東京都の宅建業免許 取得までの流れ|申請から営業開始まで

宅建業の免許は、免許通知のはがきが届いても、その日から営業できるわけではありません。はがきの後には、営業保証金の供託か保証協会への加入という手続が控えています。宅建業者として動き出せるのは、免許証の交付を受けてからです。この順番を知らずに広告の掲載日や契約日を先に組むと、開業日はそのぶん後ろへずれます。

この記事では、東京都知事免許の新規申請を対象に、事務所と専任の宅建士の準備から申請、供託・保証協会の手続、営業開始までを、実際に進む順番で解説します。

目次

宅建業免許の取得から営業開始までの流れ

東京都知事免許の取得は、事務所と専任の宅建士をそろえて申請すれば完了、というものではありません。申請の後に審査があり、免許通知が届き、営業保証金の供託か保証協会への加入を経て、ようやく免許証が交付されます。全体の流れを図にすると次のとおりです。

東京都の宅建業免許
申請から営業開始までの流れ

1 申請前の準備

事務所・専任の宅建士・法人の目的を整える

2 免許申請

都庁窓口または電子申請で提出する

3 審査・補正対応

審査期間の目安は約30日から60日

4 免許通知はがき

免許処分が行われたことを知らせる通知

この時点では営業できません

次に、どちらか一方の手続を行います

営業保証金を供託

主たる事務所は1,000万円
供託後に供託済届出を行う

保証協会へ加入

分担金60万円+入会費用
入会審査と分担金納付を行う

5 免許証の交付

営業開始前の手続を終えた後に交付を受ける

6 営業開始

標識・報酬額表などを整えて営業を始める

※免許通知のはがきが届いただけでは営業を始められません。営業保証金の供託または保証協会への加入を終え、免許証の交付を受けてから営業開始となります。

免許通知だけでは営業できない

審査が終わると、免許通知のはがきが申請者の事務所宛てに届きます。免許処分が行われたことを知らせる通知です。もっとも、この時点では供託も保証協会の手続も済んでおらず、免許証はまだ交付されていません。はがきが届いただけでは営業できないのは、このためです。

営業保証金を選ぶなら、供託した後にその旨を届け出ます。保証協会を選ぶなら、入会審査を受け、弁済業務保証金分担金を納めたうえで、協会の領収印がある納付書などを都庁へ提出します。どちらの手続を終えても、宅建業者として営業できるのは免許証の交付を受けてからです。

注意したいのが、免許証を受け取る前の営業活動です。交付前に宅建業者として広告を出すことも、売買や媒介の契約を結ぶこともできません。広告の掲載開始日や契約日は、免許証の交付後を起点に組みます。

申請前にそろえる三つの準備

事務所の独立性

宅建業の事務所には、継続して業務を行える機能と、他のスペースから区切られた独立性が求められます。他社とフロアを共有する場合や、自宅の一部を事務所として使う場合は、出入口や間仕切り、通路の配置が、事務所要件を満たすかどうかの重要なポイントになります。

契約を済ませた後で、事務所として認められないと判明するケースには注意が必要です。この段階だと、移転や改装が必要になることもあります。賃貸借契約を結ぶ前に、間取り図を見ながら事務所として使える形かどうかを確かめておきたいところです。

専任の宅建士と資格登録簿

各事務所には、宅建業に従事する者5名につき1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置きます。この「専任」には、その事務所に常勤し、宅建業務に専従できる状態が必要です。ほかの会社に勤めている人や、別の事務所ですでに専任宅建士になっている人は、そのままでは就けません。

注意したいのが、資格登録簿の記載内容です。就任予定者について、前職の勤務先が登録簿に残っていないかを確かめておいてください。
前職の登録が残ったままだと、今の会社の専任宅建士として届け出られないからです。変更登録には日数がかかるので、申請直前ではなく、準備を始める段階で進めておくと、その後の手続きがスムーズです。

