保有台数が増えると、1台ずつ特車申請を出し続けるのは大変な負担です。包括申請を使えば、条件が合う車両をまとめて1件の申請にできます。
ただし、包括申請には「合成車両(グループ内で一番重くて大きい架空の車両)」を作って道路の通行可否を審査するという特有のルールがあります。
この仕組みを知らないまま許可証を受け取ると、許可証にこの重さ(合成値)が書いてあるから、自分のトラックにもこの重さまで積んでいいんだと数値を勘違いしてしまいます。その結果、実際の車検証の最大積載量をオーバーして荷物を積んでしまい、知らず知らずのうちに現場で過積載を引き起こすトラブルを招きます。
包括申請とは
普通申請が1台につき1件なのに対し、包括申請は2台以上を1件の申請にまとめる方式です。
特車申請の流れで言えば、申請データの作成件数が減るだけでなく、許可証の有効期間と更新時期を一本化できます。許可証の有効期間設定を揃えることで更新管理の手間も減ります。
まとめられる5つの条件
対象車両の車種・軸種・経路・積載貨物・通行期間、この5項目がすべて一致していることが条件です。1項目でも外れていれば、その車両は別の申請になります。
- 車種が同じ
- 軸種が同じ
- 通行経路が同じ
- 積載貨物が同じ
- 通行期間が同じ
「同じセミトレーラ」でも、バン型・タンク型・コンテナ用はシステム上で別車種として扱われます。軸種(車軸の数と配置)が違う場合、たとえば4軸のトレーラと5軸のトレーラは、原則として1件にまとめられません。軸種が変わるとシステムの審査計算が変わるためです。
ただし「重量は一般的制限値内に収まっており、寸法(幅・長さ・高さ)のみが制限値を超える申請」に限り、「複数軸種申請」として異なる軸種を1件にまとめる特例が使えます。長尺物や幅広荷物を運ぶ車両が複数軸種にまたがる場合は、この特例の対象になるかどうかを確認してください。
申請前に車両登録画面で車種区分と軸種が一致しているかを確認しておくと、差戻しを防げます。
経路・積載貨物・通行期間
「A現場行き」と「B現場行き」は経路が異なるため、それぞれ別の申請になります。運ぶ品目や形状、申請する通行期間も、すべての車両で一致している必要があります。
包括申請にまとめられる5つの条件
バン型・タンク型・コンテナ用など、システム上の車種区分がすべての車両で一致していること。
4軸と5軸など軸種が違う車両は原則としてまとめられません。
出発地・目的地・経由地がすべての車両で共通であること。
運ぶ品目や形状がすべての車両で一致していること。
申請する通行期間がすべての車両で一致していること。
⚠️ 1項目でも外れていれば別の申請に分けてください。(同一申請者での申請が大前提です)
例外(複数軸種申請):重量は制限値内に収まっており、寸法(幅・長さ・高さ)のみが超過する申請に限り、異なる軸種の車両を1件にまとめる特例が使えます。
許可期間延長の連帯責任:グループ内にETC2.0未登録や違反歴のある車両が1台でも混ざっていると、要件を満たす他の車両まで巻き込まれ全体の許可期間が短縮されます。延長を希望する場合、要件を満たさない車両は別の申請に分けてください。
合成車両の仕組み
包括申請では、車両を1台ずつ個別に審査するのではなく、グループ内の最大寸法・最大重量を組み合わせた合成車両を自動生成し、その1台分のデータで審査します。
たとえば次の2台を申請した場合
- トレーラA:全長15m、総重量20t
- トレーラB:全長12m、総重量25t
合成車両の仕組み|最大値が抽出される
総重量:20t
総重量:25t
総重量:25t
生成される合成車両は「全長15m、総重量25t」です。最も長い寸法と最も重い重量の組み合わせで通行可否を審査し、これで許可されれば個々の車両もすべてカバーされます。
車両諸元の入力手順では、合成車両のエラーを回避する数値の入れ方を操作画面ごとに確認できます。
許可証に載る数値は合成車両のもの
許可証に記載される数値は合成車両のものなので、個々の車検証の数値とは一致しません。上の例では許可証に「総重量25t」と記載されますが、トレーラAの最大積載量は20tのまま変わりません。これは仕様どおりです。
トラクタ×トレーラの申請件数を減らす
特特車申請ではトラクタとトレーラを連結した1台として1件の申請に登録するのが基本です。包括申請を使えば、トラクタ複数台とトレーラ複数台を1件にまとめて登録でき、どの組み合わせで連結しても走れる許可を一度に取得できます。
トラクタ3台とトレーラ5台を登録した場合、3×5=15通りの組み合わせがすべて1件の許可証でカバーされます。保有台数が多くなるほど、申請件数をまとめて減らせます。
差戻しになりやすいケース
車種・軸種の混在
