重セミの特車申請|特例8車種との違い・C条件D条件・申請のポイント

大型の産業機械を積載した多軸低床セミトレーラが日中の幹線道路を走行している写真

建設機械、プラント設備、大型変圧器など、分割して運ぶことが難しい重量物の輸送では「重セミ(重量物運搬用セミトレーラ)」が使われます。一般的なセミトレーラより総重量や軸重が大きくなることがあり、保安基準の緩和認定を受けている車両もあります。

特殊車両通行許可の審査では、トレーラの車両諸元だけでなく、積載する貨物の重量・寸法、トラクタとの組み合わせ、実際に通行する経路まで含めて申請内容をまとめます。バン型・タンク型などの「特例8車種」と重セミでは、制度上の扱いが異なります。

この記事では、重セミと特例8車種の違い、車両・貨物情報の確認ポイント、重量C・D条件、特殊車両通行確認制度を利用する場合の注意点まで解説します。

目次

重セミとは

重セミは「重量物運搬用セミトレーラ」の略称で、分割して運搬することが難しい大型・重量貨物の輸送に使われます。代表的な貨物には、次のようなものがあります。

  • 建設機械
  • 大型変圧器
  • 発電設備
  • プラント設備
  • 大型工作機械
  • 鉄道車両

貨物そのものに特殊性があるため、申請では何を、どのような積載状態で運ぶのかが申請のポイントになります。

保安基準緩和を受けていても特車許可は別

車両総重量、軸重、隣接軸重などについて保安基準の緩和認定を受けている重セミもあります。ただし、保安基準の緩和認定と特殊車両通行許可は別の制度です。

保安基準の緩和を受けた車両でも、道路法上の制限値を超えて公道を通行する場合は、特殊車両通行制度に沿った手続きが必要になります。

重セミと特例8車種の違い

重セミと特例8車種は、どちらもセミトレーラが関係するため混同しやすいところです。特例8車種は、次の車種区分をまとめた呼び方です。

特例5車種

  • バン型
  • タンク型
  • 幌枠型
  • コンテナ用
  • 自動車運搬用

追加3車種

  • あおり型
  • スタンション型
  • 船底型

一方、重量物運搬用セミトレーラは、分割して運搬することが難しい重量物を運ぶ車両として扱われます。

重セミ

重量物運搬用セミトレーラ
建設機械・大型設備など
分割困難な重量物を輸送

特例8車種

バン型・タンク型など
特例5車種+追加3車種
車種ごとの特例を適用

同じセミトレーラでも、車種区分や貨物によって申請上の扱いが変わります。

「重セミだけが基準緩和車両で、特例8車種には基準緩和がない」という区分ではありません。車両の種類、車検証の記載、貨物、実際の重量などを個別に判断します。

重セミで使われる代表的な車両構造

重量物運搬用セミトレーラには、積載する貨物に合わせてさまざまな構造があります。「制度上5種類に区分されている」という意味ではありませんが、実務では次のようなタイプがあります。

