古物商の宅配買取|本人確認の方法と身分証コピーだけでは足りない理由

宅配買取では、運転免許証のコピーを品物と一緒に送ってもらうだけでは、古物営業法の本人確認になりません。顔を合わせない取引(非対面取引)で使える方法は、法令で決まっています。

どれか1つを選び、その方法の条件を最後まで満たしてください。買取の受付を始める前に、自店の流れに合う方法を選んでおきましょう。

目次

身分証のコピーだけでは足りない理由

身分証のコピーだけでは、申し込んだ人がその身分証の本人かどうかを判断できません。店頭のように顔写真と見比べられないため、他人の身分証を使った「なりすまし」を防げません。

古物商には相手の住所・氏名・職業・年齢を確認する義務があり、顔を合わせない取引では、そのやり方まで法令で決められています。身分証のコピーや住民票の写しを受け取るだけで終わらせると、確認を怠ったことになります。

確認を怠ると、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(併科あり)の対象です。盗品を買い取ってしまえば、被害者から無償での返還を求められることもあります。

宅配買取で使える本人確認の方法

使える方法は、お客さんから受け取るものと古物商側の手続きの組み合わせで決まります。どの方法でも、住所・氏名・職業・年齢は申し出てもらいましょう。

お客さんから受け取るもの古物商側の手続き
身分証のコピーや画像転送不要の簡易書留+本人名義の口座への振込み
種類の違う身分証のコピー2点(または身分証1点と6か月以内の公共料金の領収書など)転送不要の簡易書留
住民票の写しなどの証明書(原本)転送不要の簡易書留、または本人名義の口座への振込み
申込みの内容だけ本人限定受取郵便で見積書などを送る、または代金を送る
身分証のコピーや画像身分証の住所への集荷依頼+本人名義の口座への振込み
専用ソフトで撮った顔と写真付き身分証の画像(eKYC)画像を帳簿と一緒に保存
印鑑登録証明書と、その印を押した書面追加の手続きはなし

簡易書留や本人限定受取郵便で見積書などを送る方法は、発送だけでは終わらず、お客さんに届いたとわかるところまでが手続きです。

別の方法から手続きを一部だけ借りても、条件を満たしたことにはなりません。たとえば「免許証のコピー+本人名義の口座への振込み」だけでは、簡易書留が抜けています。このほか、電子署名やマイナンバーカードの電子証明書を使う方法も用意されています。

身分証のコピーと簡易書留を使う方法

コピーには、スマホで撮った画像やスキャンしたデータも含まれます。住所や氏名がはっきり読み取れることが条件です。

簡易書留は、身分証に書かれた住所へ転送しない扱いで送り、受領印をもらって手渡すものに限られます。営業所留めや集合ポストへの投函、隣の家への預け置きでは足りません。

受付票を返送してもらう、受付番号を知らせてもらうなどして、届いたことがわかる形にしておきましょう。種類の違う身分証を2点送ってもらう方法なら、口座への振込みは条件に入りません。

身分証の住所と今の住まいが違うと、簡易書留が届きません。住所変更を済ませてもらうか、住民票の写しを使う方法などに切り替えてください。

住民票の写しを使う方法

ここでの「写し」は、市区町村の窓口で発行された証明書の原本です。自宅でとったコピーや撮影した画像は使えません。原本があれば、簡易書留か本人名義の口座への振込みの、どちらか一方で済みます。

本人限定受取郵便を使う方法

古物商からお客さんへ見積書などを本人限定受取郵便で送り、届いたら電話やメールで連絡をもらう方法です。受け取るときに身分証の提示が求められるため、届いたこと自体が本人の証明になります。代金をこの郵便で送る約束をする形もとれますが、単なる宅配便は対象外です。

古物商から集荷を依頼する方法

身分証の画像を受け取ったら、古物商がその住所あてに集荷を頼み、身分証と同じ名義の口座へ代金を振り込みます。集荷については、次の3つがそろうことが条件となります。

  • 古物商の側から集荷を頼む(お客さんが自分で頼む形は使えない)
  • 宅配業者が身分証の住所へ必ず出向き、ほかの場所での集荷に応じない
  • その住所で集荷した記録が宅配業者に残る

スマホで撮影する方法(eKYC)

eKYC(スマホなどを使ってオンラインで本人確認をする仕組み)では、古物商が用意したソフトを使います。お客さんの顔と写真付き身分証を、その場で撮影して送ってもらう形です。運転免許証なら表面・裏面・厚み、マイナンバーカードなら表面と厚みの画像が必要です。マイナンバーカードの裏面には個人番号が書かれているため、送らせないようにしてください。

撮影済みの画像を選んで送れる仕組みや、画像を加工できる仕組みは認められません。他社のソフトを入れるときは、この条件に合うかを事前に判断しましょう。

古物商許可と本人確認の準備でお困りなら

宅配買取を始めると決めた時点で、古物商許可の申請と、申込みから入金までの本人確認の流れづくりを並行して始めることになります。簡易書留、集荷、eKYCのどれが自店の受付に合うかも含めて、当事務所へご相談ください。

