解体現場に油圧ショベルを運び入れる場合は、低床トレーラに重機を積んだ状態で公道を通行できるかどうかが最初の判断点になります。トレーラ単体ではなく、重機を積載した状態の幅・長さ・高さ・重量をもとに特車申請の要否を判断します。
一方、解体後のコンクリートガラや金属スクラップを運ぶダンプは、重機回送とは別の考え方が必要です。道路法上の通行制限と、車検証に記載された最大積載量は別の基準であり、この二つを混同しないことが大切です。
この記事では、解体工事で特車制度が関係する場面を、重機回送・廃材搬出・現場までの経路という3つの視点から整理します。同じ解体現場で使う車両でも、確認するポイントはそれぞれ異なります。
重機回送は「積んだ状態」で判断する

油圧ショベルやロングアーム仕様の解体機、大型のニブラーやクラッシャーを備えた重機を低床トレーラで運ぶ場面では、トレーラ単体の数値ではなく、実際に道路を走る積載状態が基準です。
トレーラ自体の幅が基準内でも、重機のクローラが左右に張り出せば積載状態の幅は大きくなります。ブームやアタッチメントの積み方次第で、全長や高さも変わってきます。ブーム、アーム、バケットなど運搬時にトレーラへ載せるものはすべて含めて、寸法と重量を押さえる必要があります。
そのうえで、特殊車両の一般的制限値と、実際に通行する道路の基準を照らし合わせ、申請の要否を判断します。重機回送時の総重量・高さ・長さ・軸重の考え方は、低床トレーラの諸元入力でも取り上げています。
車両と貨物を整理
重機回送か、廃材搬出かを切り分けます。
積載状態の諸元を確認
幅・長さ・高さ・総重量・軸重を確認します。
現場までの経路を確認
未収録道路・橋梁・交通規制などを確認します。
特車申請の要否を判断
車両諸元と通行経路を照らし合わせて判断します。
アタッチメントが変われば積載状態も変わる
解体現場では、ニブラー・クラッシャー・グラップルなど、現場に応じてアタッチメントを使い分けることがあります。アタッチメントが変われば、重量だけでなく積載時の長さや高さ、重量配分まで変わることがあります。
取り外し可能なアタッチメントについては、重機本体と一体の貨物として扱えるか、分けて運搬すべきものかも整理する必要があります。単に「一番重いアタッチメントで申請しておけばよい」とは判断せず、実際の運搬方法と積載状態をもとに申請内容を決めます。
廃材ダンプは重機回送と分けて考える
重機回送と廃材搬出では、貨物の性質そのものが異なります。車両の構造が特殊な場合や、分割できない大型・重量貨物を積載した状態で道路の制限値を超える場合は、特殊車両通行許可の対象になります。油圧ショベルなどの建設機械を低床トレーラで回送するケースは、その代表例です。
これに対して、コンクリートガラやスクラップは、通常であれば積載量を減らして複数回に分けて運搬できます。一般的なダンプに廃材を積みすぎて重量が増えた状態を、特車許可によってそのまま通行できるようにする制度ではありません。
特に注意したいのが最大積載量です。車検証に記載された最大積載量と、道路法上の通行制限は別の基準です。特車申請の要否と過積載の問題は、混同せずに分けて判断しましょう。
分割できる貨物でも特例8車種は扱いが異なる
「分割できる貨物だから特車申請の対象にならない」と一律に判断することもできません。バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の被けん引車に、あおり型・スタンション型・船底型を加えた特例8車種では、分割可能な貨物についても一定の条件のもとで特殊車両通行許可の対象となります。なお、特例8車種の「あおり型」はあおり型セミトレーラを指し、一般的な単車のダンプトラックを意味するものではありません。
特殊車両通行ハンドブックでは、特例8車種の限度値として総重量44tを定めています。ただし、44tまで全国の道路を自由に走れるという意味ではありません。実際に通行できる重量は、車両の軸重や寸法、経路上の橋梁などを審査したうえで決まる数値です。
一般的なダンプによる廃材搬出と、特例8車種の取扱いは、同じ物差しで考えないほうがよい部分です。
現場までの経路は幹線道路の先までつなげる
解体工事の特車申請では、現場へ到着する最後の区間が経路作成の分かれ目になることがあります。高速道路や国道、主要な都道府県道は道路情報便覧に収録されていても、そこから住宅地や工業地帯に入る市道・区道だけが道路情報便覧に載っていないことがあります。
未収録道路は、道路情報便覧のデータだけで自動算定を完了できないため、道路管理者による個別審査や協議が必要になることがあります。解体現場は工事のたびに場所が変わるため、以前の現場で使った経路をそのまま流用できるとは限りません。車両が実際に進入する道路まで経路をつなげて、現在の収録状況と道路条件を押さえておきましょう。
橋の重量制限や交通規制も併せて見きわめる
現場まで道路がつながっていても、その車両が実際に進入できるとは限りません。目的地付近には、重量制限のある橋、大型車の通行規制、一方通行、時間帯規制、高さ制限などが設けられていることがあります。
たとえば「14t」の重量制限標識がある橋では、重さ指定道路や新規格車の基準とは別に、その橋固有の制限を見きわめる必要があります。重量制限標識の考え方については、14t重量制限の考え方で扱っています。