重セミ5タイプの比較イラスト。低床・中低床・フラット・伸縮式・多軸セミトレーラの外観と積載物の違い

①低床セミトレーラ

荷台を低くしたセミトレーラです。

油圧ショベルやブルドーザーなど高さのある建設機械を積載するときに使われます。荷台を低くすることで、積載後の車両全高を抑えやすくなります。

②中低床セミトレーラ

低床型と一般的な平床型の中間程度の荷台高さを持つタイプです。

工作機械や大型設備など、重量だけでなく積載時の高さも考慮したい輸送に使われます。

③フラットタイプ

荷台が平坦なタイプです。

大型機械や鋼材など、上部からの積込みやクレーンによる荷役を行いやすい構造になっています。

④伸縮式

荷台を伸ばして長尺物へ対応できるタイプです。

長尺の設備や構造物などを運ぶ際に利用されます。積載状態によって車両全長が変わるため、実際に通行する状態の寸法が重要です。

⑤多軸タイプ

車軸を増やし、重量を複数の軸へ分散する構造です。大型変圧器やプラント設備など、特に重量の大きい貨物の輸送で使われます。

ただし、軸数が多ければ自由に重量を増やせるわけではありません。総重量だけでなく、各軸の軸重や隣接軸重も審査対象になります。

重セミの特車申請で確認する情報

重セミの申請では、一般的な車両以上に車検証や貨物情報を細かく確認することが重要になります。

車検証と基準緩和事項

車検証の備考欄などには、基準緩和に関する事項が記載されている場合があります。申請では、次のような情報を揃えます。

  • 車両総重量
  • 最大積載量
  • 軸重
  • 隣接軸重
  • トレーラの車両諸元
  • トラクタの第五輪荷重
  • 連結できる車両の組み合わせ

トレーラ側の車検証だけではなく、実際に連結するトラクタとの組み合わせも欠かせません。

貨物の品名・重量・寸法

重セミでは、実際に積載する貨物を前提に申請します。同じトレーラでも貨物が変わることで総重量・全長・全幅・全高・軸重などが変わることがあり、取得済みの許可内容を超える場合はそのまま同じ許可で運行できないことがあります。

分割して運べない貨物か

重セミでは、貨物そのものの特殊性も判断材料になります。単に「重い貨物」であれば何でも同じ扱いになるわけではなく、どのような貨物を、なぜその状態で運搬する必要があるのかを明確にします。

追加資料を求められることもある

車両や経路によっては、車両図面、旋回軌跡図、通行計画書、貨物に関する資料などを追加で求められることがあります。すべての重セミ申請で同じ資料が必要になるわけではありません。

個別協議が必要な経路では審査に時間を要することもあるため、搬入日が決まっている場合は早めに手続きを進めまるのがよいでしょう。

特殊車両通行許可の申請サポート

特車申請は、車両諸元の確認や経路作成など確認項目が多く、手間がかかることがあります。

当事務所では、申請書類の作成から申請後の対応までサポートしています。

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重セミには重量C条件・D条件が付くことがある

特殊車両通行許可では、車両の重量や寸法と道路構造に応じてA〜Dの通行条件が付されます。重セミは重量が大きくなりやすいため、橋梁などで重量C条件・重量D条件が付くことがあります。

ただし、「重セミ=D条件」と車種だけで決まるものではありません。車両の重量と、実際に通行する橋梁などの道路構造から条件が決まります。

重量C条件

重量C条件では、対象となる橋梁などを徐行し、許可車両と他車が同じ車線の同一径間を同時に通行しないようにします。現在の基本的な配置では、所定の講習を修了した運転者による誘導の場合、許可車両の後方に誘導車1台を配置します。

重量D条件

重量D条件では、重量C条件の通行方法に加えて、隣接車線についても可能な限り同一径間を他車と同時に通行しない状態で通過します。やむを得ず他車が同一径間を通行する場合には、一時停止などの措置が必要です。誘導車は重量C条件と同様、基本的に後方1台です。

重量C・D条件の違い

重量C条件 後方誘導車 1台

徐行
同じ車線の同一径間を
他車と同時に通行しない

重量D条件 後方誘導車 1台

C条件の内容に加え
隣接車線の同一径間にも
他車がいない状態で通行

実際の運行は、許可証・条件書に記載された条件に従います。

D条件と通行時間帯は別に考える

重量D条件が付いたことだけを理由に、特定の時間帯しか走れないと一律に判断することはできません。通行時間帯が指定されている場合は、許可証や条件書に記載された時間に沿って運行します。D条件と時間帯を同じ意味として扱わず、条件書に記載された対象区間と時間帯を確認することが重要です。

