東京都知事の宅建業免許を申請するとき、都へ納める手数料は、紙申請が3万3,000円、eMLITによる電子申請が2万6,500円です。新規と更新で金額は変わらず、法人と個人でも同額です。ただし、新規の紙申請は東京都の窓口へ提出します。
もっとも、申請手数料だけで不動産会社を開業できるわけではありません。免許の通知を受けた後には、営業保証金として本店分の1,000万円を供託するか、保証協会へ加入して60万円の分担金に入会金・会費を加えた費用を納めます。
さらに、事務所の契約費用や備品代、免許取得後の運転資金も別に見込みます。開業資金は、免許申請に直接かかる金額と、営業を始めるための費用を分けて考えると全体像をつかみやすくなります。
※保証協会の金額は2026年7月時点の公表内容をもとにしています。入会月や適用されるパッケージによって変わるため、申込みの際は最新の金額をご確認ください。
宅建業免許に必要な費用の全体像
宅建業を始めるまでに支払う費用は、大きく分けると次のようになります。
| 費用 | 金額の目安 | 主な支払時期 |
|---|---|---|
| 東京都への申請手数料 | 紙申請3万3,000円/電子申請2万6,500円 | 窓口申請は申請時、郵送更新・電子申請は都からの案内後 |
| 営業保証金 | 本店1,000万円 | 免許通知後 |
| 保証協会の初年度費用 | 約95万円~約127万円 | 加入手続時 |
| 証明書の取得費 | 数千円~1万円程度 | 免許申請前 |
| 事務所の契約費用 | 物件による | 免許申請前 |
| 電話・机・パソコンなど | 設備内容による | 免許申請前後 |
| 行政書士報酬 | 依頼内容による | 依頼時または申請時 |
| 法人設立費用 | 会社形態による | 免許申請前 |
営業保証金と保証協会の費用は、どちらか一方だけを支払います。保証協会を利用すれば開業時の負担は大幅に軽くなりますが、その代わり入会金や毎年の会費が発生します。
東京都知事免許の申請手数料
紙申請は3万3,000円
新規免許を紙で申請する場合は、申請書類を東京都の窓口へ持参し、3万3,000円の手数料を納めます。更新申請は窓口のほか、期限内であれば郵送による提出も可能です。
事務所が本店1か所でも、支店を設けても申請手数料は変わりません。支店を設ける場合に増えるのは、支店分の営業保証金または弁済業務保証金分担金です。
電子申請は2万6,500円
eMLITを利用して電子申請する場合、新規・更新の手数料は2万6,500円です。紙申請より6,500円低く設定されています。
ただし、eMLIT上で手数料を支払うことはできません。書類の形式審査後、東京都から納付時期の案内を受けてから、窓口または現金書留で納めます。
更新申請も申請方法ごとに同額
更新申請の手数料も、紙・電子それぞれ新規と同額です。宅建業免許の有効期間は5年間で、営業を続ける場合は、満了日の90日前から30日前までに更新を申請します。
更新のたびに保証協会の入会金や分担金を払い直すことはなく、営業保証金を供託している場合も追加の供託は不要です。継続して発生するのは、保証協会の年会費などです。
営業開始前に保証金の手続が必要
免許申請の審査が終わると、東京都から免許通知のはがきが届きます。ただし、通知を受けただけでは営業を始められません。営業開始前に、営業保証金の供託か保証協会への加入を済ませます。この段階の金額が、開業資金の中で最も大きな部分です。
営業保証金を供託する場合
保証協会へ加入しない場合は、主たる事務所の最寄りの供託所へ営業保証金を供託します。
| 事務所 | 営業保証金 |
|---|---|
| 本店 | 1,000万円 |
| 支店 | 1か所につき500万円 |
供託した資金は宅建業を営んでいる間は自由に引き出せないため、消えていく支出ではないものの、開業時の負担は重くなりがちです。
保証協会へ加入する場合
保証協会の社員になると、営業保証金の供託に代えて弁済業務保証金分担金を納めます。
| 事務所 | 弁済業務保証金分担金 |
|---|---|
| 本店 | 60万円 |
| 支店 | 1か所につき30万円 |
金額は全国共通で、本店の保証金部分を1,000万円から60万円まで抑えられます。ただし、実際の支払額は分担金だけでは収まりません。保証協会と関連団体の入会金、会費などが加わります。
詳しい制度の違いは、宅建業免許の保証協会と営業保証金で説明しています。
保証協会の初年度費用は60万円を上回る
東京都内で加入できる保証協会は、全日本不動産協会系と東京都宅地建物取引業協会系の2系統です。2026年7月時点で、各協会の公式サイトに掲載されている本店1か所の費用例は次のとおりです。
| 加入先 | 2026年7月時点の掲載額 | 適用条件など |
|---|---|---|
| 全日本不動産協会・不動産保証協会東京都本部 | 95万2,500円 | 新パッケージプラン、4団体同時加入 |
