あおり型やスタンション型のセミトレーラは、特殊車両通行許可の申請で扱う車両の一つです。車検証の「車体の形状」には、「あおり付きセミトレーラ」や「スタンション式」などと記載されていることがあります。
あおり型・スタンション型・船底型は、バン型やタンク型などの特例5車種に、後から加えられた3つの車種です。この3車種を「追加3車種」と呼び、特例5車種と合わせて「特例8車種」として扱います。構造や固縛装置の要件を満たさなければ、自動的に該当するわけではありません。
この記事では、あおり型・スタンション型・船底型の構造要件から特例5車種との違い、44t、車両長17m・17.5m・18m、駆動軸重11.5tまで押さえていきます。
追加3車種とは
追加3車種とは、あおり型・スタンション型・船底型の3種類のセミトレーラを指します。

左から、あおり型・スタンション型・船底型のイメージ
これに、バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の特例5車種を加えたものが特例8車種です。
追加3車種は、一般的なセミトレーラのように車体の形だけで区分されるものではありません。貨物の落下を防止するために十分な強度を持つあおり等と固縛装置を備えていることが要件です。
そのため特殊車両通行許可の申請では、車検証の車体の形状や通称だけでなく、実際の構造や装備まで照らし合わせて判断します。
特例5車種と追加3車種の違い
特例8車種は同じグループとして扱われる場面がありますが、特例5車種と追加3車種ですべての基準が共通しているわけではありません。特に重要なのが、総重量の扱いです。
特例5車種には、道路の種類と最遠軸距に応じて総重量の最高限度を引き上げる特例があります。一方、追加3車種にはこの特例が適用されません。
特殊車両通行許可等で扱う特例8車種の通行可能限度値については、追加3車種も対象です。「特例8車種だから同じ重量基準」とまとめず、どの制度の数値なのかを分けて把握しておく必要があります。
あおり型セミトレーラ
あおり型は、荷台の周囲にあおりを備えたセミトレーラです。資材やスクラップなどを運搬する車両に使われる構造ですが、あおりが付いているだけで特例8車種の「あおり型」に該当するわけではありません。
対象になるには、貨物の落下を防止できる十分な強度のあおりと、貨物を固定するための固縛装置が必要です。申請では、車両図面やメーカー資料、基準緩和関係の資料などから構造を見きわめます。
ダンプ式のセミトレーラなども、名称だけで判断せず、実際の車両構造に沿って車種区分を判断します。
スタンション型セミトレーラ
スタンション型は、荷台に支柱を設けて貨物の横ずれや落下を防ぐセミトレーラです。原木や鋼管、鋼材などの輸送で使われます。
特例8車種のスタンション型として扱うには、貨物の落下を防止できる十分な強度を持つスタンションと固縛装置が必要です。スタンションだけで貨物を支えるのではなく、ロープ、ワイヤー、チェーンなどで固定できる構造になっているかも関係します。
脱着式のスタンションを備える車両では、本数や取付方法なども含めて車両資料を突き合わせます。
船底型セミトレーラ
船底型は、荷台中央部にくぼみを設け、貨物を低い位置へ積載できる構造のセミトレーラです。大型コイルや機械設備など、高さや安定性を考慮して運搬する貨物に利用されます。
対象となる船底型には、貨物の落下を防止できる十分な深さと強度を持つ支え台、固縛装置が必要です。単に荷台が低いセミトレーラや、中央部がくぼんでいる車両をすべて船底型として扱うわけではありません。
重セミなどの低床トレーラとも区分が異なるため、車両の用途だけでなく実際の構造まで見きわめます。
追加3車種には特例5車種の総重量特例がない
特例5車種には、道路の種類と最遠軸距によって総重量の最高限度を引き上げる特例があります。たとえば高速自動車国道では、最遠軸距に応じて最大36tまでの最高限度が設定されています。重さ指定道路やその他の道路にも、特例5車種独自の重量基準があります。
この総重量の最高限度の特例を、あおり型・スタンション型・船底型へそのまま適用することはできません。「特例8車種だから特例5車種と同じ重量まで走れる」とは考えないことが重要です。
追加3車種でも総重量44tまで許可対象になる場合がある
特例5車種の総重量特例が使えないことと、44tまで特殊車両通行許可等の対象にならないことは別の話です。特例8車種については、通行可能経路の確認の回答または特殊車両通行許可を受ける際の車両の基準として、総重量44tが限度値の一つとして設定されています。
