メルカリやラクマで中古品を仕入れて転売している方から、こんな相談をよく受けます。「匿名配送だと相手の名前も住所もわからないけど、それって法律的に大丈夫なの?」
実はこれ、古物商許可を持っている人にとっても、これから取得しようとしている人にとっても、無視できない問題です。
この記事では、フリマアプリで仕入れる際の本人確認義務と、匿名配送が引き起こすグレーゾーン、そして現場での対処法を、質屋での実務経験をもとに解説します。
古物商は仕入れの度に売り主を確認する義務がある
古物商許可を持って中古品の買取や仕入れを行う場合、古物営業法第15条に基づき、売り主の本人確認を行う義務があります。本人確認・帳簿記録・取引相手の確認は古物商の三大義務と呼ばれ、許可を持つ全ての事業者に共通する基本ルールです。
対面取引では、運転免許証などの身分証を提示してもらい、以下の情報を帳簿(古物台帳)に記録します。
- 氏名
- 住所
- 職業
- 年齢(または生年月日)
記録すべき6項目とExcelテンプレートは古物台帳の書き方にまとめています。

匿名配送だと法定の本人確認ができない理由
メルカリやラクマには、送り主・受け取り側双方の個人情報を非公開にする「匿名配送」の仕組みがあります。ユーザー同士が住所や氏名を教え合わずに取引できる便利な機能です。
便利な反面、古物商として仕入れに使う場合は注意が必要です。匿名配送で取得できる情報は次の3つに限られます。
- プラットフォーム上のユーザー名(ニックネーム)
- 取引ID・商品ID
- プロフィールに記載されている情報(任意記入)
法律上必要な氏名・住所・職業の確認は、匿名配送のままではできません。
ネット仕入れで認められている3つの本人確認方法
警察庁は非対面取引(インターネット取引を含む)における本人確認方法について通達を出しています。古物営業法施行規則で認められている方法は次の3つです。
詳細は警視庁の公式ページ(非対面取引における本人確認方法)で確認できます。
方法①:身分証コピーの送付+転送不要の簡易書留で住所確認(匿名配送では不可)
身分証(運転免許証など)の写しを送ってもらうだけでは、法律上の本人確認になりません。古物営業法施行規則では、身分証コピーの受け取りに加えて、そこに記載された住所宛てに転送不要の簡易書留を送付し、相手が受け取ったことを確認するという二段構えの手続きが義務付けられています。
匿名配送では相手の住所が分からないため、簡易書留を送れず、この方法での本人確認は実質的に成立しません。フリマアプリでの仕入れでつまずきやすいのがこの点です。
方法②:オンライン本人確認(eKYC)を活用する(匿名配送でも可能)
eKYC(電子的本人確認)サービスを介して、身分証画像と本人の容貌をオンラインで照合する方法です。マイナンバーカードのICチップ読み取りを使う方式もあります。
この方法であれば、相手の物理的な住所が分からなくても本人確認が成立します。ただし対応した取引プラットフォームを選ぶ必要があり、メルカリ・ラクマの個人間取引で標準的に使える仕組みではありません。
方法③:プラットフォームの本人確認記録を活用する(補完的な扱い)
プラットフォーム側が本人確認を実施しているサービス(Mercari Shopsなど)では、その記録を補完的に利用できる場合があります。ただし、これが単独で法定要件を満たすかどうかは管轄警察署の判断によります。事前確認をおすすめします。
【例外】1万円未満の仕入れなら匿名配送でもOK?
古物営業法では、対価の総額が1万円未満の仕入れであれば、原則として本人確認義務が免除されます。1万円未満の中古品であれば、匿名配送で仕入れても原則として違法にはなりません。
注意点が一つあります。書籍(マンガ等)、ゲームソフト、CD・DVD、バイクの部品といった品目は、万引きや盗難が多いため、1万円未満であっても本人確認が義務付けられています(古物営業法施行規則第17条)。本やゲームのせどりを匿名配送で行っている方は、この例外に該当します。
判断フローチャート:仕入れは問題ないか?
