家族や知人が持っている古物商許可の番号を借りて、自分の中古品販売をすることはできません。許可は申請した本人(個人または会社)だけに出るもので、他人の営業に名義を使わせることは古物営業法で禁止されています。
一方で、許可を持つ人の事業を家族や従業員が手伝うことは、名義貸しにはなりません。違いは、表に出ている名前ではなく、実際に誰の営業として売り買いしているかにあります。
家族・会社・外注の場面ごとの判断と、貸した側・借りた側が受ける処分を、古物商許可の申請に携わる行政書士が解説します。
名義貸しにあたる取引
別の人が自分の商売として中古品を売り買いしているのに、許可を持つ人の名義や許可番号を使わせていれば名義貸しです。許可証の原本を渡していなくても、販売ページに許可番号を載せさせるだけで同じ扱いになります。
古物商許可は、盗品が流れたときに警察が取引をたどれるよう、誰が売り買いしているかを公安委員会が把握するための仕組みです。名義と実際に売り買いしている人がずれていると、記録をたどっても本当の取引の相手に行き着けません。
誰の営業かは、仕入れのお金を誰が出すか、売値を誰が決めるか、売上が誰の口座に入るか、売れ残りや返品の損を誰が負うかで判断します。お金を受け取らずに番号を使わせた場合も同じで、親しい相手に無料で貸した場合も、処罰の対象から外れることはありません。
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 許可を持つ家族の事業で、撮影・梱包・発送を手伝う | 名義貸しにならない | 許可を持つ本人の営業の一部 |
| 家族が自分のお金で仕入れ、別の家族の許可番号で売る | 名義貸しになる | 実際に営業する人と許可の名義が違う |
| 会社の許可番号で、代表者が個人で転売目的に仕入れた品を売る | 名義貸しになる | 会社と代表者個人は別々の売り手 |
| 出品や発送の作業だけを外部に頼む | 名義貸しにならない | 仕入れと売上が頼んだ側にある |
| 許可のない人が仕入れて売り、代行業者の許可番号を表示する | 名義貸しになる | 仕入れと売上が許可のない人にある |
個人名義と
家族や会社で中古品販売を始めると決めた時点で、許可名義の判断と申請書類の準備を並行して始めることになります。個人と会社のどちらの名義で許可を取るかも含めて、当事務所へご相談ください。
家族で販売するとき
夫婦や親子でも、ひとつの古物商許可をそれぞれの営業に使うことはできません。一緒に暮らしている、家計が同じ、という事情も、許可を共有する理由にはならないので注意しましょう。
家族がそれぞれ自分で仕入れて売るなら、それぞれが個人事業主として許可を取ることになります。家族に手伝ってもらうなら、仕入れも販売も売上の管理も、許可を持つ本人の商売として回っている形にしておきます。販売アカウントや入金口座、仕入れの領収書、古物台帳を見たときに、別の家族の商売に見える状態は避けてください。
家族名義のフリマアカウントを使う場合は、出品者の表示と許可の名義がずれます。アカウントの名前だけで、すぐに名義貸しと決まるものではありません。ただ、売上がその家族の口座に入る形なら、別の人の営業と判断される材料になります。
会社の許可と代表者個人
会社が取った古物商許可は会社の営業のためのもので、代表者でも個人の売買には使えません。会社と代表者個人は、法律上は別の人として扱われるためです。
会社名義で仕入れ、売上も会社の口座に入る取引なら、役員や従業員が手を動かしても会社の営業です。代表者が自分のお金で転売目的に古物を仕入れ、個人の利益として続けて販売するなら、会社とは別に個人の許可がいります。
逆の向きも同じ考え方です。代表者が個人で持っている許可を、新しく作った会社でそのまま使うことはできません。個人事業から会社に切り替えたときは、会社として新しく許可を取り直すことになります。 <!– 中間CTA:個人名義と会社名義のどちらで許可を取るか/家族や代表者の販売を誰の営業にするか –>
外注や店舗の共同利用との違い
撮影・出品・梱包・発送といった作業だけを外部に任せても、名義貸しにはなりません。仕入れと売値を頼んだ側が決め、売上も頼んだ側に入り、外注先には作業代だけを払う形なら、外注先は作業を代わりにしているにすぎません。
外注先が品物を預かって自分の判断で売ったり、お客さんから買い取ったりするところまで受け持つなら、話が変わってきます。古物営業法は、他人から頼まれて古物を売り買いする営業も古物営業に含めているため、外注先の側で許可が必要になります。契約書の名前が「業務委託」でも、中身で判断される点に気をつけてください。
一つの店舗や事務所を複数人で使うときも、考え方は変わりません。AさんとBさんがそれぞれ仕入れて売上も別々に管理しているなら、二人とも自分の許可がいります。同じ営業所の中でも、Aさんの許可をBさんが使うことは認められません。
営業所ごとに置く管理者は、その営業所の業務を管理する役目の人です。管理者を任されたからといって、その許可で自分の売買ができるようになるわけではありません。
名義貸しの罰則と処分
名義を貸した側も借りた側も、罰則は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。貸した側は古物営業法第31条第3号(名義貸し)、借りた側は自分の許可がないまま営業していれば同条第1号(無許可営業)の対象です。内容によっては、拘禁刑と罰金が両方科されることもあります。
