古物商許可に更新はありません。一度取得すれば、手続きなしにずっと使えます。
宅建業免許や建設業許可は5年ごとに更新が必要ですが、古物商許可は別のしくみとなります。更新通知が届かないのは制度がないからで、更新がないため、警察署に確認しに行く必要もありません。
ただ、何もしなくていいわけではありません。住所変更・役員交代・廃業のタイミングでは変更届や返納の手続きがあり、対応が遅れると違反になります。
古物商許可に更新がない理由
古物商許可は古物営業法をもとにした許可です。この法律には「更新」という規定がありません。宅建業法・建設業法には更新の条文が明記されていますが、古物営業法にはそれがない。だから更新がない。それだけのことです。
手元の許可証を見ると、有効期限の記載欄がないはずです。有効期限の欄がない=期限がない、ということです。
許可が取り消される・使えなくなる4つのケース
更新はありませんが、放っておけばいいという話ではありません。次の4つの状況では許可が使えなくなります。
① 欠格事由に該当したとき
欠格事由に当てはまると、許可は取り消されます。申請時だけでなく、取得後に状況が変わった場合も同様です。
- 禁錮以上の刑に処せられ、執行が終わってから5年を経過していない
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない
- 古物営業法違反で罰金刑を受け、5年を経過していない
- 暴力団員または暴力団員でなくなってから5年を経過していない
欠格事由に該当したまま営業を続けると、無許可営業として扱われます。「許可を持っているから大丈夫」とはならない点は覚えておいてください。
② 廃業・会社を解散したとき
営業をやめる場合は、10日以内に許可証を返納する義務があります。返納しないと罰則の対象です。
対象は個人の廃業だけではありません。法人解散・許可を受けた個人の死亡・合併による法人消滅なども返納が必要で、状況によって手続きの窓口や期限が変わります。古物商許可証の返納手続き完全ガイドで状況別の手順を確認してください。
③ 法律違反で取り消し処分を受けたとき
古物営業法に違反すると、公安委員会から許可を取り消されることがあります。
取り消しを受けると、その後5年間は再取得できません。古物商の三大義務を日頃から守っていないと、許可が消えてしまいます。
④ 個人から法人に切り替えたとき
個人で取得した許可は、法人化しても引き継げません。個人許可と法人許可は別物で、法人名義で新たに申請が必要です。
よくあるのが「法人設立後もしばらく個人の許可のまま営業を続ける」ケースです。法人として営業している以上、法人許可がなければ無許可営業になります。許可が下りるまで標準で40日かかるため、法人化と並行して申請を動かしておくのが賢明です。
該当したとき
解散したとき
処分を受けたとき
法人に切り替えたとき
更新はないが「変更届」が必要なケース
許可の更新は不要ですが、次の変更があった場合は変更届の提出が義務となります。
| 変更の内容 | 届出期限 |
|---|---|
| 営業所の移転 | 移転の3日前まで |
| 氏名・住所の変更(個人) | 変更から20日以内 |
| 営業所の新設・廃止 | 変更から20日以内 |
| 管理者の変更 | 変更から20日以内 |
| 役員の変更(法人) | 変更から20日以内 |
| 取り扱う古物の区分の変更 | 変更から20日以内 |
| URLの追加・変更・廃止 | 変更から20日以内 |
一番ミスが多いのが営業所の移転です。他の変更は「変更から20日以内」ですが、移転だけは「移転の3日前まで」と期限が別格に短い。引越しが決まった段階で、荷造りより先に警察署への連絡が先決です。
引越し先が現在の管轄署の外になる場合は、変更届では対応できず、許可の書き換えや新規申請が必要になることもあります。管轄が変わるかどうかは引越し前に確認しておくのが安心です。
法人の役員変更も見落としが多い項目です。新しい役員の住民票・身分証明書・略歴書・誓約書が必要で、書類集めに時間がかかります。役員交代が決まったら早めに動き始めるのが肝心です。
URLの変更も届出の対象です。新しいプラットフォームで販売を始めた、自社サイトを立ち上げたという場合も同様です。古物商のURL届出の手順も確認しておくと安心です。
変更届の手続きと必要書類の詳細は古物商の変更届|引越し・役員変更の期限と手続きについて解説で確認できます。
3日前まで
20日以内
20日以内
20日以内
20日以内
20日以内
20日以内
※ 営業所の移転のみ「3日前まで」と期限が短いため注意が必要です。
許可証を紛失したとき
許可証を紛失した場合は、管轄署で再交付の申請ができます。更新ではなく「再発行」の手続きで、書式は警視庁のサイトまたは窓口で入手できます。再交付には手数料がかかります。
古物商は営業所内への許可証掲示が義務です。紛失に気づいた時点で速やかに動くことが大切です。掲示義務を含む取得後の手続き全体は古物商許可の取得後にやることで確認できます。
まとめ
更新は不要と聞いてじゃあ何もしなくていいと思う方は少なくありません。ただ、更新と変更届はまったく別のことです。
- 更新:許可を継続するための定期手続き(古物商許可には存在しない)
- 変更届:許可取得後に内容が変わったときの届出(義務あり・期限あり)
更新がないからといって変更届も不要にはなりません。引越し・役員交代・廃業のたびに変更届や返納の手続きがある。ここを押さえておくだけで、うっかり違反を防げます。
許可取得後の義務全体は古物商許可の取得後にやることで一覧できます。
よくある質問
- Q古物商許可の有効期限はいつですか?
- A
有効期限はありません。許可証にも有効期限の記載欄はなく、取得後は無期限で使えます。
- Q何年も使っていない許可証があります。まだ使えますか?
- A
返納を出していなければ、許可は有効なままです。ただし長期間営業実態がない場合、警察署から確認が入ることがあります。再び営業を始める際は、管轄署に一本電話しておくと安心です。
- Q引越しして住所が変わりましたが、許可はそのまま使えますか?
- A
許可自体は有効ですが、変更届の提出が必要です。営業所の移転は「3日前まで」という短い期限があるため、引越しが決まった時点で早めに動くことが大切です。管轄署が変わる場合は手続きが変わることもあります。
- Q古物商許可を他の人に譲渡できますか?
- A
できません。許可は個人または法人に対して交付されるもので、他人への譲渡は認められていません。事業を引き継ぐ場合は、引き継いだ側が新たに申請する必要があります。
- Q他の都道府県に引越した場合はどうなりますか?
- A
2020年の法改正以降、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会への届出で対応できるケースが増えました。ただし移転先によって手続きが変わるため、移転前に管轄署への確認が必要です。他府県に営業所を追加するときの届出方法も参考にしてみてください。
当事務所の古物商許可サポート
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執筆者プロフィール
手島宏典 行政書士・現役質屋店長
業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。
行政書士手島宏典事務所
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