特殊車両通行確認制度とは?対象車両・手数料・2026年の変更点

特殊車両通行確認制度の経路検索画面が表示されたノートPCと、窓外に停車する大型セミトレーラー

重量物を運ぶ特殊車両では、従来の許可制度で経路を申請すると、道路管理者の審査を経て許可証が交付されるまで一定の日数がかかります。急な配車や現場の都合で出発が前倒しになっても、審査待ちの時間そのものは短縮できません。

特殊車両通行確認制度は、こうした場面で使える別の手段です。あらかじめ登録した車両について、通行できる経路をオンラインで判定し、回答書を取得してから走行します。道路情報が電子化された道路を対象にシステムが通行可否を自動判定するため、対象となる車両と経路の組み合わせであれば即時に回答を得られます。

ただし、すべての特殊車両や道路で使える制度ではありません。ETC2.0の搭載・登録、車両諸元の上限、収録道路だけで経路を組めるかといった条件があるため、この記事では対象車両・手数料・利用時の注意点と2026年の変更点を押さえます。

目次

特殊車両通行確認制度とは

制度が始まったのは2022年4月です。

利用する車両を事前に登録し、出発地・目的地などを設定すると、システムが道路情報と車両情報を突き合わせて通行可能な経路を判定します。手数料の支払いを済ませると回答書が交付され、その後は回答された経路と通行条件に沿って走行する流れです。

道路管理者による個別審査を待たずに回答を得られる点が、この制度の大きな特徴です。2地点間の検索では主経路に加えて、条件が合えば代替経路や渡り線も示されるため、従来の許可制度より経路の選択肢を広げやすくなっています。

車両情報の登録は5年間有効です。一方、実際に通行する経路について取得する回答書は1年間で期限を迎えるため、車両登録と回答書とでは有効期間の管理を分けて考える必要があります。

許可制度との違い

確認制度と従来の許可制度は、現在もどちらも利用されています。

許可制度と確認制度の違い
特殊車両通行許可制度
手続き
道路管理者へ申請し、審査を受ける
結果
審査後に許可証が交付される
対象道路
道路法上の道路
ETC2.0
原則不要
向いているケース
未収録道路を含む経路や、確認制度の登録基準を超える車両
特殊車両通行確認制度
手続き
登録車両についてシステムが経路を判定
結果
対象経路ではオンラインで即時回答
対象道路
道路情報が電子化された収録道路
ETC2.0
搭載・登録が必要
向いているケース
登録基準内の車両で、収録道路を中心に運行する場合
確認制度で通行可能経路が表示されなくても、その道路を通行できないと決まったわけではありません。許可制度で道路管理者の審査を受けることで、通行できる場合があります。

どちらを使うか迷う場合は、特殊車両の許可制度と確認制度の使い分けを基準にすると判断しやすくなります。

確認制度を利用できる車両

確認制度には、登録できる車両の寸法・重量に上限があります。

現在の登録基準は次のとおりです。

項目単車等セミトレーラ連結車フルトレーラ連結車・ダブルス
3.5m以下3.5m以下3.5m以下
高さ4.3m以下4.3m以下4.3m以下
長さ16m以下20m以下25m以下
重量135.1t以下143.6t以下163.6t以下
最小回転半径12m以下12m以下12m以下

ここで注意したいのは、この数値が「その重量・寸法まで道路を自由に走れる基準」ではない点です。

たとえば、セミトレーラ連結車で総重量143.6t以下だからといって、143.6tで希望する経路を通行できるとは限りません。この表は確認制度へ車両を登録できる上限であり、実際の通行可否は橋梁や交差点などの道路条件と車両諸元をもとに経路ごとに判定します。

登録基準を超える超寸法・超重量車両は、確認制度ではなく許可制度で申請することになります。

ETC2.0車載器の搭載・登録が必要

確認制度を利用する車両には、ETC2.0車載器のセットアップ・装着に加えて、車両情報とあわせた登録が必要です。

車両登録では、自動車登録番号や車両諸元に加え、ETC2.0車載器の情報を登録します。ASL-IDについては、対応する車載器であれば車載器管理番号からシステム上で自動検索できる場合があります。

ETC2.0を取り付けただけで確認制度が自動的に使えるようになるわけではありません。確認制度の車両登録まで済ませておく必要があります。

車両登録から回答書取得までの流れ

確認制度ではまず、利用する車両を登録します。連結車の場合は、トラクタとトレーラをそれぞれ登録したうえで、実際に通行させる車両の組み合わせや積載条件を設定する必要があります。

続いて出発地・目的地などを指定して通行可能経路を検索し、確認手数料の支払いを済ませると回答書を取得できます。

大きな流れは次のとおりです。

車両登録 → 車両・積載条件の設定 → 通行可能経路の検索 → 手数料支払い → 回答書取得

登録手数料を支払う前に、通行可能経路を試しに検索することもできます。実際の画面操作は特殊車両通行確認制度の申請手順に譲り、このページでは制度の仕組みを中心に扱います。