誘導車は前後2台ではない

以前は許可車両の前後に誘導車を配置する運用がありましたが、2021年3月に配置条件が見直されました。現在は、所定の講習を修了した誘導車が誘導する場合、寸法C条件は前方1台、重量C・D条件は後方1台が基本です。

特殊車両通行確認制度を使える重セミもある

一定の寸法・重量に収まる重セミでは、従来の特殊車両通行許可だけでなく、特殊車両通行確認制度を利用できる場合があります。セミトレーラ連結車について、確認制度へ登録できる主な車両諸元の上限は次のとおりです。

セミトレーラ連結車の登録上限

3.5m 以下
総重量 143.6t 以下
高さ 4.3m 以下
長さ 20m 以下
回転半径 12m 以下
143.6tは「道路を通行できる重量」ではありません

特に注意したいのが143.6tです。これはセミトレーラ連結車を確認制度へ登録できる重量の上限であって、143.6tまで全国の道路を通行できるという意味ではありません。登録後に経路を照合し、橋梁など道路構造に応じて通行可能な経路や条件が判定されます。

現場付近など道路情報が電子化されていない道路を通行する場合は、従来の特殊車両通行許可を利用することがあります。

特車許可を取っても最大積載量は増えない

特殊車両通行許可を取得したからといって、車検証に記載された最大積載量が増えるわけではありません。道路管理者から一定の総重量で通行する許可を受けていても、車検証上の最大積載量を超えて貨物を積載すれば過積載の問題が生じます。

重セミでは、車検証上の最大積載量道路法上認められた通行重量の両方を満たす必要があります。

よくあるご質問

重セミと特例8車種は何が違いますか?

重セミは、建設機械や大型設備など分割して運搬することが難しい重量物の輸送に使用される重量物運搬用セミトレーラです。特例8車種は、バン型・タンク型・コンテナ用などの特例5車種と、あおり型・スタンション型・船底型の追加3車種を合わせた区分です。

重セミなら必ずC条件かD条件になりますか?

必ずC条件・D条件になるわけではありません。車両の重量や軸重と、通行する橋梁などの道路構造によって条件が決まります。

重量D条件では誘導車が2台必要ですか?

現在の基本的な配置は後方1台です。所定の講習を修了した運転者が誘導することを前提に、2021年3月から重量C・D条件の誘導車配置が後方1台へ見直されています。個別に別の条件が付されている場合は、許可証や条件書の内容に従います。

143.6t以下ならどの道路でも通行できますか?

通行できるとは限りません。143.6tは特殊車両通行確認制度でセミトレーラ連結車を登録できる重量上限です。実際にその重量で通行できるかどうかは、橋梁など経路上の道路構造によって決まります。

重セミの申請には旋回軌跡図が必ず必要ですか?

すべての重セミ申請で一律に提出する資料ではありません。長大な車両で交差点や曲線部の通行可否を検討する必要がある場合などに、旋回軌跡図や車両図面などの追加資料を求められることがあります。

まとめ

重セミは、建設機械、プラント設備、大型変圧器など、分割して運搬することが難しい重量物を輸送するためのセミトレーラです。特車申請では、車両総重量や軸重だけでなく、貨物の重量・寸法、基準緩和事項、トラクタとの連結関係、実際の通行経路まで確認します。

重量C・D条件が付いた場合は、対象となる橋梁での徐行や他車との同時通行を避ける措置、後方誘導車の配置など、許可された条件に沿って運行します。確認制度のセミトレーラ連結車には総重量143.6t以下という登録基準がありますが、これは道路を143.6tで自由に通行できるという意味ではありません。

特車申請の制度全体については、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。

特車申請でお困りならご相談ください

当事務所では、重量物運搬用セミトレーラの車両諸元、積載貨物、トラクタとの連結関係や通行経路を確認したうえで、特殊車両通行許可の申請代行を承っています。重量C・D条件が付く可能性のある経路や、個別協議を含む申請についても、必要な内容を洗い出しながら手続きを進めます。

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