「転売」と聞くと、違法なイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?
転売そのものは原則として合法です。重要なのは「どのような転売が違法になるのか」「古物商許可が必要なのはどんな場合か」を知ることです。
この記事では、転売の合法性と転売ヤーと古物商の違いについて、実務経験をもとに解説します。
転売とは?転売屋・転売ヤーとの違い
転売とは、仕入れた商品を他の人や法人に販売することです。これ自体は商社や問屋などが日常的に行っている正当なビジネスです。
しかし、「転売屋」「転売ヤー」と呼ばれる人たちは、限定品や希少商品を買い占めて高額転売する行為を指すことが多く、社会的に批判されています。
転売ヤー・転売屋の特徴
- 数量限定品を買い占める
- ネットオークションやフリマアプリで高額販売
- 社会性がない利益追求
- 古物商許可を取得していない場合が多い
古物商との違い
私は現在も質屋の店長として勤務しており(業界歴10年以上)、日々、ブランド品・貴金属・時計の買取・販売を行っています。
古物商と転売ヤーの決定的な違いは、法律に基づいた社会性のあるビジネスかどうかです。
| 項目 | 転売ヤー | 古物商 |
|---|---|---|
| 許可 | なし(違法の可能性) | 古物商許可を取得 |
| 社会性 | 買い占めで批判対象 | 古物営業法を遵守 |
| 継続性 | 不定期・投機的 | 事業として継続 |
| 信頼性 | 低い | 警察の許可あり |
合法的に転売を行っている業者は、古物商許可を持っています。
取引する際は、相手の許可番号を確認しましょう。
→ 古物商許可番号の確認方法
転売は違法か?合法な転売と違法な転売の線引き

基本原則:転売は合法
転売を禁止する法律は基本的にありません。商社や問屋、リサイクルショップなど、多くのビジネスが転売によって成り立っています。
違法となる転売の3つのパターン
しかし、以下のケースでは違法となります:
1. 特定興行入場券(チケット)の高額転売
チケット不正転売禁止法違反
プロ野球やコンサート、演劇などのチケット転売は、2019年6月に施行されたチケット不正転売禁止法によって規制されています。
実は、この法律ができる以前は、私が経営してた買取店、大手金券ショップでも、チケットを定価の数倍で転売することは合法でした。
人気アーティストのライブチケットや、プロ野球の人気カードなど、需要が高いチケットは高値で取引されていて、当時はどこの金券ショップでも定価以上での買取、定価の数倍以上での販売は当たり前に行われていました。
しかし、2019年6月の法律施行後は、以下のような転売が違法となりました:
- コンサート、スポーツ、演劇などのチケット
- 定価を超える価格での転売
- 不正転売禁止の記載があるチケット
- 罰則:1年以下の懲役または100万円以下の罰金、または両方
なお、チケット転売は、チケット不正転売禁止法が施行される以前から、各都道府県の迷惑防止条例でダフ屋行為として禁止されていました。近年では、「電子計算機を用いたダフ屋行為」(いわゆる「デジタルダフ屋」)として、ネット上での高額転売も規制対象となるケースが増えています。
2. 禁止品目の販売
薬機法違反
- 未承認の医薬品の輸入・販売
- 罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
酒税法違反
- 継続的な酒類の転売(免許なし)
- 罰則:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
3. 無許可での古物営業
古物営業法違反
- 中古品の継続的な転売(古物商許可なし)
- 罰則:3年以下の懲役または100万円以下の罰金、または両方
古物商許可が必要なケース・不要なケース
メルカリで古物商許可が必要かどうかの判断基準については別記事で詳しく解説していますが、ここでは転売全般について説明します。
古物商許可が必要なケース
以下の条件をすべて満たす場合、古物商許可が必要です:
- 営利目的(利益を得る目的)
- 反復継続的(1回だけでなく繰り返す)
- 中古品を扱う(新品のみは不要)
具体例:
- ✅ ネットオークションで定期的に中古品を仕入れて転売
- ✅ 中古のゲームソフトや家電を安く仕入れてAmazonで販売
- ✅ ブランド品や貴金属の買取・販売ビジネス
- ✅ 車、バイク、電化製品の継続的な売買
古物商許可が不要なケース
- ❌ 自分の不用品を処分する(1回限り)
- ❌ 手作り品を販売する(新品のみ)
- ❌ 友人同士で売買(商売目的でない)
- ❌ 新品のみを仕入れて販売(ただし仕入れ先に注意)
無許可営業の実態と摘発事例

私の業界での経験上、無許可で古物営業を行っているケースは意外と多く、摘発されるリスクも高まっています。
よくある摘発パターン
副業での転売が発覚
- 年間100万円以上の売上
- 税務調査で無許可営業が発覚
- 警察に報告され、古物営業法違反で書類送検
ネットオークション・フリマアプリ
- メルカリ・ヤフオク・ラクマなどでの継続的な転売
- 中古のゲームソフトや家電を仕入れて販売
- 税務調査や警察の調査で発覚
無許可営業の罰則
古物営業法違反で無許可営業を行うと、以下の罰則が科される可能性があります:
- 3年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方(古物営業法第31条)
- 営業停止命令
- 今後、許可を取得できなくなる可能性
個人事業主として古物商を始める場合は、開業届と古物商許可の両方が必要です。開業届については別の記事で詳しく解説しています。
安全に転売ビジネスを始める方法
ステップ1:古物商許可を取得
中古品を扱う転売ビジネスを始めるには、まず古物商許可を取得する必要があります。
必要な手続き:
- 必要書類の準備(住民票、身分証明書など)
- 営業所の確保
- 警察署への申請
- 審査(約40日)
- 許可証の交付
ステップ2:古物商プレートの設置
許可取得後は、営業所に古物商プレートを設置する必要があります。個人事業主と法人では表示内容が異なります。
ステップ3:帳簿の記録
古物商は、取引の記録を帳簿に残す義務があります。これは盗品の流通を防ぐための重要な制度です。
よくある質問(FAQ)
- Qメルカリで不用品を売るだけなら古物商許可は不要ですか?
