特殊車両通行許可申請は、新規申請・変更申請で3週間以内、更新申請で2週間以内が標準処理期間とされています。
ただし、すべての申請がこの期間で終わるわけではありません。
未収録道路を含む経路や、他の道路管理者との個別協議が必要な申請、超寸法・超重量車両などは標準処理期間の対象外となり、許可までさらに時間がかかることがあります。
工事や運行の日程が決まっている場合は、「3週間あれば大丈夫」と考えるのではなく、経路や車両条件まで見たうえで余裕を持って申請を始めることが大切です。
※許可証が何年間有効なのかを知りたい方は、特車許可の有効期間をご覧ください。
特車申請の標準処理期間
特車申請の標準処理期間は次のとおりです。
| 申請内容 | 標準処理期間 |
|---|---|
| 新規申請 | 3週間以内 |
| 変更申請 | 3週間以内 |
| 更新申請 | 2週間以内 |
| 個別協議を伴う申請 | 標準処理期間の対象外 |
| 超寸法・超重量車両 | 標準処理期間の対象外 |
3週間というのは、どの申請にも一律に適用される期間ではありません。
道路情報が整備された経路で、超寸法・超重量車両に該当せず、申請後に内容の変更がないなど、一定の条件を満たした申請が対象です。
また、申請書を作る時間はこの期間に含まれません。
車両諸元の整理や経路作成に時間がかかる場合もあるため、実際には申請準備から許可までを見てスケジュールを組む必要があります。
特車申請の流れについては別記事で詳しく解説しています。
3週間より長くなる主なケース
特車申請が長引く原因として多いのが、個別協議、差戻し、超寸法・超重量車両などです。
未収録道路を含む経路
工場、資材置場、建設現場などへの最後の区間に、特車申請システムの道路情報に収録されていない道路が含まれることがあります。
未収録道路があると、その道路を管理する自治体などへの個別協議が必要になる場合があります。
個別協議に要する期間は、3週間の標準処理期間には含まれません。
そのため、
ほとんどが国道だから3週間で終わる
とは限りません。
目的地直前の市道が未収録というだけでも、審査の進み方が変わることがあります。
未収録道路の扱いは、特車申請の未収録道路とはで詳しく解説しています。
道路管理者との個別協議が入る
申請した経路を複数の道路管理者が管理している場合、申請先だけで審査が完結しないことがあります。
橋梁や道路構造などについて、対象となる道路管理者へ協議が行われ、その回答を待って審査が進みます。
協議先や経路の状況によって必要な期間が変わるため、「個別協議なら○週間」と一律には決められません。
現在どの段階で審査が止まっているのかを見るときは、単に「審査中」という表示だけでなく、協議が発生しているかも重要になります。
特車申請の協議と回答書についても別記事で整理しています。
差戻しが入るとその分だけ遅れる
申請内容に不備があると、修正して再提出する必要があります。
例えば、車両諸元の入力、車検証との照合、経路設定、添付書類などに問題があると差戻しになることがあります。
差戻しから再提出までの日数に加え、再提出後の審査も必要になるため、当初の予定より許可が遅れる原因になります。
「差戻し1回で必ず○週間延びる」という決まりはありません。修正内容や審査状況によって変わります。
特車申請で起こりやすいミスもあわせて参考にしてください。
超寸法・超重量車両は3週間の対象外
大型クレーンや特に大きな重量物を運ぶ車両などでは、通常の算定範囲を超えることがあります。
このような超寸法・超重量車両は、経路が収録道路だけで構成されていても、3週間の標準処理期間の対象にはなりません。
個別に道路構造への影響などを審査する必要があるためです。
大型だから必ず長期間かかるという単純なものではありませんが、一般的な車両と同じ3週間を前提に工程を組むのは避けた方が安全です。
特車申請の個別審査については別記事で詳しく解説しています。
申請内容を途中で変える場合も時間が延びる
申請後に車両や経路などの内容を変更すると、当初の申請内容のまま審査を進められなくなることがあります。
特に複数経路や複数車両を含む申請では、変更内容によって再度の審査や協議が必要になる場合があります。
運行計画が固まっていない状態でとりあえず申請を出すより、使用する車両と経路をある程度固めてから提出した方が手戻りを減らせます。
工事案件は「最初の搬入日」から逆算する
建設工事では、着工日ではなく、特殊車両が最初に現場へ入る日を基準に考えます。
例えば工事開始が10月1日でも、ラフタークレーンが9月25日に現場入りするなら、特車許可が必要になるのは9月25日です。
申請準備には、車両諸元の整理や経路作成も必要になります。
標準処理期間の対象となる申請でも、運行直前に申請するのではなく、工程が決まった段階で準備を始めておく方が安全です。
未収録道路や個別協議が想定される場合は、さらに早めに動く必要があります。
建設業の特車申請についても別記事で解説しています。
許可が出る前に走ることはできる?
