高速道路でセミトレーラやフルトレーラを走らせるとき、車両の重量や長さは一般道と同じ基準で扱われるわけではありません。
東名高速や中央道のような高速自動車国道では、特例5車種に最遠軸距に応じて総重量最大36tの特例があります。また、一定のセミトレーラ・フルトレーラ連結車には、長さ16.5m・18mの特例も設けられています。
ただし、この特例がそのまま首都高速や一般道まで続くわけではありません。道路区分やICを降りた後の経路によって、適用される基準そのものが変わるためです。
この記事では、高速道路で特車申請が必要になる場面を押さえながら、高速自動車国道の36t・16.5m特例の中身と、首都高速・一般道との違いを解説します。
高速道路でも特車申請が必要になる
道路を通行する車両には、幅・長さ・高さ・総重量・軸重などについて制限値が定められています。特殊車両の一般的制限値は次のとおりです。
| 項目 | 一般的制限値 |
|---|---|
| 幅 | 2.5m |
| 長さ | 12.0m |
| 高さ | 3.8m |
| 総重量 | 20.0t |
| 軸重 | 10.0t |
| 輪荷重 | 5.0t |
| 最小回転半径 | 12.0m |
高速道路を走るというだけで、この基準を超える車両が自由に通行できるわけではありません。高速自動車国道では総重量の一般的制限値が最大25tとなるほか、一定のセミトレーラ・フルトレーラ連結車にはさらに重量や長さの特例が設けられています。
そのため高速道路の特車申請では、「高速道路かどうか」だけでなく、どの道路区分を通行するのか、どの車種に該当するのかまで見きわめる必要があります。
「高速道路」はすべて同じ道路区分ではない
一般に高速道路と呼ばれている道路でも、道路法上の区分は同じではありません。東名高速、中央道、東北道などは高速自動車国道に該当します。
これに対して、首都高速道路、阪神高速道路、本州四国連絡高速道路、圏央道などは、高速自動車国道の重量・長さ特例をそのまま適用する道路区分ではありません。
この違いは、セミトレーラやフルトレーラを運行するときに特に重要です。高速自動車国道では36tや16.5mといった特例が使える場合でも、そのまま首都高速や一般道まで同じ条件で通行できるとは限りません。
東名・中央道と首都高では特例が違う
高速自動車国道と首都高速の違いを表にまとめると、次のようになります。
| 項目 | 高速自動車国道(東名・中央道など) | 首都高速 |
|---|---|---|
| 道路区分 | 高速自動車国道 | 高速自動車国道ではない |
| 特例5車種の総重量 | 最遠軸距により最大36t | 36t特例は適用されない |
| セミトレーラの長さ | 16.5mの特例あり | 16.5m特例は適用されない |
| フルトレーラの長さ | 18mの特例あり | 18m特例は適用されない |
| 通行可否 | 車両諸元と経路で判断 | 区間・IC・車両諸元を含めて判断 |
たとえば、東名高速を総重量36tで通行できる車両だからといって、そのまま首都高速でも36tまで許可なしで通行できるわけではありません。首都高速を含む経路は、高速自動車国道とは分けて道路条件を見きわめます。
特例5車種は高速自動車国道で総重量36tまで特例がある
高速自動車国道では、一定のセミトレーラ・フルトレーラ連結車について、最遠軸距に応じた総重量の特例が設けられています。対象になるのは、バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の特例5車種です。
特例8車種のうち、後から追加されたあおり型・スタンション型・船底型には、この総重量の最高限度に関する特例は適用されません。
高速自動車国道での特例5車種の総重量は次のとおりです。
| 最遠軸距 | 総重量の制限値 |
|---|---|
| 8m以上9m未満 | 25t |
| 9m以上10m未満 | 26t |
| 10m以上11m未満 | 27t |
| 11m以上12m未満 | 29t |
| 12m以上13m未満 | 30t |
| 13m以上14m未満 | 32t |
| 14m以上15m未満 | 33t |
| 15m以上15.5m未満 | 35t |
| 15.5m以上 | 36t |