- A
はい、不要です。自分が使っていた不用品を1回限り処分する場合は、古物商許可は不要です。
ただし、「不用品を売る」という名目で継続的に仕入れて転売している場合は、古物商許可が必要になります。
- Q新品を仕入れて転売する場合も古物商許可は必要ですか?
- A
いいえ、原則不要ですが、仕入れ先に注意が必要です。
問屋やメーカーから直接仕入れる場合は不要です。しかし、「小売店(家電量販店やネットショップ)」から転売目的で購入した場合、未開封であっても「新古品」として古物営業法の対象になる可能性があります(古物営業法第2条)。
古物営業法では、「使用のために取引されたもの(=一度消費者の手に渡ったもの)」は、未使用であっても古物として扱われます。一般的な「新品せどり」をする場合は、この点に十分注意が必要です。
- Q副業で月5万円程度の転売をしていますが、古物商許可は必要ですか?
- A
金額の大小ではなく、「営利目的」「反復継続的」「中古品」の3つの条件で判断します。
月5万円でも、継続的に中古品を仕入れて転売している場合は、古物商許可が必要です。金額が少ないからといって許可が不要になるわけではありません。
実際に、副業での転売で年間100万円以上の売上があった会社員が、税務調査をきっかけに無許可営業が発覚し、書類送検されたケースもあります。
- Q転売ヤーと古物商の違いは何ですか?
- A
最大の違いは「古物商許可を取得しているかどうか」と「法律を遵守しているかどうか」です。
転売ヤーは、古物商許可を取得せずに中古品を転売している場合が多く、古物営業法違反の可能性があります。一方、古物商は警察の許可を得て、法律を守って営業しています。
また、転売ヤーは買い占めなどの社会的に批判される行為を行うことがありますが、古物商は社会性のあるビジネスとして営業しています。
- Qチケットの転売はすべて違法ですか?
- A
いいえ、すべてが違法ではありません。違法となるのは「特定興行入場券を定価を超える価格で転売する行為」です。
違法となるケース:
- コンサート、スポーツ、演劇などのチケット
- 定価を超える価格での転売
- 不正転売禁止の記載があるチケット
- ネット上での高額転売(デジタルダフ屋)
合法なケース:
- 定価以下での転売
- 興行主が転売を認めているチケット
- 転売が禁止されていないチケット
※ただし、定価以下であっても『業(ビジネス)』として反復継続して行うと、都道府県の迷惑防止条例やサイトの利用規約に抵触する恐れがあります。
まとめ
この記事のポイント
- 転売は原則として合法ですが、チケット転売、禁止品目の販売、無許可での古物営業は違法です。
- 転売ヤーと古物商の違いは、古物商許可の有無と法律の遵守です。中古品を継続的に転売する場合は、古物商許可が必要です。
- 無許可営業の罰則は重いです。3年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
合法的に転売ビジネスを始めるには、まず古物商許可を取得することが重要です。
お困りの際は当事務所へ
古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。また、「メルカリでの転売に許可は必要か」「開業後の届出は何が必要か」など、判断に迷う場面も多いです。
当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。「自分のケースで許可が必要か確認したい」「申請が複雑で困っている」といった場合は、お気軽にご相談ください。
お問い合わせ方法:
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執筆者プロフィール
手島宏典 行政書士・現役質屋店長
業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。行政書士手島宏典事務所
東京都葛飾区亀有3丁目27-30 Tビル1階
TEL:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)



