古物台帳の書き方|必須6項目・保存期間・Excelテンプレート無料配布

古物台帳(帳簿)の書き方|記載事項・Excelテンプレート・保存期間までを現役質屋店長が解説

警察の立入検査では、まず古物台帳の記載と保存状況が確認されます。必須6項目のうち1つでも欠けていれば不備として指摘され、保存期間の起算点を誤解していると、まだ手元に置いておくべき帳簿を先に処分してしまうことが起きます。

よくある誤解は「取引した日から3年」「年度が変われば前年分は廃棄してよい」というものですが、起算点は法律上「その帳簿に最後に記入した日」です。同じノートに複数年の取引が混在していれば、保存義務は最後の記入日から3年後まで続きます。

必須記載6項目の書き方、保存期間の正しい計算、免除されるケース、そしてブラウザ上で動くExcelテンプレートを順に見ていきます。

目次

古物台帳(帳簿)とは

古物台帳とは、古物商が取引のたびに記録する義務がある帳簿のことです。

古物営業法第16条で「古物商は、取引した古物について所定の事項を帳簿等に記載しなければならない」と定められており、目的は盗品の流通を防ぐことにあります。警察が盗難品を追跡する際の手がかりとして台帳が機能するためです。

古物商許可を取得して営業を開始したら、最初の取引から帳簿付けの義務が発生します。

帳簿はインボイス制度の「古物商特例」にもつながる

帳簿の保存は、警察対策だけにとどまりません。消費税のインボイス制度における「古物商特例」を受けるためにも、台帳の保存が必須条件になっています。

古物商特例とは、個人から古物を買い取る際、売り手がインボイス登録していなくても、古物台帳の保存を条件に仕入税額控除が認められる仕組みです。同じ記録作業が、法令遵守と消費税負担の軽減という2つの目的に役立ちます。詳しくは古物商とインボイス制度・古物商特例の使い方にまとめています。

必須の記載6項目

古物営業法施行規則で定められた必須記載事項は6項目です。1つでも欠けると帳簿不備と判断されるため、取引のたびに漏れなく記入してください。

古物営業法施行規則 第17条

古物台帳 必須記載事項 6項目

許可取得後、最初の取引から記載義務が発生します
1

取引年月日

いつ取引したか(西暦・和暦可)。取引直後に記録し、後からの遡り入力を防ぐ。

2

品目

法定13品目から記載。時計・宝飾品・自動車などは金額を問わず必ず記載が必要。

3

古物の特徴

ブランド名・型番・シリアル・色・素材など、品物を特定できる詳細情報を記入。

4

相手方の情報

住所・氏名を本人確認書類(免許証等)と照合して記録。自己申告での記載は不可。

5

数量

取引点数。同一品目でも個別記載を推奨。まとめ書きは盗品混入時の特定が困難。

6

金額

取引価格。総額だけでなく単価も残すと、後の照合や確定申告の際に役立つ。

保存期間:最終記載日から3年間 | 廃業・許可返納後も義務は継続

許可取得後、最初の取引から記載義務が発生します。保存期間は最終記載日から3年間で、廃業・許可返納後も義務は続きます。

「古物の特徴」の具体的な書き方

6項目のなかで記載に悩みやすいのが「③古物の特徴」です。品目ごとに書くべき内容が異なるため、分類に迷う場合は事前に押さえておくとスムーズです。

品目記載すべき特徴の例
時計ブランド名・型番・シリアル番号・色・素材
貴金属素材(金・プラチナなど)・刻印・重量
バッグブランド名・品番・色・状態
スマホメーカー名・型番・IMEI番号
カメラメーカー名・機種名・シリアル番号

買取の現場では、シリアル番号や刻印が盗品照合の決め手になります。「高級時計なのにシリアルなし」「刻印が削られている」といった品物に当たったときは、買取自体を見送る判断も必要です。

