特車申請を自社でやる方法|5ステップの手順とつまずきやすいポイント

特車申請の自社申請に取り組む物流会社の配車担当者がパソコンと車検証を確認している様子

特殊車両通行許可申請は、運送会社や建設会社が自社で行うこともできます。

オンライン申請システムを利用すれば、車両情報の登録から経路作成、申請データの送信までパソコン上で進められます。

一方、トラクタ・トレーラの連結車、未収録道路を含む経路、複数車両をまとめる包括申請では、入力する情報や資料が増えます。

最初に必要な資料をそろえ、車両登録と経路作成を分けて進めると作業しやすくなります。

目次

特車申請は自社でもできる

特車申請には行政書士へ依頼しなければならない決まりはありません。

車両を使用する事業者が自社で申請できます。

特車オンライン申請システムの利用自体は無料です。ただし、申請経路が複数の道路管理者にまたがる場合などは、申請手数料が発生します。

国の窓口へ申請する場合の手数料は、原則として次の式で計算します。

申請車両台数 × 申請経路数 × 200円

大型車誘導区間だけを通行する経路では、1経路あたり160円となる場合があります。

申請経路が1つの道路管理者だけで完結する場合は、手数料がかからないこともあります。

STEP1 車検証・諸元表などの資料をそろえる

最初に、申請する車両の資料を集めます。

主に使用するのは次の資料です。

  • 自動車検査証
  • 自動車検査証記録事項
  • メーカーの諸元表
  • 車両外観図
  • 型式や軸距が分かる資料
  • 基準緩和認定に関する書類
  • 積載する貨物の寸法・重量が分かる資料

単車であれば車検証から読み取れる項目も多いですが、トラクタ・トレーラではメーカー資料や車両図面が必要になることがあります。

オンライン申請を始める前に、長さ・幅・高さ・重量・軸距などの数値を整理しておくと入力が進めやすくなります。

特車申請の必要書類については、特車申請の必要書類でも解説しています。

STEP2 車両情報を入力する

次に、オンライン申請システムへ車両情報を入力します。

主な入力項目は次のとおりです。

  • 車両番号
  • 車両型式
  • 車両寸法
  • 車両重量
  • 積載物重量
  • 軸数
  • 軸距
  • 各軸の重量
  • 最遠軸距
  • オーバーハング

車検証とメーカー資料では、重量や寸法の単位が申請画面と異なることがあります。

たとえば、資料では「kg」「mm」で記載されている数値を、申請画面では「t」「cm」で入力する項目があります。

単位をそのまま転記すると大きく異なる数値になるため、入力欄の単位を見ながら転記します。

トラクタの入力についてはトラクタの諸元入力、トレーラについてはトレーラの諸元入力で詳しく解説しています。

STEP3 通行経路を作成する

車両情報を登録したら、出発地から目的地までの通行経路を作成します。

特車申請では、車両が道路の制限値を超えているかだけでなく、その車両が申請した経路を通行できるかが審査されます。

オンライン申請では、地図上で交差点を選びながら経路を設定します。

このとき、道路情報便覧に収録されている道路と、収録されていない道路があります。

目的地付近の市道や町道などが未収録の場合は、道路の路線名を調べたり、付近図を用意したりすることがあります。

経路作成の操作については、特車申請の経路作成方法をご覧ください。

STEP4 簡易算定を行い、申請データを送信する

車両情報と経路を入力したら、申請前に簡易算定を利用できます。

簡易算定では、入力した車両と経路をもとに、

  • 通行条件
  • 個別審査となる区間
  • 通行できない区間
  • 橋梁や交差点などの審査状況

などを申請前に見ることができます。

ただし、簡易算定の結果がそのまま最終的な許可内容になるとは限りません。

入力内容を整えたら申請データを送信します。

複数の道路管理者にまたがる申請では、審査の途中で手数料の納付が必要になる場合があります。

手数料の納付が必要な申請では、案内に沿って支払いを行います。

STEP5 許可証を受け取った後の書類をそろえる

許可が出た後は、許可内容と通行条件に沿って運行します。

通行時に必要となる主な書類は次のとおりです。

  • 許可証
  • 条件書
  • 通行経路表
  • 通行経路図
  • 車両内訳書(包括申請の場合)

