個人で持っている古物商許可は、会社(法人)を作っても引き継げません。会社として中古品を仕入れて売るなら、法人名義で新しく許可を取り直すことになります。
代表者が同じ人で、店舗も屋号も扱う商品も変わらない場合でも結論は同じです。個人と会社は別の営業主体という位置づけで、許可も営業主体ごとに受けます。
日程は、会社の設立日、会社の許可を申請する時期、営業を会社へ移す日、個人の許可証を返す日まで一続きで考えましょう。この順番を先に決めておけば、営業を止めずに会社へ移れます。
個人の許可は会社へ引き継げない
会社の名義へ個人の古物商許可を移す手続きは、用意されていません。
代表取締役に個人事業主本人が就いても、その許可で営業できる主体は個人のままです。たとえば個人で古着店を営んでいた人が株式会社を作り、以後は会社が仕入れと販売をするなら、会社として新しい許可が必要です。
ひとりで設立した合同会社も同じ扱いとなります。実際に動く人が変わらなくても、法律上は個人と会社が別の当事者になるからです。
すでに許可を持っている会社が社名や代表者を変える場合は、話が変わります。会社そのものは同じなので、新規の申請ではなく変更届の手続きです。許可証に書かれた内容が変わるなら、書き換えの申請もあわせて出しましょう。
会社を作る前に決めておくこと
設立の前に、会社でどんな古物営業をするかを詰めておけば、登記の後すぐ申請書を作れます。個人のときと同じ内容で続けるのか、変える点があるのかを書き出しておきましょう。
書き出す中身は、扱う品物の区分、営業所の場所、管理者を誰にするか、ネット販売を続けるかどうかの4つです。管理者は代表者が兼ねてもかまいません。
定款の目的をどう書けばよいかは、公式の案内に明示がないため、申請先の警察署との事前相談で確認します。古物の売買を設立前に目的へ入れておけば、あとで定款を変える手続き(株主総会の決議と変更登記)を省けます。
借りている物件を営業所にしていて契約が個人名義なら、会社で使うことが契約の範囲に入るかを先に貸主へ問い合わせてください。借りている人と実際に使う人が変わるため、個人のときの条件がそのまま通るとは限らないからです。貸主の使用承諾書が必要になるかどうかも、この時点でめどをつけておきましょう。
法人名義で申請し、許可を待つ
登記が済んだら、法人名義で新しく古物商許可を申請します。個人のときの許可番号は使えず、申請手数料19,000円も改めてかかります。
法人の申請には、定款の写しと登記事項証明書が欠かせません。役員全員と管理者については、それぞれ略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書(本籍地の市区町村が出す証明書)をそろえます。監査役を置く会社は、監査役の分も必要です。役員のうちひとりでも欠格事由にあたると、会社として許可を受けられません。
ホームページやネットショップで古物を売るなら、申請書にそのURLを書き、URLを使う権限を示す資料も添えてください。
許可が出るまでは、会社として中古品を買い入れることもできません。売るのは許可の後だからと会社名義で先に在庫を仕入れても、買い入れた時点で古物営業にあたります。東京都の標準処理期間は40日で、行政庁の休日は日数に含まれません。申請から許可まで一定の期間がかかるため、その間は会社として古物営業を始められない前提で日程を組みましょう。
審査中は個人の許可で営業を続ける
審査を待つ間も、取引の当事者が個人のままなら、個人の許可で営業を続けられます。形だけ個人の許可を残し、実際の取引はすでに会社へ移っている状態は、個人の許可の範囲から外れます。
| 項目 | 会社の許可が出るまで | 会社の許可が出た後 |
|---|---|---|
| 仕入れの名義 | 個人 | 会社 |
| 販売ページの許可の表示 | 個人の許可の内容 | 会社の許可の内容 |
| 請求書・領収書の発行者 | 個人 | 会社 |
| 売上を受け取る口座 | 個人の口座 | 会社の口座 |
販売の主体が会社なのに個人の許可番号を出したままにすると、会社は許可のないまま営業していることになります。会社の許可が出て、会社として営業を始める時点で、販売ページや許可情報の表示も会社名義へ切り替えます。
在庫を会社へ移す方法のうち、会社が個人から買い取る形なら、会社の許可が出た後に行います。ほかの仕入れと同じく、本人確認や記録の対象です。移すときの値段や税金の処理は税理士に相談し、台帳と会計の数字がずれないようにしてください。
