道路が含まれている場合や、道路管理者との個別協議が必要な場合には、通常の特車申請と同じだけ審査期間がかかります。運行日が決まっているときは、特車申請の審査期間も踏まえて準備を進めましょう。
特車ゴールドの利用登録で迷ったら
特車ゴールドは、ETC2.0を車両へ取り付けるだけでは利用できません。 車両番号・車載器管理番号・ASL-IDの利用登録に加えて、 大型車誘導区間を含む経路で通常の特車申請まで進める必要があります。 当事務所では、利用登録から特殊車両通行許可申請まで対応しています。
特車申請サービス →STEP5 運行時は特車ゴールドの関係書類も備え付ける
許可取得後は、許可された内容と大型車誘導区間の算定結果に従って運行ることになります。こちらも通常の特車許可証の携行・備え付けとあわせて管理してください。
主な書類は、特殊車両通行許可証、条件書、通行経路表、通行経路図、必要な場合の車両内訳書、大型車誘導区間算定結果帳票、大型車誘導区間通行条件マップです。算定結果帳票や通行条件マップは実際の通行経路に関係するものを備え付け、通常の特車許可証の携行・備え付けとあわせて管理してください。
特車ゴールドは複数のトラクタをまとめて申請できない
特車ゴールドでは、利用登録を車両単位で行います。複数台のトラクタを一つの特車ゴールド申請へまとめる方式には対応していません。
一方、1台のトラクタに複数のトレーラを組み合わせる申請は可能です。通常の特車の包括申請とは扱いが異なるため、複数台をまとめて管理している事業者は注意が必要です。
許可更新時はワンクリック申請を利用できる
特車ゴールドでは、許可更新時の入力作業を簡素化できます。更新時期になると、システム側で更新申請書が作成され、申請者へ更新の意向を確認する案内が送られます。前回の許可内容から変更がなければ、案内に同意することで更新申請を進められます。これが一般に「ワンクリック更新」と呼ばれている仕組みです。
ワンクリック更新は許可の自動延長ではない
「自動更新」という表現から、何もしなくても新しい許可証が届くと考えるのは適切ではありません。申請者による更新意思の確認が必要で、同意後は更新申請として審査され、新しい許可が交付されてから使用します。通常の特車許可の更新と同じく、現在の許可期限も別に管理しておきましょう。
基本になるのは、前回の許可内容から変更があるかどうかです。
※ 更新時期が近くても、変更内容をワンクリック更新でまとめて反映できるわけではありません。
車両や経路が変わった場合は変更内容を把握する
特車ゴールドでも、2020年2月から変更申請に対応しています。車両の交換・減少、通行経路、申請者情報などを変更する場合は、その内容に応じて変更申請を行います。
車両台数の増加や積載物の変更などでは新規申請となる場合があり、更新時期が近いからといってワンクリック更新でまとめて変更することはできません。通常の変更申請とは一部扱いが異なるため、既存の許可内容と変更したい項目を先に突き合わせ、特車の変更申請に該当するかを判断します。
ETC2.0車載器を交換した場合
故障などによって同じ車両のETC2.0車載器だけを交換した場合は、新しい車載器をセットアップし、利用登録情報を変更します。登録するのは、新しい車載器管理番号とASL-IDです。
車両や許可内容そのものに変更がなければ、車載器を交換したことだけを理由に新規の特車許可を取り直す必要はありません。
ナンバープレートが変わった場合
ナンバープレートが変わった場合は、車載器交換とは扱いが異なります。まず業務支援用ETC2.0を新しい車両番号で再セットアップし、オンライン申請システムに登録している旧車両番号の利用登録を削除したうえで、新しい車両番号でETC2.0簡素化制度の利用登録を行います。
既存の特車ゴールド許可についても、自動車登録番号の変更を反映するための変更申請が必要です。ETC2.0側だけ変更して、許可証の車両番号が古いままにならないよう注意してください。
特車ゴールドと特殊車両通行確認制度は別の制度
ETC2.0を使う特車制度には、特殊車両通行確認制度もあります。名前や利用機器は似ていますが、仕組みは別です。
特車ゴールドは従来の許可制度の中で手続きを簡素化する仕組みで、許可証を取得して通行します。確認制度は、登録車両についてシステムで通行可能経路を判断し、回答書を取得して通行する制度です。どちらを利用するかは、車両・通行経路・運行頻度などに応じて選びましょう。
許可期間4年は特車ゴールドそのものの特典ではない
業務支援用ETC2.0を登録している車両では、一定の要件を満たすと通常より長い許可期間を取得できる制度があります。ただし、これは特車ゴールドの「ワンクリック更新」「大型車誘導区間での経路選択」とは別の制度です。ETC2.0を登録しただけで自動的に4年許可になるわけでもありません。
Gマークや違反歴などを含む詳しい条件は、特車申請の許可期間で取り上げています。
よくある質問
- 一般用ETC2.0でも特車ゴールドを利用できますか?
-
利用できません。特車ゴールドでは、業務支援用ETC2.0車載器をセットアップ・装着した車両を使います。
- 車載器管理番号とASL-IDは何桁ですか?
-
車載器管理番号は20桁、ASL-IDは12桁です。車載器管理番号の20桁目が別枠で表示されている場合も、その1桁を含めて入力します。
- ASL-IDが分からない場合はどうすればよいですか?
-
車載器の梱包箱や添付資料を確認します。見つからない場合は、取付店・メーカーまたは特車ポータルのASL-ID照会窓口を利用できることもあります。
- 特車ゴールドなら許可が早く出ますか?
-
特車ゴールドを利用したことだけを理由に審査期間が短くなる制度ではありません。未収録道路や個別協議などがあれば、通常の許可申請と同じだけ審査時間がかかります。
- 複数台のトラクタをまとめて申請できますか?
-
特車ゴールドでは複数のトラクタをまとめた包括申請には対応していません。1台のトラクタに複数のトレーラを組み合わせる申請は可能です。
- ETC2.0車載器を交換したら特車許可も取り直しますか?
-
同じ車両で車載器だけを交換した場合は、利用登録情報の車載器管理番号・ASL-IDを変更します。車両・許可内容に変更がなければ、車載器交換だけで新規の特車申請を行う必要はありません。
まとめ
特車ゴールドを利用するには、業務支援用ETC2.0車載器をセットアップしたうえで、車両番号・20桁の車載器管理番号・12桁のASL-IDをオンライン申請システムへ登録します。利用登録後は通常の特殊車両通行許可申請を行い、申請経路に大型車誘導区間が含まれていれば、経路選択や更新手続きの簡素化を利用できます。
許可後は、大型車誘導区間算定結果帳票に目を通し、車両ごとに示された通行条件に従います。特車ゴールドだからといって大型車誘導区間を無条件に走れるわけではなく、選択しただけで審査期間が短くなるわけでもありません。
更新時に許可内容が変わっていなければワンクリック更新を利用できます。車載器交換、ナンバー変更、車両や経路の変更があるときは、それぞれに応じた登録・申請を行います。
特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特車ゴールドの利用登録・申請でお困りならご相談ください
特車ゴールドでは、業務支援用ETC2.0の利用登録だけでなく、大型車誘導区間を含む通行経路を作成し、通常の特車許可申請まで進める必要があります。
当事務所では、車両情報とETC2.0の登録内容、予定通行経路を照らし合わせたうえで、特殊車両通行許可の申請代行まで対応しています。ワンクリック更新や車載器・車両番号の変更で判断しにくい場合も対応します。

