特例8車種とは、バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の5車種に、平成27年追加のあおり型・スタンション型・船底型の3車種を加えた計8種類のセミトレーラ・フルトレーラの総称です。構造が定型化されているとして、総重量を最大36t(条件次第で44t)まで緩和した申請が認められています。
一般的なトラックと同じ感覚で20tで申請すると、本来使える重量を大きく下回った許可になります。重さ指定道路以外の一般道でも最遠軸距10m以上なら27tまで申請できるなど、制度を知っているかどうかが1配車あたりの積載量に直結します。
特例車種とは
道路法では総重量20t・高さ3.8mを超える車両の通行を原則禁止しています。ただし、構造が定型化されたセミトレーラ・フルトレーラについては安全性が確認されているとして、重量と高さの制限を緩和した通行許可が認められています。
この対象となるのが「特例8車種」です。制度開始時から指定された5車種を特例5車種、平成27年に追加されたあおり型・スタンション型・船底型の3車種を加えた計8車種を特例8車種と呼びます。追加3車種の詳細はあおり型・スタンション型・船底型の申請要件で解説しています。緩和基準はどちらも共通です。
対象車種かどうかで、申請できる最大重量が変わります。
特例5車種の種類と注意点

① バン型セミトレーラ
日本で最も普及しているトレーラです。箱型構造で雑貨・食品・精密機器など幅広い貨物に対応します。
トラクタ(ヘッド)と台車(トレーラ)の組み合わせが頻繁に変わるため、台車を入れ替えるたびに最遠軸距が変わり、緩和される重量も変動します。トレーラ車両諸元一覧表の入力方法を参照しながら、組み合わせごとに最新の数値を確認してください。複数台をまとめて申請する場合は包括申請の合成車両ルールも確認が必要です。
2軸トラクタで牽引する場合、一定の要件を満たせば駆動軸重が10tから11.5tに緩和されます。この緩和は2軸トラクタに限った措置です。力の強い3軸トラクタ(ツーデフ)では適用されず、各軸10t以下のままになります。組み合わせるトラクタの軸数は事前に確認してください。
② タンク型セミトレーラ
液体・粉体を運ぶ専用タンクを備えた車両です。石油・セメント・化学薬品・牛乳など、輸送品目は多岐にわたります。
貨物の比重によって総重量は大きく変わります。水なら1㎥=1tですが、セメントは約1.5t、軽油は約0.8tです。特例での緩和をどこまで使えるかが配車効率に直結するため、品目ごとの重量計算は経路を組む前に済ませておきます。
③ 幌枠型セミトレーラ
荷台の骨組みを幌(布製シート)で覆い、側面を蛇腹式に開閉できる車両です。フォークリフトによる側面荷役に向いています。
ウィング車より自重を軽く設計できる分、積載量を多く確保できます。重量物輸送における選択肢として今も使われている車種です。
④ コンテナ用セミトレーラ
国際海上コンテナやJRコンテナを積んで運ぶ専用シャシです。コンテナをシャシ上に載せてロック・固定します。
40ft背高(ハイキューブ)コンテナを積載すると車高が約4.1mになります。一般的制限値(3.8m)を超えるため、走行ルート全体が高さ指定道路でカバーされているかを事前に確認する必要があります。
国際海上コンテナ車等は高速自動車国道において最大44tまでの申請が可能です(2024年システム改修で対応)。申請の詳細は国際海上コンテナ車(40ft背高)の特車申請で解説しています。
⑤ 自動車運搬用セミトレーラ
いわゆるキャリアカーの連結車です。昇降装置・傾斜スロープを備え、複数の乗用車をまとめて輸送します。
積載した自動車が車両前後にはみ出すことが多いため、リアオーバーハングについて特別な緩和基準が設けられています。被けん引車のリアオーバーハング(積載物含む)が一定の範囲に収まり、かつ積載物のはみ出しが1.0m以内であれば、全長18mまでの申請が認められます。この緩和は自動車運搬用セミトレーラに対するものであり、単車のキャリアカーには適用されません。
車種別の申請要否と高さ計算の実務はキャリアカーの特車申請で詳しく解説しています。全長が長くなる分、交差点での旋回軌跡を含む経路確認が必要です。
特例車種が受けられる重量・高さの緩和
総重量の緩和(最大36t、条件次第で44t)
緩和量は「通行する道路の種別」と「最遠軸距(最前軸から最後軸までの距離)」の組み合わせで決まります。
見落とされやすいのが、重さ指定道路以外の一般道(その他の道路)での扱いです。一般車両はその他の道路に入ると総重量20tに制限されますが、特例車種は最遠軸距が10m以上あれば最大27tまで申請できます。ラストワンマイルで細い一般道が経路に入る場合でも、積載量を落とさずに申請できる点は特例車種固有の強みです。
重さ指定道路でも最大27t(最遠軸距10m以上)、高速自動車国道では最大36t(最遠軸距15.5m以上)、国際海上コンテナ車等は高速自動車国道で最大44t(2024年システム改修で対応)まで申請できます。なお重さ指定道路では一般車両も25tまで申請できますが、25t緩和が適用されないケースもあるため、経路設定前に確認してください。
特例車種の総重量緩和限度(最遠軸距別)
| 最遠軸距(L) | 8m以上 9m未満 |
9m以上 10m未満 |
10m以上 11m未満 |
11m以上 12m未満 |
12m以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 総重量の限度 | 25t | 26t | 27t | 28t〜 | 最大36t |
