キャリアカーの特車申請|車種別の申請要否と高さ計算・荷姿図の実務

上段・下段に乗用車を積載したセミトレーラ型キャリアカー(自動車運搬車)

キャリアカー(自動車運搬車)はローダー・単車(2段積み)・セミトレーラ型の3種類があり、車種と積載状態によって特車申請の要否が変わります。ローダーや単車は一般的制限値の範囲に収まるケースもありますが、セミトレーラ型は空車でも全長16.5mを超えることが多く、ほぼ確実に申請が必要です。

申請で誤りが集中するのは高さの計算とシステム入力の2点です。

高さは積載状態の実寸で算出し、車検証の数値をそのまま使えない入力項目が複数あります。荷姿図(積載・空車の2種類)の添付も必須で、これを省くと即座に差戻しになります。

目次

キャリアカーの車種と基本諸元

特車申請との関係を把握するには、まず車種ごとの諸元を確認します。

車種積載台数全長の目安特徴
ローダー1台〜8m程度単車ベース。整備工場での移動等に使用
単車(2段積み)2〜3台〜12m程度トラックベース。上段・下段に積載
セミトレーラ型5〜6台〜21m程度トラクタ+トレーラ。最大積載数が多い

セミトレーラ型は全長16.5mを超えることが多く、ほぼ確実に特車申請が必要です。ローダーは制限値内に収まる場合があります。

空車・積載それぞれの判断基準

キャリアカーの特車申請 要否判断フロー

走行時の積載状態は? 空車 積載あり 車種(空車の諸元)で判断 ローダー/単車 一般的制限値 (幅2.5m等)以内? はい 不要 いいえ 申請必要 セミトレーラ型 空車でも全長 16.5m超の場合あり 多くは必要 積載状態の諸元を計算 (※車検証の数値ではありません) 以下のいずれかを超える? 幅2.5m / 高さ3.8m 長さ12m / 総重量20t 超える 申請必要 以内 不要 申請時の重要ポイント ・荷姿図(積載時/空車時)の両方が必須 ・品名は「商品自動車」を選択すること ・最大寸法の車両を積んだ状態で申請 セミトレーラ型で全長18m超の場合 → 個別審査により許可まで数ヶ月必要
※注意点:
キャリアカーの高さ制限は、積載する車両の車高によって変わります。軽自動車ならOKでも、SUVやミニバンを積むと3.8m(または4.1m)を超えるケースが多いため、実測または計算による確認が不可欠です。

空車時の判断

空車状態(積載車両なし)での走行は、キャリアカー自体の車両諸元で判断します。車検証上の幅・高さ・長さ・総重量が一般的制限値(幅2.5m・高さ3.8m・長さ12m・総重量20t)の範囲内であれば、特車申請は不要です。

ただしセミトレーラ型は空車でも全長16.5mを超えることがあるため、空車走行でも申請が必要になります。

積載時の判断

積載状態での走行は、積載車両を含めた状態の諸元で判断します。車検証の数値ではなく、実際に車両を積んだ状態での高さ・幅・長さ・総重量を計算する必要があります。一般的制限値をひとつでも超えれば申請が必要で、キャリアカーで最も超えやすいのは高さと長さです。

最大寸法の車両を積んだ状態で申請するのが基本です。実際の積載が申請値以内であれば問題ありませんが、申請値を超える車両を積むと許可条件違反になります。

品名は「商品自動車」を選ぶ

入力編③(積載貨物情報の入力)で積載貨物を入力する際、品名の選択ミスが差戻しの原因になります。「その他」や「雑貨」を選ぶと差戻しです。分類で「車両(トラック/トレーラ積載)」を選び、品名で「商品自動車」を選択してください。

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包括申請の車種区分

複数車両をまとめて申請する包括申請を行う場合、単車とセミトレーラ型を1つのデータに混在させてはいけません。

特車申請システムでは、単車は「トラック」、連結車は「一般セミトレーラ(自動車運搬用)」と車種区分が厳密に分かれています。異なる区分を混在させて送信するとシステムエラーまたは差戻しになります。営業所に両方のキャリアカーがある場合でも、車種区分ごとに申請データを分けて作成・提出してください。

高さの計算と制限値

計算式

キャリアカーの高さ計算(要点まとめ)

地面(G.L) 下段車両 上段車両 床高 積載+架台高 全高(地面〜天井) 制限 3.8m 指定道路 4.1m
【計算式】 全高 = 荷台床高 + 下段車両高 + 架台 + 上段車両高
全高が3.8mを超えたら特車申請が必要です。SUVやミニバンの積載時は特にご注意ください。

積載時の高さ=荷台の床高(地上からキャリアカーの床面まで)+積載車両の高さ

単車・セミトレーラ型で上段に積む場合は、下段に積んだ車両の高さ分がさらに加算されます。上段に積んだ状態での全体の高さが3.8mを超えると特車申請が必要です。

具体例(低床セミトレーラ型)

  • 荷台床高(地上〜下段床面):約0.4m
  • 下段積載車両の高さ(例:SUV):約1.7m
  • 上段積載車両の高さ:約1.5m
  • 合計:0.4m+1.7m+架台分+1.5m = 3.8m前後

近年の車高が高いSUVやミニバンを積載するケースでは3.8m超になることが増えています。荷台床高はメーカーの諸元表または実測で確認します。目測での計算は数値がずれ、差戻しの原因になります。

