古物商の名義貸しは古物営業法違反|罰則・4つのパターンと発覚リスク

古物商許可証に禁止マークが重なり、第三者への名義貸しができないことを示すイメージ

古物商許可は、許可を受けた本人(または法人)だけが使える資格です。許可証を知人に渡して代わりに古物営業をさせる行為は、古物営業法上の名義貸しにあたります。

罰則は第31条で3年以下の拘禁刑(旧:懲役)または100万円以下の罰金、もしくはその両方。名義を貸した側だけでなく、借りた側も無許可営業として同じ罰則の対象です。さらに名義を貸した許可業者は許可を取り消される可能性があり、取り消されると5年間は再申請できません(同法第4条)。「バレてから止めればいい」というやり方は、この時点で通用しなくなります。

名義貸しに該当する典型パターンは4つです。

目次

名義貸しとは

名義貸しとは、古物商許可を持つ者が、許可を持たない第三者に自分の許可証や屋号を使わせて古物営業を行わせることです。

古物営業法第9条では「自己の名義をもつて、他人にその古物営業を営ませてはならない」と定めており、名義貸しを明確に禁じています。許可は「その本人(または法人)に与えられたもの」であり、名義だけ借りて営業することは制度の抜け穴を使う行為として厳しく規制されています。

なぜ名義貸しが問題なのか

古物商許可は、盗品の流通を防ぐための仕組みです。許可業者が責任を持って取引し、記録を残すことで、警察が「いつ・誰が・何を売ったか」を追えるようになっています。

本人確認・帳簿記録・不正品の申告は古物商の三大義務として定められており、すべてこの追跡を可能にするためのものです。買取の現場では、警察から「この品物をうちで買い取っていないか確認してほしい」という照会が来ることがあります。台帳が整っていればその場で確認が終わりますが、記録が不十分だと何度も問い合わせを受けることになります。

名義貸しが横行すると、実際に営業しているのが誰かわからなくなります。盗品が持ち込まれても追いようがないため、古物営業法は名義貸しを明確に禁じています。

古物営業法の規定と罰則

古物営業法第31条により、名義を貸した側には3年以下の拘禁刑(旧:懲役)または100万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます。名義を借りて営業した側も、無許可営業として同じ罰則の対象です。貸した側だけが罰せられるわけではありません。

刑事罰に加えて、名義を貸した許可業者は公安委員会から許可の取り消し処分を受ける可能性があります。取り消されると同法第4条の欠格事由に該当し、5年間は再申請できなくなります。

「拘禁刑」は、2022年6月公布・2025年6月1日施行の刑法改正によって従来の「懲役」と「禁錮」が一本化された新しい名称です。罰則を調べてたどり着いた方のために「旧:懲役」と併記しています。

名義貸しに該当する典型4パターン

名義貸しかどうかの判断は、「実際に古物営業を行っているのが誰か」と「その人物が許可名義人と正規の雇用関係にあるか」の2点で決まります。名義人本人が営業を行っていれば問題ありません。別の第三者が実務を担い、かつその人物が正規の雇用関係にない場合は名義貸しに該当します。

パターン①:メルカリなどフリマ・ネット販売の代行

「自分の古物商許可を使っていいから、代わりにネットで売ってほしい」というケースです。

許可証の名義人が実務を行わず、別の人間が出品・販売・入金管理をすべて担う場合は名義貸しに該当します。メルカリで古物販売するときに許可が必要かどうかの判断を含め、取引の管理は許可名義人が担わなければなりません。

パターン②:店舗の「間借り」営業

許可を持つ店舗の一角で、無許可の第三者が独立した形で買取・販売を行うケースです。「テナントとして入っているだけ」は通りません。実態として古物営業を行っているかどうかが判断基準です。

パターン③:法人許可を個人に使わせる

法人として取得した古物商許可を、従業員でも役員でもない知人や親族に使わせるケースです。法人の許可はその法人の営業のためだけのものです。家族が独立して古物営業を行いたい場合は、家族自身が許可を取得するか、法人を設立して新規に許可を申請する必要があります。

パターン④:「手数料」を受け取る形での貸し出し

「名義を貸す代わりに月○万円もらう」という取り決めです。金銭のやりとりが伴うと故意による違反とみなされやすく、悪質なケースとして扱われます。

発覚するきっかけ

無許可営業が発覚するきっかけは、自分の側からは止められないところにあります。警察が盗品情報から取引をさかのぼって調査するケースのほか、フリマアプリが当局と連携して情報を提供するケースもあります。無許可で古物販売を続けるとどこから発覚するかは別記事で取り上げています。

名義貸しの場合、名義人の帳簿が実態と食い違っていれば、警察の照会の時点でずれが出ます。実際に取引した相手の記録がなければ、照会への回答もできません。

名義を貸してほしいと頼まれたとき

気心の知れた相手から頼まれると断りにくいのはわかります。ただ、依頼を受けて名義を貸した時点で、理由に関係なく違法行為になります。

「頼まれたから」「家族だから」は処罰を免れる理由にはなりません。断る際に「法律上できない」と伝えることが、相手のためにもなります。

依頼してきた相手が本格的に古物営業を始めたいなら、自分自身が古物商許可の取得要件と欠格事由を確認したうえで申請するのが正しい方法です。

まとめ

名義貸しは、貸した側・借りた側の両方が古物営業法違反となります。「頼まれたから」「家族だから」「バレないだろう」は、いずれも処罰を免れる理由になりません。

発覚すれば許可取り消し、5年間の再申請禁止という結果が待っています。長年かけて築いた事業が一度の判断で終わります。

古物商許可は名義だけ取れば誰でも使えるものではなく、許可を受けた本人が責任を持って営業する制度です。

お困りの際は当事務所へ

名義貸しに該当するかどうか判断に迷う場合や、自分で許可を取りたいという場合は、当事務所にご相談ください。

古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。

当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。

申請代行 11,000円〜(税込)/まずはお気軽にご相談ください

よくある質問

友人に古物商許可証を「見せるだけ」なら問題ありませんか?

許可証を見せること自体は問題ありません。ただし、その友人が許可証を使って実際に古物営業を行えば名義貸しになります。見せた側が「知っていた」と判断されれば、処罰対象となる可能性があります。

家族(配偶者・子ども)に名義を使わせることはできますか?

いいえ、家族であっても正規の雇用関係や役員関係がなければ名義貸しに該当します。家族が古物営業を行う場合は、家族自身が許可を取得するか、法人を設立して法人として許可を取得するのが正しい方法です。

複数の店舗を運営したい場合はどうすればいいですか?

同じ許可名義人(法人または個人)が複数の営業所を運営する場合は、各営業所を届け出ることで対応できます。別の人間に営業させる必要はありません。詳細は管轄の警察署または行政書士にご確認ください。

EC運営の一部を外部委託したら名義貸しになりますか?

出品作業の代行であれば問題ありません。ただし、買取判断・価格設定・入金管理など、営業の実質的な部分を外部が担っている場合は名義貸しと判断されるリスクがあります。グレーゾーンだと感じたら、管轄の警察署に確認してください。

古物商許可の申請中に、知人の名義で一時的に取引することはできますか?

いいえ、できません。申請中であっても許可が下りるまでは無許可の状態が続いており、他人の名義で取引すれば名義貸しに該当します。東京都の標準処理期間は約40日です。許可取得前の取引は避け、申請が受理された日から逆算して開業日を決めてください。

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