法人で古物営業をする場合は、古物商許可が必要です。法人で古物商許可を申請するには、添付書類として定款を提出することになります。
古物商と定款について内容、変更、会社設立、許可申請や紛失した場合も詳しく解説します。
定款とは
定款(ていかん)とは、会社法に定められており、会社の設立手続きで必ず作成しなければなりません。設立する会社の根本規則を定めた書類です。法人を設立する際に必要となる基本的なルールや目的を記載した書類のことです。
定款は、会社で保管されている書類で、基本的な規則をまとめた冊子のことです。1部を会社(本店および支店)に備え付けておかなければなりません(会社法 第31条)。
定款は法人の運営方針や活動内容、組織の構造などを明確に示します。
- 定款には以下のような事項が記載されます。
- 法人の名称
- 本店所在地
- 事業目的
- 資本金の額
- 発起人の名前や住所
作成した定款は、公証役場で認証を受ける必要があり、それで正式な書類として扱われます。
定款の記載事項は会社法 第26条に規定されており、次の3つに分かれています。
・絶対的記載事項
(商号、本店所在地、目的、発起人、資本金など)
・相対的記載事項
(定款に定めないと、効力が認められない事項で、株式譲渡制限、役員の任期、公告の方法など)
・任意的記載事項
(定款に定めても定めなくてもいい事項で、事業年度、役員の数、基準日など)
会社設立時に作成して、公証人の認証を受けたものが正式な定款となり、最初の定款ということで原始定款と呼ばれています。
古物商の定款
古物商の営業を行う法人の場合、定款には古物営業を行う旨が事業目的として明記する必要があります。
中古品売買を法人として実施するときには、定款を作成しなくてはいけません。定款は法人登記の時に必要になるだけでなく、中古品売買や古物売買の委託を受けるための古物商許可の申請や取得でも必要になります。
たとえば「古物営業法に基づく古物営業」といった文言が記載されていることが一般的です。これが記載されていない場合は、古物商許可申請が受理されない可能性があります。
事業目的に関連する具体的な文言が記載されていれば、審査が順調になることがあります。
定款を作成する際には、行政書士などの専門家に相談することで、不備を防ぐことができます。
定款の変更
定款は内容が変更できます。会社設立後に、事業を運営していくうえで、設立当初とは事業内容に変更ができるといった場合があります。
定款は、事業運営の途中であっても内容を変更できます。(会社法 第466条)。
事業目的を変更するなど、定款の内容を変更したい場合は、株主総会を開いて株主総会議事録を作成します(会社法 第318条 第1項)。
作成した株主総会議事録は、原始定款と合綴(がってつ)することで、内容変更の経緯がわかります。
原始定款の内容に変更を加えて最新につくり直すこともできます。こうしてつくり直した定款を現行定款といいます。
現行定款は、原始定款のように公証人による認証の必要はありません。
株式会社が定款の事業目的の追加や変更するには、まず株主総会を開いて定款変更の特別決議を行う必要があります。
行使できる議決権の過半数を持つ株主が出席した上で、出席した株主の3分の2以上の賛成があれば、定款の事業目的を変更できます。
定款変更の特別決議の議事録を法務局に提出して、法人の登記変更も行わなければなりません。法人の登記変更には登録免許税という費用が3万円かかります。
古物商の定款作成から会社設立
古物商として法人を設立する場合は、定款の作成が最初の重要なステップとなります。以下はその具体的な手順です。
- 中古品売買を法人として実施するときは、次の流れに沿って会社を設立します。
- 会社の基本的事項を決定
- 定款作成
- 公証人による認証手続き
- 出資金の払込み
- 会社設立登記(法務局)
- 古物商許可申請(主たる営業所を管轄する警察署)
- 許可決定、営業開始
古物商にかかわらず定款を作成する場合は、絶対的記載事項を漏れなく記載することが必要です。株券発行や譲渡制限株式などのように定款以外の書類で規定できない相対的記載事項も忘れずに入れておかなければなりません。