これらは紙で備え付けるほか、一定の方法による電子データでの携行も認められています。

許可を取得した後は、許可期間だけでなく、条件書に記載された徐行、誘導車、連行禁止などの条件にも沿って運行します。

許可証の携行については、特車許可証の携行義務と備え付け書類で解説しています。

未収録道路が含まれる申請

自社申請で作業量が増えやすいのが、未収録道路を含む経路です。

道路情報便覧に収録されていない道路を通行する場合、道路管理者との協議が必要になることがあります。

申請では、未収録区間の場所を示す付近図や路線名などの資料を用意します。

目的地が工場、工事現場、資材置場などの場合は、最後の数百メートルが市道や町道になっていることもあります。

幹線道路部分だけで経路を考えず、出発地から目的地まで通行する道路全体を見ておくことが大切です。

詳しくは特車申請の未収録道路とはをご覧ください。

トラクタ・トレーラは入力項目が増える

トラクタとトレーラを連結して通行する場合は、単車よりも扱う車両情報が増えます。

車検証だけでは入力できない項目もあり、メーカーの諸元表や車両図面を使うことがあります。

たとえば、

  • カプラ位置
  • キングピン位置
  • 軸距
  • オーバーハング
  • 連結時の長さ
  • 連結時の最小回転半径

などです。

数値を単純な計算だけで作るのではなく、車両資料と申請システムの入力項目を照らし合わせながら進めます。

同じトラクタでも、組み合わせるトレーラが変われば申請内容が変わる場合があります。

複数車両をまとめる包括申請

同じ経路を複数の車両で通行する場合は、条件を満たせば包括申請を利用できます。

包括申請では、複数の車両をまとめて審査するため「合成車両」が作られます。

合成車両は、申請する車両の寸法や重量などから審査用の諸元を作る仕組みです。

そのため、各車両を単独で見たときには問題がなくても、組み合わせによって審査結果が変わることがあります。

包括申請については、特車の包括申請とはで詳しく解説しています。

自社申請でつまずきやすいポイント

単位を間違えて入力する

車検証や諸元表と申請画面では、使用する単位が異なることがあります。

「kg」と「t」、「mm」と「cm」を取り違えると、実際の車両とかけ離れた数値になります。

入力欄に表示されている単位を見ながら転記します。

車両資料と入力した数値が合っていない

車両番号、型式、重量、軸距などに転記ミスがあると、申請を進められなかったり、修正を求められたりすることがあります。

特に複数台を登録するときは、別の車両の数値を混ぜないように整理します。

経路の途中に未収録道路がある

オンライン申請の地図上で経路を作れない場合は、道路情報便覧に収録されていない道路が含まれていることがあります。

未収録道路がある場合は、道路管理者や路線名などを調べて申請を進めます。

過去の申請データをそのまま流用する

以前の申請データを利用する場合は、車両番号、通行期間、経路などが現在の申請内容と合っているかを見直します。

車両を入れ替えた後や中古車を導入した後は、過去のデータをそのまま使えないことがあります。

車両登録時のエラーについては、特車申請の車両登録エラーで解説しています。

自社申請と代行のどちらを選ぶか

同じ車両、同じ経路で繰り返し申請する事業者では、自社申請の仕組みを作るメリットがあります。

自社申請と相性がよいのは、次のようなケースです。

  • 社内に申請を担当する人を置ける
  • 車両資料を社内ですぐに用意できる
  • 同じ車両や経路を使うことが多い
  • 許可期限を社内で管理できる

一方、次のようなケースでは外部へ依頼する方法もあります。

  • 未収録道路を含む経路が多い
  • 車種や経路が毎回変わる
  • 連結車や包括申請が多い
  • 配車業務と申請作業を並行するのが難しい
  • 複数車両の許可期限までまとめて管理したい

すべてを外注するほか、複雑な案件だけ依頼するといった使い分けもできます。

特車申請の外注と自社申請の比較でも、それぞれの違いをまとめています。

よくある質問

オンライン申請システムの利用料はかかりますか?

システムの利用自体に料金はかかりません。

ただし、複数の道路管理者にまたがる申請などでは、道路管理者への申請手数料が発生する場合があります。

未収録道路がある場合はどうなりますか?

未収録道路を含む経路でも申請できます。

その場合は、路線名や道路管理者を調べ、付近図などの資料を用意することがあります。道路管理者との協議が必要になるケースもあります。

トラクタ・トレーラの申請は難しいですか?

単車より入力項目が多くなるため、作業量は増えます。

メーカー諸元表や車両図面を使って、軸距や連結時の寸法などを入力します。複数のトラクタとトレーラを組み合わせる場合は、包括申請の扱いも関係します。

途中まで自社で進めてから行政書士へ依頼できますか?

途中から依頼する方法もあります。

すでに集めた車検証や諸元表、出発地・目的地、予定経路などを引き継ぎ、その後の申請作業を任せる形です。

まとめ

特車申請は、車両を使用する事業者が自社で行うことができます。

基本的な流れは、車両資料の整理、車両情報の入力、経路作成、申請データの送信、許可後の書類管理です。

単車や同じ経路を繰り返す申請では社内で運用しやすい一方、未収録道路、連結車、包括申請などが加わると扱う情報も増えます。

特車申請の全体的な流れについては、特殊車両通行許可申請の流れでも解説しています。

特殊車両通行許可申請でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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