港でシャシーに載せた40ftハイキューブのコンテナを、そのまま工場まで運ぶ。この一運行だけを見ても、特車申請が必要かどうかは書類やコンテナの規格だけでは決まりません。実際に道路を走るのは、トラクタとシャシー、コンテナを連結した一台の車両だからです。
20ftだから不要、40ftだから必要、という単純な線引きはできません。判断の材料になるのは、連結した状態の長さ・高さ・重量と、実際に通る道路の組み合わせです。
特に40ft背高、いわゆるハイキューブの国際海上コンテナ車には、要件を満たせば特車許可なしで通行できる指定区間が設けられています。ここでは20ft・40ft標準・40ft背高それぞれの考え方から、長さ・高さ・重量の見方、許可不要区間、空車回送、指定区間から外れる道路まで順番に見ていきます。
海上コンテナの特車申請は車両全体で判断する
道路法の制限値は、コンテナ単体にではなく、実際に道路を走る車両の状態にかかってきます。海上コンテナ輸送であれば、トラクタとシャシーを連結し、その上にコンテナや貨物を積んだ状態です。
同じ40ftコンテナでも、使うトラクタやシャシーが変われば、車両全体の長さや総重量、軸重は変わります。通行する道路が高速自動車国道なのか、重さ指定道路なのか、高さ指定道路なのかによっても、当てはまる制限値は変わります。
コンテナの規格だけでなく、実際の車両諸元と通行経路をあわせて見る。これが基本の考え方です。
一般的制限値とセミトレーラの特例
道路法の主な一般的制限値は次のとおりです。
| 項目 | 一般的制限値 |
|---|---|
| 幅 | 2.5m |
| 長さ | 12.0m |
| 高さ | 3.8m |
| 総重量 | 20.0t |
| 軸重 | 10.0t |
| 輪荷重 | 5.0t |
このうちひとつでも超えれば、原則として特車制度による手続きが必要になります。
ただし、海上コンテナ車が使うセミトレーラ連結車には、別の特例があります。コンテナ用セミトレーラは特例5車種に含まれ、高速自動車国道では条件を満たせば長さ16.5mまで、総重量も最遠軸距に応じた特例値が設定されています。高速自動車国道以外でも、通行する道路や最遠軸距によって適用される重量の上限は変わります。
「一般的制限値の20t・12mを超えたら必ず同じ扱いになる」とは言えません。
20ft・40ft標準・40ft背高で申請の考え方が変わる
代表的な海上コンテナの寸法をまとめると、次のようになります。
| 種類 | コンテナ長 | 幅 | コンテナ高 |
|---|---|---|---|
| 20ft標準 | 約6.1m | 約2.44m | 約2.59m |
| 40ft標準 | 約12.2m | 約2.44m | 約2.59m |
| 40ft背高 | 約12.2m | 約2.44m | 約2.90m |
ここで注意したいのは、表の数値がコンテナ本体の寸法だという点です。道路上で判断する際は、シャシーの高さやトラクタを含めた連結車全体の寸法を使います。
40ftより全長を抑えやすい一方、積載する貨物が重い場合は総重量や軸重が申請判断のポイントになります。
トラクタとシャシーを連結すると車両全体が長くなるため、一般道路では長さが制限を超えやすくなります。
高さ指定道路との関係に加えて、40ft背高専用の許可不要区間を利用できるか確認します。
20ftコンテナ
20ftコンテナは40ftより短く、車両全長を抑えやすいタイプです。ただ、20ftというだけで申請不要と決まるわけではありません。
使うシャシーやトラクタによっては長さの制限を超えることがありますし、貨物が重ければ総重量・軸重・輪荷重が問題になる場合もあります。車検証や車両諸元から実際の連結状態を洗い出し、通行する道路の制限値と照らし合わせます。
40ft標準コンテナ
40ft標準コンテナは高さ約2.59mで、背高コンテナほど高さが問題になりにくい一方、車両全長には注意が必要です。コンテナ本体だけで約12.2mあるため、トラクタとシャシーを連結した車両全体では12mを超える構成が一般的です。
高速自動車国道では一定のセミトレーラ連結車について16.5mまで長さの特例がありますが、一般道路では同じ扱いにはなりません。港から高速道路に入るまで、高速道路を降りて納品先へ向かうまでを含め、経路全体で見きわめる必要があります。
なお、40ft標準コンテナ車は、40ft背高向けの許可不要制度の対象には含まれません。
40ft背高コンテナ
40ft背高はハイキューブとも呼ばれ、40ft標準より約30cm高いコンテナです。シャシーに積んだ状態では車高が4.1m前後になる車両もあり、通常の高さ3.8mを超えるケースがあります。
