建設現場では、ラフタークレーン、重機運搬用トレーラ、コンクリートポンプ車など、大型で重量のある車両を使用する機会があります。
こうした車両が道路法上の制限を超える場合、通行する道路に応じて特殊車両通行許可などの特車手続きが必要になります。
建設業で特に注意したいのは、現場が変わるたびに目的地や通行経路も変わりやすいことです。幹線道路までは以前と同じでも、現場直前の市区町村道が変われば、既存の許可だけでは対応できない場合があります。
工事の日程が決まっている案件では、車両と搬入経路を早めに整理しておくことが重要です。
建設業で特車手続きが必要になる場面
道路を通行する車両には、幅・長さ・高さ・総重量・軸重などの制限が設けられています。
建設現場で使う大型車両は、車体そのものが大きい場合に加え、重機や設備を積載することで制限を超えることがあります。
主な車両は次のとおりです。
| 車両 | 特車手続きで見る主な項目 |
|---|---|
| ラフタークレーン | 総重量・軸重・幅・長さ |
| 重機運搬用トレーラ | 連結時の長さ・幅・高さ・総重量・軸重 |
| 大型ダンプ | 総重量・軸重・積載状態 |
| コンクリートポンプ車 | 総重量・軸重・車体寸法 |
| 高所作業車 | 総重量・軸重・高さ・幅 |
車種名だけで特車手続きの要否が決まるわけではありません。
同じ種類の車両でも諸元は異なり、通行する道路によっても扱いが変わります。重さ指定道路、高さ指定道路、高速自動車国道などでは、一般的な制限値とは異なる基準が適用される場合があります。
実際に使用する車両の諸元と通行予定経路をもとに判断します。
空車でも特車手続きが必要になる車両がある
建設車両では、荷物を積んでいない状態でも寸法や重量が大きい車両があります。
たとえばラフタークレーンや大型のコンクリートポンプ車などは、架装された設備を含めた車両自体の重量が大きく、空車という考え方だけでは判断できません。
一方、重機運搬用トレーラでは、積載する重機によって総重量や高さが大きく変わります。
そのため、
- 車両単体の寸法・重量
- 連結した状態の寸法・重量
- 積載物を含めた状態
- 通行する道路
を整理します。
空車時の扱いについては、空車でも特車許可が必要なケースで詳しく解説しています。
建設現場では目的地が変わるたびに経路も変わる
建設業の特車申請で大きな特徴となるのが、現場ごとに目的地が変わることです。
物流会社では同じ工場や倉庫を繰り返し往復するケースがありますが、建設工事では案件ごとに搬入先が変わります。
以前取得した許可に新しい現場までの経路が含まれていなければ、そのまま使用することはできません。
特に見ておきたいのは、現場直前の道路です。
幹線道路までは既存の許可経路と同じでも、最後の数百メートルだけ別の市道へ入るケースがあります。
現場が決まったら、
- 使用する車両
- 出発地
- 現場所在地
- 予定している搬入経路
- 現場への進入口
を早めに整理しておくと申請を進めやすくなります。
現場入口に未収録道路がある場合
建設現場では、目的地付近の市区町村道などが道路情報便覧に収録されていないことがあります。
このような道路は一般に「未収録道路」と呼ばれます。
未収録道路を含む経路でも申請は可能ですが、道路管理者や路線名を調べ、経路を特定するための資料を添付することがあります。
案件によっては、
- 路線名
- 道路管理者
- 現場付近の地図
- 接続する道路
- 交差点番号などの経路情報
を整理します。
未収録道路が含まれると、道路管理者との協議が必要になる場合もあります。
現場までの経路を作成するときは、幹線道路だけではなく現場入口までの道路を見ることが大切です。
詳しくは、特車申請の未収録道路とはをご覧ください。
工期が決まっている案件は早めに申請する
建設工事では、
「来週から重機を入れたい」
「現場が決まったのでラフタークレーンを手配したい」
といった形で、搬入日が先に決まることがあります。
特車申請では、経路によって道路管理者との協議が行われたり、追加資料への対応が必要になったりすることがあります。
申請から許可までの日数を一律に決めることはできないため、着工直前に手続きを始めると搬入予定に間に合わないことがあります。
現場と使用車両が決まった段階で、申請に必要な情報を集め始める方が進めやすいでしょう。
審査については、特車申請の審査期間はどれくらい?で解説しています。
通行条件が現場搬入に影響する場合がある
特車許可では、道路や車両の状況に応じて通行条件が付されることがあります。
代表的なものには、
- 徐行
- 連行禁止
- 誘導車の配置