帳簿の形式は3種類から選べる

古物台帳は紙・Excel・専用ソフトのいずれでも問題ありません。法律上、形式の指定はないからです。

①紙の帳簿はいちばんシンプルな方法です。市販のノートや専用帳簿に手書きで記録します。コストがかからない反面、検索・集計に手間がかかるため、取引件数が少ない方に向いています。

Excel(スプレッドシート)は多くの古物商が採用している方法です。フィルタや検索機能が使えるため、「この相手方の過去の取引を調べたい」という場面でも素早く対応できます。クラウド保存(Google Driveなど)にすればバックアップも自動化できます。

③専用ソフト・アプリとしては、freee・マネーフォワードなどの会計ソフトに記録する方法もあります。領収書管理や確定申告と一元管理できる点がメリットです。

Excelで帳簿を作る場合の列構成

列の構成に迷わないよう、シンプルな8列の台帳をそのままブラウザ上で操作できるようにしました。

古物取引台帳
件数 0
合計 0
①取引年月日 ②品目 ③古物の特徴 ④相手方住所 ⑤相手方氏名 ⑥数量 ⑦取引金額(円) 取引区分 備考(身分証種別等)
クリックして編集できます
※ 入力内容はブラウザ上のみで動作します。「Excel 保存」ボタンでそのままExcelファイルとしてダウンロードできます。

実際にブラウザ上で入力して動作を確認できます。「Excel 保存」ボタンを押すと書式付きのXLSXファイルとしてダウンロードでき、Googleスプレッドシートで開いてもそのまま使えます。

列の詳細は以下のとおりです。

項目入力例
A取引年月日2026/2/16
B品目時計
C古物の特徴ロレックス サブマリーナ 116610LN SN:XXXXXXXX
D相手方住所東京都千代田区神田1-1-1
E相手方氏名山田 太郎
F数量1
G取引金額900,000
H備考身分証:運転免許証確認済

「備考」列は法律上の必須項目ではありませんが、本人確認の方法を記録しておくと、後で照合が必要な場面に役立ちます。警察の立入検査時に「どの身分証で照合したか」を問われることがあるため、買取の現場では備考欄を積極的に使うのが一般的です。

保存期間は「最終記載日から3年間」

保存期間の起算点は「最終記載日」です。たとえば2026年2月1日が帳簿への最後の記載日であれば、2029年2月1日まで保存義務が続きます。

間違えやすいのは起算点です。「取引した日」「帳簿の作成日」「年度の切り替わり」ではなく、その帳簿に最後に記入した日から3年間です。同じ帳簿に複数年の記録が混在している場合は、最後の取引日を起算日として計算してください。帳簿がいっぱいになるまでカウントダウンは始まらないため、起算点の誤解から保存期間が満了する前に破棄してしまうケースも見られます。

📅 保存期間の計算例

起算点(スタート)
2026年2月1日
帳簿への最終記載日
3年間の保存義務
営業所にて保管
義務終了日
2029年2月1日
これ以降は破棄OK
⚠️
ここが間違いやすい!
「取引した日」ではなく「その帳簿に最後に記入した日」から3年間です。帳簿がいっぱいになるまでは、保存期間のカウントダウンは始まりません。

保存期間の起算点は「最終記載日」であり、帳簿の作成日や年度の切り替わりではありません。同じ帳簿に複数年の記録が混在している場合は、その帳簿に記載された最後の取引日を起算日として計算してください。

帳簿付けが免除されるケース

すべての取引で帳簿付けが求められるわけではありません。金額によっては免除される品目もあります。

1万円未満で免除される品目は、書籍・CD・DVD・ゲームソフトです。低単価品が多く、実務上も記載免除の恩恵を受けやすい品目です。

一方、以下の品目は金額に関わらず記載が必要です。

  • バイク・自動車
  • 時計・宝飾品
  • 美術品
  • 刀剣類

質屋では時計・貴金属・ブランド品の取引が中心になるため、ほぼすべての取引で記録が発生します。「安い品だから書かなくていい」という判断は、立入検査での指摘につながりやすいところです。

