古物商許可を取得したら、次に必要なのが「古物商プレート(標識)」の作成と掲示です。
しかし、「個人事業主の場合、屋号は記載できるのか?」「法人との違いは?」「どこで作ればいいのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、古物商プレートの作成方法と掲示ルールをわかりやすく解説します。
古物商プレートとは?
古物商プレート(標識)とは、古物商が営業所や店舗に掲示する標識のことです。
プレートに記載される内容:
- 許可を受けた公安委員会名(例:東京都公安委員会許可)
- 古物商許可番号(12桁)
- 主として取り扱う古物の品目(例:道具商、美術品商)
- 古物商の氏名または法人名
古物商プレートは、業者が許可を取得していることの証明であり、取引相手が古物商かどうかを識別するための重要な標識です。
古物営業法第12条により、すべての古物商に掲示が義務付けられています。
古物商プレートの掲示が必要な理由
法律で義務付けられている
古物営業法第12条により、古物商は営業所の見やすい場所に古物商プレートを掲示しなければなりません。
古物営業法 第十二条
古物商又は古物市場主は、それぞれ営業所若しくは仮設店舗又は古物市場ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければならない。
掲示しない場合は、10万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
参考: e-Gov法令検索「古物営業法」
無許可営業の排除
古物商プレートは、取引相手が古物商の許可を受けているかどうかを識別するための標識です。
古物商の無許可営業を排除し、健全な古物営業を目指すことが目的です。
私は現在も質屋の店長として勤務しており(業界歴10年以上)、日々、ブランド品・貴金属・時計の買取・販売を行っています。
だからこそ、書類上の知識だけでなく、現場で使える実践的な情報をお伝えできます。
古物商プレートの規定(サイズ・色・材質)
古物商プレートは、古物営業法施行規則の規定をすべて満たしたものを用意しなければなりません。

これは、私が勤務する店舗で使用している古物商プレートです。 番号と会社名は個人情報保護のため黒塗りしています。
サイズ
- 縦:8センチメートル
- 横:16センチメートル
- 厚さには特に基準がありません
材質
材質は、金属、プラスチック、またはこれらと同程度以上の耐久性を有するものとされています。
❌ 認められないもの:
- 紙に印刷したもの
- 基本的に記載内容に修正が加えられたもの
色
古物商プレートの色は、紺色地に白文字です。
光沢があっても、紺色であれば問題はありません。紺色の濃淡は、特に色番号などで指定されていません。
参考: 警視庁「古物商許可申請」
個人事業主と法人の記載の違い
個人事業主の場合
個人事業主の場合は、届け出ている屋号ではなく「氏名」を記載しなければなりません。
例:
東京都公安委員会許可
第123456789012号
道具商
山田太郎 ← 氏名を記載(屋号は不可)
法人の場合
法人の場合は、法人名(商号)を記載します。
例:
東京都公安委員会許可
第123456789012号
道具商
株式会社○○ ← 法人名を記載
個人と法人の違い(比較表)
| 項目 | 個人事業主 | 法人 |
|---|---|---|
| プレートの記載 | 氏名(本名) | 法人名(商号) |
| 屋号の記載 | 不可 | 可能 |
| 許可の引き継ぎ | 不可(新規取得) | 不可(新規取得) |
| 変更届 | 屋号変更時のみ | 商号変更時 |
重要: 個人事業主が法人化した場合、新たに法人名義で古物商許可を取得しなおす必要があります。
参考: 大阪府警察「古物営業法Q&A」
品目の記載ルール
古物商プレートの中央部「○○商」という部分は、営業所において主として取り扱う古物の品目を記載します。
注意: 各都道府県によって異なる取り扱いをしている場合もあるので、標識の記載については管轄警察署に確認してください。
古物商プレートの作成方法

作成方法1:古物商防犯協力会連合会で購入
古物商防犯協力会連合会は、安全な町づくりを実現するために警察などと協力して設立された団体で、全国各地にあります。
メリット:
- 会員価格で購入可能
- 様式が確実に規定に準拠
- 古物台帳などもまとめて購入できる
購入方法:
- 古物商許可を取得
- 警察署で案内を受ける(または申込用紙のみ)
- 防犯協会に申し込み
作成方法2:ネット通販サイトで購入
メリット:
- 自宅から注文可能
- 価格が安い場合が多い
- 納期が早い
注意点:
- 様式が規定に準拠しているか確認
- 公安委員会名・許可番号を正しく記載
作成方法3:看板製作業者に依頼
メリット:
- カスタマイズ可能
- 高品質な仕上がり
注意点:
- 様式を詳しく説明する必要がある
- 価格が高い場合がある
古物商プレートの掲示場所

