バン型、タンク型、コンテナ用、自動車運搬用など、一定の構造を持つトレーラ連結車には、特殊車両制度上の特例があります。一般に「特例8車種」と呼ばれるのは、従来の特例5車種に、あおり型・スタンション型・船底型を加えた8車種です。
ここで分かりにくいのが、特例5車種における総重量の最高限度の特例、特例8車種における総重量44tを上限とした特殊車両通行許可等の仕組みの違いです。
44tまで、どの道路でもそのまま通行できるわけではありません。この記事では、特例5車種と追加3車種の違い、最遠軸距による重量特例、44tの考え方、駆動軸重11.5tの取扱いを解説します。
特例8車種とは
特例8車種は、特例5車種と追加3車種を合わせた8種類の連結車です。


追加3車種では、貨物の落下を防ぐためのあおり、スタンション、支え台、固縛装置など、一定の構造が必要になります。
特例8車種 = 特例5車種 + 追加3車種
タンク型
幌枠型
コンテナ用
自動車運搬用
スタンション型
船底型
重量物運搬用セミトレーラやポールトレーラとは別の区分です。
特例5車種と追加3車種では重量の扱いが違う
特例8車種を理解するときに、特に重要なのが重量の扱いです。バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の特例5車種には、通行する道路と最遠軸距に応じた「総重量の最高限度の特例」があります。
一方、あおり型、スタンション型、船底型の追加3車種には、この総重量の最高限度の特例は適用されません。
ただし、追加3車種を含む特例8車種には、分割可能な貨物を運ぶ場合でも、一定の条件のもとで総重量44tを上限として特殊車両通行許可等の対象となる仕組みがあり、この2つは分けて考える必要があります。
特例5車種の総重量の最高限度
特例5車種では、通行する道路の種類と最遠軸距によって総重量の最高限度が変わります。
高速自動車国道
| 最遠軸距 | 総重量の最高限度 |
|---|---|
| 8m以上9m未満 | 25t |
| 9m以上10m未満 | 26t |
| 10m以上11m未満 | 27t |
| 11m以上12m未満 | 29t |
| 12m以上13m未満 | 30t |
| 13m以上14m未満 | 32t |
| 14m以上15m未満 | 33t |
| 15m以上15.5m未満 | 35t |
| 15.5m以上 | 36t |
ここでいう高速自動車国道には、首都高速道路や阪神高速道路などの都市高速道路は含まれません。
重さ指定道路
| 最遠軸距 | 総重量の最高限度 |
|---|---|
| 8m以上9m未満 | 25t |
| 9m以上10m未満 | 26t |
| 10m以上 | 27t |
その他の道路
| 最遠軸距 | 総重量の最高限度 |
|---|---|
| 8m以上9m未満 | 24t |
| 9m以上10m未満 | 25.5t |
| 10m以上 | 27t |
特に一般道路では、24t・25.5t・27tという区分になる点に注意が必要です。また、同じトレーラでも連結するトラクタが変われば最遠軸距が変わり、適用される総重量も変わることがあります。
36tを超えたら通行できないわけではない
高速自動車国道で最大36tという数字は、特例5車種に設けられている総重量の最高限度です。36tを超えたからといって、すべての道路で通行できなくなるわけではありません。
この限度を超える車両についても、車両諸元と通行経路をもとに審査を受け、必要な条件を付して特殊車両として通行できる場合があり、そこで関係するのが特例8車種の「44t」です。
特例8車種の「44t」とは
特例8車種では、分割可能な貨物を積載する場合でも、一定の条件を満たせば総重量44tを上限として特殊車両通行許可等の対象となる仕組みがあります。
対象となるのは、次の8車種です
- バン型
- タンク型
- 幌枠型
- コンテナ用
- 自動車運搬用
- あおり型
- スタンション型
- 船底型
44t = そのまま通行できる重量ではありません
経路によっては、44t未満でなければ通行できない場合もあります。
実際に通行できる重量は、橋梁や道路構造、軸重などによって変わります。経路によっては、
- 積載重量を減らす
- 徐行する
- 誘導車を配置する
- 橋梁で他車との同時通行を避ける
- 別の経路を選ぶ
といった対応が必要になることがあります。「特例8車種だから44tで申請すればよい」わけではありません。
分割可能な貨物でも許可対象になる
通常、貨物の特殊性を理由として特殊車両通行許可を受ける場合は、分割して運搬することが難しい貨物であることが重要になります。
一方、特例8車種には、分割可能な貨物を積載する場合でも、総重量44tを上限として特殊車両通行許可等の対象となる仕組みがあります。たとえば、バン型セミトレーラで一般貨物を運ぶ場合などです。
