法人の古物商許可で定款は必要?原本証明の書き方と事業目的の見方

法人で古物商許可を申請するときは、登記事項証明書とあわせて定款を提出します。登記事項証明書に目的や役員が載っていても、定款は省けません。

原本証明は、文言と押印の位置が分かればその場で作れます。設立後に定款を更新していない会社と、事業目的に中古品の売買が入っていない会社は、準備の途中で手が止まります。

目次

定款と一緒に出す書類

法人の許可申請で添付する書類は、法人の定款、登記事項証明書、そして役員全員と営業所の管理者の書類です。警視庁の許可申請のページに、この一覧が載っています。ホームページで取引する場合は、URLを使う権限を示す資料も加わります。

役員と管理者の書類

役員全員と管理者には、略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書が1人ずつ必要です。住民票は本籍が記載されたもの、身分証明書は本籍地の市区町村が交付するものです。

本籍地が遠方の役員は、身分証明書を郵送で取り寄せるため、日数がかかります。定款のコピーを作る時期に、各役員への手配も頼んでください。

登記事項証明書の取得

登記事項証明書は、法務局で履歴事項全部証明書として取得できます。発行日から何か月以内のものが必要かは、警視庁の案内で触れられていません。取得の時期は、申請先の警察署に期限を聞いてから決めましょう。

個人の許可は引き継げない

会社を設立しても、個人で取った古物商許可は会社名義に切り替わりません。法人化した場合の許可は、あらためて申請して取り直します。

定款のコピーと原本証明の書き方

許可申請のページの一覧には、「法人の定款」としか書かれていません。コピーで足りるのか、原本証明まで必要なのかは、公式の案内から分かりません。申請先の警察署の防犯係に事前に問い合わせてください。迷う場合は、原本証明を入れたコピーを用意しておくとスムーズです。

証明文と押印

証明文は、定款の最終ページの余白に書きます。日付は書いた日、会社名と代表者名は登記事項証明書と同じ表記にそろえます。

原本証明の記載例

この写しは、当会社の定款の原本と相違ありません。

令和〇年〇月〇日

東京都葛飾区〇〇〇丁目〇番〇号

株式会社〇〇

代表取締役 〇〇 〇〇 ㊞

押すのは、法務局に届け出ている代表者印です。角印や認印で出すと押し直しになることがあるので、最初から代表者印にしておくと手戻りがありません。文言や押印の位置に指定がないかは、書く前に電話で聞いておきましょう。

複数ページと電子定款

原本証明を求める警察署で、複数ページの定款について契印や袋とじを求められる場合があります。提出方法は申請先の警察署へ確認してください。

電子定款の場合、原本はPDFのデータです。印刷して同じ要領で原本証明を入れた写しで足りるのかも、あわせて警察署に聞いてください。

定款を変更している会社

設立後に事業目的や商号を変えている会社は、変更後の内容が入った現行の定款を使います。設立時の定款に議事録を添えるだけでは、今の内容が一目で分かりません。

事業目的の見方と記載例

古物営業の記載がなくても、今の事業目的から中古品の売買につながる内容なら、そのまま申請できることがあります。警視庁の案内には、事業目的の書き方も、古物営業の文言が必要かどうかも載っていません。実際には、登記された目的と、これから始める事業のつながりを窓口で聞かれます。

今の目的からの進め方

今の事業目的窓口での説明進め方
「古物営業」や中古品の売買が入っている目的をそのまま示せる申請書類の準備へ進む
衣料品の販売、事務機器の売買、各種商品の販売など、物販の目的が入っている中古品もその延長として説明する目的の追加が必要かどうかを警察署に相談する
ITシステムの開発、飲食店の経営など、物販と関係のない目的だけが入っている中古品の売買と結びつけられない目的の追加を先に済ませる

ここで迷いやすいのが、2行目のように物販の目的だけが入っている会社です。中古品も同じ物販の延長として説明できるかどうかは、警察署への事前相談次第です。

これから書くときの記載例

これから目的を書くなら、商材を絞らない会社は「古物営業法に基づく古物営業」と書けば足ります。扱う古物の区分(13品目)が決まっているなら、商材名を具体的に入れる書き方もあります。

  • 中古衣料品の買取及び販売
  • 中古自動車及び中古自動車部品の売買
  • 中古電気機械器具及び中古事務機器の買取及び販売

ネット販売が中心の会社は、「インターネット等を利用した通信販売」も並べておくと、実際の営業の形と目的が合います。

事業目的の判断と許可申請でお困りなら

今の事業目的で申請できるかを警察署に相談する時点で、目的の追加登記と申請書類の準備を並行して始めることになります。古物営業の文言を入れるかどうかや、原本証明の書き方も含めて、当事務所へご相談ください。

「附帯関連する一切の事業」で足りるか

中古品の売買につながる目的がまったくない場合は、「附帯関連する一切の事業」だけで進めるより、古物営業を目的に追加することを検討した方が安全です。

定款の目的の最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」と入っている会社は多くあります。ただ、この一文で中古品の売買まで読めるかは、警察署の判断です。仕入先や売り方まで、具体的に聞かれることもあります。本業と関係の薄い中古品売買を始めるなら、目的を追加登記しておくほうが、窓口の説明は短く済みます。

