古物商許可は、行政書士に頼まなくても、自分で警察署へ申請して取得することができます。東京都では、主たる営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係が窓口です。
申請書の作成では、記入より先に営業所と名義が決まっていないと、書類の取り直しになります。本籍地の役所へ請求する身分証明書のように、集めるだけで日数がかかる書類も含まれます。
この記事では、東京都で新規に申請する場合を中心に、準備から審査期間までを順に解説します。
申請の流れ
申請から営業の開始までは、次の6段階で進みます。
- 営業の形を整える(営業所、管理者、名義、取扱品目)
- 公的書類を集める
- 申請書、略歴書、誓約書を書く
- 警察署へ提出して、手数料を納める
- 審査を待つ
- 許可証を受け取り、営業の準備に入る
書類の請求先は、役所や法務局ごとに分かれます。途中で名義や営業所が変わると、書類を集め直す箇所が出ます。1番を終えてから2番に進んでください。
申請前に決めておくこと
記入内容は、営業所と管理者、名義、取り扱う品目、欠格事由の4点で決まります。書類集めは、この4点のあとに始めましょう。
営業所と管理者
営業所の条件に合えば、自宅でも申請できます。賃貸物件やマンションを使う場合は、賃貸借契約書や管理規約(マンションの住まい方を決めたルール)に事業利用の禁止が書かれていないか、先に読んでおきましょう。
使用承諾書は、東京都の基本の添付書類に入っていません。賃貸物件の扱いは公式の案内に書かれていないため、申請先の警察署へ事前に相談してください。
管理者は、営業所ごとに1人を置きます。古物商が自分で兼ねることもできます。条件は、営業所に常勤して管理者の仕事にあたれることです。管理者が決まっていない、営業所に勤務していないといった状態では、許可が下りません。
個人名義か法人名義か
個人事業として始めるなら個人名義、会社で営業するなら法人名義で申請します。
個人で取得した許可証は、会社に引き継げません。個人から法人へ名義を書き換える手続きもないため、会社を設立したあとに、新規で取り直すことになります。法人化する予定があるなら、設立後に申請すれば、手数料19,000円を二重に払わずにすみます。
取り扱う品目
古物は13品目に分かれています。申請書には、営業所で扱う品目を選び、その中から売上の中心になる「主として取り扱う古物」を1つ指定します。
仕入れと販売の予定を書き出して、扱う商材がどの区分に入るかを先に見当をつけましょう。
欠格事由
古物営業法には、許可を受けられない条件(欠格事由)が定められています。破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない人や、一定の刑罰を受けてから決められた期間がたっていない人などが対象です。
法人では役員についても欠格事由が審査され、管理者にも就任できない条件があります。書類集めの前に、取得要件と欠格事由を読んで、本人と役員、管理者に当てはまる条件がないか調べましょう。
個人・法人の必要書類
東京都の新規申請で出す書類は、次のとおりです。
| 書類 | 個人申請 | 法人申請 |
|---|---|---|
| 許可申請書 | 必要 | 必要 |
| 略歴書 | 本人・管理者 | 役員全員・管理者 |
| 住民票の写し(本籍記載) | 本人・管理者 | 役員全員・管理者 |
| 誓約書 | 本人・管理者 | 役員全員・管理者 |
| 身分証明書 | 本人・管理者 | 役員全員・管理者 |
| 定款 | 不要 | 必要 |
| 登記事項証明書 | 不要 | 必要 |
| URLの使用権限を示す資料 | 該当者のみ | 該当者のみ |
外国籍の方は、国籍などが記載された住民票を出します。
身分証明書の請求先
身分証明書は、運転免許証やマイナンバーカードのことではありません。本籍地の市区町村から交付を受ける公的な書類で、破産手続開始の決定を受けていないことなどが書かれています。
本籍地が遠方なら、郵送で請求することになります。往復の日数がかかるため、書類集めは身分証明書から始めましょう。住民票は、本籍が記載され、マイナンバーの記載が省略されたものを請求します。
法人の役員分
法人申請では、非常勤の役員や監査役も含めた役員全員の住民票、身分証明書、略歴書、誓約書が必要です。定款と登記事項証明書も添付します。
役員が多い会社ほど、書類の収集に日数がかかります。各役員への請求の依頼は、早めに済ませましょう。
ネット販売とURLの資料
ホームページを使って古物を取引するなら、URLの届出が必要です。URLを使う権限があることを示す資料(疎明資料)も添付します。独自ドメインのホームページでは、WHOIS(ドメインの登録者を調べる仕組み)の情報などが資料になります。
フリマアプリやモールの出品ページのURLを届け出るかどうかは、公式の案内に書かれていません。申請先の警察署へ事前に相談してください。許可のあとにURLを追加するなら、変更届を出します。
書類集めと
