車両を入れ替えた際、多くの運送会社が「とりあえず新規申請しておけば間違いない」と考えがちです。しかし実際には、本来「変更申請」で済むケースを新規で出してしまい、数千円から数万円の手数料を余計に支払い、審査完了まで数週間長く待たされているケースが少なくありません。
特車申請において、「変更申請」と「新規申請」の使い分けは、コスト削減と審査期間短縮の重要なポイントです。ただし、システム上のルールは複雑で、誤った区分で申請すると差戻しの対象となります。
本記事では、この2つの区分の境界線と、実務で使える判断フローを解説します。
最大の違いは「許可期間」と「審査の仕組み」
具体的なケースを見る前に、変更申請と新規申請の基本的な違いを押さえておきましょう。

結論: 許可期間が十分に残っているなら、迷わず「変更申請」を選ぶべきです。コストも時間も圧倒的に有利だからです。
「軽微な変更」とは
「軽微な変更」に該当する変更申請は、優先審査の対象となります。つまり、通常の新規申請よりも早く許可が下りる可能性が高いということです。
軽微な変更に該当する主なケース:
- 車両の交換(諸元が大きく変わらない場合)
- 自動車登録番号の変更
- 会社名・代表者の変更
これらは経路の再計算が不要、または最小限で済むため、審査期間が短縮されます。
「変更申請」で対応できるケース
以下のケースは「変更申請」が可能です。特に★印の項目は「軽微な変更」として扱われ、審査が早く終わるメリットがあります。
① 車両の入替え・情報変更(★)
車両の交換
トラクタ(ヘッド)やトレーラを買い替えた場合に利用できます。ただし、軸種が大きく変わる場合(3軸車から4軸車への変更など)は、変更申請では対応できないケースがあります。
車両の減少
使わなくなった車両を許可から外す場合も変更申請で対応できます。
自動車登録番号の変更
ナンバープレートが変わった場合も、変更申請の対象です。
② 経路の変更・追加
経路の追加
新しい配送先が増えたため、ルートを追加したい場合に利用します。
経路の変更
工事などでいつもの道が通れなくなり、迂回路を申請したい場合も変更申請で対応可能です。
③ 会社情報の変更(★)
会社名・代表者の変更
本社移転や社名変更、代表者交代があった場合も変更申請で対応できます。
手数料のメリット
変更申請の手数料は、基本的に「新しく審査が必要になった部分」にしかかかりません。
たとえば、車両の交換で諸元が変わらない場合、経路の再計算が不要なため、手数料がかからない、または最低限で済むケースが多くあります。これが新規申請との大きな違いです。
「新規申請」でなければならないケース
以下の場合、「変更申請」を選んではいけません。システム上で入力できたとしても、審査段階で必ず差戻しになります。
① 許可期間も延長したい場合(絶対NG)
「内容を変更するついでに、期間もあと2年延ばしておこう」
これは最も多い誤解パターンです。変更申請は「期間を変えない」ことが絶対条件です。期間も延ばしたい場合は、現在の許可を捨てて「新規申請」で取り直すしかありません。
現状、「変更申請と更新申請を同時に行う」という手続きは用意されていないため、期間延長が必要な場合は必ず新規申請を選択してください。
② 特車ゴールド(ETC2.0)の変更
見落とされがちなポイントです。「特車ゴールド」の許可は、制度上「変更申請」ができません。
車両やナンバーが変わった場合、特車ゴールドの登録を削除し、改めて「新規申請」を行う必要があります。これは特車ゴールド制度の仕組み上、避けられない手続きです。
③ 許可期限が切れている場合
期限が1日でも過ぎた許可証を使って「変更申請」はできません。無効なデータに対する変更は不可能です。
期限切れの場合は、必ず「新規申請」で許可を取り直してください。
④ トラクタの大幅な増車(原則)
トレーラの追加(包括申請)は変更で可能ですが、トラクタ(ヘッド)を単純に増やす場合は、原則としてそのトラクタについて「新規申請」が必要です。
ただし、諸元が変わらないトラクタの追加など、一部例外的に変更扱いで可能な場合もあります。判断に迷う場合は、管轄の窓口に確認することをおすすめします。
実践! 判断フローチャート
お手元の案件がどちらに当てはまるか、以下のチャートで確認してください。

このフローに従えば、申請区分の選択ミスを防げます。

まとめ
特車申請において、「変更申請」はコスト削減の重要な手段です。新規で出せば数万円かかる手数料が、変更なら数千円で済むケースは珍しくありません。また、軽微な変更に該当すれば審査期間も短縮されるため、急な車両入替えにも対応しやすくなります。
判断のポイント:
- 期間を変えないなら「変更申請」を第一に検討する
- 特車ゴールドは問答無用で「新規申請」
- 期限切れは救済措置なしで「新規申請」
この3つのルールを社内で共有し、無駄な申請コストを削減しましょう。
ただし、変更申請と新規申請の境界線は複雑で、判断に迷うケースも少なくありません。「この場合はどちらになるのか」と迷ったときは、申請前に確認することで差戻しのリスクを避けられます。