目的を追加するときの手続きと期間

警察署への相談で目的の追加が必要になったら、先に定款変更と変更登記を済ませます。そのあとで古物商許可を申請します。

相談から申請までの順番

順番は、まず登記事項証明書で今の目的を見るところからです。今の定款で足りるなら、そのまま申請準備へ進めます。分かれ道になるのは、中古品の売買につながる項目が見当たらないときです。

そのときは、扱う商材、仕入先(業者オークション、一般の買取など)、販売ルートを具体的にしておきます。そのうえで、管轄警察署の防犯係に「今の目的のままで申請できるか」を聞いてください。追加を求められたら、目的変更の手続きに入ります。

つまずきやすいのが、登記を先に急いでしまうことです。株式会社の目的変更登記には、登録免許税が3万円かかります。警察署に聞く前に登記すると、結果的に不要だった登記に3万円を払うことになりかねません。

今の事業目的から申請までの流れ
登記事項証明書で今の目的を見る 中古品の売買につながる事業目的があるか確認します。
判断に迷う場合は警察署へ相談 取り扱う商品、仕入先、販売方法を伝えて確認します。
今の目的で足りる そのまま古物商許可の申請準備へ進みます。
目的の追加を求められた 目的変更の登記をしたうえで、許可申請へ進みます。
目的変更が必要か確認してから登記手続へ進みます。株式会社の目的変更登記には、登録免許税3万円がかかります。

決議と変更登記

株式会社の場合は、株主総会の特別決議で定款を変え、本店所在地を管轄する法務局へ変更登記を申請します。合同会社は、定款に別の定めがなければ総社員の同意で変えられ、登記の手続きは株式会社と同じです。なお、設立後の定款変更に公証役場の認証は不要です。

登記にかかる日数

登記が終わるまでの日数は、法務局と時期で変わります。各法務局のホームページに、申請日ごとの登記完了予定日が出ています。許可の申請は変更後の登記事項証明書を取ってからになるので、開業したい日から逆算して日程を組みましょう。原本証明を入れる定款も、変更後の内容に差し替えます。

設立時の定款が見つからないとき

原本が見つからなくても、控えを探せる先は3つあります。

  • 設立時に受け取った定款の謄本や、設立関係の書類の綴り
  • 設立手続きを担当した司法書士や税理士の事務所
  • 認証を受けた公証役場(公証人の認証を受けた株式会社の定款は、認証日から20年間保存されています)

合同会社は設立時に公証人の認証が不要なため、公証役場に控えはありません。

どこにも控えがなければ、定款を作り直すことになります。設立時の内容、その後の株主総会議事録、登記事項証明書をもとに、現行の内容を書き起こします。そのうえで、株主総会で現行の定款として承認する決議を取ります。作り直した定款で申請できるかは、事前に警察署へ聞いておきましょう。

よくある質問

本店と古物商の営業所が別の場所でも申請できますか?

申請できます。古物営業法上の営業所は営業の本拠となる場所で、会社法上の本店と一致しないこともあります。申請先は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署です。営業所として使える場所かどうかは、営業所の要件で判断します。

監査役や非常勤の役員の書類も必要ですか?

必要です。警視庁の一覧は「役員全員」と書いていて、監査役も役員にあたります。非常勤でも、略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書を用意してください。

定款に「古物営業」が入っていれば、許可は下りますか?

目的の記載だけでは決まりません。許可の審査では、営業所、管理者、役員の欠格事由なども見られます。役員に欠格事由があれば、目的が整っていても許可は下りません。

許可を取ったあとに商号や本店を変えたら、手続きは必要ですか?

商号(法人の名称)や本店の所在地を変えたときは、登記事項証明書を添えて、変更日から20日以内に許可証の書換申請を出します。手数料は1,500円かかります。営業所の所在地も変わるなら、変更日の3日前までに変更届が別に必要です。事業目的だけを変えた場合は、警視庁の書換申請・変更届出の項目にないため、警察署への届出は不要です。

まとめ

提出する書類は、定款と登記事項証明書、そして役員全員と管理者の書類です。定款は、原本証明を入れたコピーを用意しておけば、窓口で求められたときにそのまま出せます。原本証明は、最終ページに文言、日付、会社名、代表者名を書き、代表者印を押したものです。複数ページなら契印を、電子定款なら印刷したものに原本証明を入れます。

事業目的に古物営業の文言がなくても、中古品の売買につながる内容なら、そのまま申請できることがあります。「附帯関連する一切の事業」だけが頼りの会社は、先に警察署へ相談してください。目的の追加を求められたら、定款変更と変更登記を済ませてからの申請です。設立時の定款が見つからないときは、公証役場や司法書士に控えを問い合わせましょう。申請全体の流れと必要書類は、古物商許可の申請方法にまとめています。

参考資料・公式情報

本記事は、以下の公的機関の情報を参考に作成しています。

法人の古物商許可でお困りならご相談ください

「定款のコピーで足りるのか、事業目的の追加が必要なのか」と迷った段階で、ご相談ください。判断だけのご相談でも受け付けています。

法人の古物商許可が必要な場合は、定款や役員書類の準備から警察署への申請まで、リユース業界で10年以上、買取の実務に携わってきた行政書士がサポートさせていただきます。

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