書類集めに入る時点で、役所への請求と申請書の準備を並行して始めることになります。本籍地が遠方の場合や役員が多い法人の書類集めも含めて、当事務所へご相談ください。
申請書の書き方
申請書は、警察署の様式に沿って書きます。様式は「申請届出様式等一覧」に載っています。略歴書と誓約書も、決められた様式への記入が必要です。
書く主な項目は、次のとおりです。
- 住所・氏名(法人は名称、所在地、役員)
- 営業所の名称と所在地、管理者
- 取扱品目と、主として取り扱う古物
- 行商の有無
- URLの使用状況
ここまでの準備が、そのまま記入内容になります。
「行商の有無」の欄は、営業所の外での取引を予定しているかどうかで選びます。行商(営業所の外で古物を取引すること)には、次の4つが含まれます。
- 古物市場での古物商どうしの取引
- 相手の自宅での売買
- 展示即売会での販売
- 仮設店舗での売買
出張買取や古物市場での仕入れを予定しているなら、「行商する」を指定しましょう。
警察署への提出と審査期間
書類がそろったら、主たる営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係へ持参します。自宅の住所地ではなく、営業所の所在地を受け持つ警察署が窓口です。
手数料は19,000円で、警察署で納めます。窓口で不備を指摘されると、その日は受理されません。修正して出し直すことになるため、提出の日時は事前に電話で伝えておき、申請書類のコピーも1部とっておきましょう。
標準処理期間(審査にかかる目安の日数)は、東京都の審査基準で40日です。受理された日から数え、土日祝日や年末年始などの行政庁の休日は含みません。実日数では約2か月を見込んで、開業の日程を組みましょう。
許可の連絡が入ったら、警察署の窓口で許可証を受け取ります。営業を始める前に、次の3つを準備しましょう。
非対面取引の本人確認:郵送買取やネット仕入れをするなら、非対面取引(郵送のように顔を合わせない取引)の本人確認の方法を用意するを確認しておきましょう。
標識(プレート)の掲示:決められた様式の標識を、営業所の入口など、通りから見やすい場所に掲げる
古物台帳の準備:取引のたびに記録できるよう、古物台帳の書き方に沿って項目をそろえる
自分で申請するか、専門家に頼むか
営業の形がシンプルで、平日の昼間に役所や警察署へ行く日程がとれるなら、自分で申請できます。
次のような状況では、行政書士への依頼が現実的な選択肢です。
- 役員が複数いて、公的書類の収集が追いつかない
- 賃貸物件の契約関係で、警察署との事前調整に不安がある
- 遠方の本籍地へ郵送で請求する時間がない
当事務所では、書類の収集だけ、申請書の作成だけといった範囲でも依頼を受けています。途中まで自分で準備した段階からの引き継ぎも可能です。
よくある質問
- 古物商許可の申請手数料はいくらですか?
-
東京都の新規申請手数料は19,000円です。警察署の窓口で納付します。このほか、住民票や身分証明書などを取得するための役所手数料が実費としてかかります。
- 身分証明書は運転免許証のことですか?
-
違います。古物商許可で提出する身分証明書は、本籍地の市区町村役場が発行する公的証明書です。運転免許証やマイナンバーカードとは別の書類を用意してください。
- 賃貸物件でも営業所にできますか?
-
賃貸マンションやアパートであっても、古物営業の拠点として使用できる状態であれば営業所に指定できます。ただし、賃貸借契約書や管理規約で事業利用が禁止されていないか事前の確認が必要です。
- 会社員でも個人名義で古物商許可を取得できますか?
-
申請できます。会社員だからといって許可が取れない決まりはありません。欠格事由に当てはまらず、営業所や管理者の条件が揃っていれば問題なく申請できます。ただし、会社の副業規定については事前に社内で確認しておきましょう。
- 途中まで自分で準備してから行政書士に依頼できますか?
-
依頼できます。必要書類を一部集めた段階や、申請書の作成途中で止まってしまった場合など、状況に合わせて引き継ぐことが可能です。
まとめ
申請は、営業所、管理者、名義、取扱品目を先に決めてから、公的書類を集めます。この順番なら、書類の取り直しが減ります。個人と法人では必要書類の範囲が大きく変わり、法人は役員全員の書類がそろわないと提出できません。ネット販売を予定しているなら、URLの使用権限を示す資料も加わります。
提出先は営業所の所在地を管轄する警察署で、手数料は19,000円です。標準処理期間は行政庁の休日を除いて40日のため、開業の目標日から逆算して日程を組んでください。書類集めが追いつかないときは、途中からでも行政書士に引き継げます。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の警視庁の公表情報を参考に作成しています。
古物商許可の申請でお困りならご相談ください
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