特殊車両通行許可の申請書には、「特殊車両を通行させようとする者」を申請者として記載します。運送事業者のほか、輸送の形態によっては荷主が申請者になる場合もあります。
特車申請の書類を作成していると、この「通行させようとする者」と、車検証の所有者欄に記載された名義が食い違う場面に行き当たります。リース車両や所有権留保車両、元請・下請が関わる輸送、傭車では、車を持っている会社と、実際にその車を走らせようとしている会社が別々になることがあるからです。
この記事では、車検証の名義と申請者の関係を出発点に、リース・元請下請・傭車・荷主それぞれの考え方と、行政書士へ依頼した場合の申請者の扱いを取り上げます。
申請者は「車両を通行させようとする者」
特殊車両通行許可は、道路法第47条の2に基づき、特殊車両を通行させようとする者が道路管理者へ申請する仕組みです。
ここでのポイントは、申請者が必ずしも車両の所有者と一致しない点です。運送会社が自社車両で輸送する場合は所有者と申請者が重なることも多いものの、リース車両や所有権留保車両、借受車両、傭車では、車検証上の所有者と、実際にその車両を使って輸送する事業者が異なります。
こうしたケースでは、車両の所有関係だけでなく、誰がその車両を使い、その経路を通行させようとしているのかという視点で申請者を判断します。
車検証の所有者と申請者は同じでなくてもよい
大型トラックやトレーラでは、車検証上の所有者と使用者が食い違うことがあります。リース会社が車両を所有し、運送会社がその車両を使って輸送しているケースや、割賦購入で所有権が販売会社側に留保されているケースが典型です。
この場合、車検証の所有者欄に載っている会社が、そのまま特車申請の申請者になるとは限りません。特車申請では、車両の所有権そのものより、誰がその車両を通行させようとしているのかが申請主体を考える基準になります。
「車検証の所有者と申請者が違うから申請できない」と考える必要はありません。車検証は車両を特定し、寸法・重量などの申請情報を確認するための重要な資料ですが、所有者欄だけで申請者が決まるわけではないのです。
車両の所有名義を示します。
車両を通行させようとする者が申請者になります。
法人と個人事業主では申請者の記載が異なる
法人が車両を通行させる場合は、その法人自体を申請者として申請します。
特車申請を本社で一括して扱う会社もあれば、支店や営業所ごとに担当を分けている会社もあります。オンライン申請のユーザーIDについても、会社で一つ取得する方法と、支店・営業所単位で取得する方法のどちらも認められています。
どちらの単位で管理するかは、車両数や営業所の運行範囲、許可期限の管理方法などを把握したうえで決めると扱いやすくなります。
個人事業主が申請する場合は、個人事業主本人が申請主体です。屋号を使って営業していても、申請者を特定できるよう本人の氏名を用います。
法人と個人事業主とでは申請主体の扱いが異なるため、法人化や事業承継で申請者そのものが変わる場合は、従来の許可をそのまま使えるかどうか、別途確認が必要です。
リース車両では誰が申請者になる?
リース車両だからといって、リース会社が特車申請を行うとは限りません。
所有者がリース会社で、実際に車両を使って輸送するのが運送会社という関係であれば、その運送会社が「車両を通行させようとする者」として申請者になるのが一般的です。車両の所有者と使用者が異なること自体は、特車申請では特別な扱いにはなりません。
申請時には、実際に使用する車両の車検証や車両諸元をもとに申請データを作成します。リース期間中に車両を入れ替える場合は、既存の許可に含まれる車両と一致しなくなるため、特車の変更申請など別の手続きが必要になることがあります。
元請・下請・傭車が絡む輸送は、誰の名義で申請する?