長さや総重量、軸重も判断材料に加わります。指定区間を使えば特車許可なしで通行できる場合があり、次の項目で見ていきます。
40ft背高には特車許可不要区間がある
40ft背高国際海上コンテナ車は、重要物流道路などのうち道路構造上支障がないと認められた区間で、要件を満たせば通常の特殊車両通行許可を受けずに通行できます。
2025年10月時点の指定延長は約31,700kmで、指定区間では長さ16.5m、高さ4.1m、総重量最大44tまで引き上げられています。
ただし、40ft背高であれば自動的に許可不要になるとは限りません。業務支援用ETC2.0車載器の搭載・登録と、国際海上コンテナ輸送であることを示す書類の携行などが求められます。
重要物流道路のすべてが対象になるわけでもありません。この違いは重要物流道路と40ft背高の許可不要区間で詳しく取り上げています。
対象は40ft背高国際海上コンテナ車です。20ftコンテナ車や40ft標準コンテナ車は含まれません。
走行する道路が、40ft背高国際海上コンテナ車の特車許可不要区間に指定されている必要があります。
EIRや運搬指示書など、国際海上コンテナ輸送であることが確認できる書類を携行します。
業務支援用ETC2.0車載器を搭載し、自動車登録番号・車載器管理番号・ASL-IDを特車システムへ登録します。
40ft背高であれば自動的に対象になるわけではなく、車両・道路・書類・ETC2.0の条件をそろえて使う制度です。
高さ4.1mならどの道路でも走れるわけではない
通常の高さの一般的制限値は3.8mですが、高さ指定道路では4.1mまで引き上げられます。40ft背高コンテナ車では、この高さ指定道路が経路設定に関わってきます。
ただし、4.1mまで認められるのは高さについてだけです。車両全長や総重量、軸重がそれぞれの制限値を超えていれば、高さが4.1m以内というだけで特車申請が不要になることはありません。
高さ指定道路4.1mの条件と、40ft背高の許可不要制度は別のものとして押さえておく必要があります。
重量は総重量だけでは判断できない
海上コンテナ輸送では、コンテナに積む貨物によって重量が大きく変わります。見るのは総重量だけではありません。
車軸ごとの軸重・輪荷重・隣接軸重、車軸数や最遠軸距も関わってきます。40ft背高の許可不要区間で示される「最大44t」も、すべての車両が一律に44tまで通行できるという意味ではありません。車軸数や軸距によって総重量の上限は変わります。
2軸認証トラクタの駆動軸11.5t
一定の条件を満たす2軸認証トラクタでは、駆動軸について11.5t、輪荷重について5.75tまで扱える場合があります。
この数値はすべての車軸に一律で当てはまるものではありません。40ft背高許可不要区間についても、軸重・輪荷重には別途条件があります。トラクタ側とトレーラ側は、同じ上限として扱われません。
空コンテナ・空シャーシでも車両の状態で判断する
貨物を積んでいないからといって、自動的に特車申請が不要になるとは限りません。空コンテナを積んだ状態でも、車両全体の長さや高さなどが制限値を超えていれば、その寸法は特車制度の対象です。
空シャーシで回送する場合も同じで、実際に道路を走る車両の寸法・重量が判断の基準になります。
一方、40ft背高国際海上コンテナ車の許可不要制度では、コンテナを積載していない状態で走行する場合も対象車種に含まれます。制度を利用する際は、指定区間やETC2.0、書類携行などの要件もあわせて見ておきます。
港から納品先まで全部が許可不要とは限らない
海上コンテナ輸送で実務上確認したいのは、港から納品先までの経路です。40ft背高の許可不要区間を使えても、その区間だけで目的地まで到達できるとは限りません。
港から幹線道路へ出る区間、高速道路のインターチェンジから倉庫までの道路、工場へ入る直前の市区町村道が、許可不要区間から外れていることがあります。
指定外の道路では、通常の制限値や道路ごとの特例に戻って判断します。車両の寸法や重量が制限値を超えていれば、その区間について通常の特殊車両通行許可が必要です。
「県道だから対象外」「市道だから対象外」とは判断できません。許可不要区間には地方管理道路も含まれており、道路種別ではなく実際の指定状況で見きわめます。
納品先直前の道路が未収録道路であれば、通常の特車申請で道路管理者との協議が必要になることもあります。
44tを超える場合は通常の特車申請で審査する
40ft背高許可不要区間の最大値は44tですが、重量物を積む海上コンテナ車では、これを超えることもあります。
