高速道路が事故や災害で通行止めになっても、通常の特殊車両通行許可では、許可を受けた経路以外を走れません。特車ゴールドは、この制約を大型車誘導区間に限ってゆるめ、更新の手続きも簡単にする制度です。
正式名称は「ETC2.0装着車への特殊車両通行許可簡素化制度」。業務支援用ETC2.0を付けた車両を登録すると、大型車誘導区間での経路選択と、ワンクリック申請による更新という2つのメリットを受けられます。
ただし、車載器を付けただけでは使えず、更新の手続きそのものもなくなりません。最大4年の許可期間も、特車ゴールドとは別の制度です。この記事では、利用の条件から更新・変更の扱い、ほかの制度との違いまでを解説します。
特車ゴールドで変わること
通常の特車許可では、許可された経路しか通行できません。通行止めに備えて迂回路を使えるようにするには、その経路も別に申請が必要です。
特車ゴールドでは、経路に含まれる大型車誘導区間を、まとめて申請したものとして扱います。同じ出発地と目的地の間なら、大型車誘導区間の中を迂回するための経路を何本も申請する必要はありません。
もう1つの変化は更新の手続きです。前回と同じ内容で更新するときは、申請書類の作成と提出をシステムが自動で行い、申請者は同意と手数料の納付で手続きを進められます。これがワンクリック申請です。
業務支援用ETC2.0と利用登録
対象になるのは、業務支援用ETC2.0車載器をセットアップして装着し、オンライン申請システムで利用登録を済ませた車両です。
業務支援用は、特殊車両の経路を把握できるよう、出発地・目的地の付近まで経路情報を集める仕様です。一般車用のETC2.0はこの付近の情報を集めないため、従来のETC車載器や発話型のDSRC車載器と同じく、特車ゴールドには使えません。
利用登録では、車両番号と車載器の情報(車載器管理番号とASL-ID)を入力し、制度の利用規約にも同意します。その後の許可申請は通常と同じ流れで、大型車誘導区間を含む経路なら、特車ゴールドを使うかどうかの案内が自動で表示される仕組みです。
経路の条件は、一部でも大型車誘導区間を通ることです。出発地と目的地は区間の外でもかまいません。
車両の寸法・重量も、実施要綱で定める対象車両の許可基準に収まっている必要があります。
大型車誘導区間で選べる経路
経路を選べるのは大型車誘導区間の中だけです。その区間でも、車両ごとに算定された通行条件に従います。
経路を選べる範囲
大型車誘導区間は、高速道路や直轄国道、地方の主要な道路など、大型車の通行を誘導するために国が指定した道路の区間です。事故や通行止めで迂回が必要になっても、大型車誘導区間の中であれば、新たに許可を取らずに別の経路を選べます。
区間の外では、許可された経路しか走れません。出発地から区間に入るまでと、区間を出てから目的地までは、申請した経路を走ってください。区間に入るまでの道路を複数使い分けるなら、それぞれの経路で申請しておきましょう。
出発地や目的地が変わる運行は、別の経路として申請が必要です。大型車誘導区間沿いの施設でも、申請していない場所では荷を降ろせません。
通行条件は算定結果帳票に従う
申請経路以外の大型車誘導区間を走るときは、「大型車誘導区間算定結果帳票」に示された通行条件に従います。帳票に載るのは、申請した車両の諸元で算定した障害区間ごとの条件です。C条件・D条件(徐行や誘導車の配置などを求める条件)のほか、通行時間帯の条件や通行不可が表示されます。
条件がつくのは障害区間だけで、それ以外の区間は通常どおりの走行が可能です。一方、通行不可と表示された区間は、大型車誘導区間であっても迂回路には使えません。
大型車誘導区間経路図(通行条件マップ)も公開されていますが、こちらはモデル車両で算定した条件の地図です。申請した車両の条件は、算定結果帳票で判断してください。帳票は申請書作成状況一覧の画面からダウンロードできます。迂回路を選ぶときは、通る区間の条件を帳票で調べてから運行を決めましょう。
ワンクリック更新の条件
更新の手続きは特車ゴールドでも必要で、ワンクリック申請はその手続きを簡単にする仕組みです。対象になる更新では、時期が来るとシステムから案内が届きます。
対象になる更新
ワンクリック申請を使えるのは、前回の申請と比べて車両の種類・軸種、通行経路、積載貨物などが同じで、通行期間も同じ年数の更新です。
市区町村などとの協議が必要な一般道を含む経路も、ワンクリック申請の対象です。ただし、その場所は更新時にも協議が行われるため、許可までに時間がかかります。
通常の更新申請も、前回の申請内容を呼び出して作成する形です。特車ゴールドとの違いは、申請書の作成から提出までをシステムが行い、申請者の操作が同意と納付で済む点です。
ワンクリック申請を使えない場合
トレーラ、経路、代表者など、申請内容が前回から変わる場合はワンクリック申請を使えません。経路違反など、違反の状況によっても対象から外れることがあります。
対象から外れても、特車ゴールドそのものが使えなくなるとは限りません。変更の内容に応じて、通常の更新や変更申請、新規申請で手続きを進めてください。
特車ゴールドは、ETC2.0の登録状況や通行経路、前回の許可内容によって、申請・更新方法が変わります。当事務所では、車両・経路の確認から、申請書類の作成・申請後の補正対応まで代行します。
車両や経路が変わったとき
2020年2月25日からは、特車ゴールドの許可も変更申請に対応しています。変更の内容ごとの手続きは次のとおりです。
| 変更の内容 | 必要な手続き |
|---|---|
| トラック・トラクタの交換・減車 | 変更申請 |
| トレーラの追加・交換・減車 | 変更申請 |
| 通行経路の変更・追加・削除 | 変更申請 |