- 他の車両との通行方法に関する条件
などがあります。
実際に適用される内容は、交付された許可証や条件書によって異なります。
橋梁や狭い道路を含む経路では、条件によって搬入方法や誘導車の手配が変わることがあります。
そのため、許可を取得した後は許可証だけでなく条件書の内容まで読み、現場担当者や運転者と共有しておく必要があります。
通行条件については、特車の通行条件A〜Dとはで詳しく解説しています。
車両を追加・交換した場合
工事の途中で使用車両が変わることもあります。
たとえば、
- ラフタークレーンを別車両へ変更する
- 新しいトラクタを使用する
- トレーラを追加する
- 協力会社の車両を使う
- リース車へ切り替える
といったケースです。
既存の許可に記載されていない車両を、そのまま同じ許可で走らせられるとは限りません。
変更内容によって、変更申請、新規申請、軽微な変更など手続きが分かれます。
車両の追加・交換については、特車の変更申請とは?車両・経路変更と新規・更新の違いで整理しています。
協力会社や傭車を使う場合
建設現場では、自社車両だけでなく協力会社や傭車の車両を使うことがあります。
この場合は、
- 誰が車両を通行させようとしているのか
- どの車両を使用するのか
- どの経路を通行するのか
- 既存の許可に対象車両が含まれているか
を整理します。
「自社の現場だから自社名義」「協力会社の車だから協力会社名義」と名称だけで決めるのではなく、実際の輸送関係をもとに申請主体を考えます。
申請者については、特車申請は誰が出す?申請者の考え方とリース・下請け・傭車の扱いをご覧ください。
ダンプの特車申請と過積載は別の問題
大型ダンプでは、特車許可と過積載を混同しないことも重要です。
特車許可は、道路法上の車両制限を超える特殊な車両を、一定の条件のもとで通行させる制度です。
一方、車検証に記載された最大積載量を超えて貨物を積むことは過積載となります。
特車許可を取得したからといって、最大積載量を超えて土砂や資材を積めるようになるわけではありません。
ダンプについては、ダンプトラックの特車申請|総重量の判定・過積載との違いで詳しく解説しています。
許可取得後は車両・経路・条件を共有する
許可が交付されたら、運行前に対象車両、通行経路、通行期間、条件書の内容を把握しておきます。
建設業では複数の現場を掛け持ちする車両も多いため、別現場の許可証を取り違えないよう管理することも大切です。
電子データで携行する場合は、運行中に必要となった際に表示できる状態にしておきます。
許可証の携行については、特車許可証の携行義務|必要書類・電子携行・不携帯の罰則で解説しています。
よくある質問
- 建設会社の白ナンバー車でも特車申請はできますか?
-
白ナンバーであることを理由に特車申請ができなくなるわけではありません。
車両の寸法・重量と通行する道路をもとに、必要となる特車手続きを判断します。
- ラフタークレーンは空車でも特車許可が必要ですか?
-
車両自体の寸法・重量が道路の制限を超える場合は、積荷がなくても特車手続きの対象になります。
ラフタークレーンは車種によって重量や軸重などが異なるため、使用する車両の諸元と通行経路をもとに判断します。
- 別の建設現場へ移動する場合、以前の許可を使えますか?
-
以前の許可に新しい現場までの経路が含まれていれば使用できる場合があります。
新しい現場への道路が許可経路に含まれていない場合は、その経路について別の手続きが必要になります。
- 現場付近に未収録道路があっても申請できますか?
-
未収録道路を含む経路でも申請は可能です。
道路管理者や路線名を調べ、経路を特定するための地図などを用意する場合があります。
- D条件が付くと夜間しか走れませんか?
-
D条件そのものが夜間通行を意味するわけではありません。
徐行、連行禁止、誘導車などの条件が付されるほか、道路管理者から個別の条件が示される場合があります。実際の運行は交付された条件書の内容に従います。
まとめ
建設業の特車申請では、車両の寸法・重量だけでなく、現場ごとに変わる通行経路を整理することが重要です。
ラフタークレーンや重機運搬用トレーラなどは、車両や積載状態によって特車手続きが必要になることがあります。
現場入口に未収録道路が含まれる場合や、道路管理者との協議が必要になる場合もあるため、使用車両と現場が決まった段階で早めに準備を進めます。
許可取得後は、対象車両・経路・通行期間・条件書の内容に沿って運行します。
建設現場への重機・大型車両の特車申請でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

