古物商とインボイス制度について古物商特例と質屋特例を解説

コラム

インボイス制度では、古物商も適格請求書を保存しなければ仕入税額控除の適用を受けられませんが、古物商特例・質屋特例によって古物商が一定の要件を満たす場合は、適格請求書の保存が免除されます。

インボイス制度とは

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、インボイスを交付や保存することで消費税を計算して納付する制度です。

インボイス(適格請求書)とは、請求書や領収書などに「登録番号」「適用税率」「消費税額等」などが追加されたものです。

買手は仕入税額控除が受けられるように、売手から交付を受けたインボイスを保存しなければなりません。

課税事業者の売手は、課税事業者の買手から求められた際にインボイスの交付や写しの保存が必要です。

買手はインボイスを発行できる業者と取引しなければ、仕入税額を控除できません。

古物商とは

古物商は、古物を売買することです。

古物営業法
第1条(目的)
この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。

古物商を営むには都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません

中古品(古物)の売買・交換には、盗品などが入ってしまうおそれがあります。もし盗品を買い取ってしまうと、犯罪者にその買取金額分の利益を与えることになって次の窃盗へと犯罪を連鎖して引き起こす原因になりかねません。

中古品の売買を行うには予め、警察署で古物商許可を受けておかなければならない制度がとられています。

古物商許可が不要なケース

ただし、そもそも古物商許可が要らない場合もあります。

  • 次のようなケースで古物を扱わない場合
    • 新品のみを販売:未使用品のみを扱う場合、古物営業に該当しない
    • 自社製品の販売:メーカーや工房が自社製品を販売する場合
  • 次のような古物営業に該当しない取引
    • 個人が不要品を売る:フリマアプリやオークションで、自分が使っていたものを売る
    • 無償で譲渡・貸与する:お金を伴わない取引は古物営業にならない。
    • 顧客からの下取り
  • その他次の事例も古物商許可が不要です。
    • 海外からの輸入品販売:国内で一度も使用されていないものは「古物」に該当しない
    • 遺品整理業者が遺族へ譲渡:売却ではなく、遺族へ引き渡すだけの場合
    • 行政機関の公売品:警察の押収品オークションなどは古物営業に該当しない

古物商特例と質屋特例

インボイス制度では適格請求書などを保存して仕入税額控除の適用を受けることになります。

仕入税額控除とは、経費のうちの消費税のことです。納める消費税は「売上の消費税額-仕入れの税額控除額」になるので仕入税額控除が受けられないと、余分な税金を納めることになります。

古物商で一定の要件を満たした場合、古物商特例や質屋の場合は質屋特例によって適格請求書(インボイス)を保存する必要がなくなります

主な要件は次の4つです。

(1)古物商か質屋であること
(2)古物・質物が適格請求書発行事業者以外からの仕入れであること
(3)仕入れた古物・質物が棚卸資産であること
(4)帳簿の保存

(1)は、古物商特例の対象になるのは、古物商が営む古物の売買などです。古物商とは古物営業法に規定があって事前に都道府県公安委員会の営業許可を受けなければいけないことになっています。

(2)にのとおり、特例を適用するためには、買取りの相手方が「適格請求書発行事業者でないこと」が要件となるので、買取りの時に相手方に記載させる書類で適格請求書発行事業者か否かのチェック欄を設けるなどの方法によって買取りの相手方が適格請求書発行事業者でないことを客観的に明らかにしておく必要があります。

古物営業法上の許可を受けて古物営業を営む古物商が、適格請求書発行事業者以外の者から同法に規定する古物(古物商が事業として販売する棚卸資産に該当するものに限ります。)を買い受けた場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます

適格請求書発行業者でないことが要件になっているので取引先がインボイスを発行することができるのであれば、発行してもらわないと仕入税額控除を適用できません。取引時に適格請求書発行者でないことを明記させることも重要です。

(3)は棚卸資産であることが要件のために自社で使うために購入した商品は、特例を適用できません。

仕入れた古物が棚卸資産である場合のみが古物商特例の対象となります。中古品の棚を購入して陳列棚として使用する場合は古物商特例の対象になりません。棚卸資産であっても、化粧品などの消耗品は古物商特例の対象から除かれます。

(4)は古物商特例では、次の事項を記載した帳簿を保存することが求められています。

特例の適用を受けるには帳簿を保存しなければなりません。

  • 帳簿には、次の5つを記載します。
    • (1)取引先の氏名(名称)や住所(所在地)
    • (2)取引年月日
    • (3)取引内容
    • (4)支払対価の額
    • (5)古物商特例または質屋特例の対象となること