※12m以上は軸距に応じて段階的に増加し最大36t ※国際海上コンテナ車等は最大44tまで可能(2024年改正)
| 最遠軸距(L) | 8m以上 9m未満 |
9m以上 10m未満 |
10m以上 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 総重量の限度 | 25t | 26t | 27t ★一般車両は25t |
||
※一般車両(新規格車)の重さ指定道路における上限は25t。特例車種は最遠軸距10m以上で27tまで申請できる
| 最遠軸距(L) | 8m以上 9m未満 |
9m以上 10m未満 |
10m以上 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 総重量の限度 | 25t | 26t | 27t ★一般車両は20t |
||
※一般車両のその他の道路における上限は20t。特例車種は最遠軸距10m以上で27tまで申請できる
※原則としての制限値。橋梁の状況等により個別に制限される場合があります。
高さの緩和(4.1m)
一般的制限値は3.8mですが、道路管理者が指定した高さ指定道路では4.1mまでの通行が許可されます。40ft背高コンテナを積んだコンテナ輸送では、この30cmの差が積載可否を決めます。
駆動軸重の緩和(11.5t)
バン型等の特例車種を2軸トラクタで牽引し、トラクタ側の第5輪荷重や軸重が所定の要件を満たす場合に限り、駆動軸重が10tから11.5tに緩和されます。3軸トラクタは対象外です。またトレーラ側の各車軸は特例車種であっても10t以下に収める必要があります。
1.5tの差は重量物輸送では積載量に直接響きます。組み合わせるトラクタを決める前に、軸重要件と軸数の確認を先に済ませてください。
申請と運用で押さえるポイント
トラクタと台車の連結確認
特例台車を導入しても、トラクタ側の第5輪荷重や駆動軸重要件を満たさなければ緩和を使えません。台車を入れ替えた際は必ず連結時の諸元を確認します。
経路の厳守と指定道路の把握
緩和が認められるのは、許可を受けた経路を通行する場合に限られます。経路を外れた通行は無許可走行として道路法第104条の罰則(100万円以下の罰金)の対象になります。ドライバーだけでなく事業者も処罰の対象となる両罰規定があります。
また2025年12月の刑法改正により、無許可走行等の道路法違反には拘禁刑が適用される可能性があります。
申請重量の適正化
重さ指定道路では最大27tまで緩和されるにもかかわらず、25tで申請しているケースがあります。対象車種・最遠軸距・通行道路の種別を確認し、使える緩和は適切に申請してください。
特車ゴールドの活用
特例車種は特車ゴールドとの相性がよく、要件を満たせば通常の審査期間(3週間程度)を大きく短縮できます。
特例車種 申請・運用チェックリスト
※原則としての制限値。橋梁の状況等により個別に制限される場合があります。
まとめ
特例5車種(特例8車種)は、構造が定型化された連結車に認められた重量・高さの緩和制度です。使える緩和の上限は、通行する道路の種別と最遠軸距の組み合わせで決まります。
重さ指定道路なら最大27t、高速自動車国道なら最大36t、国際海上コンテナ車等は高速で最大44t。さらに重さ指定道路以外の一般道でも、最遠軸距10m以上の特例車種は20t制限を受けず27tまで申請できます。この制度を把握しているかどうかが、1配車あたりの積載量に直接影響します。
よくある質問(FAQ)
- Q特例5車種と特例8車種はどう違うのですか?
- A
特例5車種は制度開始時から指定されていたバン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の5種類です。平成27年にあおり型・スタンション型・船底型の3種類が追加され、合計8種類が特例8車種となりました。緩和される重量・高さの基準はどちらも共通です。
- Q重さ指定道路以外の一般道でも特例の重量で申請できますか?
- A
申請できます。特例車種は重さ指定道路以外の一般道(その他の道路)でも、最遠軸距が10m以上あれば最大27tまで申請できます。一般車両がその他の道路で20tに制限されるのとは扱いが異なります。経路に一般道が含まれる場合は、諸元表で最遠軸距を確認してから申請重量を決めてください。
- Q3軸トラクタ(ツーデフ)を使う場合、駆動軸重は11.5tに緩和されますか?
- A
緩和されません。駆動軸重11.5tへの緩和は、バン型等の特例車種を2軸トラクタで牽引する場合に限られます。3軸トラクタの駆動軸は各軸10t以下が上限のままです。
- Q40ft背高コンテナを積んで4.1mになる場合、どの道路でも走れますか?
- A
走れません。4.1mでの通行が認められるのは道路管理者が指定した高さ指定道路に限られます。経路を組む際は走行ルート全体が高さ指定道路でカバーされているかを先に確認します。
- Q特例車種に該当すれば、自動的に緩和重量で走行できますか?
- A
走行できません。緩和重量での通行には事前に特殊車両通行許可(または特車ゴールドの確認回答)を取得する必要があります。許可なく緩和重量で走行した場合は無許可走行として罰則の対象になります。
自社の車両が特例車種に該当するか、申請重量が適切かどうか、お気軽にご相談ください。
【お問い合わせ方法】
・電話:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)