ただし、分割可能な貨物は積載量を調整できるため、44t以内なら軸重や輪荷重なども自由に超えられるわけではありません。総重量だけでなく、トラクタの駆動軸重、軸重、隣接軸重、輪荷重なども合わせて確認します。
駆動軸重11.5tを扱える車両もある
特例8車種のセミトレーラ連結車では、一定の条件を満たす2軸の認証トラクタについて、駆動軸重を11.5tまで扱える場合があります。
ただし、2軸トラクタならすべて11.5tまで認められるわけではありません。
エアサスペンションなど、所定の基準に適合した認証トラクタであることが必要で、それ以外の軸については10t以下が基本となります。積載量を決めるときは、総重量だけでなく各軸への重量配分も重要です。
特例5車種の種類
特例5車種は、車両の構造や用途によって5つに分かれます。
バン型セミトレーラ
箱型の荷室を持ち、雑貨・食品・精密機器などの輸送に使われます。申請では最遠軸距、総重量、軸重、第5輪荷重などが関係します。
タンク型セミトレーラ
液体や粉粒体を運ぶタンクを備えます。積載量によって総重量や各軸への重量配分が変わります。
幌枠型セミトレーラ
荷台の枠を幌などで覆った構造です。最遠軸距や実際の車両諸元をもとに申請重量を整理します。
コンテナ用セミトレーラ
コンテナ積載用の専用シャシです。、40ft背高国際海上コンテナ車の別制度とは分けて考えます。
自動車運搬用セミトレーラ
乗用車などを運ぶキャリアカーの連結車です。リアオーバーハングや積載車両の張り出しが関係します。
トラクタとトレーラの組み合わせも重要
同じトレーラを使っていても、連結するトラクタが変わると、
- 最遠軸距
- 第5輪荷重
- 駆動軸重
- 連結状態の総重量
などが変わることがあります。
特に特例5車種では、最遠軸距が総重量の最高限度に直接関係します。そのため、「トレーラが同じだから重量条件も同じ」とは限りません。
複数のトラクタとトレーラを運用する場合は、実際に使用する組み合わせを前提に申請内容を整理します。
44t以内でも最大積載量を超えてはならない
特殊車両通行許可で一定の総重量が認められていても、車検証に記載された最大積載量が増えるわけではありません。道路法上44tで通行できる条件が整っていても、車検証上の最大積載量を超えて貨物を積載すれば、過積載の問題が生じます。
特例8車種では、道路法上認められた通行重量と車検証上の最大積載量をそれぞれ満たす必要があります。
よくある質問
- 特例5車種と特例8車種は何が違いますか?
-
特例5車種は、バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の5車種です。これに、あおり型・スタンション型・船底型の3車種を加えたものが特例8車種です。特例5車種には道路種別と最遠軸距による総重量の最高限度の特例がありますが、追加3車種にはこの特例は適用されません。
- 特例8車種なら44tで通行できますか?
-
自動的に44tで通行できるわけではありません。44tは特殊車両通行許可等で扱う車両側の上限で、実際に通行できる重量は橋梁や道路構造、車両諸元などによって変わります。
- 特例5車種なら一般道路を27tで通行できますか?
-
最遠軸距によって変わります。その他の道路では、最遠軸距8m以上9m未満で24t、9m以上10m未満で25.5t、10m以上で27tが総重量の最高限度です。
- 追加3車種も分割可能な貨物を積んで許可を受けられますか?
-
一定の条件を満たせば対象になります。あおり型・スタンション型・船底型を含む特例8車種では、分割可能貨物についても総重量44tを上限として特殊車両通行許可等の対象となる仕組みがあります。
- 2軸トラクタなら必ず駆動軸重11.5tまで使えますか?
-
2軸というだけでは足りません。認証トラクタであることや、エアサスペンションなど所定の基準を満たすことが必要です。
まとめ
特例8車種は、バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の特例5車種に、あおり型・スタンション型・船底型を加えた8車種です。特例5車種には、通行する道路と最遠軸距に応じて、総重量24〜36tの最高限度の特例がありますが、追加3車種にはこの特例は適用されません。
一方、特例8車種では、分割可能な貨物についても総重量44tを上限として特殊車両通行許可等の対象となる仕組みがあります。44tはどの道路でも通行できる重量ではなく、実際に認められる重量や通行条件は、車両諸元と経路上の道路構造によって変わります。
特車制度全体は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特例8車種の特車申請でお困りならご相談ください
当事務所では、特例8車種の車両諸元、最遠軸距、積載重量、トラクタとトレーラの組み合わせ、通行経路をもとに、特殊車両通行許可の申請代行を承っています。車両と経路に応じた申請重量や通行条件を整理し、必要な手続きを進めます。

