通常の特車申請は3週間以内に許可が下ります。数か月かかる申請は、個別審査に移行しているケースです。
通常の申請は道路情報便覧のデータをもとにシステムが自動算定し、申請の標準処理期間(新規・変更3週間以内、更新2週間以内)内に許可が下ります。
個別審査に移行すると自動算定では処理できない区間を道路管理者が個別に検討するため、最低でも1か月以上かかります。発生する原因と、審査期間を縮める手順を整理します。
個別審査とは
個別審査とは、申請車両が申請経路を物理的に通行できるかどうかを道路管理者が個別に検討する審査です。
通常審査ではシステムが道路情報便覧のデータをもとに自動算定して通行条件を判定しますが、自動算定の対象外となる要素が含まれる場合は道路管理者が現地調査・構造計算・関係機関との協議を行います。
個別審査では申請先の道路管理者が関係する他の道路管理者に協議を求め、その結果として「許可」「通行条件付きの許可」「不許可」のいずれかが決まります。通常審査と異なり不許可になる可能性がある点が、最も大きな違いです。
個別審査が発生する原因
超重量車両・超寸法車両
許可限度算定要領(算定要領)で算定できる上限を超える車両は、必ず個別審査になります。超重量車両は算定要領による許可限度重量を超える車両、超寸法車両は許可限度寸法を超える車両です。橋梁の耐荷重確認・交差点通過の可否・夜間通行条件の検討が個別に行われます。重セミやポールトレーラによる大型重機・超重量物の輸送では、ほぼ確実に個別審査が発生します。
未収録道路を含む申請
道路情報便覧に収録されていない道路(未収録道路)が経路に含まれると、システムによる自動算定ができないため個別審査になります。全国の道路の7割以上が未収録道路とされており、件数としても多く発生します。未収録道路では協議を受けた道路管理者が現地調査を実施してから算定を行うため、審査期間がさらに延びます。
道路幅員が狭い区間・老朽橋梁
車両が物理的に通行できるかどうかシステムで判定できない狭小幅員の区間がある場合も個別審査が発生します。幅の広い車両・長い連結車で起きやすく、交差点における旋回軌跡の検討が必要になることがあります。申請車両の総重量や軸重が大きく、古い橋梁・小規模な橋梁が経路に含まれる場合も同様です。
通常審査と個別審査の審査期間
| 通常審査 | 個別審査 | |
|---|---|---|
| 審査方法 | システムによる自動算定 | 道路管理者による個別検討 |
| 標準処理期間 | 新規・変更:3週間以内 更新:2週間以内 | 1か月〜数か月 |
| 不許可の可能性 | 低い(算定要領の範囲内) | あり |
| 追加書類 | 原則不要 | 求められることがある |
| 現地調査 | なし | ある場合がある |
標準処理期間(新規・変更3週間以内、更新2週間以内)は、次の3条件をすべて満たす場合にのみ適用されます。
- 申請経路が収録道路のみで完結している
- 申請車両が超寸法・超重量車両でない
- 申請後に経路・諸元等の変更がない
1つでも該当しなければ、標準処理期間は適用されません。
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個別審査では、通常の申請書類に加えて以下の書類の提出を求められます。不足したまま申請すると差戻しになり、審査がさらに延びます。
超寸法車両の3点セット
システムの算定で超寸法と判定された場合、旋回軌跡図と運行計画書に加えて、「なぜこの寸法でなければ運搬できないか」を示す理由書の添付が必須です。理由書が1枚でも欠けると差戻しになります。
未収録道路の付近図
経路に未収録道路が含まれる場合、道路管理者が場所を特定できず審査が止まることがあります。未収録路線の場所と前後の10桁の交差点番号を記載した付近図(手書き可)を添付すると、審査の進行が早まります。
応力計算書・強度計算書
橋梁の耐荷重を確認するため、超重量車両で提出を求められることがあります。メーカーや設計事務所への手配が必要になるため、早めに準備を開始してください。
許可後の通行条件
個別審査の結果として許可が下りた場合でも、通常審査より厳しい通行条件が付されます。
夜間通行(21:00〜6:00)が条件になるのは、重量D条件の車両、または寸法C条件で車両幅が3mを超える車両です。2024年4月からの試行措置として、重量D条件では道路管理者が安全上問題ないと認めた道路に限り、通行時間帯が20:00〜7:00に拡大されています。
夜間通行のほかにも、誘導車に加えて連絡車・誘導員等の配置を含む「特別の誘導方法」、橋梁上の走行位置の指定、橋梁補強(許可の前提条件になる場合もあり)といった条件が付されることがあります。
申請前に個別審査を回避する手順
簡易算定で個別審査区間を確認する
申請データを提出する前に、システムの簡易算定機能を実行します。出力される「C・D条件及び個別審査箇所一覧」の帳票に、経路上で個別審査が必要な交差点や橋梁が記載されます。個別審査マークが出た区間やD条件の橋梁がある場合は、その区間を迂回する経路に引き直すことで個別審査を回避できることがあります。
事前相談で書類と見通しを確認する
超重量・超寸法車両の申請では、申請前に道路管理者の窓口に事前相談を行います。必要書類・通行条件の目安・審査期間の見通しを事前に把握でき、申請後の手戻りを防げます。輸送スケジュールから逆算して、早めに相談を開始してください。
書類を過不足なく揃える
個別審査が発生する申請では、書類の不備があると審査期間がさらに延びます。旋回軌跡図・運行計画書・理由書・付近図といった必要書類は申請時点で完備した状態で提出します。
まとめ
個別審査は、システムの自動算定では処理できない申請に対して道路管理者が通行可否を個別に検討する手続きです。超重量・超寸法車両の申請と未収録道路を含む経路が主な発生原因で、標準処理期間は適用されず、最低1か月以上、複数の道路管理者が関わる場合は数か月を見込む必要があります。
審査を遅らせないためには、申請前に簡易算定で個別審査区間を確認し、迂回できる経路がないかを検討することが出発点です。超寸法車両では旋回軌跡図・運行計画書・理由書の3点セット、未収録道路が含まれる場合は付近図を申請時点で完備してください。
特車申請の制度・手続き・車種別対応の全体像は特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
よくある質問
- 個別審査が発生すると必ず不許可になりますか?
-
不許可が確定するわけではありません。個別審査の結果として「許可」「通行条件付きの許可」「不許可」のいずれかが決まります。
- 個別審査にはどのくらいの期間がかかりますか?
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最低でも1か月以上を見込む必要があります。複数の道路管理者が関係する経路や、関係機関との協議が必要な場合は数か月に及ぶこともあります。申請が多い時期はさらに長くなります。
- 未収録道路が経路に含まれると、必ず個別審査になりますか?
-
未収録道路はシステムによる自動算定ができないため、道路管理者による個別審査が必要です。現地調査を実施してから算定が行われるため、収録道路のみの経路より審査期間が長くなります。
- 個別審査が必要かどうか、申請前に確認できますか?
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システムの簡易算定機能で事前に確認できます。申請データを作成して簡易算定を実行すると「C・D条件及び個別審査箇所一覧」の帳票が出力され、経路上で個別審査が必要な交差点や橋梁が示されます。超重量・超寸法車両や未収録道路が含まれる場合はシステム算定ができないため、道路管理者に事前相談して必要書類を確認してから申請を進めてください。
- 個別審査でも標準処理期間内に許可が下りることはありますか?
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標準処理期間は個別審査を想定していないため、適用されません。超重量・超寸法車両や未収録道路を含む申請で標準処理期間内に許可が下りることは原則ありません。