未収録道路は確認制度の対象外

確認制度で通行可能経路を検索できるのは、道路情報が電子化されている収録道路に限られます。

高速道路や国道などを中心に経路を組めても、工場・倉庫・建設現場へ入る直前の市道などが未収録道路になっているケースがあります。

未収録道路は確認制度による自動判定の対象外のため、その区間を含む回答書は取得できません。

この場合は収録道路だけで目的地まで届く別経路を検索するか、必要な区間について許可制度を利用します。確認制度が使いやすいかどうかは、高速道路や幹線道路の部分だけでなく、出発地・目的地付近まで収録されているかで変わってきます。

特殊車両通行確認制度を使えるかの判断フロー
1. 車両は登録基準内か
幅・高さ・長さ・重量・最小回転半径が、確認制度の登録上限内に収まっているかを整理します。
2. ETC2.0車載器を搭載・登録しているか
ETC2.0車載器の装着だけでなく、確認制度の車両登録まで済ませておく必要があります。
3. 通行経路は収録道路だけで組めるか
出発地・目的地付近を含めて、未収録道路が入らずに経路を組めるかがポイントです。
4. システムで通行可能経路が出るか
条件を満たしていても、実際の道路条件によっては通行可能経路が表示されない場合があります。
YES
確認制度を検討します。
手数料を支払い、回答書を取得して通行します。
NO
確認制度では対応できないため、
特殊車両通行許可制度を検討します。
※登録基準内であっても、その重量・寸法まで自由に通行できるわけではありません。実際の通行可否は道路条件をもとに判定されます。

回答書を取得したら経路と通行条件に従う

確認手数料の支払いが完了すると、通行可能経路について回答書が交付されます。

回答書の有効期間は1年間です。実際に運行する際は、回答書に示された車両・経路・通行条件に沿って走行してください。

回答書は印刷した書面だけでなく、スマートフォンやタブレットに保存した電子データで携行することもできます。電子データで携行する場合は、取締りなどの際にすぐ内容を表示できる状態にしておきましょう。

2026年3月のシステム改良では、回答書にも工事や災害などによる現地の通行規制・道路状況に従って走行する旨の注意書きが加わりました。回答書に経路が記載されていても、現地で通行止めなどの規制が行われていれば、その規制が優先されます。

通行後は重量記録を1年間保存する

確認制度では、回答書を取得して通行すれば手続きが完了する、というわけではありません。

登録車両を通行させた場合は、実際の運行に関する重量記録を通行から1年間保存します。道路管理者などから提出を求められることもあるため、いつでも取り出せる状態にしておいてください。

保存する資料には、積載貨物重量や積卸しの日時・場所を記載した乗務記録や送り状、それらに類する書類、積卸し時の重量測定結果などが使えます。

紙だけでなく電子データでの保存も可能です。

許可制度と比べると見落としやすい点なので、確認制度を継続利用する事業者は、回答書の期限管理とあわせて重量記録を社内で保存できる体制を整えておきましょう。

確認制度と許可制度の使い分けで迷ったら

確認制度を利用できるかは、車両諸元だけでなく、ETC2.0や予定経路の収録状況によっても変わります。当事務所では、制度の使い分けから特車申請まで対応しています。

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2025年からダブル連結トラックも確認制度の対象に

2025年3月24日の制度改正で、長さ21mを超えるダブル連結トラックも確認制度の対象に加わりました。

これに伴い、フルトレーラ連結車・ダブルスについて、確認制度へ登録できる長さの上限が従来の21mから25mへ広がっています。

ただし、25m以下であれば一般のフルトレーラがすべて同じ条件で使えるという意味ではありません。ダブル連結トラックには車両装備や運転者などについて独自の通行条件があるため、通常のトレーラとは分けて判断する必要があります。

2026年3月に回答書の再利用・車両入替などが追加

2026年3月30日、特殊車両通行確認システムの機能が改良されました。

実務上使いやすくなったのが、回答書の再利用です。有効期限内の回答書を参照し、車両構成・積載条件・経路条件を引き継いで新しい申請を作成できるようになりました。同じ条件に近い輸送を繰り返す場合、最初から入力し直す手間を減らせます。

また、有効期限内の回答書について、道路条件に影響しない範囲でトレーラの追加・削除・入替ができる機能も加わりました。この場合は新規申請を行わず、回答書番号と有効期限を引き継げます。