特殊車両通行ハンドブックでは、最遠軸距ごとにこの総重量の最高限度を定めています。36tは特例5車種すべてに一律で適用される重量ではなく、最遠軸距15.5m以上など、その車両に対応する条件を満たして初めて到達する数値です。
また、総重量がこの範囲に収まっていても、幅・軸重・高さなど別の制限値を超えていれば、その項目について特車申請が必要になることがあります。
注意したいのは、コンテナ用は特例5車種に含まれるものの、海上コンテナ用セミトレーラにはこの総重量の特例が適用されない点です。 40ft背高の国際海上コンテナ車には、重要物流道路の一部に別の許可不要区間制度が設けられており、高速自動車国道の36t特例とは別の制度として扱います。
重さ指定道路では特例5車種でも最大27t
高速自動車国道を降りると、同じ車両でも適用される総重量の制限値が変わることがあります。特例5車種については、重さ指定道路でも最遠軸距に応じて最大27tが上限です。
| 道路 | 特例5車種の総重量 |
|---|---|
| 高速自動車国道 | 最大36t |
| 重さ指定道路 | 最大27t |
| その他の道路 | 最大27t |
実際の数値は道路区分と最遠軸距の組み合わせで変わります。東名高速を36tで通行できるセミトレーラでも、ICを降りた先の道路を同じ36tで通行できるとは限らず、重さ指定道路に該当するかどうかも含めて目的地までの経路を見通す必要があります。
セミトレーラは16.5m、フルトレーラは18mの長さ特例がある
高速自動車国道には、連結車の長さについても特例が設けられています。
| 車両 | 高速自動車国道での長さ |
|---|---|
| セミトレーラ連結車 | 16.5m |
| フルトレーラ連結車 | 18.0m |
この特例が使えるのは、積載する貨物が被けん引車の前方または後方へはみ出していない場合に限られます。一般的制限値の12mを超えていても、高速自動車国道ではこの範囲まで長さの特例が適用されるという位置づけです。
ただし、16.5mや18mという長さがすべての道路で使えるわけではありません。首都高速や一般道へ接続する場合は、その区間について別に通行条件を判断します。
高速道路を降りた後の一般道まで確認する
高速道路を使う特車申請で見落としやすいのが、ICから目的地までの道路です。高速自動車国道 → インターチェンジ → 国道・県道 → 市道 → 工場・建設現場、という経路では、高速道路本線だけでなく出発地から目的地までの全区間を突き合わせます。
高速自動車国道で36tや16.5mの特例が適用されていても、ICを降りた先が重さ指定道路ではなかったり、長さ12mを基準とする道路が含まれていたりすれば、その区間で特車申請が必要になることがあります。
高さについても同様で、4.1mを使えるかどうかは高さ指定道路の指定によって変わります。高速道路区間だけを基準に車両重量や経路を決めないことが重要です。
ICから目的地まで未収録道路が残るケース
高速道路を降りた後に、市道や工業団地内の道路など、道路情報便覧へ収録されていない区間が含まれることもあります。未収録道路では便覧データだけで自動算定を完了できないため、道路管理者との個別審査や協議が必要になるケースが出てきます。
高速道路を長く使う経路でも、目的地付近の短い区間が未収録であれば、その部分が審査期間に影響します。高速道路中心の経路だから一律に審査が早いとは限らず、ラストマイルまで含めて経路を押さえておくことが欠かせません。
大型車誘導区間と36tの特例は別の制度
高速道路の多くは大型車誘導区間に含まれています。ただし、大型車誘導区間に指定されていること自体が「総重量36tまで通行できる」という意味ではありません。
大型車誘導区間は、大型車を道路構造上望ましい経路へ誘導し、特殊車両通行許可の審査や経路選択を効率化するための道路ネットワークという位置づけです。36tの重量特例は、高速自動車国道を通行する特例5車種について最遠軸距に応じて適用される、これとは別の基準になります。
この2つを切り離して考えると、高速道路の特車制度を整理しやすくなります。
高速道路と一般道は一つの経路として申請できる
高速道路と一般道を含むからといって、必ず別々に特車申請を行うわけではありません。出発地から目的地までを一つの経路として申請し、複数の道路管理者にまたがる場合は、申請を受けた道路管理者が関係する道路管理者と協議しながら許可手続きを進める仕組みです。
