古物営業をやめたら、古物商許可証を10日以内に警察署へ返納します。返す先は、主たる営業所(営業所が複数あるときの本店にあたる営業所)を管轄する警察署です。古物商許可には更新がないため、使わずに放っておいても期限切れで消えることはありません。
返納がいるのは廃業のときだけでなく、許可を受けた本人が亡くなったときや、会社が合併で消えたときも同じです。反対に、代表者の交代や営業所の移転なら、返納ではなく変更の届出で済みます。
この記事では、東京都で返納するときの期限・窓口・書類と、法人化や休業のときの考え方をまとめます。
返納が必要になるケース
許可証の返納が必要になるのは、次の5つのケースです。
| ケース | 返納する人 |
|---|---|
| 古物営業をやめた(廃業) | 許可を受けた本人・法人 |
| 許可を取り消された | 許可を受けた本人・法人 |
| 再交付を受けたあと、なくした許可証が見つかった | 許可を受けた本人・法人 |
| 許可を受けた本人が亡くなった | 同居の親族または法定代理人 |
| 法人が合併で消滅した | 合併後に残る法人、または合併でできた法人の代表者 |
廃業で許可証を返すと、その時点で許可の効力がなくなります。同じ許可番号のまま営業を再開する道は残りません。
再交付後に古い許可証が見つかったときの返納は、廃業とは意味が違います。許可は続いたまま、使えなくなった古い許可証だけを返す手続きです。見つけた許可証は手元に置かず、営業にも使わずに返納してください。
本人が亡くなったときの返納は、同居していた家族が担います。葬儀や相続の準備と時期が重なるため、許可証の保管場所を早めに探しておきましょう。
期限・提出先・必要書類
期限は10日以内で、東京都では主たる営業所の警察署へ、許可証と返納理由書を持っていきます。
期限は返納が必要になった日から10日以内
10日の期限は古物営業法施行規則に定めがあり、死亡や合併で家族や別の法人が返すときも同じ期限です。
廃業の日は、実際に古物営業をやめた日を指します。店舗を閉めたあともネットで中古品の仕入れや買取を続けているなら、営業はまだ続いている状態です。仕入れをやめて在庫の処分だけを続けるときに、どの日を廃業日とするかは公式の案内に明示がありません。返納の前に、主たる営業所の警察署へ相談してください。
提出先は主たる営業所の警察署
窓口は、主たる営業所を管轄する警察署の防犯係です。営業所を移して届出を済ませているなら、移転後の住所を管轄する警察署へ出すことになります。移転の届出を出していないときは、返納と一緒に移転の経緯も伝えてください。
返納に必要な書類
東京都で返納するときの書類は、次の3つです。
- 返納理由書(古物営業法施行規則の別記様式第9号)
- 古物商許可証
- 別記様式第6号その3(ホームページを使う取引でURL届出をしていた人だけ)
返納理由書には、許可証番号や許可を受けた日、返納の理由を書き込みます。手数料はかかりません。
家族や合併後の法人が返すときに、ほかの書類がいるかどうかは公式の案内に明示がないため、提出先の警察署との事前相談で確認します。
放置したときと廃業後の後始末
許可証を返さずに放っておくと罰則の対象になり、プレートや古物台帳の後始末も残ります。
放置したときの罰則
古物商本人や法人が、廃業などで必要になった返納を怠ると、10万円以下の罰金の対象です。死亡のときの同居の親族や、合併後の法人の代表者が返納しないときは、5万円以下の過料となります。何年も前に廃業したまま許可証が手元に残っているなら、廃業した時期と今の営業状況を書き出して、警察署へ相談しましょう。
古物商プレートの扱い
営業所に掲げていたプレート(古物商の標識)は、返納する書類に入っていません。警察へ返すのは許可証だけで、プレートは手元で処分する流れです。廃業後も掲げたままだと営業中に見えるため、店を閉めるときに外してください。
古物台帳の保存
古物台帳の保存期間は、最後に記載した日から3年間です。パソコンなどに記録しているなら、記録した日から数えて3年間となります。
廃業したからといって台帳をすぐに捨てず、最後の記載から3年間は手元に残しましょう。台帳をクラウドサービスで管理しているなら、解約する前にデータを書き出して保存してください。
法人化や相続があったとき
個人の許可は法人にも家族にも引き継げないため、新しい名義で許可を取り、元の許可証は返納します。
個人から法人へ切り替えるとき
法人として中古品を仕入れるには、法人名義の新しい許可がいります。会社を設立した日に、個人の古物営業が自動で終わるものでもありません。
法人の許可が下りるまでは、個人名義の古物営業を続けられます。この間、設立した法人の名義で中古品を仕入れたり買い取ったりすることはできません。先に個人の許可を返してしまうと、個人でも法人でも許可のいる仕入れができない期間が生まれます。
個人として営業する最終日と、法人として仕入れを始める日を分けて考えましょう。個人の許可証は、法人の許可が出て個人としての営業を終えた日から10日以内の返納となります。
親が亡くなったとき
古物商許可は本人に与えられた許可で、相続の対象になりません。店舗や在庫、屋号を引き継いでも、許可番号までは受け継げない仕組みです。
事業を続ける家族は、自分の名義で新しく許可を取ります。亡くなった親の許可証の返納と新しい許可の申請は、別々の手続きとして進めてください。
法人化に伴う許可の切り替えで
個人から法人へ切り替える場合は、法人名義で新しく古物商許可を取り、個人としての営業を終えたあとに元の許可証を返納します。営業を止める期間が生じないよう、法人申請と返納の時期をあわせてご相談いただけます。
返納しなくてよいケース
代表者や管理者の交代、営業所の移転、一時的な休業では、許可証を返納しません。
古物商許可は返納?変更届?休業?