分割可能な貨物を積載する場合についても、44tを上限として道路構造に応じた条件を付して許可する取扱いがあります。
ただし、44tであれば実際の経路を必ず通行できるという意味ではありません。橋梁や道路構造、軸重、隣接軸重、車両寸法などを審査した結果、重量を減らす必要が生じたり、別経路を選択したりすることもあります。
「36t」と「44t」は意味が違う
特例8車種を扱うときに混同しやすいのが、36tと44tという2つの数字です。
36tは、特例5車種について高速自動車国道を通行するときに、最遠軸距などの条件に応じて適用される総重量の最高限度を指します。これに対して44tは、特例8車種について通行可能経路の確認の回答または特殊車両通行許可を受ける際に設定されている車両側の限度値です。
そのため、あおり型・スタンション型・船底型について「高速道路なら36tまで」という特例5車種の重量表をそのまま使うことはできません。また、「44tまでなら許可なしで走れる」という意味でもなく、どの制度の限度値なのかを区別して扱う必要があります。
分割可能な貨物でも許可対象になる
あおり型やスタンション型では、鋼材や原木など、分割して運搬できる貨物を積載することがあります。通常、貨物そのものが特殊であることを理由に特車申請を行う場合は、分割して運ぶことが難しい貨物であることが前提です。
一方、特例8車種では車両構造に特殊性があるため、分割可能貨物についても一定の条件のもとで特殊車両通行許可の対象となる取扱いがあります。一般的な平ボディで特殊な貨物を運ぶ場合とは、判断の仕方が異なります。
ただし、特殊車両通行許可を取得しても、車検証に記載された最大積載量を超えて貨物を積めるようになるわけではありません。
あおり型・スタンション型・船底型の特車申請は、車両構造や固縛装置、総重量、車両長、通行経路まで確認する必要があり、思ったより手間がかかります。
当事務所では、車両資料や積載する貨物、通行経路を整理し、特殊車両通行許可の申請を代行しています。
特車申請サービス →特例8車種の車両長は17mが基本
特例8車種のセミトレーラ連結車について、通行可能経路の確認または通行許可に係る車両長の限度値は17mが基本です。さらに、被けん引車のリアオーバーハングによって17.5m・18mの区分があります。2025年版の特殊車両通行ハンドブックでは、次の基準が示されています。
| 後軸の旋回中心から車両後端まで | 車両長の限度 |
|---|---|
| 3.2m未満 | 17.0m |
| 3.2m以上3.8m未満 | 17.5m |
| 3.8m以上4.2m未満 | 18.0m |
ここでいうリアオーバーハングは、最後のタイヤから車体後端までを単純に測った距離ではありません。後軸の旋回中心から車両後端までの距離で判断し、車両図面やメーカー諸元表をもとに数値を突き合わせます。
リアオーバーハングが長くても18mで自由に走れるわけではない
リアオーバーハングが3.8m以上4.2m未満だからといって、自動的に全長18mで道路を通行できるわけではありません。17m・17.5m・18mは、通行可能経路の確認や特殊車両通行許可で扱う車両側の限度値です。
実際の通行可否には、交差点や曲線部、道路幅、車両の旋回性能などが関係します。長いセミトレーラでは、同じ車両でも経路によって通行できる場合とできない場合があります。
一定の2軸認証トラクタは駆動軸重11.5tまで
特例8車種をけん引する一定の2軸認証トラクタでは、駆動軸の軸重を11.5tまで扱える制度があります。対象になるのは、道路運送車両法の保安基準に適合する認証トラクタなど、所定の要件を満たす車両です。
2025年版ハンドブックでは、特例8車種をけん引する2軸認証トラクタについて、駆動軸重11.5t、それ以外の軸は10t以下とされています。11.5tはすべてのトラクタに認められる数値ではありません。
軸重・輪荷重・隣接軸重もそれぞれ押さえたうえで、車両全体の重量配分を把握します。
高さ4.1mは追加3車種だけの特例ではない
車両の高さに関する一般的制限値は3.8mです。道路管理者が指定した高さ指定道路では、4.1mの最高限度が適用されます。
これは、あおり型・スタンション型・船底型だけに認められる制度ではありません。船底型を使用して貨物の積載位置を低くできれば全高を抑えやすくなりますが、4.1mという基準そのものは通行する道路の指定によるものです。