バン型・タンク型・コンテナ用を「セミトレーラ」としてまとめようとすると、車種区分の不一致でエラーになります。同じバン型でも軸数が違う場合(4軸と5軸など)も同様です。車種・軸種ごとに申請を分けます。
合成後の数値が制限を超える
個別の車両では許可範囲内でも、合成後の重量・寸法が制限を超えると通行不可になります。軸距が短い車両と重量が大きい車両を組み合わせると、合成後に橋梁制限を超えやすくなります。簡易算定を使えば申請前に通行条件の見通しを確認できるので、車両の組み合わせを決める前に試しておいてください。
未登録の車両番号
入力したナンバープレートがシステムの車検証データベースにない場合はエラーになります。新車でデータが反映されていないときは、車検証の写し(PDF)を添付します。
差戻しが届いた後の修正・再提出の手順は特車申請が差戻しされたらにまとめています。
許可期間延長は「連帯責任」になる
包括申請のグループ内にETC2.0未登録の車両や違反歴のある車両が1台でも混ざっていると、延長要件を満たしている他の車両まで巻き込まれ、申請全体の許可期間が通常(1〜2年)に短縮されます。許可期間を最長4年に延ばしたい場合、延長要件を満たさない車両は別の申請に分けてください。
\ 申請代行 11,000円〜(税込)・ご相談はこちら /
🌐 お問い合わせする増車後の手続き
許可取得後に車両が増えた場合、追加する車両の種別によって手続きが変わります。
トレーラを追加する場合は変更申請で対応できます。諸元に変更がなければ手数料はかかりません。
トラクタを追加する場合は、新規申請になることが多いです。トラクタが変わると連結全長・軸重など合成車両の数値が変わるためです。既存のトラクタと型式・重さ・寸法がまったく同じ場合に限り、変更申請での対応も可能です。新規か変更かで迷う場合は手数料の計算も確認しておくと比較しやすくなります。
過積載との混同
許可証に「総重量40t」と記載されていても、実際に積んでよい重量は車検証の最大積載量までです。「許可証に40tと書いてあるから40t積んでいい」は誤りで、そのまま積めば道路運送車両法上の過積載になります。
許可証の数値はあくまで道路側の審査結果です。車検証の制限はそのまま残ります。特車申請と過積載の違いでは、重量制限の判定基準と同時違反になるケースを取り上げています。現場のドライバーにも事前に周知しておいてください。
まとめ
包括申請は、車種・軸種・経路・積載貨物・通行期間の5条件が揃った車両を1件にまとめられる申請方式です。合成車両の仕組みにより許可証には個別の車検証とは異なる数値が記載されますが、これは仕様どおりです。
申請前に車種区分・軸種が一致しているかを確認し、合成後の数値が制限を超えないかを簡易算定でチェックしておくと差戻しを防げます。許可取得後は許可証の携行ルールも確認し、許可証の数値と車検証の制限を混同しないよう現場に伝えておいてください。
特車申請の制度・手続き・車種別対応の全体像は特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
よくある質問
- 包括申請は何台から使えますか?
-
2台以上から利用できます。上限はありませんが、車種・軸種・経路・積載貨物・通行期間の5条件がすべて一致する車両のみまとめられます。条件が異なるグループは、グループごとに別の包括申請を出してください。
- 許可証に「総重量25t」と書かれています。25tまで積んでよいですか?
-
積んではいけません。許可証の数値は道路側の審査結果で、積んでよい重量は車検証の最大積載量が上限です。包括申請では複数車両を合成した数値が記載されるため、個々の車両の制限とは一致しないことがほとんどです。
- トラクタとトレーラを1件の包括申請にまとめられますか?
-
まとめられます。特車申請では連結した1台として1件の申請に登録するのが基本です。たとえばトラクタ3台とトレーラ5台を登録すれば、3×5=15通りの組み合わせがすべて1件の許可証でカバーされます。
- 許可取得後にトラクタを追加しました。変更申請できますか?
-
トラクタの追加は新規申請になることが多いです。トラクタが変わると連結全長や軸重など合成車両の数値が変わるためです。既存のトラクタと型式・重さ・寸法がまったく同じ場合に限り、変更申請で対応できます。トレーラの追加であれば、諸元変更がない限り変更申請です。
- 新車のナンバーがシステムに登録されていません。申請できますか?
-
車検証の写し(PDF)を添付すれば申請できます。新規登録直後はシステムへのデータ反映が遅れることがあります。添付書類があれば受理されます。
- 4軸と5軸のトレーラを1件にまとめられますか?
-
まとめられません。軸種(車軸の数と配置)が異なる車両はシステムの審査計算が変わるため、包括申請の対象外です。軸種ごとに申請を分けます。