副業の扱いも押さえておきます。令和6年11月1日受付分から、常勤性と専従性を確認できる場合に限り、勤務時間外の副業が原則として認められるようになりました。

ただし、勤務形態や副業の内容によって扱いが異なります。専任性に不安がある場合は、申請前に要件を見ておくことが大切です。

欠格事由と法人の目的

代表者・役員・政令使用人などが欠格事由にあたると、宅建業免許は受けられません。たとえば破産手続開始の決定を受けて復権していない場合や、一定の刑罰を受けて所定の期間が過ぎていない場合がこれにあたります。

法人ならもう一つ、目的欄のチェックが要ります。定款と登記事項証明書の目的から、宅地建物取引業を営むことが読み取れなければなりません。

「不動産業」とだけ書かれていても、内容があいまいで認められません。「宅地建物取引業」や「不動産の売買、交換、賃貸及びその仲介」のように、宅建業だと分かる目的を登記しておきます。記載が足りなければ、免許申請より前に定款変更と目的変更登記を済ませます。

申請方法と手数料

新規申請の窓口は二つあります。都庁窓口へ持参するか、電子申請を使うかです。電子申請は、令和7年1月6日から国土交通省のシステム(eMLIT)で受け付けています。ただし新規申請は郵送の対象外です。郵送が案内されるのは、更新申請や一部の変更届に限られます。

手数料は申請方法で変わります。窓口の紙申請が33,000円、電子申請が26,500円です。いずれも都へ納める法定費用で、行政書士へ依頼する場合の報酬とは別に発生します。

早く免許がほしいなら、窓口申請が向いています。新規申請は補正が生じやすく、都も急ぐケースでは窓口を案内しているためです。電子申請だと、正式な受付の前に書類の修正や手数料納付のやり取りが入り、受付まで窓口より時間がかかることがあります。

期間の目安も見ておきます。手引では、書類受付後の審査期間を、補正期間を含めて約30日から60日としています。書類の不足や補正の内容しだいで、ここからさらに延びます。

保証協会への加入は、これとは別に約2か月が目安です。協会を使うなら、免許審査と入会手続を並行で走らせると、開業が遅れにくくなります。

営業保証金の供託と保証協会への加入

営業を始めるには、営業保証金を供託するか、保証協会へ加入するか、どちらかの手続が必要となります。二つの違いを並べると次のとおりです。

項目営業保証金を供託する場合保証協会へ加入する場合
必要額主たる事務所1,000万円、その他の事務所ごとに500万円主たる事務所60万円、その他の事務所ごとに30万円
手続先主たる事務所の所在地を管轄する供託所全国宅地建物取引業保証協会または不動産保証協会
営業開始までの手続供託後、供託済届出を提出入会審査を受け、分担金などを納付
初期費用供託金が中心分担金のほか、入会金や会費などが必要

保証協会を選んだ場合、法定の弁済業務保証金分担金は主たる事務所につき60万円です。とはいえ、60万円だけで加入できるわけではありません。

入会金・年会費・支部会費などが別にかかり、その総額や内訳は協会と所属支部で変わります。加入先を選ぶときは、分担金の額だけでなく、初年度にかかる費用全体を見比べておきましょう。

加入にあたっては、書類審査や事務所調査もあります。免許通知が届いてから申込みを始めると、営業開始までの日数がそのぶん延びます。保証協会を使う予定なら、免許申請と前後して、候補の協会や支部へ早めに問い合わせておくのがよいでしょう。

免許日から3か月以内に手続を終える

供託と保証協会加入のどちらを選んでも、免許日から3か月以内に営業開始前の手続を終える必要があります。手引でも、供託または保証協会への加入から免許証の交付までを、免許日から3か月以内に済ませるよう求めています。

期限を外すとどうなるか。営業保証金を自ら供託するケースでは、免許日から3か月以内に供託の届出をしないと、免許行政庁から催告が来ます。催告が届いた日から1か月たっても届出がなければ、免許を取り消されることもあります。