荷姿図の要件

キャリアカーの特車申請には、積載状態と空車状態の荷姿図の添付が必要です。どちらか一方でも欠けると差戻しになります。

積載状態の記載項目

積載状態の荷姿図には次の内容を記載します。車両の側面図(積載車両を含む全体図)、地上から最高部までの高さ(mm単位)、前端から後端までの全長(mm単位)、全幅(mm単位)、積載車両の台数と上段・下段の配置、積載車両の車種・寸法(代表的なもの)。

空車状態の荷姿図には、空車時の高さ・長さ・幅を記載した側面図が必要です。

入手方法

荷姿図は車両メーカーまたは販売店から取得するのが確実です。メーカーによっては諸元表に荷姿図が含まれています。手書きでも差し支えありませんが、高さ・幅・長さの寸法(mm単位)が正確に記載されている必要があります。

積載車両が毎回異なる場合は、積載する可能性がある最大寸法の車両を積んだ状態で計算し、その諸元で申請します。

システム入力の注意点

差戻しの原因として件数が多いのが、セミトレーラ型の車両諸元入力です。複数の項目で車検証の数値をそのまま使うと差戻しになります。

トレーラの長さ

システムの「トレーラの長さ」欄に入力する数値は、車検証の長さではありません。「キングピン(トラクタとの連結部)からトレーラ最後部までの長さ+積載車両の後方へのはみ出し分」を計算して入力します。国交省のマニュアルでも赤字で警告されている項目で、準備編④(トレーラ車両諸元の入力)に詳しい手順があります。

トラクタの長さ

トラクタ側も車検証の数値をそのまま入力してはいけません。システムには「車両前面からカプラ(連結部)までの長さ」を入力するルールです。この2項目を間違えると連結全長の算定がずれます。入力編⑤(車両諸元の入力)の四面図等で数値を確認してから入力します。

リアオーバーハングとはみ出し長

積載車両のはみ出しを含めた全長が17mを超え18m以下となる場合、システム上で「リアオーバーハング」の寸法入力が必須です。入力する数値はトレーラの旋回中心(後輪車軸の中心等)から積載車両の最後端までの寸法で、荷姿図等で正確に測ります。この欄を空欄のまま申請するとエラーになります。

また、全体の長さ入力欄とは別に「はみ出し長(cm)」という専用の入力枠があります。全体の長さを正しく計算して入力しただけでは不十分で、この専用枠にも後方へのはみ出し寸法を入力する必要があります。空欄のまま送信すると、添付した荷姿図との不整合で差戻しになります。

全長18m超は個別審査

自動車運搬用セミトレーラは特例5車種に該当し、特車申請を行えば一般道でも条件付きで走行できます。ただし、システムで自動算定できるのは原則として17m(制限緩和車両で18m)まです。

18mを超えると道路管理者による個別審査となり、許可まで数か月かかることがあります。

積載重量と総重量

積載状態での総重量は「キャリアカー自体の車両重量+積載車両の合計重量」です。積載車両の重量は車検証の車両重量(または車両総重量)を使用します。

総重量が20tを超える場合も特車申請が必要です。セミトレーラ型で5〜6台積載するケースは合計重量が大きくなるため、積載前に計算しておく必要があります。重量超過に加え、軸重・輪荷重・隣接軸重の制限も合わせて確認します。

まとめ

キャリアカーの特車申請は、空車時はキャリアカー自体の諸元、積載時は車両を積んだ状態の諸元で申請の要否を判断します。ローダーや単車は不要なケースがありますが、セミトレーラ型は空車でも全長超過で申請が必要になることがあります。

高さの計算でミスが起きやすい理由は、荷台床高を目測で処理するケースが多いからです。荷台床高はメーカー諸元表または実測で数値を取り、SUVやミニバンなど車高の高い車両を積む場合は3.8m超になるかどうかを積載前に確認します。

申請時に差戻しを防ぐには3点を押さえます。積載・空車両方の荷姿図の添付、セミトレーラ型システム入力でのキングピンからの実寸とカプラまでの長さの計算、はみ出し長とリアオーバーハングの専用枠への入力です。

特車申請の制度・手続き・車種別対応の全体像は特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。

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よくある質問

積載する車種が毎回変わります。申請はどうすればいいですか?

積載する可能性がある最大寸法・最大重量の車両を積んだ状態の諸元で申請します。実際の積載が申請値以内であれば問題ありません。申請値を超える車両を積むと許可条件違反になります。

空車で走行する帰路も許可証が必要ですか?

空車時の諸元が一般的制限値以内であれば不要です。セミトレーラ型で空車でも全長が制限値を超える場合は、空車状態の諸元で別途申請が必要です。往路の許可証は積載状態の諸元で取得しているため、空車の帰路には使えません。

荷姿図は手書きでもいいですか?

手書きでも差し支えありません。高さ・幅・長さの寸法(mm単位)が正確に記載されていることが条件です。メーカーから入手できる場合はメーカーの諸元図を使うほうが確実です。

セミトレーラ型の全長が18mを超えます。申請できますか?

申請は可能ですが個別審査になります。道路管理者との個別協議が必要となり、許可まで数か月かかることがあります。工期がある場合は早めに申請に着手します。

最大積載高さで申請した場合、低い車両を積んで走ることはできますか?

走れます。申請した高さが上限値になるため、申請値以下の高さの車両を積んで走行することに問題はありません。

単車のキャリアカーで下段のみ積載の場合、特車申請は不要ですか?

下段のみの積載でも、積載状態の諸元が一般的制限値を超えれば申請が必要です。高さだけでなく、長さや総重量も確認します。全長12mを超える場合は特に注意が必要です。

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