ダブル連結トラックは、大型トラックにフルトレーラを連結した車両です。1台で、通常の大型トラック約2台分の貨物を輸送できます。
物流業界のドライバー不足や輸送効率の向上を背景に導入が進み、一定の要件を満たすフルトレーラ連結車については、全長21mを超えて25mまで通行できる仕組みが設けられました。
ただし、25m以内であれば自由に公道を走れるわけではありません。車両の構造、安全装備、積荷、運転者、通行経路、運行方法まで細かな要件があり、通常の大型トラックとは異なる運用が必要です。
2025年3月からは、ダブル連結トラックも新しい特殊車両通行手続きの対象になりました。対応する道路では、オンラインで通行可能な経路の回答を受けられます。
ダブル連結トラックとは
ダブル連結トラックは、大型トラックの後ろにフルトレーラを連結した長大な連結車です。1台で通常の大型トラック2台分の輸送を担う車両として、2019年に本格導入されました。あわせて、一定のフルトレーラ連結車について、特殊車両通行許可で扱う車両長の限度が21mから25mまで拡大されています。
特殊車両の一般的制限値では、一般的な車両の長さの限度を12mと定めています。ダブル連結トラックはこの水準を大きく超えるため、通常の大型トラックとは異なる条件のもとで運行することになります。
25mまで通行できるのは一定のフルトレーラ連結車
25mという数字は、すべてのトレーラ連結車に適用されるものではありません。主な対象となるのは、国が定める条件を満たしたバン型のフルトレーラ連結車です。
タンク型やコンテナ用など、ほかの車両構造には、この25mという扱いがそのまま当てはまりません。
また、25mはあくまで車両の長さに関する上限です。全長25m以下であっても、車両重量や軸重、通行経路などによって特殊車両通行手続きが必要になります。
ダブル連結トラックが通行できる路線
ダブル連結トラックには、国が定める主な通行経路があります。本格導入当初は新東名高速道路を中心とした運用でしたが、その後対象路線が順次拡大され、2024年9月の拡充では約5,140kmから約6,330kmとなりました。
北海道、首都圏、近畿圏などにも対象区間が広がっており、ダブル連結トラックは高速道路だけを通行する車両ではありません。
物流拠点とインターチェンジを結ぶため、一般道路を経路に含める場合があります。その場合は、高規格幹線道路などの自動車専用道路以外の区間を必要最小限とする経路設定が基本です。
「高速道路を降りたら一切通行できない」という仕組みではなく、実際の物流拠点まで含めて経路を組み立てます。
全長21mを超える車両には6つの要件がある
ダブル連結トラックを運行するには、車両の長さだけでなく、大きく6つの要件を満たす必要があります。
車両を用意して特車手続きを行うだけでは足りません。車両・運転者・経路・実際の運行方法までセットで要件を満たす必要があります。
車両には16項目の安全装備が求められる
全長21mを超えるフルトレーラ連結車では、長大な車両を安全に運行するため、多くの装備が求められています。16項目をまとめると、次のとおりです。
| 1. ABS | 9. ディスクブレーキまたはドラムブレーキ |
| 2. 衝突被害軽減ブレーキ等 | 10. リターダ |
| 3. 車両安定性制御システム | 11. デフロックまたはトラクションコントロール |
| 4. 車線逸脱警報装置 | 12. バックミラー等の間接視界装置 |
| 5. 後端カメラ・モニター | 13. 被けん引車のバックライト |
| 6. デジタルタコグラフ | 14. 車体輪郭マーキング |
| 7. OBWまたは軸重記録書類 | 15. 車両長・追越注意の表示 |
| 8. エアサスペンション | 16. 業務支援用ETC2.0 |
単に同じ名称の装置が付いていればよいとは限らず、それぞれ所定の仕様を満たす必要があります。車両を導入するときは、メーカーや販売店の仕様資料と合わせて、21m超フルトレーラ連結車の要件に適合しているかを確かめます。
業務支援用ETC2.0も必要
装備の中でも実務上重要なのが、業務支援用ETC2.0車載器です。ダブル連結トラックでは通行経路の把握などにも利用されるため、料金所を通過するためだけの通常のETC機器とは扱いが異なります。
運行時には、必要な登録を行った車載器を所定の状態で稼働させることが前提です。
ダブル連結トラックでは積載できない貨物がある
高い輸送力を持つダブル連結トラックでも、貨物の種類を問わず何でも運べるとは限りません。全長21mを超えるフルトレーラ連結車では、一定の危険物貨物、大量の液体、動物などについて積載制限があります。
そのため、車両が要件を満たしていても、実際に運ぶ貨物の内容まで含めて運行可能かを判断します。
運転者にも通常の大型車とは異なる要件がある
大型免許とけん引免許を取得しているだけでは、21m超のダブル連結トラックの運転要件を満たしません。運転経験やけん引免許の保有期間によって、要件は主に2パターンです。
運転者の要件
- ✓ 大型自動車の運転業務に直近5年以上従事
- ✓ けん引免許を5年以上保有
- ✓ 所定の訓練を受講
- ✓ 大型自動車の運転業務に直近3年以上従事
- ✓ けん引免許を1年以上保有
- ✓ 所定の長時間訓練を受講
- ✓ 直近3年間 無事故・無違反
経験年数が短いほど、より長時間の訓練や無事故・無違反の要件が加わる仕組みです。訓練では右左折、狭路通過、後退、車両の連結方法など、全長の長い連結車特有の操作も扱います。