→ 古物商許可が必要(無許可は罰則あり)
→ 個人の不用品処分なら不要な場合が多い
→ 早急に許可申請を。無許可営業は3年以下の懲役または100万円以下の罰金
→ Q3へ
→ 匿名配送のみでは要件未充足の可能性。本人確認方法を管轄署に相談を
→ 古物台帳に記録し、適切に保管する
Mercari Shopsと古物商許可の関係
メルカリの法人・事業者向けサービス「Mercari Shops」では、出店時に古物商許可証の提出が求められます(中古品を扱う場合)。メルカリが自社プラットフォームの健全性を保つために設けているルールです。
Mercari Shopsと通常のメルカリの違い、およびMercari Shopsの開設手順は別記事で解説しています。
メルカリの公式ガイドでも、営利目的で中古品の取引を行っていると認められる場合は古物営業に該当する可能性があり、メルカリでは事業者による利用を想定していないため個人としての利用を求める旨が明記されています。
個人アカウントで継続的な転売を続けている方は、無許可営業のリスク(3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)に加えて、アカウント停止の対象にもなります。事業として行うなら、許可を取得して事業者向けサービスを利用するのが基本です。個人アカウントでの転売がどこで発覚するかはメルカリの無許可販売はバレるかで具体例を挙げています。

実務上の補足
警察から照会があったとき、古物台帳がきちんとしていれば対応はスムーズに済みます。記録が抜けていると、盗難被害と無関係であっても説明に時間がかかります。手間に見える記録ですが、結果として自分の身を守る材料になります。
フリマアプリ経由の仕入れについては、法定要件(身分証コピー+転送不要郵便の到達確認、またはeKYC)をクリアできる方法を選ぶのが基本です。同じ非対面取引のルールが適用される領域として、宅配買取の本人確認実務もあわせて確認しておくと整理しやすいです。
個別の判断は管轄の警察署に直接確認することをおすすめします。窓口によって案内が変わることもあるため、口頭ではなくメモを取りながら聞くのが確実です。
まとめ
フリマアプリで仕入れる場合、匿名配送のままでは法定の本人確認をクリアできません。仕入れ先には匿名配送を解除してもらうか、eKYCに対応した取引手段を選ぶ必要があります。1万円未満なら本人確認義務は原則免除されますが、書籍・ゲームソフト・CD・DVD・バイク部品は少額でも例外で本人確認が必要です。
判断に迷う場面は、管轄の警察署の生活安全課に直接聞くのが早い解決方法です。窓口によって案内が異なる場合もあるため、メモを残しながら確認するのをおすすめします。
せどり・転売を本業や副業で始める方は、せどりで古物商許可を取る手順もあわせてご確認ください。
お困りの際は当事務所へ
古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。
当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。
お問い合わせ方法:
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よくある質問
- メルカリで買った中古品を転売する場合、古物商許可は必要ですか?
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営利目的で繰り返し仕入れて販売する場合は必要です。自宅の不用品を片付ける目的で売るだけなら不要ですが、「安く買って高く売る」を継続している時点で営業に該当します。判断に迷う場合は管轄の警察署か行政書士にご相談ください。
- 匿名配送で仕入れた場合、本人確認はどう記録すればよいですか?
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匿名配送のままでは、法定の本人確認をクリアできません。身分証の写真をメッセージで送ってもらうだけでは違法とみなされる可能性があります。法律は「身分証コピーの受け取り」と「その住所への転送不要郵便の到達確認」をセットで求めており、住所が分からない匿名配送では成立しないためです。仕入れに使うなら匿名配送を解除してもらうか、eKYCに対応した手段を選んでください。
- 1万円未満の安い商品なら、匿名配送でも問題ありませんか?
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原則として1万円未満の仕入れは本人確認義務が免除されます。ただし、書籍・ゲームソフト・CD・DVD・バイク部品は少額でも本人確認が義務付けられています(古物営業法施行規則第17条)。盗品が出回りやすい品目だからです。本やゲームのせどりをしている方は注意してください。
- ラクマもメルカリと同じ扱いですか?
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古物営業法上の本人確認義務は、どのプラットフォームを使っても同じです。ラクマにも匿名配送機能があり、同じ問題が発生します。プラットフォームの利用規約とは別に、古物営業法の要件を満たす必要があります。
- 個人アカウントのまま転売を続けるとどうなりますか?
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事業として中古品を取引している場合、個人アカウントでも古物商許可が必要です。無許可で営業すると3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。メルカリの利用規約上も、事業利用は事業者向けサービスへの移行が求められています。
- 古物台帳には、匿名配送で仕入れた取引もすべて記録するのですか?
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1万円以上、または例外品目(書籍・ゲームソフトなど)の仕入れは記録義務があります。相手の本人確認情報が取れていない時点で記録要件を満たせていない状態になるため、根本的にはその取引方法自体を見直す必要があります。記録できないからしないのではなく、記録できる仕入れ方を選ぶのが正解です。
執筆者プロフィール
手島宏典 行政書士・現役質屋店長
業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。
行政書士手島宏典事務所
東京都葛飾区亀有3丁目27-30 Tビル1階
TEL:03-6821-4578(平日 9:00〜19:00)