古物商の定款の書き方
- 法人を設立して古物商として営業するときは、次の項目を含めた定款を作成します。
- 商号
- 事業目的
- 本店の所在地
- 発行可能株式総数
- 設立に際して出資される財産の価額
- 発起人の氏名又は名称及び住所
・商号
商号とは、法人の名称のことです。「当会社は、株式会社〇〇と称する」などと記載します。
・事業目的
定款には、事業目的として「古物営業法に基づく古物営業」を記載します。また、その他関連する可能性のある事業(例: 中古品の販売、リサイクル事業など)を広く記載しておくことで、後の事業展開に柔軟性を持たせることができます。
- その他、事業目的は、たとえば次のとおりとなります。
- 古物営業法に基づく古物営業及び古物競りあっせん業
- インターネットを利用した通信販売業及び古物の売買業
・本店の所在地
本店の所在地は地番まで記載してもよいですが、市町村(東京都23区の場合は区)までの記載でも問題ありません。
・発行可能株式総数
株券を発行する場合は、発行可能株式総数も記載します。
・設立に際して出資される財産の価額
法人設立に際して出資する財産についても金額を記載します。
出資財産全額を資本金とするときは、当会社の設立に際して出資される財産の全額を成立後の資本金の額とすると記載します。
・発起人の氏名又は名称及び住所
公証役場で定款認証を受ける場合は、発起人の印鑑証明書も提出します。定款には、発起人の氏名と住所を印鑑証明書に記載されているとおりに記載します。
設立に際して割当てを受ける株式数や、株式と引換えに払込む金銭についても記載します。

電子定款の作成
電子定款を作成することで、印紙税4万円が不要となるため、コストを削減できます。電子定款を作成するには、電子認証が可能な環境を整えるか、専門家に依頼する方法があります。
公証役場での認証
作成した定款を管轄の公証役場に提出し、認証を受けます。
- この場合、次の書類が必要です。
- 作成済みの定款
- 発起人の印鑑証明書
- 認証手数料(約5万円)
法務局への設立登記申請
定款の認証が完了したら、次に法務局で設立登記を行います。必要書類は以下の通りです。
- 認証済みの定款
- 発起人や役員の印鑑証明書
- 登記申請書
- 資本金の払込証明書
- 印鑑届出書
設立登記が完了すると、法人としての活動が可能となります。

古物商許可申請の準備
会社設立後、古物商許可申請の手続きに入ります。許可申請には、以下の書類が必要です。
- 定款の写し
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 法人役員全員の住民票や身分証明書
- 営業所の賃貸契約書または不動産登記簿
提出先は、営業所所在地を管轄する警察署の生活安全課です。審査には通常1~2か月程度かかります。
定款を紛失した場合
法人が保管すべき重要書類の一つである定款を紛失してしまった場合、いくつかの対処方法があります。
1.会社設立時に作成した電子データを確認する
電子定款を作成した場合、データが残っている可能性があります。
2.法務局で定款の写しを取得する
設立登記の際に提出した定款の写しが法務局に保管されています。必要書類を準備し、管轄の法務局で写しを請求することができます。
3.公証役場で認証済みの定款を再取得する
定款の認証を受けた公証役場で、認証済みの定款のコピーを請求することが可能です。
紛失が判明した時点で、早急に対応することが重要です。
定款は、会社で保管している以外に認証を受けた公証役場や、法務局で保管されていることもあります。
・設立時に定款認証を受けた公証役場で再発行
会社設立時に、定款認証のため公証役場に提出した原始定款は、20年間保管されています。認証を受けた公証役場がわかっている場合は、保管期限内であれば、原始定款の謄本(写し)を請求することができます。
・法務局で書類閲覧
会社設立後5年以内であれば、法務局で、会社設立登記の時に提出した書類を閲覧することができます。
