申請書類をつくる段階で車両と経路を算定にかけると、帳票に「個別審査箇所」と表示されることがあります。通常の算定だけでは通行の可否が出ず、道路管理者が個別に検討する審査に回るという意味です。
個別審査になると、標準処理期間の日数をそのまま当てにはできません。理由書や車両軌跡図などの追加資料を求められることもあり、準備の進め方が運行日の計画にも関わってきます。
個別審査になるケースは、大きく分けて2つです。それぞれの中身と、期間や追加資料の考え方、申請前にできる準備まで、実務の流れに沿って解説します。
個別審査とは
特車申請では、道路情報便覧に収録された道路情報と車両諸元を使って、橋梁、交差点、幅員などに対する通行条件が算定されます。しかし、車両が通常の算定範囲を超えていたり、道路構造物に個別の検討が必要だったりすると、システムの算定結果だけでは処理できません。
個別審査で検討するのは、車両の重量や寸法、道路構造、走行方法など、必要に応じて、申請先とは別の道路管理者との協議も行われます。
個別審査になる2つのケース
車両が超寸法・超重量の場合
個別審査になる代表例が、超寸法車両と超重量車両です。通常の許可限度算定の範囲を超える車両は、システムの算定だけでは通行の可否を決められません。
大型クレーンや大型機械の輸送などで重量が大きい場合に、個別の検討対象となり得るのが橋梁への影響です。長さや幅が大きい車両では、交差点や屈曲部を実際に通過できるかを、旋回軌跡などを使って判断する場合があります。
重セミトレーラやポールトレーラだからといって、必ず個別審査になるとは限りません。個別審査になるかどうかは、車種名ではなく、実際の車両諸元と申請経路に対する算定結果で決まります。
経路上の橋梁・交差点が対象になる場合
車両そのものが超寸法・超重量でなくても、経路上の道路構造物が個別審査の対象になることがあります。問題になりやすいのは、重量車両なら橋梁、長さや幅の大きい車両なら交差点や屈曲部です。
古い橋だから、道幅が狭いから、という理由だけで個別審査になるわけでもありません。道路情報が収録されていれば、通常の算定で通行条件が出る場合もあります。
簡易算定の帳票に個別審査箇所が表示されたら、その道路構造物は通常の算定だけでは処理できないということです。
未収録道路・個別協議との違い
個別審査と混同しやすいのが、未収録道路と個別協議です。同じ申請の中で同時に出てくることもありますが、仕組みは別です。
| 用語 | どんなときか | 内容 |
|---|---|---|
| 個別審査 | 超寸法・超重量の車両や、算定で個別審査箇所とされた道路構造物を通る場合 | 通常の算定だけでは判断できない車両や道路構造について、通行の可否や条件を個別に検討する |
| 未収録道路 | 特殊車両通行許可の算定に必要な道路情報が、道路情報便覧に収録されていない道路を通る場合 | その道路を管理する自治体などとの個別協議が必要になることがある |
| 個別協議 | 申請先とは別の道路管理者による審査が必要な場合 | 道路管理者同士で照会・回答を行う手続き |
個別審査の途中で、個別協議が始まるケースも見られます。審査が長引いているときは、個別審査そのものに時間がかかっているのか、他の道路管理者への協議を待っているのかを分けて考えてください。
個別審査の期間
個別審査に「1か月」「3か月」といった一律の期間はありません。通常の特車申請の審査期間には一定の条件を満たす場合の標準処理期間があり、個別審査を伴う申請との違いは次のとおりです。
| 申請内容 | 期間の考え方 |
|---|---|
| 新規・変更申請 | 条件を満たす場合は3週間以内 |
| 更新申請 | 条件を満たす場合は2週間以内 |
| 超寸法・超重量車両 | 標準処理期間の対象外 |
| 個別協議の回答待ち | 標準処理期間に含まれない |
| 個別審査 | 内容によって期間が変わる |
個別審査では、道路構造の検討や追加資料の提出、道路管理者とのやり取りなどが加わります。期間を左右するのは、車両の寸法・重量、道路構造、追加資料の内容、道路管理者間の協議などです。
標準処理期間だけをもとに運行日を決めるのは避けてください。搬入日が動かせない工事案件では、車両と経路が決まった段階から準備を進めましょう。
特車申請は、申請書類の作成だけでなく、個別審査で求められる追加資料の準備にも手間がかかります。当事務所では、車両・経路の確認から、申請書類の作成・申請後の補正対応まで代行します。
求められる追加資料
通常の申請書類だけでは審査に必要な情報が足りない場合、追加資料を求められることがあります。主なものは次の3つです。
| 資料 | 主な場面 | 内容 |
|---|---|---|
| 理由書・運行計画書 | 通常の許可限度を超える寸法や重量で通行する場合 | その状態で運ぶ必要がある理由を説明する。分割できない貨物か、車両の構造上避けられない寸法かなど |
| 車両軌跡図 | 長さや幅の大きい車両が交差点や屈曲部を通る場合 | 通過できるかを図で示す。最小回転半径、軸距(前後の車軸の間隔)、オーバーハング(車軸より前後にはみ出した車体部分)が通過の可否に影響する |