基本原則:公衆の見やすい場所
標識は公衆の見やすい場所に掲示しなければなりません。
店舗の場合:
- 入り口
- カウンター
- レジ付近
自宅を営業所にしている場合:
- 玄関(室外)
- 玄関(室内)
- リビング
見やすい場所であれば、室外・室内どちらでも構いません。
設置方法
設置方法に特に規定はなく、壁やスタンドを使っていても、見やすい場所であれば問題ありません。
警察官が立ち寄った場合に見えやすい場所であることが重要です。
個人事業主の屋号について
屋号の記載は不可
個人事業主が古物商許可を取得する場合、許可は個人名で取得します。
そのため、古物商プレートには個人名を記載しなければなりません。
屋号での表示は不可です。
屋号を決めた場合の変更届
個人事業主で古物商許可を取得した後で、屋号を決めた場合には、変更届出が必要になります。
届出先: 管轄の警察署
期限: 屋号を決めてから2週間以内
手数料: 無料
ただし、その屋号で古物取引を行わないのであれば、変更届出は必要ありません。
関連記事: 古物商許可の個人事業主での開業について
法人化した場合の手続き
個人から法人へ:許可の取り直しが必要
個人事業主が法人化した場合、新たに法人名義で古物商許可を取得しなおす必要があります。
理由: 法律上、個人事業主と法人は全く別の人格として扱われるため、個人事業主で取得した古物商許可を、法人名義の取引で使用することはできません。
無許可営業のリスク
個人事業主で取得した古物商許可を、法人名義の取引に使用した場合、無許可営業として警察に摘発されることがあります。
罰則: 3年以下の懲役または100万円以下の罰金
関連記事: 古物商の法人化について|個人許可は引き継げない
実務経験から見た注意点
注意点1:プレートの作成は許可後
古物商プレートには、許可を受けた公安委員会と古物商許可の番号を記載します。
そのため、許可を受けてからの作成となります。
許可前にプレートを作成することはできません。
注意点2:記載内容の確認
古物商プレートの記載内容は、許可証と完全に一致させる必要があります。
- 公安委員会名:許可証記載のとおり
- 許可番号:12桁の番号を正確に
- 氏名または法人名:許可証記載のとおり
注意点3:複数営業所がある場合
複数の営業所がある場合、各営業所ごとに古物商プレートを掲示しなければなりません。
営業所が増えるたびに、プレートを追加作成する必要があります。
よくある質問(FAQ)
- Q個人事業主の古物商プレートには屋号を記載できますか?
- A
いいえ、個人事業主の場合は屋号ではなく「氏名」を記載しなければなりません。許可は個人名で取得するため、プレートにも個人名を記載する必要があります。
- Q古物商プレートのサイズはどのくらいですか?
- A
縦8cm×横16cm、紺色地に白文字です。厚さには特に基準がありませんが、金属またはプラスチックなど、耐久性のある材質で作成する必要があります。
- Q自宅が営業所の場合、プレートはどこに掲示すればいいですか?
- A
見やすい場所であれば室外・室内どちらでも構いません。警察官が立ち寄った場合に確認できる場所(玄関や室内の見やすい場所)に設置してください。
- Q古物商プレートを掲示しないとどうなりますか?
- A
標識の掲示義務違反として、10万円以下の罰金が科せられる可能性があります。古物商プレートの掲示は法律で義務付けられています。
- Q個人事業主から法人化した場合、古物商プレートはどうなりますか?
- A
法人名義で古物商許可を取り直す必要があります。個人と法人は別人格のため、許可の引き継ぎはできません。新しい法人名義のプレートを作成し、個人名義のプレートは使用できなくなります。
- Qプレートを持ち歩いて出張買取をしてもいいですか?
- A
いいえ、古物商プレートは営業所に固定して掲示するものです。出張買取などで持ち歩くのは「行商従業者証」という別のカード型の許可証です。行商を行う場合は、許可申請時に「行商する」と届け出て、行商従業者証を携帯する必要があります。
オンライン販売での表示義務
古物商プレートは営業所に掲示するものですが、メルカリShopsやBASEなどでオンライン販売を行う場合も、許可番号等の表示義務があります。
古物営業法第12条の2により、ホームページやオンラインショップでは以下の情報を表示しなければなりません:
- 氏名または名称(法人名・屋号)
- 許可を受けた公安委員会の名称
- 許可番号
メルカリShopsでは、古物商許可番号の登録が必須となっています。BASEなどのプラットフォームでも、特定商取引法に基づく表記として許可番号を明記する必要があります。
関連記事: メルカリせどりに古物商許可は必要?線引きを解説
まとめ
古物商プレートは、古物商許可を取得したすべての業者に掲示が義務付けられています。
この記事のポイント:
- プレートのサイズは縦8cm×横16cm、紺色地に白文字
- 個人事業主の場合、屋号ではなく氏名を記載
- 法人化した場合、新たに許可を取得しなおす必要がある
- 掲示しない場合、10万円以下の罰金
古物商プレートは、取引相手が古物商の許可を受けているかを識別するための重要な標識です。規定に準拠したプレートを作成し、見やすい場所に掲示しましょう。
お困りの際は当事務所へ
古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。また、「プレートの作成方法は?」「個人と法人の違いは?」「屋号は記載できるのか?」など、判断に迷う場面も多いです。
当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得、プレート作成のアドバイスまでサポートいたします。「自分のケースで許可が必要か確認したい」「申請が複雑で困っている」といった場合は、お気軽にご相談ください。
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執筆者プロフィール
手島宏典 行政書士・現役質屋店長
業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。
行政書士手島宏典事務所
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