宅建業免許の必要書類|法人・個人別の一覧と集める順番を解説

宅建業の免許申請では、申請書そのものより添付書類の多さで手が止まりがちです。役員が複数いれば、身分証明書や略歴書も人数分になります。官公庁から取り寄せる書類には発行から3か月以内という期限があり、早く集めすぎても取り直しになりかねません。

先に押さえたいのは、書類を「会社」「役員」「専任宅建士」「事務所」の4つに分けて考えることです。誰が何を用意するのかが見えると、書類の多さに振り回されにくくなります。

法人と個人では、登記、決算、納税関係の書類が異なります。役員や政令使用人などは対象者ごとに証明書や略歴書が必要になるため、人数が多い会社ほど準備にも時間がかかります。

一方、公的証明書や事務所写真は、申請日に近い時期にそろえる書類です。まず登記や契約内容を見直し、人の構成を決めたあとで期限のある書類へ進むと、手続が止まりにくくなります。

この記事では、東京都知事免許の新規申請で提出する書類を法人・個人別にたどり、取得先と集める順番まで説明します。

目次

法人申請で必要になる書類

免許申請書と法定様式

申請の中心になるのは、免許申請書(様式第1号)です。これに宅地建物取引業経歴書、誓約書、略歴書、専任宅建士設置証明書などの法定様式を組み合わせます。

東京都では、令和7年4月1日受付分から申請様式が変わりました。以前ダウンロードしたひな形が残っていても、そのまま使わず、作成を始める時点で最新の様式を取得してください。

古い様式に書き込んでから差し替えることになると、役員や専任宅建士の情報をもう一度転記する手間が生じます。

履歴事項全部証明書

法人は、法務局が発行する履歴事項全部証明書を提出します。現在事項全部証明書では受け付けられません。

証明書を取る前に見ておきたいのが、目的欄と本店所在地です。目的欄には、宅地建物取引業や不動産の売買・仲介など、宅建業を行うことが分かる記載が必要です。

登記上の本店所在地と、実際に主たる事務所を置く場所も一致させます。申請直前になってずれが見つかると、先に変更登記を済ませなければなりません。

決算書と法人税の納税証明書

決算を終えている法人は、直前1か年分の決算書から、表紙、貸借対照表、損益計算書を提出します。税務署へ出した確定申告書一式ではなく、決算書のうち指定された部分です。

納税証明書は、税務署が発行する法人税の「その1」を使います。決算書と納税証明書の対象期間がずれていないかも見ておきます。

設立したばかりで、まだ最初の決算期を迎えていない法人には決算書がありません。この場合は、会社設立日現在の開始貸借対照表を作成し、法人税の納税証明書は添付しません。

株主・出資者と相談役・顧問の名簿

発行済株式の5%以上を持つ株主、または5%以上の出資者は、所定の名簿へ記載します。

相談役や顧問がいる法人は、その氏名や住所なども申請書類に載せます。登記されていない役職だからといって、申請上も記載不要になるわけではありません。

個人申請で必要になる書類

個人申請では、法人の履歴事項全部証明書や決算書に代わり、住民票、資産の状況を示す書面、所得税の納税証明書が中心になります。

住民票は、マイナンバーが記載されていないものを取得します。本籍と続柄の記載は不要です。窓口で請求するときは、提出先が宅建業免許申請であることを伝えると選びやすくなります。

「資産の状況を示す書面」には、土地、建物、預貯金、備品、借入金などを記載します。法人の決算書に近い役割を持つ書類ですが、確定申告書をそのまま添付するものではありません。

書面の日付は、免許申請日前3か月以内にします。早い段階で作ってしまうと、申請時には作り直しになることがあります。

所得税の納税証明書は、税務署が発行する「その1」が基本です。会社員から独立して開業するなど、事業所得の実績がない方は、課税証明書や一定の源泉徴収票を使う取扱いがあります。該当しそうなときは、ほかの証明書を集める前に東京都へ問い合わせておくと進めやすくなります。