| 応力計算書など | 重量の大きい車両で、橋梁への影響を個別に検討する場合 | 道路管理者から求められた内容に応じて、橋梁への影響を計算で示す |
このほか、車両四面図や積載状態が分かる図面、道路管理者から指定された資料の提出を求められることもあります。どの資料が必要になるかは、審査の内容しだいです。
応力計算書のような資料はすぐに用意できないこともあるため、必要になりそうな案件では早めに動いてください。
審査後に付く通行条件
個別審査に回っても、その時点で不許可が決まったことにはなりません。道路構造への影響や安全な通行方法をふまえ、条件付きで許可されるケースも見られます。
付く条件の例は、徐行、誘導車、通行時間帯、橋梁上の走行位置など。一方で、車両や道路の条件から通行が難しいと判断されることもあります。
個別審査だから必ずD条件になる、必ず夜間走行になる、ということもありません。走行するときは、実際に付された通行条件A〜Dと許可証の内容に従ってください。
申請前の簡易算定と事前相談
申請前に使えるのが、申請支援システムの簡易算定です。車両と経路を入力すると提出前に算定結果が出て、経路上に個別審査が必要な箇所があれば帳票に表示されることがあります。
別の経路でも現場へ到達できる場合は、経路ごとの算定結果を比べることも可能です。ただ、目的は個別審査を避けることではなく、実際に安全に通行できる経路を選ぶことです。簡易算定の結果だけで、許可が保証されるものでもありません。
超寸法・超重量車両など通常より複雑な案件では、提出前に申請先へ相談しておくと進めやすくなります。特殊な車両構成、大型機械の輸送、橋梁の個別検討が見込まれる案件では、どんな資料が必要になるかを早い段階でつかんでおきましょう。追加資料の作成や外部への計算依頼が必要になると、運行直前の着手では間に合わないおそれが出てきます。
よくある質問
- 個別審査になると不許可ですか?
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いいえ、それだけで不許可にはなりません。道路構造への影響や通行方法を個別に検討し、条件付きで許可される場合もあります。ただし、車両と道路の条件によっては通行できない場合もある点に注意が必要です。
- 個別審査にはどれくらいかかりますか?
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一律の期間は決まっていません。車両の寸法・重量、審査する道路構造物、追加資料、道路管理者間の協議などによって変わります。超寸法・超重量車両は、新規・変更申請の3週間という標準処理期間の対象外です。
- 未収録道路があると必ず個別審査になりますか?
-
未収録道路では道路情報をシステムだけで算定できないため、道路管理者との個別協議などが必要になることがあります。超寸法・超重量車両などに対する個別審査とは、仕組みが別です。
- 申請前に個別審査になるか分かりますか?
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簡易算定の結果から、経路上の個別審査箇所が分かる場合があります。超寸法・超重量車両などでは、申請前に道路管理者へ相談するのも一つの方法です。
- 個別審査ではどんな書類が必要ですか?
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審査内容によって異なります。理由書、運行計画書、車両軌跡図、四面図、応力計算書などを求められることがあり、すべての案件に共通する資料一式はありません。
- 個別審査を避けるために経路を変えてもいいですか?
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実際に安全に通行できる別経路があるなら、比較してかまいません。審査を避けることだけを目的に無理な経路を設定するのではなく、車両寸法、重量、旋回、道路幅員などを含めて通行できる経路を選んでください。
まとめ
特車申請の個別審査は、通常の算定だけでは通行の可否が出ない車両や道路について、道路管理者が個別に検討する審査です。主なケースは、超寸法・超重量の車両と、算定で橋梁や交差点に個別審査箇所が出た経路。未収録道路や個別協議とは仕組みが異なり、同じ申請の中で重なることもあります。
審査期間は一律ではなく、超寸法・超重量車両は標準処理期間の対象外です。理由書や車両軌跡図、応力計算書などの追加資料を求められることもあるため、簡易算定で個別審査箇所を把握し、複雑な案件は申請先へ事前に相談しておきましょう。
特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特車申請のことでお困りならご相談ください
個別審査が見込まれる案件では、追加資料の準備まで含めた早めの着手が欠かせません。当事務所では、車両諸元の収集や経路づくりから、申請書類の作成、申請後の補正対応まで一括でお引き受けしています。個別審査の対応に迷ったときも、お気軽にお問い合わせください。