追越しや縦列走行にも条件がある
原則として追越しをしない
21mを超える車両では、原則として道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を走行し、追越しを行わない運行が求められます。登坂車線が設けられている区間では、登坂車線を利用する取扱いです。
21m超車両同士で接近した縦列走行をしない
ほかの21m超車両と接近した状態で縦列をつくって走行することも禁止されています。複数台のダブル連結トラックを運行する場合でも、適切な車間距離を確保します。
故障時は2種類の停止表示機材を使用する
故障などによって道路上へ停車した場合は、板状と灯火式の両方の停止表示機材を使用します。通常の大型車以上に、後続車からの早期認識が重要になるためです。
運行時に必要な書類
運転者の要件によっては、実技訓練を受講したことを示す書類や、直近3年間の無事故・無違反を示す書類を携行します。大型自動車の運転業務に直近5年以上従事し、けん引免許を5年以上保有している場合は、携行書類の一部について例外があります。
また、車載型自動軸重計測装置(OBW)を装備していない車両では、出発時に測定した各軸の重量を記録した書類も必要です。車軸ごとの重量については、軸重・輪荷重・隣接軸重も関係します。
2025年3月から新しい特車手続きにも対応
2025年3月24日のシステム改良により、ダブル連結トラックも特殊車両通行制度の新しいオンライン手続きの対象になりました。対応する道路では、登録した車両についてシステムから通行可能な経路の回答を受けられます。
フルトレーラ連結車・ダブルスについて、システムへ登録できる主な車両諸元は次のとおりです。
フルトレーラ連結車・ダブルスの主な登録範囲
これらはシステムへ登録できる車両諸元の範囲であり、その数値まで道路を自由に通行できるという意味ではありません。
特に163.6tは、道路を163.6tで通行できることを示す数字ではありません。車両をシステムへ登録した後は、橋梁など経路上の道路構造と照合し、通行可能な経路が回答される仕組みです。
同じように、最小回転半径12mについても、登録条件と実際の経路通行可否は分けて考える必要があります。
従来の許可制度を使う場合もある
2025年3月以降も、従来の特殊車両通行許可制度は存続しています。通行したい道路が新しい制度に対応していない場合などは、従来の許可申請を利用します。
そのため、ダブル連結トラックでは車両を登録する前に、実際に走りたい経路がどの制度で処理できるのかを整理することが重要です。特殊車両通行許可と確認制度の使い分けを踏まえて、経路に合う手続きを選びます。
よくある質問
- ダブル連結トラックは全長25mまで自由に走れますか?
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自由に通行できるわけではありません。一定のバン型フルトレーラ連結車について、車両・経路・装備・積荷・運転者・通行方法の要件を満たした場合に、21mを超えて25mまでの通行が認められます。
- 一般道路はできませんか?
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. 一般道路の通行が完全に禁止されているのではありません。物流拠点と高速道路を結ぶ区間などでは一般道路を通行する場合がありますが、自動車専用道路以外の区間は必要最小限となるよう経路を設定します。
- 大型免許とけん引免許があれば運転できますか?
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免許だけでは要件を満たしません。大型自動車の運転業務への従事期間、けん引免許の保有期間、所定の訓練などが必要です。
- ETC2.0は必要ですか?
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全長21mを超えるフルトレーラ連結車では、業務支援用ETC2.0車載器が装備要件に含まれています。
- 2025年3月から従来の特車許可は不要になりましたか?
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従来の特殊車両通行許可も廃止されたわけではありません。経路や道路情報の整備状況などに応じて、新しい制度と従来の許可制度を使い分けます。
まとめ
ダブル連結トラックは、大型トラックにフルトレーラを連結し、1台で通常の大型トラック約2台分の貨物を輸送できる車両です。一定のバン型フルトレーラ連結車では、所定の要件を満たすことで全長21mを超えて25mまでの通行が認められます。
ただし、車両長だけで判断できる制度ではありません。16項目の安全装備、積荷、運転者の経験と訓練、対象路線、追越しなどの運行方法まで、条件は多岐にわたります。
2025年3月からは新しいオンライン手続きにも対応しましたが、システムへの登録上限と、実際に道路を通行できる寸法・重量は別です。特車制度全体の仕組みは、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特車申請でお困りならご相談ください
当事務所では、車両諸元や通行経路を踏まえたうえで、特殊車両通行許可の申請代行を行っています。全長21mを超えるダブル連結トラックの申請や、通行許可制度と通行確認制度の選択でお困りの場合もご相談ください。