ここで効いてくるのが、資金の準備時期です。免許を受けてから資金集めを始めると、期限に間に合わないおそれがあります。供託金や保証協会の加入費用は、免許申請の前から手元に用意しておきます。

免許証の交付後に営業を開始する

供託済届出、または保証協会への加入手続が終わると、免許証が交付されます。ここまで来て、ようやく営業開始です。

開業前には、事務所ごとに次のものを備えます。

  • 宅地建物取引業者票
  • 報酬額表
  • 業務に関する帳簿
  • 従業者名簿

令和7年4月1日から、申請書・従業者名簿・宅地建物取引業者票の様式が変わりました。新しい宅地建物取引業者票では、事務所の代表者氏名を表示し、専任の宅地建物取引士は氏名ではなく人数で記載します。宅建業に従事する者の数も載せる形です。古い様式を流用せず、開業時点の最新様式をそろえておきましょう。

もう一つ、専任の宅地建物取引士まわりの手続が残ります。免許取得後に、勤務先の商号・名称と免許証番号を資格登録簿へ登録します。これを忘れると、登録簿の内容と実際の勤務状況が食い違ったままになります。免許証の交付後にやることとして、あわせて片づけておきます。

よくある質問

免許通知のはがきが届いたら、すぐに広告を出せますか

はがきが届いても、まだ広告は出せません。営業保証金の供託か保証協会への加入を終え、免許証の交付を受けてからが宅建業者としてのスタートです。交付前に広告を掲載したり、売買・媒介契約を結んだりすることはできません。広告の掲載日は、免許証を受け取った後に設定します。

供託と保証協会は、どちらを選ぶ人が多いですか

初期に用意する現金を抑えたい場合、多くは保証協会を選びます。自ら供託すると主たる事務所で1,000万円が要るのに対し、保証協会なら分担金は主たる事務所60万円で済むためです。ただし保証協会では、入会金・年会費・支部会費が別にかかります。分担金の額だけでなく、初年度の費用全体を見比べて決めます。

申請から営業開始まで、どのくらいの期間をみておけばよいですか

手引では、書類受付後の審査を約30日から60日としています。ここに保証協会への加入が約2か月加わります。順番に進めると開業が遠のくため、保証協会を使うなら、免許審査と入会手続を並行で走らせます。補正が入るとさらに延びるので、余裕をもった日程で動きます。

自宅の一部を事務所にして開業できますか

できる場合もありますが、独立性の確認が要ります。宅建業の事務所には、継続して業務を行える機能と、他のスペースから区切られた独立性が求められます。自宅の一部を使うなら、出入口・間仕切り・通路の位置が判断の分かれ目です。契約後に認められないと移転や改装が必要になるので、賃貸借契約の前に間取り図で見極めておきます。

専任の宅建士が、別の仕事を掛け持ちすることはできますか

原則として、専任にはその事務所への常勤と宅建業務への専従が求められます。ほかの会社に常勤で勤めている人は、そのままでは就けません。もっとも令和6年11月1日受付分から、常勤性と専従性を確認できる場合に限り、勤務時間外の副業は原則として認められるようになりました。掛け持ちの内容しだいで判断が分かれるので、専任性に不安があれば事前に確かめておきます。

まとめ

東京都知事免許の取得は、申請して審査を通れば終わり、ではありません。免許通知のはがきは途中経過にすぎず、営業保証金の供託か保証協会への加入を済ませ、免許証の交付を受けて初めて営業できます。広告や契約の予定を先に組むと開業がずれるので、この順番を先に押さえておきます。

つまずきやすいのは、資金と期限です。供託か保証協会かで初期費用は大きく変わり、手続は免許日から3か月以内に終える必要があります。費用は申請の前から用意し、免許審査と保証協会の加入を並行で進めておけば、開業日から逆算した日程が組めます。

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