古物商許可の申請先は警察署で、開業届の提出先は税務署です。警察署に出す添付書類に開業届の控えは含まれていないため、開業届を出す前でも古物商許可の申請を進められます。
2つの手続きは、目的も期限もそれぞれ決まっています。開業届を出しても中古品の売買は始められず、古物商許可を取っても税務署への届出は済みません。
この記事では、東京都で個人として古物商許可を取る場合を中心に、開業届との関係、必要書類と費用、自宅営業所や屋号の扱い、法人化したときの注意点まで順に解説します。
個人でも古物商許可を取得できる
古物商許可は、個人でも法人でも申請できます。個人で中古品の買取や販売を始めるなら、本人名義での申請です。許可を取るために会社を作る必要はありません。
会社員の副業でも、手続きは同じです。欠格事由に当てはまらず、営業所と管理者の条件を満たしていれば、個人として許可を受けられます。勤務先の副業規定は警察の審査対象外なので、社内で副業が認められているかどうかは申請前に就業規則を読んでおいてください。
自分で使っていた不用品を売るだけなら、通常は許可はいりません。一方、転売目的で中古品を仕入れる場合は許可が必要になります。
古物商許可と開業届の違い
(1月16日以後の開業は開業から2か月以内)
2つの手続きは、提出先も目的も異なります。
| 手続き | 目的 | 提出先 |
|---|---|---|
| 古物商許可申請 | 古物営業の許可を受ける | 主たる営業所を管轄する警察署(公安委員会あて) |
| 開業届 | 事業を始めたことを税務署に知らせる | 納税地を所轄する税務署 |
| 青色申告承認申請 | 所得税の青色申告の承認を受ける | 納税地を所轄する税務署 |
個人の古物商許可申請の基本添付書類に、開業届は入っていません。開業届を出していないことを理由に申請を断られることはなく、どちらを先に進めても差し支えありません。
開業届の提出期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までです。以前は「開業から1か月以内」とされていたため、古い情報には注意してください。
青色申告承認申請書は、開業届とは別に期限が決まっています。原則はその年の3月15日まで、1月16日以後に事業を始めた場合は開業日から2か月以内です。どちらの期限も起点は事業を始めた日で、古物商許可の申請日や許可日から数えるものではありません。
中古品の販売では、仕入代金のほか、梱包資材費、送料、古物市場の参加費といった支出が日々出ていきます。古物商としての記録とは別に、税務申告用の領収書の保管や記帳も早めに準備しておきましょう。
自宅を営業所にする場合
自宅も営業所として申請できます。営業所の要件は、古物の保管や帳簿の管理など、古物営業の拠点として実際に使える場所であることです。
賃貸物件の場合、事業に使ってよいかは賃貸借契約書の内容で決まり、マンションなら管理規約の制限も関わります。賃貸借契約書や大家の使用承諾書は、個人申請の基本添付書類に含まれていません。事業利用の条件は貸主との契約で決まるため、申請書類の準備とは並行して進めます。
営業所ごとに管理者を1人置く決まりですが、個人事業主本人が兼務できます。
個人申請の必要書類
東京都で個人が申請する場合、基本の添付書類は次のとおりです。
- 略歴書
- 本籍が記載された住民票の写し
- 誓約書
- 身分証明書
- URLの使用権限があることを疎明する資料(該当する営業形態のみ)
これらは申請者本人だけでなく、営業所の管理者の分も必要です。本人が管理者を兼ねる場合でも、誓約書は申請者用と管理者用の2種類をそろえてください。
身分証明書は運転免許証のことではなく、本籍地の市区町村役場で発行される公的書類です。以前求められていた「登記されていないことの証明書」は、現在は提出不要となっています。
ホームページを使って中古品を販売する場合は、そのURLを届け出ます。該当する営業形態では、URLを使う権限があることを示す資料も添付します。資料の形式は一律ではなく、独自ドメインならWhois情報、モール型のサービスなら管理画面の印刷物や登録完了の通知など、使うサービスによって変わります。
書類の準備と
営業所と管理者が決まった時点で、住民票や身分証明書の取得と申請書の作成を並行して始めることになります。自宅を営業所にする場合や、ネット販売でURLの資料が必要かどうかの確認も含めて、当事務所へご相談ください。
申請費用と審査期間
東京都で新規に申請する場合、警察署で納める手数料は19,000円です。申請が受理された時点で納めるため、取り下げや不許可になっても返還されません。これに加えて、住民票や身分証明書の発行手数料などの実費がかかります。法人申請で必要な定款や登記事項証明書は、個人申請では不要です。
東京都公安委員会の標準処理期間は40日と定められています。この日数には休日が含まれないため、暦の上では申請から2か月近くかかる計算です。書類の補正があれば、許可までさらに延びます。開業予定日から逆算して、早めに申請しましょう。
個人で申請する流れ
個人申請は、次の5段階で進みます。