このほか、1回の申請で扱えるトレーラ台数の拡張や、セミトレーラのリアオーバーハング・はみ出し長さを入力しやすくする画面改良も行われています。

特殊車両通行確認制度の手数料

確認制度では、車両を登録するときと、通行可能経路を判定するときにそれぞれ手数料がかかります。

車両登録は1台5,000円

単車・トラクタの登録手数料は1台につき5,000円で、登録の有効期間は5年間です。

車両登録手数料
単車・トラクタ1台5,000円
セミトレーラ無料
フルトレーラ無料

トレーラも車両登録自体は必要ですが、登録手数料はかかりません。

登録した車両諸元の変更・修正についても手数料は不要です。

2地点双方向2経路検索は600円

出発地と目的地を指定して経路を判定する「2地点双方向2経路検索」は、基本的にトラクタ・単車1台、確認1件につき600円です。

主経路に加えて、通行可能な代替経路や両経路を結ぶ渡り線がある場合は、それらの往復経路も判定の対象に含まれます。

複数のトラクタをまとめて判定する場合は、トラクタ台数に応じて手数料が増えます。

都道府県検索は400円から

都道府県検索では、判定する都道府県数に応じて手数料が段階的に加算されます。

対象1都道府県あたりの追加額
1〜4県目400円
5〜14県目300円
15〜47県目200円

ここは「5県を判定したら5県すべて300円になる」という計算ではありません。

たとえば5都道府県をまとめて判定する場合は、最初の4県が400円ずつ、5県目が300円となるため、合計1,900円です。

通行可能な経路から別の場所まで経路を追加する場合は、追加延長10kmごとに100円が加算されます。

確認制度が向いているケース

確認制度は、登録基準内の車両を使い、道路情報が電子化された道路を中心に運行する場合に使いやすい制度です。

急な輸送で許可審査を待つ時間がない場合や、複数の通行可能経路を確保しておきたい場合は、即時回答という特徴を活かせます。都道府県検索を使えば、一定のエリア内で複数の経路を選べるため、運行先が変わりやすい事業者にも選択肢が広がります。

反対に、目的地付近に未収録道路がある場合、登録基準を超える超寸法・超重量車両を使う場合、システムで通行可能経路が得られない場合は、許可制度を検討しましょう。

確認制度と許可制度は、どちらか一方だけを使わなければならないわけではありません。車両や運行内容に応じて、両方を使い分けることもできます。

よくある質問

ETC2.0を付ければ確認制度を利用できますか?

ETC2.0車載器を装着しただけでは利用できません。確認制度の対象となるETC2.0車載器をセットアップ・装着したうえで、車両諸元や車載器情報をシステムへ登録する必要があります。車両が確認制度の登録基準内であることも条件です。

未収録道路を通る場合はどうなりますか?

未収録道路は、確認制度による通行可能経路の検索対象になりません。収録道路を使った別経路を検索するか、その道路を通る必要がある場合は許可制度による申請を検討します。

確認制度で通行可能経路が出なければ、その道路は走れませんか?

確認制度で回答書を取得できないことと、許可制度でも通行できないことは同じではありません。確認制度の自動判定で経路が得られない場合でも、許可制度で道路管理者の審査を受ければ通行できることがあります。

回答書は何年間使えますか?

回答書の有効期間は1年間です。車両登録自体は5年間有効なので、車両登録の期限と回答書の期限は分けて管理する必要があります。

車両登録の費用はいくらですか?

単車・トラクタは1台5,000円で、登録の有効期間は5年間です。トレーラも登録は必要ですが、登録手数料はかかりません。

同じ経路をもう一度判定するときは、最初から入力しますか?

2026年3月30日の機能改良により、有効期限内の回答書を参照して、車両構成・積載条件・経路条件を引き継いだ申請を作成できるようになりました。同じような輸送を繰り返す場合は、回答書の再利用によって入力の手間を減らせます。

通行した後に保存する書類はありますか?

確認制度を使って通行した場合は、重量記録を通行から1年間保存します。乗務記録、送り状、重量測定結果など、積卸しの日時・場所や重量が分かる資料を保存してください。

まとめ

特殊車両通行確認制度は、事前に登録した車両について、道路情報が電子化された道路の中から通行可能な経路をオンラインで判定できる制度です。

登録基準内の車両であれば、許可制度のような個別審査を待たずに回答書を取得できる点が大きな特徴です。ただし、ETC2.0の搭載・登録が必要で、未収録道路や登録基準を超える車両には使えません。

車両登録は5年間、回答書は1年間有効です。回答書を取得した後も、指定された経路や通行条件に沿って走行し、通行後の重量記録を1年間保存する必要があります。

2025年にはダブル連結トラックが対象に加わり、2026年3月には回答書の再利用やトレーラの追加・削除・入替など、継続利用しやすくする機能も加わりました。

特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。

参考資料
一般財団法人 道路新産業開発機構 特車登録センター 「特殊車両通行確認制度」
一般財団法人 道路新産業開発機構 特車登録センター 「特殊車両通行確認制度の手数料」

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