自宅で古物商を始めると住所は公開される?氏名表示とネット販売の注意点

自宅を営業所にして古物商許可を取っても、警察や公安委員会のサイトに自宅の住所が載ることはありません。

ただし、ネットで中古品を売るときは、ショップに氏名などを表示するルールと、通販サイトの住所表示のルールが関わってきます。

「許可を取ると番号から自宅を特定されるのか」「屋号だけで売れるのか」といった疑問を、手続きと通販に分けて解説します。

目次

自宅住所は公安委員会のサイトに載らない

古物商許可の申請書に記入した自宅住所が、そのまま警察庁や公安委員会のウェブサイトに掲載されることはありません。

東京都公安委員会の「古物商URL届出一覧」に載る項目は、次の3点だけです。許可証番号、個人の氏名または法人名、届け出たウェブサイトのURLです。閲覧しているサイトの内容が届出と一致するかは、この一覧で調べられます。営業所の所在地や個人の自宅住所が載ることはありません。

一方、届け出たショップのページに特定商取引法の住所を載せていれば、閲覧者がそのショップ経由で住所を知ることは可能です。古物商許可番号が一覧に出てこない場合は、公安委員会の一覧だけで判断せず、標識や許可証、サイト表示もあわせて調べます。

場面ごとの情報と表示

古物商の営業では、警察への申請、公安委員会による公表、自社ショップでの表示、営業所への掲示で、扱う項目が違います。

場面主に扱う情報実務での注意点
古物商許可の申請申請者の住所・氏名、営業所の名称・所在地実際の生活拠点・活動拠点を警察署へ正確に提出する
公安委員会のURL一覧許可証番号、個人の氏名または法人名、届出URL自宅住所は公表されない
ネット販売時の画面表示氏名または法人名、公安委員会名、許可証番号個人許可の場合は屋号だけの表示は不可
営業所内の標識(プレート)許可情報、主として扱う古物の区分など公衆の見やすい場所に掲示する
特定商取引法の表記販売業者の氏名・名称、住所、電話番号原則として現住所を表示するが、条件付きで省略もできる

個人許可は屋号だけで本名は隠せない

インターネットで古物の売買をするときは、古物営業法第12条第2項により、販売サイトに次の3項目を表示します。

  • 許可を受けた公安委員会の名称(例:東京都公安委員会)
  • 12桁の古物商許可証番号
  • 許可を受けた個人の氏名または法人名

個人事業主が「〇〇リユース」のような屋号やショップ名を使っていても、屋号だけの表示は認められません。ショップ名とは別に、許可を受けた本人の氏名を明記してください。

東京都公安委員会 第300000000000号 山田太郎

新規申請の時点で使うURLが決まっているなら、申請書に記載します。許可後にサイトを開設して古物の取引を始める場合は、古物商のURL届出も必要です。

特定商取引法の住所表示と省略方法

ネット通販で古着や家電、ブランド品などを売る場合は、古物営業法とは別に、特定商取引法の「通信販売」の規制が適用されます。

原則は事業拠点の住所

消費者が安心して取引できるよう、販売業者の氏名、住所、電話番号の表示を義務付けているのが特定商取引法です。自宅を拠点に1人でネット販売をする個人事業主は、原則として自宅住所を番地や部屋番号まで正確に載せます。

私書箱の住所や、実際に事業活動をしていない知人宅の住所は認められません。

請求に応じて開示する省略

広告画面上の住所や電話番号の表示は、一定の要件を満たす場合に限り、省略できます(通信販売広告Q&A)。要件は次の2点です。

  • 「消費者から請求があった場合、遅滞なく住所等の情報を書面または電子メール等で提供する」と、サイト上に書く
  • 請求を受けたときに遅滞なく開示できる連絡窓口と提供体制を、実際に整えておく

「住所非公開」とだけ書いて済ませることはできません。この方法は画面上で常時公開しないための規定で、購入を検討する人から開示請求があれば、自宅住所を開示する義務があります。