また、NEXCO3社、首都高速、阪神高速、本州四国連絡高速が管理する高速道路については、高速道路会社を窓口とする特殊車両通行許可のオンライン申請も用意されています。
どの窓口・制度を使うかを先に決めるのではなく、まず車両と出発地・目的地・実際の通行経路を押さえることが先決です。
高速道路の特車申請を判断する順番
高速道路を含む経路では、次の順番で押さえると判断しやすくなります。
1.車両の種類を見きわめる
単車なのか、セミトレーラ・フルトレーラ連結車なのかをまず押さえます。連結車の場合は、バン型・タンク型などの特例5車種に該当するかどうかも判断材料に加えます。
2.最遠軸距と総重量を把握する
特例5車種では、最遠軸距によって高速自動車国道で適用される総重量が25tから36tまで変わります。車検証の数値だけでなく、連結状態での車両諸元を使う点に注意します。
3.連結状態の長さを確認する
セミトレーラは16.5m、フルトレーラは18mの長さ特例が使えるかどうかを見きわめます。積載貨物が被けん引車の前後へはみ出している場合は、この特例の対象から外れます。
4.通行する高速道路の区分を押さえる
東名高速などの高速自動車国道を通るのか、首都高速のような別の道路区分を含むのかを押さえます。「高速道路」という名称だけで36tや16.5mの特例を当てはめないことが重要です。
5.ICから目的地までの道路まで見通す
高速道路を降りた後の重さ指定道路、高さ指定道路、一般道、未収録道路まで見通します。高速道路で適用される特例と一般道の基準が異なる場合は、経路全体を通行できるよう特車申請を組み立てます。
よくある質問
- 東名高速を走る場合も特車申請は必要ですか?
-
車両がその道路・車種に適用される制限値を超える場合は、特車申請の対象になります。高速自動車国道には重量や長さの特例がありますが、それを超える車両や、幅・高さ・軸重など別の基準を超える車両も対象です。
- セミトレーラは高速道路なら16.5mまで許可不要ですか?
-
高速自動車国道では、積載貨物が被けん引車の前方または後方へはみ出していないセミトレーラ連結車について、長さ16.5mの特例があります。首都高速や一般道まで同じ16.5mの特例が続くわけではありません。
- 特例5車種なら36tまで走れますか?
-
36tは、高速自動車国道を通行する特例5車種のうち、最遠軸距15.5m以上の場合に適用される総重量の制限値です。特例5車種だからといって一律に36tになるわけではありません。
- 東名高速で36tなら首都高も36tまで通行できますか?
-
高速自動車国道における36tの特例は、首都高速道路には適用されません。首都高区間については、その道路に適用される基準と車両諸元を別に判断します。
- 高速道路を降りたら特車申請が必要になることはありますか?
-
あります。高速自動車国道では基準内でも、ICを降りた先の一般道で重量や長さの基準を超える場合があります。出発地から目的地まで、経路全体で判断することが前提です。
- 高速道路と一般道は別々に申請しますか?
-
必ずしも別々には申請しません。高速道路と一般道を含め、出発地から目的地までを一つの通行経路として申請できます。複数の道路管理者にまたがる場合は、関係する道路管理者との協議を含めて審査が進みます。
まとめ
高速道路でも、車両が適用される寸法・重量の制限値を超える場合は、特殊車両通行許可などの手続きが必要です。東名高速などの高速自動車国道では、特例5車種について最遠軸距に応じて総重量最大36tの特例があり、貨物が前後へはみ出していない連結車ではセミトレーラ16.5m、フルトレーラ18mの長さ特例も認められています。
首都高速などには、この高速自動車国道の特例がそのまま適用されません。ICを降りた後の一般道も含め、道路区分と車両諸元を照らし合わせながら経路全体で判断することが欠かせません。
特車制度・申請手続き・車種別対応の全体像は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特殊車両通行許可の申請を、必要書類の作成から手続きまでサポートしています。
申請が必要か迷っている場合でもご相談いただけます。