役員と政令使用人が用意する書類

書類が必要なのは代表取締役だけではありません。取締役、監査役、会計参与、政令使用人に加えて、相談役や顧問も対象です。非常勤役員も省略できません。

発行元が異なる2種類の証明書

役員などについては、次の2種類の証明書を用意します。

  • 本籍地の市区町村が発行する身分証明書
  • 法務局が発行する登記されていないことの証明書

ここでいう身分証明書は、運転免許証やマイナンバーカードではありません。成年被後見人・被保佐人とみなされる者ではないことと、破産者に該当しないことを示す公的証明書です。

登記されていないことの証明書は、成年被後見人・被保佐人とする記録がないことを示します。名前は似ていますが、発行する役所も証明する内容も違います。

どちらも郵送で請求できます。ただし、身分証明書は本籍地へ請求するため、役員が自分の本籍地をすぐに答えられないこともあります。本籍地が遠方なら、郵送にかかる日数も見込んでおきます。

略歴書には他社の役員や副業も書く

略歴書には、現在までの職歴や役員歴を記載します。宅建業に直接関係する仕事だけを書けばよいわけではありません。

他社の役員や従業者との兼務、行政書士などの自由業、勤務時間外の副業も対象です。本人への聞き取りを省いて会社の把握している経歴だけで作ると、あとから兼務先が見つかることがあります。

職歴の空白期間や記載漏れは補正につながりやすい部分です。年月を追いながら、現在まで途切れないように作ります。

令和7年4月から連絡先の調書が加わった

令和7年4月1日受付分から、役員と政令使用人について「代表者等の連絡先に関する調書」が必要になりました。

以前の略歴書にあった住所、電話番号、生年月日の欄が削られ、その情報を別の調書へ記載する形に変わっています。古いチェックリストを使っていると見落としやすい書類です。

この調書は1人につき1枚ではなく、1枚の用紙に複数人を記載できます。相談役と顧問は、身分証明書や略歴書の対象ですが、連絡先の調書には載せません。

専任宅建士と従業者に関する書類

2種類の証明書は令和6年5月25日から不要

令和6年5月25日以降、専任宅建士として申請に関わる方については、身分証明書と登記されていないことの証明書が不要になりました。

ただし、専任宅建士が代表者や役員、政令使用人、相談役、顧問を兼ねている場合は別です。その立場については、役員などと同じように2種類の証明書を提出します。

「専任宅建士だから不要」と一律に考えるのではなく、ほかの立場を兼ねているかで分けます。

設置証明書・略歴書・顔写真

専任宅建士設置証明書には、事務所ごとの専任宅建士の氏名や登録番号を記載します。略歴書では、職歴に加えて兼業の状況も明らかにします。

顔写真貼付用紙に使う写真は、申請前6か月以内に撮影した縦4cm・横3cmのものです。事務所写真の期限とは異なるため、同じ3か月以内と考えないようにします。

もう一つ見落としやすいのが、宅建士資格登録簿の勤務先です。前職の勤務先が残っている場合は、退職に伴う変更登録を先に済ませます。

新たに免許を受ける会社への勤務先登録は、免許番号が必要になるため、免許証の交付後に行います。

従事する者の名簿と常勤性の資料

「宅地建物取引業に従事する者の名簿」には、代表者、営業担当者、常勤役員のほか、宅建業を担当する総務・経理の担当者などを載せます。

非常勤役員や監査役、一時的に事務を手伝うアルバイトは原則として含みません。誰を名簿に載せるかによって、専任宅建士を従業者5人につき1人以上置く設置割合も変わります。

専任宅建士に副業がある場合や、他社の役員を兼ねている場合は、略歴書だけで終わらないことがあります。勤務時間、雇用関係、副業を行う時間帯などが分かる資料を追加で求められることがあるためです。

東京都では令和6年11月1日受付分から、通常の勤務時間に常勤し、宅建業に専従していることを資料で示せる方について、勤務時間外の副業が審査のうえ原則として認められています。

事務所関係で必要になる書類

事務所を使用する権原に関する書面

東京都へ提出するのは、建物の所有者、貸主、契約期間、契約形態、用途などを記載した「事務所を使用する権原に関する書面」です。

賃貸借契約書や建物登記事項証明書は、原則として添付しません。ただし、書面に記載された内容だけでは、申請者がその場所を事務所として使えることが分からない場合があります。