貸した側は、刑事罰とあわせて行政処分も受ける立場です。「古物営業法に基づく指示、営業停止命令及び許可の取消しの基準」は、名義貸しを最も重いA分類とし、許可を取り消すと定めています。特に軽くすべき事情があるときに限って、取消しの代わりに営業停止となります。
許可を取り消されると、その日から5年間は許可を取り直せません。名義貸しや無許可営業で罰金刑を受けた場合も、刑を終えてから5年間は許可を受けられない人に入ります。借りていた側が後から自分で許可を取ろうとしても、この期間は申請が通らないことになります。
名義貸しが表に出るきっかけは、書類のやり取りに限りません。盗品の捜査で取引の記録を求められたとき、許可の名義と実際の出品者や入金口座が食い違っていれば、営業の実態はその時点で分かります。販売ページの特定商取引法の表記、振込先の口座名義、仕入れの伝票も同じ材料です。
始める前に決めておくこと
家族や知人と中古品販売を始めるときは、準備の段階で、誰の営業として始めるのかをはっきりさせてから許可を申請しましょう。個人で営業するなら、仕入れから販売、売上の受け取り、台帳の記録までを、その人が自分の商売として行います。
会社で営業するなら、許可も契約も入出金も会社名義にまとめる形です。販売ページには、氏名(会社は名称)、許可をした公安委員会の名称、12桁の許可証番号を、取り扱う品物の情報とあわせて表示しましょう。表示した名前とアカウント・口座の名義が一致していれば、誰の営業かが外からも読み取れます。
当事務所では、買取店の運営に長く携わってきた経験から、許可の名義を仕入れのお金と売上の行き先に合わせるようご案内しています。許可を取ったあとの本人確認・記録・申告の義務も、すべて許可を持つ人が負うという考え方です。
よくある質問
- 許可の申請中に、知人の許可番号で先に販売を始めてもよいですか?
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できません。許可が出るまでは自分の古物営業を始められず、他人の番号を使えば貸した側も名義貸しの責任を問われます。販売の開始日は、許可証を受け取ってからの日程で組みましょう。
- 親が持っていた古物商許可を、子どもが引き継いで営業できますか?
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引き継げません。許可を受けた本人が亡くなったときは、同居の親族などが許可証を返す決まりで、許可を相続する仕組みはありません。子どもが同じ店で続けるなら、子ども本人の名前で新しく申請することになります。
- 家族が別々に許可を取る場合、同じ住所を営業所にできますか?
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公式の案内に明示がないため、申請先の警察署との事前相談で確認します。相談の際は、仕入れ・売上・台帳がそれぞれ別になっていることを説明できるようにしておきましょう。
- 名義を借りて販売していたことに気づいたら、どうすればよいですか?
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まず、その許可番号での販売をやめてください。そのうえで、実際に仕入れと販売をしていた人が自分の名前で許可を申請する流れです。過去の取引をどう扱うかは状況によって異なるため、早めに警察署や行政書士へ相談しましょう。
- 発送や出品を業務委託すると名義貸しになりますか?
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作業の一部を外注しただけで直ちに名義貸しになるわけではありません。委託先が独立して仕入れや販売を行っているのか、許可名義人の事業の一部を担当しているだけなのかを確認します。
まとめ
古物商許可は、許可を受けた個人または会社だけが使えるもので、家族や代表者でも共有できません。名義貸しかどうかは表示された名前ではなく、仕入れのお金、売値、売上の行き先から、誰の営業かで判断されます。撮影や発送などの作業を家族や外注先に任せる形なら、許可を持つ本人の営業のままです。
名義を貸した側は原則として許可の取消し、借りた側は無許可営業となり、どちらも3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。罰金刑でも5年間は許可を取れなくなります。始める前に誰の営業にするかを決め、仕入れ・販売・入出金・古物台帳の管理を、許可を受けた人の商売としてまとめておきましょう。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の法令・警察庁の公表情報を参考に作成しています。
古物商許可の名義でお困りならご相談ください
「家族の許可で自分も売ってよいのか」「個人と会社のどちらの名義で許可を取るか」と迷った段階で、ご相談ください。判断だけのご相談でも受け付けています。
古物商許可が必要な場合は、名義の決め方から申請書類の作成まで、リユース業界で10年以上、買取の実務に携わってきた行政書士がサポートします。