低床トレーラは車体が長く、道路幅だけでなく交差点で曲がれるかどうかも問題になります。地図上で経路がつながっているかどうかだけで判断せず、車両諸元と現地の道路条件を突き合わせることが欠かせません。
現場が変わっても以前の許可をそのまま使えるとは限らない
解体工事では、同じ重機やトレーラを複数の現場へ回送することがあります。この場合、車両が同じであっても、以前取得した許可経路に新しい現場までの道路が含まれていなければ、その許可だけで新しい経路を走れるわけではありません。
**特車許可は、許可を受けた車両・経路・通行条件に従って使用するものです。**次の現場が決まったら、既存の許可経路に目的地が含まれているかを早めに確認してください。含まれていない場合は、新しい経路について必要な手続きを進めます。
現場が変わる解体工事のような業務では、車両の準備だけでなく「どこからどこまで走るのか」を早い段階で固めておくことが重要です。
特車申請を判断する4つの手順
1.運搬する車両と貨物を分ける
最初に、低床トレーラで重機を回送するのか、ダンプで廃材を搬出するのかを分けましょう。重機回送であれば、使用するアタッチメントを含めた実際の積載状態を押さえます。
2.積載状態の寸法・重量を把握する
幅・長さ・高さ・総重量・軸重などを把握します。低床トレーラでは、トラクタ・トレーラ・重機を組み合わせた公道走行状態が基準です。
3.現場までの通行経路をつなぐ
幹線道路から現場までの市道・区道、橋梁、未収録道路などを含めて経路を作成します。現場周辺の交通規制や、車両の旋回が問題になりそうな区間も押さえておきます。
4.特車手続きの要否を判断する
車両諸元と実際の経路を照らし合わせ、特殊車両通行許可などの手続きが必要か判断します。既存の許可を使う場合も、今回の車両状態と経路が許可内容に含まれているかを見きわめます。
よくある質問
- 重機を低床トレーラで運ぶと必ず特車申請が必要ですか?
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必ず必要になるとは限りません。重機を積載した状態の幅・長さ・高さ・総重量・軸重と、実際に通行する道路に適用される基準を照らし合わせて判断します。
- アタッチメントを外せば特車申請は不要ですか?
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アタッチメントを外したことだけでは決まりません。取り外したアタッチメントも同じトレーラに積んで運ぶ場合は、その状態を含めて車両全体の寸法・重量を判断します。
- 廃材ダンプが重くなった場合は、特車許可を取れば走れますか?
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一般的なダンプで最大積載量を超えて廃材を積んだ状態を、特車許可によって適法にすることはできません。最大積載量と道路法上の特殊車両通行制度は、別の基準です。
- 分割できる廃材は特車申請の対象になりませんか?
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一律には決まりません。特例8車種では、分割可能な貨物についても一定の条件で特殊車両通行許可を受けられます。一般的なダンプによる廃材搬出とは区別して考えます。
- 現場付近に未収録道路があっても申請できますか?
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未収録道路を含む経路でも申請は可能です。未収録区間では道路管理者による個別審査や協議が必要になる場合があるため、正式な路線名や収録道路との接続位置、実際の通行経路を早めに把握しておいてください。
- 現場が変わっても以前の許可を使用できますか?
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許可されている経路に、新しい現場までの道路が含まれているかによります。含まれていない道路を通行する場合は、新しい経路について必要な手続きを行います。
まとめ
解体工事では、重機回送・廃材搬出・現場までの通行経路を分けて考えると、特車申請の要否が見えやすくなります。低床トレーラによる重機回送は、重機やアタッチメントを含めた実際の積載状態が基準です。廃材ダンプでは、道路法上の通行制限と車検証の最大積載量が別の基準であることを押さえておく必要があります。
さらに、解体現場では市道・区道や未収録道路、重量制限のある橋が経路に含まれることもあります。使用する車両と現場が決まった段階で、目的地までの経路を早めにつかんでおきましょう。特車制度・申請手続き・車種別対応の全体像は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
解体工事の重機回送・特車申請でお困りならご相談ください
当事務所では、重機や低床トレーラの車両諸元、実際の積載状態、現場までの通行経路を整理したうえで、特殊車両通行許可の申請代行を行っています。重機回送の申請が必要か判断しにくい場合や、現場直前に未収録道路・重量制限のある橋梁が含まれる場合もご相談ください。