付属書類閲覧申請の手続きによって登記申請書と付属書類の閲覧ができます。
・定款の再作成
履歴事項全部証明書(法人登記簿)や株主総会議事録などを基に、再作成することもできます。
古物商許可申請での定款の提出
古物商許可申請を行う際には、法人の場合、定款の写しを提出する必要があります。この定款は、事業目的に古物営業が含まれていることが確認できるものに限られます。
提出時のポイントは以下の通りです。
- 定款の写しが最新かどうかを確認する
- 定款に記載された事業目的が古物商営業に適しているか確認する
- 必要に応じて専門家に事前チェックを依頼する
行政庁は定款を通じて、申請者が法令を遵守し適切に営業を行う意思があるかを判断します。そのため、適切な内容であることを確認してから申請を行いましょう。
古物商許可申請は書類の準備が重要です。不備を防ぐためには、専門家への相談や事前確認をしっかり行うことがポイントです。
古物商許可申請の際に提出する定款は、コピーを提出します。
原始定款、現行定款のいずれかを提出しますが、コピーを用意して、原本証明が必要となります。
・原本証明
定款の原本が必要とされたとき、定款のコピーに原本証明を付けて提出することで、原本と同義と見なされます。
定款の原本証明をするには、定款のコピーに、会社の情報や日付、原本と相違ない旨といった必要事項を記載します。
- 書面の定款で原本証明のつくる方は次のとおりです。
- 定款をコピーし、ホチキスで留めて装丁します
- すべてのとじ目に会社の代表者印で契印する
- 最後のページの余白や裏面に原本証明の記載をし、押印します
最終ページの余白や裏面に、原本と相違ない旨と証明した日付、本店所在地、会社名、代表者名を記載し、代表者印を押します。
同じ内容であれば、基本的にはどのような文言でも問題ありません。提出先から文言や書き方の指定がある場合はそれに従います。
記載する日付は原本証明を作成した年月日であり、提出日ではありません。
印鑑は、法人代表者印を捺印し、シャチハタは不可です。
古物商許可申請における「定款」の提出については、都道府県公安委員会ごとに異なる場合もあります。
事業の目的
定款には記載事項があり事業の目的は絶対的記載事項となっています。古物商許可申請であれば、古物営業を営む旨の内容の事業目的の記載が必要となります。
記載する事業数に上限はありません。定款変更の手続きをしないためにも、将来的に可能性がある事業をすべて記載しておきます。
古物商、古物の売買、古物営業法に基づく古物商などのといった目的が記載してあります。
事業目的に古物商の記載がない場合であれば、事業目的の追加・変更の必要があるので、株主総会を開催して事業目的の追加を決定後、法人登記簿の変更手続きを行います。
定款の記載例
法人の古物商許可を取得するには、定款の事業目的に古物営業を行う旨が記載されていなければなりません。
法人の古物商許可を取得するには、定款の事業目的に「古物営業を行う旨」が記載されていなければなりません。
法人は原則として、定款に定めた事業目的の行為しかできないことになっています。
事業目的に古物営業の記載がない法人は、原則として古物営業を行うことができません。
法人が古物商許可を申請するには、定款の事業目的に「古物営業を行う旨」を記載しなければなりません。
- 例えば、次のような記載です。
- 古物営業法に基づく古物商
- 古本の売買
- 中古家電の販売および買取
このような記載がない場合は、古物商許可を申請する前に事業目的の追加や変更を行うとよいでしょう。
事業目的は登記でも確認できる
法人の事業目的は定款に記載されていますが、法人の登記でも確認することができます。
法人の登記内容は、最寄りの法務局で登記事項証明書を取り寄せれば見られます。
手数料は600円です。
法人の古物商許可を申請するとき、定款のコピーを必ず提出することになっています。
定款が紛失していては古物商許可の取得はできないので見つけておきます。
登記事項証明書も必ず提出することになっている書類です。



