営業所を設けて古物商許可を申請するときは、営業所ごとに管理者を1人選びます。個人事業主なら自分がなれますし、会社でも代表者や役員に限らず、店舗を任されている従業員を管理者にしてもかまいません。
資格や試験はいりませんが、ふだん営業所にいて、仕事を任せられる人に限られます。申請書に名前を貸すだけの人は、管理者にできません。
管理者の役割と責任
管理者は、営業所の古物営業の取りまとめ役です。買取のときの本人確認、古物台帳への記録、盗品などの疑いがあるときの警察への申告の3つが、古物商の三大義務です。手を動かすのは従業員でもよく、管理者はそれが漏れなくできているかをつかんで、必要な指示を出します。
許可を受けた本人や会社の責任は、管理者を置いてもそのまま残ります。管理者になった人が許可をもらえるわけでもないので、その人が自分の商売で中古品を売り買いすることはできません。
誰を管理者にできる?
事業主本人、役員、従業員、家族の誰でも、営業所の仕事を任せられる人なら管理者になれます。
個人事業主は自分を管理者にできる
個人で許可を取って自宅や店舗1か所で営業するなら、自分が管理者を兼ねられます。管理者のために人を雇う必要はありません。一人で始めるなら、申請書の管理者欄にも自分の名前を書きます。
法人代表者が自動的に管理者になるわけではない
会社だからといって、社長を管理者にする必要はありません。肩書きより、ふだん誰が店舗を回しているかで考えましょう。社長が自分で店舗を切り盛りしているなら、社長が管理者になれます。日々の買取や従業員の管理を店長に任せているなら、店長を管理者にした方が実態に合います。
家族を管理者にすることもできる
夫や妻、親族でも、欠格事由にあたらず営業所にいられる人なら管理者にできます。自分が営業所に出られないからといって、家族の名前だけを借りるのはやめましょう。家族に任せるときも、取引の中身や従業員の仕事をその人が把握できていなければ、管理者にはなれません。
ネット販売だけでも管理者は必要
メルカリShopsやBASE、自社サイトだけで売る場合でも、営業所を設けて営業するなら、管理者を置かないと申請できません。自宅を営業所にして一人でやっているなら、自分を管理者にして申請できます。
管理者になれない人
18歳未満の人は管理者になれません。古物商許可の欠格事由にあたる人も同じで、破産して復権していない人や、一定の刑を受けてから5年たっていない人などが入ります。
罰金刑は、窃盗や古物営業法違反など、法律で挙げられた罪で受けたときだけ欠格事由になります。交通違反などの罰金なら、管理者になるさまたげにはなりません。
常勤と兼任の考え方
条件は、営業所に常勤できることです。店舗どうしが近ければ、1人で2店舗の管理者を兼ねることもできます。
管理者は営業所に常勤できる人を選ぶ
解釈運用基準では、管理者はそれぞれの営業所に常勤し、管理の仕事ができる状態でなければならないとしています。会社員や副業の人でも、管理者になれないとは決まっていません。ただし、ほかの会社でフルタイムで働いていて、営業所にほとんど顔を出せないなら、常勤とはいえません。当事務所では、書類を作る前に、管理者にする人の勤務先や働く時間帯を伺っています。
複数の営業所を一人で兼任できる場合もある
1店舗に1人の管理者を置くのが原則です。ただ、店舗どうしが近く、1人で両方の従業員に指示を出せるなら、兼任が認められます。東京と大阪のように離れた店舗を1人で受け持つのは、両方を管理できる状態とはいえません。近い店舗どうしでも、両方に目が届かない勤務のしかたなら同じです。
兼任で申請するときは、店舗の場所、営業時間、管理者の勤務のしかたを書き出して、申請先の警察署へ前もって相談しておきましょう。
管理者選びと
営業所の場所が決まった時点で、管理者の人選と申請書類の準備を並行して始めることになります。本業を続けながら管理者になれるか、2店舗目も同じ人に任せられるかも含めて、当事務所へご相談ください。
管理者に3年の実務経験は必須?