相手や品物で変わる注意点

リピーター、法人、1万円未満の品物、18歳未満の相手には、それぞれ別の決まりがかかります。

フリマアプリの「本人確認済み」は使えない

メルカリやヤフオクの「本人確認済み」は運営会社の手続きで、古物商の本人確認の代わりにはなりません。ネットで仕入れるときの本人確認の手順も、宅配買取と同じ方法の中から選ぶことになります。

2回目以降の取引と法人からの買取

リピーターでも確認は省けません。初回に正式な方法で確認してIDとパスワードを発行しておけば、2回目以降はそのログインで代えられます。申込書にIDを書いてもらうだけの形は、この方法に入りません。

法人から買い取るときは、実際に取引を担当する人が確認の対象です。担当者の住民票の写しに登記事項証明書と委任状を添えてもらい、法人名義の口座へ振り込む形がとれます。

1万円未満でも確認が必要な品物

買取の総額が1万円未満なら、本人確認と帳簿への記録は原則として免除されます。ただし、次の品物は金額にかかわらず確認と記録の対象です。

  • バイク・原付(部品を含む。ねじ・ボルトなど汎用の部品は除く)
  • ゲームソフト
  • CD・DVDなど
  • 書籍
  • エアコンの室外機、電気温水機器のヒートポンプ
  • 電線、金属製のグレーチング(側溝のふたなど)

18歳未満からの買取

東京都では、青少年健全育成条例で18歳未満からの古物の買取が制限されています。保護者の同意がある場合などを除き、買い取ることはできません。1万円未満の取引でも、生年月日の入力で18歳未満を受け付けない作りにしておきましょう。

申込みから入金までの流れを先に作る

本人確認は、申込みの段階から流れに組み込みましょう。査定を終えてから方法を考えると、書類の追加や簡易書留のやり取りで支払いが大きく遅れます。

  1. 申込みを受け付ける(住所・氏名・職業・年齢を入力してもらう)
  2. 本人確認の方法と、送ってもらう書類を案内する
  3. 身分証の画像や住民票の写しを受け取る
  4. 簡易書留の送付、集荷の依頼、撮影などを済ませる
  5. 品物を査定し、金額に同意をもらう
  6. 本人名義の口座へ代金を振り込む

受付番号で、品物・本人確認の書類や画像・帳簿の記録をひも付けておくと、警察から照会があったときにすぐ取引の記録を出せます。

当事務所では、本人確認の方法は許可申請の準備と並行して選ぶものと考えています。許可が下りてから考え始めると、申込みフォームや利用規約の作り直しが出てくるためです。

よくある質問

本人確認が終わる前に品物が届いたら、査定してもかまいませんか?

品物を受け取り、査定額を伝えるところまでは進められます。本人確認が終わるまでは、買取を成立させないでください。必要な手続きを終えられなかったときは買い取らず、品物を返送することになります。返送の送料をどちらが持つかは、利用規約に書いておいてください。

本人確認の書類や画像は、いつまで保存しますか?

帳簿と一緒に、最後に記載した日から3年間は手元に置いてください。帳簿の保存期間にあわせる形です。

送られてきた品物が盗品かもしれないと感じたら、どうすればいいですか?

盗品など不正品の疑いがあるときは、すぐに警察官へ申告する義務がかかります。本人確認の書類がそろっていても、買取より申告が先です。

メルカリなどで「本人確認済み」の相手なら確認を省略できますか?

省略できません。プラットフォーム側の本人確認と、古物商自身が古物営業法にもとづいて行う相手方確認は別のものです。

自社サイトで宅配買取を受け付けるとき、ほかに必要な手続きはありますか?

ホームページで買取を受け付けるなら、そのURLの届出が必要です。サイトには、取り扱う品物の情報とあわせて、氏名(法人は名称)、許可をした公安委員会の名称、許可証番号も表示してください。

まとめ

身分証のコピーや住民票の写しを受け取るだけでは、宅配買取の本人確認は終わりません。法令で決められた方法から1つを選び、簡易書留や口座への振込み、集荷、eKYCなど、その方法に必要な手続きをすべてそろえてください。

フリマアプリの本人確認済み表示は使えず、リピーターはIDとパスワード、法人は担当者の確認が必要です。1万円未満の例外品目や18歳未満への対応も含め、申込みから入金までの流れを受付開始前に作りましょう。

参考資料・公式情報

本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。

古物商許可申請でお困りならご相談ください

「宅配買取の本人確認を、どの方法で組み立てればいいのか」と迷った段階で、ご相談ください。判断だけのご相談でも受け付けています。

古物商許可が必要な場合は、許可申請から宅配買取で使う本人確認の方法選びまで、リユース業界で10年以上、買取の実務に携わってきた行政書士がサポートします。

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