- 営業所と管理者を決める:物件の利用条件を把握し、管理者を定める
- 取り扱う品目と販売方法を選ぶ:13品目のどれを扱うか、ネット販売をするかを決める
- 書類をそろえる:本籍地から身分証明書を取り寄せ、申請書と添付書類を作る
- 警察署へ申請する:主たる営業所を管轄する警察署の防犯係に提出し、手数料を納める
- 許可証を受け取る:公安委員会の許可が下りたら、警察署で許可証を受け取って営業を始める
申請書を出した日から買取を始めることはできません。古物営業を始められるのは、許可を受けて許可証を手にしてからです。
屋号を使っても許可は本人名義
個人事業では「○○リユース」「○○商店」などの屋号を使う方も多くいます。屋号で営業すること自体は自由ですが、許可を受けるのは事業主個人です。
屋号を変えても、古物商許可を取り直す必要はありません。ただし、屋号を営業所の名称として届け出ている場合、その名称を変更するときは、変更日の3日前までに変更届を提出します。
特に気をつけたいのが、ネット販売での表示です。ホームページを使って古物を取引する場合、「許可をした公安委員会の名称」「許可証の番号」「氏名」をサイト上に表示しなければなりません。屋号だけの表示では足りないため、本名を載せられる場所を事前に用意しておきましょう。
許可後の準備
許可証を受け取れば、あとは売買を始めるだけとはいきません。営業所への標識の掲示、買取時の本人確認、古物台帳への記録は、許可を受けた古物商の基本的な義務です。
対面せずに買い取る場合は、法令で決まった非対面の本人確認方法に従います。ネット販売を後から始めるときは、その時点でURLの届出が必要です。古物台帳と税務上の帳簿は別々に付けるため、どの様式で記録するかは許可申請の間に決めておきましょう。
法人化しても許可は引き継げない
個人で取った古物商許可は、会社を設立しても法人名義に書き換えられません。法律上、個人と会社は別の人格として扱われるためです。
代表者、営業所、取扱品目が同じでも、会社として中古品を売買するなら法人で新たに古物商許可を取る必要があります。手数料19,000円も改めて納めることになります。個人として古物営業をやめる場合は、個人の許可証の返納も忘れずに行ってください。法人化の時期が決まっているなら、個人で先に取るか、会社設立後に申請するかをスケジュールに合わせて検討しましょう。
よくある質問
- 開業届を出していなくても古物商許可は取れますか?
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取れます。開業届は警察署に出す基本添付書類に入っていないため、税務署の手続きとは別の日程で進められます。
- 屋号が決まっていなくても申請できますか?
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屋号がなくても申請は受け付けられます。個人の許可は本人名義で出るため、屋号は許可の条件になりません。申請書の営業所の名称欄は、未定であれば空欄のまま進められます。
- 個人で取得した古物商許可を法人名義へ変更できますか?
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変更はできません。代表者が同じでも個人と法人は別の主体なので、法人で古物営業をするなら法人名義で新たに許可を取ります。
- 許可申請をしたらすぐ営業を始められますか?
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営業を始められるのは、許可を受けて許可証を受け取ってからです。東京都の標準処理期間は休日を除いて40日です。
- 会社員でも個人で古物商許可を取れますか?
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会社員であることは欠格事由に当たりません。営業所と管理者の条件を満たしていれば、個人として許可を受けられます。
まとめ
個人事業主は、会社を作らなくても本人名義で古物商許可を取れます。開業届は古物商許可の添付書類ではないため、税務署の手続きを待たずに警察署への申請を進めて構いません。開業届は確定申告期限まで、青色申告承認申請は原則3月15日まで(1月16日以後の開業なら2か月以内)と、税務の期限は古物商許可とは別に動きます。
申請前には、営業所と管理者、取り扱う品目、ネット販売の有無を決め、住民票や身分証明書などの書類をそろえます。東京都の手数料は19,000円、標準処理期間は休日を除いて40日です。屋号を使う場合もネット上には本名の表示が必要で、法人化した際は法人名義で許可を取り直すことになります。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の公的機関の情報を参考に作成しています。
個人の古物商許可申請はご相談ください
個人の申請でも、営業所の条件、管理者の書類、URLの資料など、申請書以外に決めることが多くあります。当事務所では、質店の運営に10年以上携わってきた実務経験をもとに、書類の作成から警察署への提出までを代行しています。