| 会社名など申請者情報の変更 | 変更申請 |
| トラック・トラクタの台数を増やす | 新規申請 |
| 積載貨物の変更 | 新規申請 |
車載器が故障して交換したときは、利用登録画面で車載器管理番号とASL-IDを新しい車載器の情報に変更します。許可の手続きは不要です。
ナンバープレートを変更したときは、車載器の再セットアップと、利用登録の削除・再登録が必要です。許可を変更申請と新規申請のどちらで進めるかは、申請前に申請先の道路管理者へ相談してください。
携行する書類
運行時は、通常の許可関係の書類に加えて、大型車誘導区間を通るための資料も車両に備えます。特車ゴールドのQ&Aで挙げられているのは次の7点です。
- 特殊車両通行許可証
- 条件書
- 車両内訳書
- 通行経路表
- 通行経路図
- 大型車誘導区間算定結果帳票
- 大型車誘導区間経路図(通行条件マップ)
算定結果帳票と通行条件マップは、実際に通る経路にかかわる部分だけを備え付ければ足ります。すべてを印刷する必要はありません。電子媒体で携行する場合は、提示を求められたときに運転者がすぐ表示できるようにしておきましょう。
手数料
申請手数料は、特車ゴールドを使っても無料になりません。ワンクリック申請による更新にも、新規申請と同じ手数料がかかります。
特車ゴールドのQ&Aに記載された新規申請の手数料は、1台・1経路あたり次のとおりです。
| 経路 | 手数料 |
|---|---|
| 大型車誘導区間だけで完結する経路 | 160円 |
| それ以外の道路を含む経路 | 200円 |
通常の申請と違い、道路管理者が1つだけの経路でも手数料の対象になります。実際の金額は車両の台数と経路の数で変わるため、申請内容ごとに計算してください。
最大4年の許可期間は別の制度
特車ゴールドに登録しただけでは、許可期間は4年になりません。最大4年の許可は、優良事業者の車両を対象にした「許可期間の延長」という別の仕組みです。
対象になるのは、次の3つをすべて満たす車両です。
- 業務支援用ETC2.0車載器を搭載し、登録を受けている
- 過去2年以内に、過積載による警告などの違反履歴がない
- Gマーク(安全性優良事業所)の認定を受けた事業所に所属している
この延長は平成31年4月1日に始まり、違反履歴の期間(過去2年以内)とあわせて、当面の間の措置として運用されています。
要件を満たした場合の許可期間の上限は、次の表のとおりです。
| 車両の区分 | 通常の上限 | 要件を満たす車両の上限 |
|---|---|---|
| 寸法・重量が一定の基準を超える車両(超寸法・超重量車両) | 1年 | 2年 |
| 上記以外の車両 | 2年 | 4年 |
通行確認制度との違い
特殊車両通行確認制度は、令和4年4月に始まりました。事前に登録した車両について、システムが通行可能な経路を検索し、その回答書を受け取って通行します。
特車ゴールドは、あくまで通行許可制度の中で手続きを簡単にするものです。確認制度は、申請・審査・許可の手続きを経ずに通行できる点が異なります。ETC2.0車載器の装着・登録が求められる点は共通です。
確認制度の対象は、情報が電子データ化された道路と、登録基準の範囲に収まる寸法・重量の車両です。両制度の使い分けは、この条件と運行の内容に合わせて決めてください。
2026年3月30日からは、通行許可システムで通行確認制度への案内メッセージが表示されるようになりました。
よくある質問
- 特車ゴールドを使うと審査は早くなりますか?
-
審査期間は短くなりません。大型車誘導区間以外の道路で個別の審査がある場合や、ほかの道路管理者との協議が必要な場合は、通常の申請と同じだけ期間がかかります。
- 特車ゴールドなら更新申請は不要ですか?
-
更新の手続きは必要です。前回と同じ内容の更新であれば、案内に従ってワンクリック申請に同意し、手数料を納付する形で進められます。
- 特車ゴールドに登録すれば許可期間は4年になりますか?
-
登録だけでは4年になりません。業務支援用ETC2.0の登録に加えて、Gマーク認定事業所への所属と、過去2年以内に違反履歴がないことが条件です。超寸法・超重量の車両は、延長後も上限が2年です。
- 1台の車両を複数の事業者で使っています。それぞれ特車ゴールドを利用できますか?
-
利用できます。1台の車載器には複数の事業者が利用登録できるので、事業者ごとに、その車両の車載器で登録してください。
- 車両を手放すときに必要な手続きはありますか?
-
オンライン申請システムのETC2.0簡素化制度利用登録の画面から、その車両の登録情報を削除してください。
- 許可期間が切れると利用登録もやり直しになりますか?
-
許可期間が切れても、利用登録した情報は残ります。
まとめ
特車ゴールドを使うと、大型車誘導区間の中で経路を選べるようになり、更新もワンクリック申請で進められます。迂回する区間の通行条件は算定結果帳票に従い、ワンクリック申請でも同意と手数料の納付は必要です。
トラック・トラクタの交換やトレーラの増減、経路の変更は変更申請で対応でき、トラック・トラクタの台数を増やす場合と積載貨物の変更は新規申請です。最大4年の許可期間は、Gマークや違反履歴の要件を満たす優良事業者向けの別の制度です。特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特車申請のことでお困りならご相談ください
特車ゴールドは、車載器の登録状況や前回の許可内容によって、ワンクリック申請で更新できるか、新規申請が必要かが変わります。当事務所では、車両諸元の収集から申請書類の作成、申請後の補正対応まで一括でお引き受けしています。特車ゴールドの利用や更新の手続きに迷ったときも、お気軽にお問い合わせください。