建設工事や重量物輸送では、荷主、元請会社、運送会社、下請会社、傭車先など、複数の事業者が一つの輸送に関わることがあります。
この場合、実際にハンドルを握るドライバーの所属先というだけの理由で、申請者が決まるわけではありません。「元請だから申請者」「下請だから申請者」「傭車先だから申請者」と立場だけで判断するのではなく、輸送契約や車両の使用関係を突き合わせ、誰がその特殊車両を通行させようとしているのかを見きわめます。
たとえば元請会社が輸送を手配し、下請の運送会社が自社車両を使って運行するケースもあれば、運送会社が別会社から傭車を手配して輸送するケースもあります。契約関係や実際の運行形態によって、申請者の扱いは変わってきます。
親会社・子会社など別法人間で車両を使う場合も同じ考え方です。グループ会社であることだけを理由に一つの会社の許可をそのまま使えるとは限らず、申請者と許可された車両の関係を押さえておく必要があります。
リース車・傭車など申請者の判断で迷ったら
リース車や傭車では、車検証の名義と実際の輸送関係が異なるため、申請者の判断に迷うことがあります。当事務所では、申請者の整理から特車申請まで対応しています。
特車申請サービス →荷主が申請者になる場合もある
特車申請は、運送会社だけが行える手続きではありません。
特殊車両を通行させようとする者の例には、運送事業者だけでなく荷主も含まれます。大型設備、重量物、建設機械などの輸送では、荷主側が輸送計画を立て、使用する車両や通行経路を手配することがあります。このような輸送では、実際の契約関係や車両使用の状況次第で、荷主が申請者になります。
ただし、「荷主なら常に申請できる」「運送会社なら必ず申請者になる」と決めつけるものではありません。複数の会社が関係する案件では、誰が車両を通行させようとしているのかを個別に見きわめることが欠かせません。
行政書士へ依頼しても申請者は依頼者のまま
行政書士へ特車申請を依頼した場合でも、行政書士が特殊車両の申請者になるわけではありません。
申請者は運送会社や荷主などの依頼者で、行政書士はその手続きを代わりに行う代理人という位置づけです。代理申請には委任状が必要です。オンライン申請でも申請者名義のユーザーIDを使うことになっており、代理人が複数の申請者について一つのユーザーIDを使い回す仕組みにはなっていません。
申請に必要な委任状や車検証などの特車申請の必要書類は、本人申請か代理申請かによって一部異なります。
申請者の判断に迷ったら、車両の所有者だけで決めない
特車申請の申請者が分かりにくいときは、まず車検証の所有者と使用者を押さえ、そのうえで実際の輸送関係を照らし合わせてみましょう。
特にリース、傭車、元請・下請、荷主が関係する案件では、車両を所有している会社と、輸送を手配している会社、実際に車両を使う会社がそれぞれ別になっていることがあります。こうした場合は、「誰の車か」だけで判断するより、「誰がその車両をその経路で通行させようとしているのか」という制度上の考え方に当てはめると見通しを立てやすくなります。
申請者を決めた後は、その名義で、実際に通行させる車両と経路を申請します。許可取得後に申請者や車両、経路などが変わる場合は、既存の許可のまま通行できるかどうか、あらためて確認してください。
よくある質問
- 車検証の所有者が別会社でも特車申請できますか?
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車検証の所有者と、特車申請の申請者が異なるケースはあります。リース車や所有権留保車両などでは、車両の所有者とは別の事業者が実際に使っています。特車申請では、所有者欄だけでなく、誰がその車両を通行させようとしているのかを踏まえて申請者を判断します。
- 下請の運送会社が走る場合は下請名義で申請しますか?
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下請という立場だけで一律に決まるものではありません。荷主、元請、運送会社、傭車先などの契約関係と車両の使用状況を踏まえ、誰がその車両を通行させようとしているのかを見きわめます。
- リース車でも特車申請できますか?
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リース車であることを理由に申請できなくなるわけではありません。リース会社が所有者で、運送会社がその車両を使って輸送する場合などは、実際の車両使用と輸送の関係から申請者を判断します。
- 荷主でも特車申請できますか?
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荷主が申請者になる場合もあります。特殊車両通行許可では、車両を通行させようとする者として運送事業者だけでなく荷主も想定されています。実際の輸送関係に応じて申請主体が決まります。
- 個人事業主は屋号で申請しますか?
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個人事業主の場合、申請主体は本人です。屋号を使って営業していても、本人を特定できる氏名を申請者情報として使います。
- 行政書士へ依頼すると行政書士名義の許可になりますか?
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行政書士名義の申請にはなりません。依頼者が申請者となり、行政書士は委任を受けた代理人として手続きを行います。
まとめ
特殊車両通行許可の申請者は、車検証上の所有者だけで決まるものではありません。制度上は、特殊車両を「通行させようとする者」が道路管理者へ申請します。
そのため、運送事業者だけでなく荷主が申請者になる場合もあり、リース車、元請・下請、傭車などでは、車両の所有関係と実際の輸送関係を分けて押さえておく必要があります。
行政書士へ依頼する場合も申請者は依頼者のままで、行政書士は代理人として手続きを行います。誰を申請者とするか迷う案件では、「誰が車両を所有しているか」だけでなく、「誰がその特殊車両を通行させようとしているのか」を基準に判断することが重要です。
特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特車申請の申請者でお困りならご相談ください
当事務所では、車検証の名義や車両の使用関係、実際の輸送形態を整理したうえで、特殊車両通行許可の申請代行を行っています。
リース車両や傭車、元請・下請が関係する輸送など、誰を申請者にすればよいか判断しにくい場合もご相談ください。