古物営業そのものをやめるのか、許可を残したまま内容だけ変えるのかで手続きが分かれます。
営業そのものが終了する
- 古物営業を廃業した
- 許可を受けた本人が死亡した
- 法人が合併で消滅した
→ 許可証を返納
許可を受ける人・法人は同じ
- 法人の代表者が変わった
- 管理者が変わった
- 営業所を移転・増設・廃止した
→ 変更届・必要に応じて書換え
あとで営業を再開する予定
- 一時的に店を休む
- 仕入れ・販売をしばらく止める
- 許可自体は残しておく
→ 原則として返納手続きなし
※ 6か月以上続けて営業していない場合などは、許可取消しの対象になることがあります。休業と廃業のどちらにするか迷う場合は、返納する前に確認してください。
| 状況 | 必要な手続き |
|---|---|
| 法人の代表者が替わった | 変更届と許可証の書換え |
| 営業所の管理者が替わった | 変更届 |
| 営業所を移転した(他の都道府県への移転を含む) | 変更届 |
| 複数ある営業所のうち1店を閉じた | 変更届 |
| しばらく休業する | 手続きなし |
許可を受けた人や会社が同じなら、許可はそのまま続きます。変わったのが代表者や営業所なら、変更届で届け出た内容を直せば足ります。1店だけを閉じるときも古物営業全体の廃止にはならず、閉じた営業所についての変更届が必要です。
休業には返納の手続きがいりませんが、長く休むと別の決まりがかかわります。許可を受けて6か月以内に営業を始めないときや、6か月以上続けて休んで営業していないときは、許可の取消しの対象になるためです。
6か月を過ぎた瞬間に許可が自動で消える仕組みではありません。長く休むときは、取消しを受ける前に再開の見通しを立ててください。
廃業後に営業を再開するには
廃業で返納したあとに中古品の売買を再開するなら、新規で許可を取り直します。
返した許可証を戻してもらう手続きはありません。屋号や営業所、扱う品物が前と同じでも、初めて許可を取るときと同じ書類での申請となります。
近いうちに再開するつもりなら、返納の前に廃業なのか休業なのかを考え直しましょう。休業として許可を残せば、新規申請の手数料を払い直したり、審査を待ったりせずに再開できます。
よくある質問
- 返納の期限を過ぎてしまったら、どうすればいいですか?
-
期限を過ぎたまま返さずにいると、未返納の状態が続くだけです。実際に営業をやめた日と遅れた理由を書き出し、主たる営業所の警察署へ連絡してください。返納理由書の日付を、実際と違う日に合わせて書くのは避けましょう。
- 許可証をなくしてしまった場合も返納できますか?
-
許可証がないからといって手続きを後回しにせず、まず警察署へ連絡しましょう。紛失したときの書類の出し方は公式の案内で触れられていないため、その連絡で必要な書類を聞くことになります。なくした時期や場所を分かる範囲でメモしておくと、窓口での説明が短く済みます。
- 別居している子どもでも、亡くなった親の許可証を返せますか?
-
法律で返納する人と定められているのは、同居していた親族か法定代理人です。別居の親族が代わりに出せるかどうかは公式の案内に明示がないため、提出先の警察署へ前もって問い合わせましょう。亡くなったことが分かる書類を持っていくかどうかも、その際にあわせて聞いておくと手続きが一度で済みます。
- 取消しの手続き中に、先に廃業して返納すれば済みますか?
-
許可の取消しに向けた聴聞の日時が公示されたあとに廃業で返納すると、相当な理由がない限り新しい許可を受けられません。期間は返納した日から5年間で、古物商許可の欠格事由にあたります。取消しを受けたときと同じく、再取得の道がしばらく閉ざされる結果になります。
まとめ
古物営業をやめたら、許可証は返納が必要になった日から10日以内に、主たる営業所の警察署へ返納します。書類は返納理由書と許可証で、URL届出をしていた人は変更の届出書も添えます。手数料はかからず、返さないまま放っておくと罰金の対象です。廃業後もプレートは外し、古物台帳のデータは解約前に残しておきましょう。
個人の許可は法人にも家族にも引き継げないため、法人化や相続のときは新しい名義で許可を取り、元の許可証を返納します。法人化では、法人の許可が出るまで個人の許可を残し、個人としての営業を終えてから返す流れとなります。代表者や管理者の交代、営業所の移転は変更届で足り、休業にも返納はいりません。6か月以上の休業は取消しの対象になり、廃業で返納したあとの再開は新規申請です。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の法令・公式情報を参考にしています。
古物商許可の返納でお困りならご相談ください
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法人の古物商許可が必要な場合は、個人の許可を返納する時期の判断から法人名義の申請まで、リユース業界で10年以上、買取の実務に携わってきた行政書士がサポートします。