代表者個人名義の物件を法人が使う、貸主から転借しているなど、権利関係が一段増えると、契約書や承諾書を求められやすくなります。

レンタルオフィスでは、利用契約書に加えて、その区画を独占的に使用できることを示す資料が必要です。契約したあとで運営会社が証明書を出せないと分かると、申請準備がそこで止まります。

案内図と間取図・平面図

案内図には、最寄り駅からの経路と所要時間、目印になる建物、方位、ビル名と階数を記載します。

審査担当者が現地へ行くための図面なので、地図をきれいに見せることより、場所を特定できることが優先されます。道路名や交差点名が分かるなら、書き加えておくと伝わりやすくなります。

間取図・平面図では、事務所の形状、出入口、共用部分、他社や居住部分との区分を示します。

自宅の一部や他社と同じフロアを使う場合は、建物の入口から事務所までの経路も大切です。住居部分や他社の専用部分を通らなければ入れない配置では、事務所要件を満たさないことがあります。

外観・入口・室内の写真

事務所写真は、申請受付日前3か月以内に撮影した鮮明なカラー写真を使います。

必要になるのは、建物全景、建物入口、テナント表示、事務所入口、室内などです。事務所入口の扉は、閉じた状態と開けた状態の両方を撮ります。

表札やテナント表示を設置する前に撮ってしまうと、写真をそろえたつもりでも撮り直しになります。入口の商号表示まで整えてから撮影します。

室内は、机・椅子、応接場所、開通済みの固定電話など、継続して宅建業を行える設備が分かるように写します。新規申請の段階では、宅地建物取引業者票と報酬額表の掲示は原則不要です。

申請前3か月以内に用意する書類

証明書と写真には期限があります。取得時期と主な取得先を一覧にすると、次のようになります。

書類期限・基準日主な取得先
身分証明書発行から3か月以内本籍地の市区町村
登記されていないことの証明書発行から3か月以内法務局
履歴事項全部証明書発行から3か月以内法務局
住民票発行から3か月以内住所地の市区町村
納税証明書・課税証明書発行から3か月以内税務署・市区町村
資産の状況を示す書面申請日前3か月以内の日付個人申請者が作成
事務所写真撮影から3か月以内申請者が撮影
専任宅建士の顔写真撮影から6か月以内申請者が用意

期限の基準になるのは、東京都が申請を受け付ける日です。作成日や郵送日ではありません。

紙申請では、官公庁が発行した証明書の原本を正本に綴じ、正本1部と副本1部を作成します。副本に綴じる証明書や写真はコピーで構いません。

eMLITによる電子申請では、必要書類をファイルでアップロードするため、原本を東京都へ送る必要はありません。ただし、途中で窓口申請へ切り替える場合は、紙の申請書類を改めて作り、証明書の原本も用意します。

必要書類を集める順番

期限のない準備を先に済ませ、公的証明書と写真を申請日に近い時期にそろえます。

1.会社登記と事務所の契約内容を見る

法人の目的、本店所在地、契約名義、使用目的、転貸の有無を見ておきます。

ここで修正が必要になると、変更登記や契約変更に時間がかかります。証明書を集めるのは、その見通しが立ってからです。

2.役員と専任宅建士の構成を決める

誰が役員に残り、誰を政令使用人や専任宅建士にするのかを決めます。

対象者が変われば、身分証明書、略歴書、連絡先の調書も変わります。人の構成が固まらない段階で証明書を請求しても、無駄になることがあります。

3.決算・納税書類と法定様式を用意する

直前期の決算書を手元に置き、納税証明書と対象期間が一致しているかを見ます。

その後、免許申請書、誓約書、名簿類、専任宅建士設置証明書などを最新の様式で作ります。

4.公的証明書を取得する

役員構成と申請予定日が決まったら、身分証明書、登記されていないことの証明書、履歴事項全部証明書などを請求します。

本籍地が遠方の役員がいる場合は、郵送にかかる日数を見込みます。ただし、早く取りすぎて3か月を過ぎないよう、申請予定日との間隔にも気をつけます。

5.事務所を整えて写真を撮る

商号表示、机・椅子、応接場所、開通済みの固定電話などを整えたうえで撮影します。

写真を先に撮ってから設備や入口表示を追加すると、写真と申請時の状態が合わなくなります。事務所を完成させてから撮る方が、撮り直しを避けられます。

公的証明書や写真を先にそろえると、登記変更や事務所の手直しをしている間に期限を過ぎることがあります。申請日から逆算して進めれば、再取得にかかる手間と費用を抑えられます。