3年の実務経験がなくても、管理者にはなれます。3年という数字は古物営業法施行規則に出てくるもので、自動車やバイク(原付を含む)を扱う営業所だけの話です。こうした営業所では、車台番号の打ち直しなどを見抜く知識を管理者に身につけさせるよう、古物商が努めることになっています。その知識の目安が「その仕事に3年以上たずさわった人が普通に持っている程度」です。
努力義務なので、申請のときに3年の職歴を聞かれることはありません。解釈運用基準も、3年働いていなくても同じくらいの知識があればよいとしています。講習を受けたり、先輩から教わったりして身につけてもかまいません。
自動車やバイクを扱うなら、13品目のどの区分で申請するかとあわせて、管理者の勉強の計画も立てておきましょう。
管理者の申請に必要な書類
東京都で新しく申請するときは、管理者についても次の書類がいります。
| 書類 | 中身 |
|---|---|
| 略歴書 | 管理者本人の経歴 |
| 住民票の写し | 本籍が載っているもの(外国籍の方は国籍等が載っているもの) |
| 誓約書 | 管理者用の様式 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村が発行するもの |
身分証明書は、運転免許証やマイナンバーカードのことではありません。本籍地の市区町村役場で出してもらう証明書で、郵送でも取り寄せられます。
個人で申請する本人や会社の役員が管理者を兼ねる場合でも、誓約書は管理者用も別に必要です。略歴書や住民票の写し、身分証明書は同じ人の分が重なるので、何部出せばよいかは申請先の警察署に前もって聞いてください。
管理者が退職・交代した場合は変更届を出す
管理者が辞めたり異動したりしたら、後任を選んで変更届を出します。辞めた人の名前のまま営業を続けることはできません。
期限は、代わった日から14日以内です。古物営業法で決まっている期限なので、東京都以外でも同じです。退職日が先に分かっているなら、辞めてから後任を探すのではなく、候補の人と書類を早めに用意しておきましょう。
届出には、新しい管理者の略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書を付けます。別の営業所ですでに管理者をしている人を回すときは、これらの書類を省けます。出す先は営業所のある地域の警察署で、手数料はかかりません。
許可を受けた人や会社が変わらないなら、管理者が代わっても許可を取り直す必要はありません。一方、個人事業から法人に切り替えるときは許可を受ける人が変わるので、会社として新しく許可を取ります。
よくある質問
- 管理者が決まっていなくても申請できますか?
-
できません。申請書には営業所ごとに管理者の名前と住所を書き、その人の略歴書や誓約書なども付けるからです。人が見つからないうちは、まず自分や役員が兼ねられないかを考えてみてください。
- 管理者の住所や氏名が変わったときも届出はいりますか?
-
いります。引っ越しや結婚で住所や名字が変わったときも変更届が必要で、本籍の載った新しい住民票の写しを付けて14日以内に出します。
- 許可証に管理者の名前は載りますか?
-
載りません。管理者は許可証に書かれる項目ではないので、交代しても許可証の書換えはなく、変更届だけで済みます。
- 申請中に、管理者にする予定だった人が辞めたらどうなりますか?
-
すぐに申請先の警察署へ連絡してください。後任の人の書類を出し直すことになります。申請をそのまま続けられるかは公式の案内に書かれていないため、進め方は警察署と相談して決めます。
- 管理者を社外の人に頼むことはできますか?
-
社外の人は、営業所に常勤していない限り管理者になれません。月に何回か来るだけの顧問や、申請書類づくりを頼んだ専門家も同じです。ふだん営業所で取引に立ち会っている人から選びましょう。
まとめ
古物商の管理者は、営業所の仕事が法律どおりに回るよう従業員をまとめる人です。個人事業主本人のほか、会社の代表者、役員、従業員、家族も管理者になれます。資格はいりませんが、名前を貸すだけの登録はできず、18歳未満の人や欠格事由にあたる人もなれません。3年の実務経験は、自動車やバイクを扱う営業所での努力目標にとどまります。
営業所ごとに1人を選び、その営業所に常勤できることが条件です。近い店舗どうしで兼任したいときは、申請前に警察署へ相談してください。申請のときは略歴書、住民票の写し、管理者用の誓約書、身分証明書をそろえ、管理者が代わったら14日以内に変更届を出しましょう。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。
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