2025年3月の特車システム改修により、総重量44tを超える車両でも、高速道路を含む経路の通行許可申請ができるようになりました。高速道路区間についても算定が行われ、必要な通行条件が付与されます。
44tを超えれば高速道路を自由に通れるようになったわけではありません。車両諸元と経路をもとに通常の特車申請を行い、道路管理者による審査を受けます。
複数のトラクタ・シャシーを使う場合
海上コンテナ輸送では、同じ港と倉庫の間を複数のトラクタやシャシーで運行することがあります。組み合わせが変われば、連結時の長さや総重量、軸重も変わります。
条件がそろう複数車両で同じ経路を申請する場合は、特車申請の包括申請を使える場合があります。ただし包括申請には車種、軸種、経路、積載貨物、通行期間などの条件をそろえる必要があり、「同じ40ftコンテナを運ぶ車両」というだけでひとつにまとめられるわけではありません。
海上コンテナの特車申請で迷ったら
海上コンテナの特車申請は、車両諸元だけでなく、経路や重量、高さ、許可不要区間の確認まで必要になるため、思ったより手間がかかります。当事務所では、経路の確認から申請まで対応しています。
特車申請サービス →海上コンテナの特車申請で準備する資料
申請の要否を判断する際は、トラクタとシャシーの車検証をまず用意します。車検証だけで必要な寸法や軸距が分からない場合は、メーカーの車両諸元表や外観図も使います。
あわせて、コンテナの種類、積む貨物の重量、出発地、目的地、使いたい道路やインターチェンジを整理しておくと、経路の検討が進めやすくなります。
40ft背高の許可不要制度を使う場合は、EIRなど国際海上コンテナ輸送を示す書類と、業務支援用ETC2.0の登録状況もあわせて確認します。
よくある質問
- 20ftコンテナなら特車申請は不要ですか?
-
20ftというだけでは決まりません。トラクタ・シャシーを含めた車両全体の長さや高さ、総重量、軸重と通行経路をあわせて見ます。20ftでも制限値を超えれば、特車制度による手続きが必要です。
- 40ft標準コンテナは許可不要制度を使えますか?
-
40ft背高を対象とする許可不要制度は使えません。40ft標準コンテナ車は、実際の車両諸元と道路の制限値で通常どおり判断します。一般道路では連結車両の長さが12mを超える場合、長さについて特車申請が必要になります。
- 40ft背高コンテナは必ず特車申請が必要ですか?
-
必ずではありません。40ft背高国際海上コンテナ車は、指定された許可不要区間を通行し、ETC2.0や書類携行などの要件を満たせば、通常の特車許可を受けずに通行できます。指定区間から外れる道路では、別途判断が必要です。
- 空シャーシで戻る場合も特車申請が必要ですか?
-
通常の特車申請では、実際に公道を走る空シャーシの寸法・重量をもとに判断します。40ft背高国際海上コンテナ車の許可不要制度では、コンテナを積んでいない状態で走る場合も対象車種に含まれます。
- 総重量44tまでなら必ず許可不要ですか?
-
44tは許可不要制度で認められる最大値です。実際の上限は車軸数や軸距によって異なり、軸重や輪荷重にも別の制限があります。総重量だけで通行の可否は判断できません。
- 目的地の手前だけ許可不要区間から外れる場合はどうなりますか?
-
指定外の道路については、その道路の制限値と実際の車両諸元を照らし合わせます。制限値を超えていれば、その区間を含めた通常の特殊車両通行許可申請が必要です。
まとめ
海上コンテナ輸送の特車申請は、20ft・40ftというコンテナのサイズだけでは判断できません。トラクタ、シャシー、コンテナ、貨物を組み合わせた実際の車両寸法・重量と、港から納品先までの通行経路が基準になります。
20ftは比較的車両全長を抑えやすいものの、重量や車両構成によっては申請が必要です。40ft標準では一般道路の長さ、40ft背高では長さに加えて高さや重量もあわせて見ておく必要があります。
40ft背高国際海上コンテナ車には特車許可不要区間がありますが、対象になるのは指定された道路で所定の要件を満たした場合です。経路の途中で指定区間を外れる場合は、その道路について通常の特車制度が関わってきます。
特車申請の制度や車種別の手続きは、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
海上コンテナの特車申請でお困りならご相談ください
海上コンテナ輸送では、同じ40ftコンテナでも、使うトラクタやシャシー、積載重量、通行経路によって申請内容が変わります。
当事務所では、車両諸元と経路を突き合わせたうえで、特殊車両通行許可の申請代行まで対応しています。