実務経験から3つの注意点

1. 取引直後に記録する

「あとでまとめて書けばいい」と考えていると、品物の特徴(型番・シリアル)を忘れてしまいます。取引が終わったその場で記録することを習慣にしてください。

2. 相手方の情報は身分証と照合する

住所や氏名は相手方の申告だけを鵜呑みにせず、運転免許証などの公的身分証と照合してください。身分証の照合は古物商の三大義務のひとつでもあります。宅配買取を行う場合は、法定の本人確認手順が対面取引とは別に定められているため、宅配買取の本人確認方法を開業前に確認しておく必要があります。

3. デジタルデータは定期的にバックアップ

Excelで帳簿を管理している場合、パソコンの故障でデータが消えるリスクがあります。GoogleドライブやOneDriveに自動保存する設定にしておくと、3年間の保存義務を果たすうえでも安心です。

まとめ

古物台帳の必須記載事項は、取引年月日・品目・古物の特徴・相手方の住所氏名・数量・金額の6項目です。形式は紙でもExcelでも自由ですが、取引直後に記録する習慣が肝心で、後から書こうとするとシリアル番号などの細部が抜け落ちていきます。

保存期間は「最終記載日から3年間」で、起算点は取引日でも年度切り替わりでもありません。

帳簿付けを含む許可取得後にやること全体像を開業前に把握しておくと、立入検査での見落としや慌てた対応を避けられます。

お困りの際は当事務所へ

古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。「メルカリでの転売に許可は必要か」「開業後の届出は何が必要か」など、判断に迷う場面も多くあります。

当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。「自分のケースで許可が必要か確認したい」「申請が複雑で困っている」といった場合は、お気軽にご相談ください。

申請代行 11,000円〜(税込)/まずはお気軽にご相談ください

よくある質問

廃業や許可返納のあと、帳簿はどうすればいいですか?

廃業・許可返納後も、最終記載日から3年間は保存義務が続きます。営業を終了したからといって直ちに破棄してよいわけではありません。廃業後の書類整理の際に捨ててしまうケースがありますが、保存期間が満了するまでは手元に残してください。廃業時に必要な古物商許可証の返納手続きは、帳簿の保管義務とは別に発生します。

記載内容を間違えた場合、修正液(ホワイト)を使って消してもいいですか?

修正液の使用は避けてください。帳簿の改ざんを疑われる原因になります。誤記を見つけた場合は、二重線を引いて訂正し、日付と訂正者が分かるようにしておくのが実務上のスタンダードです。Excelで管理している場合は、該当行を削除せず「訂正済」と備考欄に入力したうえで正しい内容を追記する方法が無難です。

複数の品物を一度に買い取った場合、1行にまとめて記載してもいいですか?

品目が異なるものは個別に行を分けてください。同一品目であっても、シリアル番号など識別情報が異なるものは別行で記録します。「ブランドバッグ3点」とまとめてしまうと、盗品が混入していた際に特定できなくなります。1点ごとに記録する運用が、買取の現場では基本のやり方です。

帳簿の記載をスタッフが代わりに行ってもいいですか?

はい、問題ありません。ただし、管理者が記録内容を随時把握・管理する体制が必要です。スタッフが記録した帳簿であっても、最終的な義務を負うのは許可を受けた古物商または管理者です。

フリマアプリ(メルカリなど)での仕入れでは、相手方の情報をどう取得すればいいですか?

フリマアプリで古物を仕入れた場合、相手方の住所・氏名の取得方法は対面取引と異なります。プラットフォーム上の取引情報だけでは法律上の要件を満たさないケースがあるため、メルカリ・ラクマ仕入れ時の本人確認方法を事前に把握しておく必要があります。

執筆者プロフィール

手島宏典 行政書士・現役質屋店長 業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。

行政書士手島宏典事務所

東京都葛飾区亀有3丁目27-30 Tビル1階

TEL:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)

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