| 東京都宅地建物取引業協会・全宅保証協会東京本部 | 126万5,000円 | 入会応援パック、関連4団体同時加入、会費等は入会月により変動 |
全日本不動産協会東京都本部の新パッケージプランは、2027年3月31日までに4団体同時加入を申し込んだ場合に適用され、入会月が遅くなるほど月割りの年会費が減っていきます。東京都宅地建物取引業協会の入会応援パックには適用条件があり、予告なく終了する場合もあるため、実際の金額は申込前に加入先へ問い合わせます。
両者は加入する団体の構成や会員向けサービスが異なるため、総額の比較だけでなく、業務支援システムや研修なども含めて加入先を選ぶのが実務的です。
支店を設けると追加費用がかかる
支店1か所につき、30万円の分担金と支店会員としての入会金・会費が加わります。
注意したいのは、会社の本店を自宅に置き、別に借りた店舗で営業するケースです。本店と店舗の両方が宅建業法上の事務所に当たると、1店舗のつもりでも2事務所分の保証金と専任宅建士を求められます。
宅建業の開業資金を具体例で計算
ここまでの費用を組み合わせて、本店1か所で東京都知事免許を取得する場合の総額を計算します。事務所費用や行政書士報酬の内訳は、この後の章で説明します。
計算の前提は次のとおりです。
- 東京都への申請手数料は、紙申請の3万3,000円を使用
- 保証協会の費用は2026年7月時点の掲載額を使用
- 証明書の取得費は1万円
- 新しく借りる事務所の家賃は月15万円
- 事務所の契約費用は家賃5か月分の75万円
- 机、電話、パソコンなどの備品費は30万円
- 行政書士へ免許申請と保証協会手続を依頼する場合は11万円
電子申請を利用する場合は、それぞれの合計から6,500円を差し引いた金額になります。実際の金額は事務所や加入先によって変わるため、一例としてご覧ください。
すでに事務所があり、自社で申請する場合
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 東京都への申請手数料 | 3万3,000円 |
| 保証協会の初年度費用 | 95万2,500円~126万5,000円 |
| 証明書取得費 | 約1万円 |
| 合計 | 約99万5,500円~130万8,000円 |
使用できる事務所がすでにあっても、保証協会へ加入して開業するには100万円から130万円程度が必要です。標識、電話回線、Webサイトなどを新たに用意するなら、その分が上乗せされます。
新しく事務所を借り、行政書士へ依頼する場合
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 東京都への申請手数料 | 3万3,000円 |
| 保証協会の初年度費用 | 95万2,500円~126万5,000円 |
| 証明書取得費 | 約1万円 |
| 事務所の契約費用 | 約75万円 |
| 事務所の備品費 | 約30万円 |
| 行政書士報酬 | 11万円~ |
| 合計 | 約215万5,500円~246万8,000円 |
この例では、免許取得と事務所準備に約216万円から247万円がかかります。法人を新設するなら会社設立費用が、開業後には広告費や人件費がさらに加わります。審査期間中の家賃もここには含まれていません。
営業保証金を供託する場合
| 費用 | 金額 |
|---|---|
| 東京都への申請手数料 | 3万3,000円 |
| 営業保証金 | 1,000万円 |
| 証明書取得費 | 約1万円 |
| 事務所の契約費用 | 約75万円 |
| 事務所の備品費 | 約30万円 |
| 行政書士報酬 | 8万8,000円~ |
| 合計 | 約1,118万1,000円~ |
営業保証金は宅建業を営んでいる間は運転資金として引き出せないため、上記とは別に開業後の資金を残しておく必要があります。
事務所を借りる費用も開業資金に含まれる
宅建業免許では、継続して業務を行える独立した事務所が求められます。申請前に事務所を用意し、机や電話を設置した状態で事務所写真を提出するため、免許が下りる前から家賃の負担が始まります。
賃貸借契約の初期費用
新しく事務所を借りる場合、主に次のような費用が発生します。
- 敷金または保証金
- 礼金
- 仲介手数料
- 保証会社の利用料
- 前払い家賃
- 火災保険料
- 鍵交換費用
たとえば月額15万円の事務所で契約時に家賃5か月分相当がかかるとすれば、初期費用は75万円です。事業用物件では保証金が高めに設定されることも多く、実際の金額は物件ごとに大きく変わります。
なお、使用目的が住居専用の物件や、貸主から事業利用の承諾を得られない物件は、宅建業の事務所として認められないおそれがあります。費用だけで物件を決めず、契約前に要件と照らし合わせてください。
自宅事務所でも費用がゼロになるとは限らない
自宅の一室を事務所として使用できれば、賃貸借契約の初期費用を抑えられます。ただし、居住部分との区分や出入口、管理規約などの事務所要件を満たさなければならず、間仕切りの設置が必要になれば改修費用が発生します。詳しくは、東京都の宅建業免許の事務所要件をご覧ください。