その申請で特殊車両通行許可が必要となる車両・経路については、許可が交付される前に走行することはできません。
「申請中だから大丈夫」という扱いにはなりません。
ただし、状況によっては特殊車両通行確認制度を利用できることがあります。
急ぐ場合は特殊車両通行確認制度を使えることがある
特殊車両通行確認制度は、従来の許可制度とは異なり、登録した車両について通行可能な経路をオンラインで検索できる制度です。
ETC2.0車載器の登録などの要件を満たし、確認制度の対象となる車両・経路であれば、通常の許可申請より短時間で通行可能経路を把握できます。
一方、未収録道路を含む経路や個別審査・個別協議が必要なケースなど、確認制度を利用できない場合もあります。
2026年3月のシステム改良では、許可申請の内容から確認制度を利用できる可能性がある場合に案内を表示する機能も追加されています。
急ぎの案件だから確認制度へ切り替えれば必ず解決するわけではありませんが、対象となる車両では有力な選択肢です。
特殊車両通行確認制度については別記事で詳しく解説しています。
経路を変えることで早くなる場合もある
未収録道路や個別協議が必要な道路を含んでいる場合、別の経路を使えるなら審査内容が変わることがあります。
例えば、多少遠回りになっても道路情報が整備された幹線道路を使えるのであれば、個別協議を避けられる場合があります。
ただし、審査期間を短くするためだけに無理な経路を設定するのは適切ではありません。
車両の寸法・重量、旋回、道路幅員、橋梁条件なども含めて、実際に安全に通行できる経路であることが前提です。
既存の許可を使える場合もある
同じ車両・同じ経路について有効な許可が残っていれば、新たな許可を待たずに既存許可で走行できる場合があります。
一方、車両や経路を追加する場合は変更申請が必要になることがあります。
許可期限が近い場合は、更新申請との関係も考える必要があります。
よくある質問
- 特車申請は通常どれくらいかかりますか?
-
新規申請・変更申請の標準処理期間は3週間以内、更新申請は2週間以内です。
個別協議を伴う申請や超寸法・超重量車両などは、この標準処理期間の対象外です。
- 3週間あれば必ず許可されますか?
-
必ず3週間以内に許可されるという意味ではありません。
3週間は一定の条件を満たす申請について設定された標準処理期間です。個別協議、差戻し、申請内容の変更などがあれば、それ以上かかることがあります。
- 未収録道路があると何ヶ月かかりますか?
-
一律に「2ヶ月」「3ヶ月」と決まっているわけではありません。
未収録道路を含むことで道路管理者との個別協議が必要になる場合があり、その期間は標準処理期間に含まれません。協議内容や道路管理者によって許可までの期間は変わります。
- 申請中でも走行できますか?
-
申請しているだけでは走行できません。
その車両・経路について特車許可が必要であれば、原則として許可が交付されてから走行します。別の有効な許可がある場合や、確認制度を利用できる場合は扱いが異なります。
- 差戻しが入るとどれくらい遅れますか?
-
決まった日数はありません。
修正に必要な時間や再提出後の審査状況によって変わります。差戻しを繰り返すほど、予定していた運行日に間に合わなくなる可能性が高くなります。
- 特車ゴールドなら許可が早くなりますか?
-
特車ゴールドは、大型車誘導区間を利用した経路選択や更新手続きの簡素化などを目的とした制度で、単純に審査期間を短縮する制度ではありません。
急ぎの場合は、車両と経路が対象になるのであれば特殊車両通行確認制度も選択肢になります。
まとめ
特車申請の標準処理期間は、新規・変更申請が3週間以内、更新申請が2週間以内です。
ただし、未収録道路を含む経路や道路管理者との個別協議、超寸法・超重量車両、差戻しなどがある場合は、さらに時間がかかることがあります。
そのため、「収録道路なら必ず3週間」「未収録道路なら2〜3ヶ月」と固定して考えるのではなく、車両や経路によって審査期間は変わると考えるのが実務的です。
工事案件では着工日ではなく、ラフタークレーンやトレーラなどが最初に現場へ入る日から逆算して準備を進めます。
特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
経路設定や未収録道路への対応など、特車申請でお困りの際はお気軽にご相談ください。