追加資料が必要になりやすい場面

東京都の通常の一覧だけでは足りず、追加資料が必要になることもあります。

  • 事務所を転借している:原契約の内容に応じて、転貸承諾書などを用意します。
  • 自宅の一部を事務所にする:居住部分との区分が分かる平面図や写真、貸主の承諾書などが必要です。
  • レンタルオフィスを利用する:利用契約書と、その区画を独占的に使用できることを示す資料を出します。
  • 専任宅建士が副業をしている:勤務時間、雇用関係、副業の内容が分かる資料を添えます。
  • 外国籍または海外在住の役員がいる:国籍と居住地に応じて、住民票、誓約書、パスポートの写し、日本語訳などを用意します。
  • 休眠会社を利用する:決算や申告の状況に応じて、追加の説明資料を求められることがあります。

追加資料は、事務所の契約形態や役員の状況によって変わります。通常の一覧にない事情があるときは、公的証明書を取得する前に提出書類を見ておくと、その後の準備が進めやすくなります。

よくある質問

定款は提出しますか?

原則として提出しません。東京都の必要書類一覧に定款は含まれておらず、会社の商号や目的は履歴事項全部証明書をもとに見られます。

目的欄に宅建業を営むことが分かる記載がない場合は、免許が必要な理由を書面で東京都へ提出し、速やかに目的欄へ追加する変更登記を行います。申請前に変更登記を済ませておくと、その後の手続は進めやすくなります。

この書き方なら、東京都の取扱いに合い、実務上は事前変更を勧める形にもできます。

賃貸借契約書は必ず添付しますか?

原則として添付しません。契約内容は「事務所を使用する権原に関する書面」へ記入します。

ただし、転貸借や代表者個人名義の契約など、使用権原が書面だけでは分からないときは、契約書や承諾書を求められることがあります。レンタルオフィスでは、契約書と独占使用を示す資料が必要です。

専任宅建士の宅建士証のコピーは必要ですか?

東京都の通常の必要書類一覧には含まれていません。申請書や専任宅建士設置証明書には、登録番号などを記載します。

宅建士証の有効期限と、資格登録簿に前職の勤務先が残っていないかは申請前に見ておきます。新たに免許を受ける会社への勤務先登録は、免許証の交付後に行います。

設立したばかりで決算書がありません

会社設立日現在の開始貸借対照表を作成して提出します。設立後まだ決算期を迎えていない法人は、決算書の代わりにこれを使います。

法人税の納税実績もないため、納税証明書は必要ありません。

証明書はコピーでも受け付けられますか?

紙申請の正本には原本が必要です。官公庁が発行する証明書は、申請受付日の時点で発行から3か月以内の原本を綴じます。副本はコピーで差し支えありません。

電子申請では、必要書類をファイルでアップロードするため、原本の送付は不要です。

役員が多いと必要書類も増えますか?

増えます。取締役、監査役、会計参与に加えて、相談役や顧問も、身分証明書、登記されていないことの証明書、略歴書の対象です。非常勤役員も含まれます。

「代表者等の連絡先に関する調書」は、法人の役員と政令使用人について作成します。1人につき1枚ではなく、1枚の用紙に複数人を記載できます。

まとめ

必要書類には、会社登記や事務所の契約のように修正に時間がかかるものと、公的証明書や写真のように申請日から逆算してそろえるものがあります。

先に決めるのは、役員と専任宅建士の構成、事務所の契約形態、決算・納税書類の対象期間です。ここが固まれば、法定様式の作成と公的証明書の取得へ進めます。

最後に事務所の設備と商号表示を整え、申請前3か月以内の写真を撮影します。東京都では令和7年4月1日受付分から様式が変わっているため、以前保存したひな形ではなく、現在公開されている手引と様式を使用してください。

宅建業免許の申請をお考えの方へ

当事務所では、東京都知事免許の新規申請について、役員構成や事務所の状況に応じた必要書類のリストアップ、法定様式の作成、証明書を集める時期のご案内まで行っています。宅建業免許のご相談・お見積もりは無料です。

参照した公的資料

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