プラットフォームやバーチャルオフィスの住所

BASE、Shopify、メルカリShopsなどのプラットフォームやバーチャルオフィスを使う個人事業主は、そのサービス事業者の住所・電話番号を通販の連絡先として表示できることがあります。特例の要件は次のとおりです。

  • プラットフォーム等の運営者が、販売者の現住所や連絡先を確実に把握している
  • 販売者と運営者の間で、その住所・電話番号を連絡先に使うことへの合意がある
  • 消費者から問い合わせがあったとき、運営者を通じて販売者に確実に連絡が取れる体制がある

自社サイトで販売するなら、契約しているバーチャルオフィスの規約が、特定商取引法の表記への利用を認めているかを調べてください。

営業所の住所と通販の表示用住所は別

バーチャルオフィス等の住所を特定商取引法の表記に使えても、古物商許可の営業所として警察署に申請できるとは限りません。

古物商の営業所は、実際に古物営業を行う拠点です。郵便物の転送や住所貸しだけのバーチャルオフィスは、営業所としての実態を満たさないことがあります。利用を予定しているなら、契約前に管轄の警察署へ相談してください。

実務では、自宅を古物商の営業所として届け出て許可を取り、ネット通販の特定商取引法の表記についてだけ、開示請求への対応やプラットフォームの住所表示機能で自宅住所の露出を抑えます。

自宅営業所の標識(プレート)

古物商許可を取ると、営業所ごとに古物商の標識(プレート)を掲示する義務が生じます。標識に載るのは、許可番号、公安委員会名、事業者の氏名または名称、主として取り扱う古物の区分で、住所は載りません。

掲示場所は、古物営業法で「公衆の見やすい場所」と定められています。戸建て住宅なら、玄関の外側や門柱付近が掲示場所です。マンションなどで掲示場所に迷うときは、入口や営業スペースの状況を管轄の警察署に伝えて相談しましょう。

ネット販売だけの営業でも、標識を引き出しにしまったり、人から見えない場所に置いたりすることはできません。

よくある質問

古物商の許可番号から自宅住所を調べられますか?

公安委員会が公開する一覧に自宅住所は載らないため、番号から公的サイト上で住所は分かりません。届け出たショップの特定商取引法のページに自宅住所を載せていれば、サイトを見た第三者に住所が知られます。

個人で許可を取った場合、ネットショップには屋号だけを表示できますか?

できません。古物営業法では、個人許可なら許可を受けた個人の本名を表示する義務があります。屋号やショップ名だけの記載は認められません。

特定商取引法で住所の表示を省略した場合、古物商の氏名も非公開にできますか?

できません。特定商取引法の住所等の表示省略と、古物営業法の氏名の表示義務は、別の法律の規定です。住所の表示を省略しても、古物商の許可番号と本名は必ず表示してください。

私書箱の住所を特定商取引法の表記に使えますか?

使えません。私書箱は実際の活動拠点ではないため、特定商取引法上の住所表示として認められていません。

自宅の住所を警察や顧客に一切知らせずに古物商を営業できますか?

できません。警察署への許可申請では、自宅住所の正確な届出が欠かせません。ネット通販で画面上の住所表示を省略する場合も、購入者から開示請求があれば遅滞なく開示します。

まとめ

自宅を営業所にして古物商許可を取っても、公安委員会によって自宅住所がインターネット上に公開されることはありません。一方、ネット販売では、個人の本名、許可番号、公安委員会名を販売サイトに表示します。屋号だけでは代わりになりません。

特定商取引法の住所表示は、開示請求にすぐ応じる体制か、対応するプラットフォームの機能で、サイト上の常時公開を控えられます。自宅住所を常時表示したくないなら、営業所として届け出る住所と通販画面に出す住所を分けて考えましょう。

参考資料・公式情報

本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。

古物商許可の申請でお困りならご相談ください

自宅を営業所にする場合は、営業所として使えるかどうかと、ネット販売でどの情報を表示するかを分けて判断します。自宅住所の公開が気になる方は、利用予定の販売サイトと営業方法をお知らせのうえ、当事務所へご相談ください。

目次