電話や備品を申請前に用意する
事務所写真を撮影する時点では、宅建業を営める状態まで事務所を整えます。
- 事務机と椅子
- 来客用のテーブルと椅子
- 固定電話
- パソコン
- プリンターや複合機
- 書類を保管する棚
- インターネット回線
宅地建物取引業者票と報酬額表は、免許証を受け取った後、営業を始めるまでに事務所へ掲示します。パソコンや複合機を流用できれば出費は抑えられますが、すべて新調すると数十万円に達します。
そのほかにかかる申請・設立費用
証明書の取得費
免許申請では、法人の履歴事項全部証明書、役員等の身分証明書、登記されていないことの証明書、納税証明書などを添付します。身分証明書と登記されていないことの証明書は、原則として申請対象の役員等全員分が必要です。
役員数が少なければ数千円程度で収まるものの、郵送請求の手数料まで含めて1万円前後を見込んでおくと進めやすいでしょう。書類の詳細は、東京都の宅建業免許申請に必要な書類で説明しています。
会社を設立する場合の費用
法人として宅建業を始めるなら、免許申請前に設立登記を終えます。株式会社では、定款認証費用、登録免許税、会社印の作成費などがかかり、司法書士へ登記を依頼すればその報酬も加わります。
宅建業免許に独自の最低資本金額はありません。ただし、資本金は、開業後の家賃や人件費を何か月分残せるかまで考えて決めます。
行政書士へ依頼する場合の費用
宅建業免許は自社でも申請でき、行政書士への依頼は必須ではありません。依頼した場合は、申請書の作成、事務所写真の準備、役員や専任宅建士の要件の検討、東京都との補正対応などを任せられます。
| ご依頼内容 | 当事務所の報酬 |
|---|---|
| 東京都知事免許の新規申請 | 8万8,000円~ |
| 保証協会の加入手続 | 2万2,000円~ |
| 合計 | 11万円~ |
上記は行政書士報酬のみで、申請手数料、保証協会への加入費用、証明書の取得費などは含みません。申請内容によって金額が変わるため、実費と報酬を分けた見積もりをご案内します。
費用を支払う時期と運転資金
支払う順番
宅建業免許に関する費用は、一度にまとめて支払うものではありません。おおむね次の順番で支出します。
- 会社を設立し、事務所を契約する
- 事務所の備品をそろえ、申請に必要な証明書を取得する
- 免許申請を行い、東京都へ手数料を納める(窓口申請は申請時、郵送更新・電子申請は都からの案内後)
- 免許通知後に営業保証金を供託するか、保証協会の費用を納める
- 免許証を受け取り、営業開始に必要な標識などを設置する
見落としやすいのが、免許申請から通知までの家賃です。審査期間中の家賃を開業資金に入れずに計算すると、営業開始前に資金が不足します。保証協会へ加入する予定なら、免許申請と並行して申込書類をそろえておくと、営業開始までの期間を短縮できます。
運転資金は免許費用と別に残す
免許を取得しても、すぐに売上が入るとは限りません。賃貸仲介なら広告掲載料や業務システムの利用料、売買仲介なら物件調査費がかかり、従業員を雇えば給与や社会保険料の支払いも始まります。家賃や通信費などの固定費は、少なくとも数か月分を手元に残してください。
よくある質問
- 申請手数料だけで宅建業を開業できますか?
-
申請手数料だけでは営業を始められません。免許通知後に営業保証金の供託か保証協会への加入が必要で、事務所費用や証明書取得費も別にかかります。
- 保証協会へ60万円を払えば開業できますか?
-
60万円は弁済業務保証金分担金の金額で、これだけでは加入できません。入会金や年会費などが加わり、本店の初年度費用はおおむね100万円前後になります。
- 保証協会の費用はいつ支払いますか?
-
通常は、免許通知を受けた後の加入手続の中で納めます。申込書の提出や事務所調査は免許通知前から進められる場合もあるため、免許申請の段階で加入先へ日程を尋ねておくとスムーズです。
- 保証協会の60万円は廃業すると返還されますか?
-
弁済業務保証金分担金は、保証協会を退会し、所定の手続が終わった後に返還の対象となります。一方、入会金や支払い済みの会費は原則として戻りません。
- 宅建業を始めるための最低資本金はありますか?
-
宅建業免許に独自の最低資本金額はありません。ただし、開業後の固定費まで含めた資金計画が欠かせません。
まとめ
東京都知事の宅建業免許では、申請手数料に加えて、営業保証金または保証協会への加入費用が開業資金の中心になります。保証協会を利用する場合も、事務所の契約費用や備品代を含めると、開業準備に200万円を超えることがあります。
事務所を契約する前に、加入する保証協会、事務所数、法人設立費用、営業開始後の運転資金まで含めて予算を組んでおくと、申請後の資金不足を避けやすくなります。
当事務所では、東京都知事の宅建業免許申請に加えて、保証協会の加入費用や事務所要件についてもご案内しています。宅建業免許のご相談・お見積もりは無料です。