審査中の営業と
会社を設立した時点で、法人名義の許可申請と、個人から会社へ営業を移す準備を並行して始めることになります。審査中にどこまで個人の名義で取引を続けるか、在庫をいつ会社へ移すかも含めて、当事務所へご相談ください。
許可が出たら名義を移し、個人の許可証を返す
許可が出たら、販売ページや契約の名義を会社へ移し、個人の営業をやめた日から10日以内に個人の許可証を返します。
自社のネットショップでは、特定商取引法の表示と古物の許可の表示を、会社の内容に書き換えます。許可の表示は、会社の名称、許可をした公安委員会の名称、12桁の許可証番号を、取り扱う品物の情報とあわせて載せる形です。
BASEやヤフオクのような外部サービスは、個人のアカウントを会社へ変えられるかどうかが規約ごとに異なります。許可を待つ間に手順を調べておけば、許可が出てすぐ切り替えに入れます。許可の後で別のURLを使って売り始めるときは、そのURLの届出も必要です。
返す期限の起点は、会社を設立した日ではなく、個人として古物営業をやめた日です。その日から10日以内に、主たる営業所を管轄する警察署へ許可証と返納理由書を提出します。URLの届出をしていた場合は、その廃止に関する書類も必要です。会社の許可より先に個人の営業をやめると、許可が出るまで古物を仕入れられなくなります。
法人で古物営業をする準備を始める
個人の許可は会社へ引き継げない
仕入れ・販売とも個人名義のまま続ける
販売ページ・口座・在庫などを会社名義へ移す
個人として古物営業をやめた日が起点
10日以内会社の許可が出る前に個人の営業をやめると、法人の許可が出るまで古物を仕入れられなくなります。
よくある質問
- 会社が不許可でも、個人で営業できますか?
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会社の申請が通らなかったからといって、それだけで個人の許可がなくなるわけではありません。個人の許可に問題がなければ、会社の申請をやり直す間も、取引の当事者を個人のままにして営業を続けられます。
- 個人の許可は残せますか?
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古物の売買を個人としても続けるなら、個人と会社の両方で許可を持てます。同じ営業所を個人と会社で使う場合の分け方は、公式の案内に明示がないため、申請先の警察署との事前相談で確認しましょう。個人の売買をやめたのに残しておくと、返す期限を過ぎてしまいます。6か月以上続けて営業していない状態は、許可の取消しの理由にもなります。
- 合同会社でも必要書類は同じですか?
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書類の種類は株式会社と変わりません。合同会社では業務を執行する社員が役員にあたるため、その全員と管理者の分をそろえます。
- 古物台帳は会社で使えますか?
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新設した会社では、古物台帳を一冊目から新しくつけ始めます。個人の記録に会社の取引を書き足すと、どちらの仕入れか区別がつかなくなるためです。個人の台帳は最後に記録した日から3年間保存する決まりで、営業をやめた後もすぐに処分しないでください。
- 設立登記も頼めますか?
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設立登記の申請は司法書士の業務で、行政書士は代理できません。定款の作成は行政書士も扱えるため、定款と古物商許可を行政書士に、登記を司法書士に頼む分け方になります。
まとめ
個人の古物商許可は会社へ引き継げないため、法人名義で新しく申請することになります。設立の前に扱う品物、営業所、管理者、定款の目的を詰めておき、登記の後は役員全員と管理者の書類をそろえて申請する流れです。
審査の間は、取引の当事者を個人のままにして、個人の許可で営業を続けましょう。会社の許可が出たら販売ページや口座、在庫の名義を会社へ移し、個人の営業をやめた日から10日以内に個人の許可証を返します。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。
法人化と古物商許可でお困りならご相談ください
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