目的地までの経路に高さ指定道路ではない区間が含まれていれば、その区間について別に判断します。
車種名だけで追加3車種と判断しない
特殊車両通行許可の申請では、「ダンプトレーラだからあおり型」「支柱があるからスタンション型」「荷台が低いから船底型」というように、名称や外観だけで区分しないことが大切です。
追加3車種には、それぞれ貨物の落下防止に必要な構造や強度、固縛装置について要件があります。申請するときは、車検証だけでなく、必要に応じて車両図面、基準緩和関係の資料、メーカー諸元表なども突き合わせます。
積載する貨物や車両の構造まで把握したうえで、どの車種区分で申請するかを判断します。
追加3車種の特車申請を判断する順番
あおり型・スタンション型・船底型の申請では、次の順番で進めると分かりやすくなります。
1.車両構造を見きわめる
まず、あおり、スタンション、支え台などの構造と、貨物を固定するための固縛装置を把握します。名称だけで追加3車種に当てはめないことが重要です。
2.積載する貨物を把握する
どの貨物をどのような状態で積載するかを押さえます。分割可能貨物を積載する場合も、特例8車種として扱えるかを判断します。
3.車両諸元を突き合わせる
総重量、軸重、長さ、高さ、幅、リアオーバーハングなどを確認します。2軸認証トラクタを使用する場合は、駆動軸重11.5tの対象になるかも見きわめます。
4.通行経路を押さえる
最後に、出発地から目的地までの道路を確認します。44t、18mといった車両側の限度値以内でも、実際に通行できるかは経路上の橋梁や交差点などによって変わります。
よくあるご質問
- あおりが付いていれば「あおり型」になりますか?
-
あおりが付いているだけでは決まりません。貨物の落下を防止できる十分な強度を持つあおりと、固縛装置を備えていることが必要です。
- スタンション型では固縛装置も必要ですか?
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必要です。十分な強度を持つスタンションに加え、貨物を固定する固縛装置を備えることが要件になります。
- 船底型は低床トレーラと同じですか?
-
同じ意味ではありません。船底型には、貨物を支えるための十分な深さと強度を持つ支え台、固縛装置などの要件があります。荷台が低いという理由だけで船底型にはなりません。
- 追加3車種は重さ指定道路で27tまで通行できますか?
-
特例5車種に適用される総重量の最高限度の特例は、追加3車種には適用されません。特殊車両通行許可等における限度値とは分けて判断します。
- 追加3車種なら44tまで走れますか?
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44tは、特例8車種について通行可能経路の確認または特殊車両通行許可で扱う限度値です。44tで全国の道路を自由に通行できるという意味ではなく、実際の通行可能重量は経路上の道路や橋梁の条件によって変わります。
- リアオーバーハングが3.8m以上なら全長18mで走れますか?
-
18mは車両側の限度値です。実際に18mで通行できるかは、交差点や曲線部など経路上の道路条件を含めて判断されます。
まとめ
あおり型・スタンション型・船底型は、特例5車種に追加された3つのセミトレーラです。追加3車種として扱うには、十分な強度を持つあおり・スタンション・支え台と固縛装置が必要になります。
追加3車種には特例5車種の総重量特例は適用されませんが、特例8車種では許可等における限度値として総重量44t、車両長17mなどが設けられています。リアオーバーハングによる17.5m・18mの区分や、一定の2軸認証トラクタにおける駆動軸重11.5tの取扱いもあります。車種名だけで判断せず、車両構造・積載貨物・車両諸元・通行経路を整理して申請することが重要です。
特車制度・申請手続き・車種別対応の全体像は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特車申請でお困りならご相談ください
当事務所では、車両構造や積載する貨物、車両諸元、予定している通行経路を踏まえたうえで、特殊車両通行許可の申請代行を行っています。
追加3車種に該当するか判断しにくい場合や、44t・車両長・軸重などの申請条件でお困りの場合もご相談ください。

