重機回送の特車申請|低床トレーラーの諸元計算と差し戻しを防ぐ入力手順

夜明けの建設現場で低床トレーラーにショベルカーを積載したセミトレーラ。重機回送の特車申請が必要な車両構成のイメージ

ショベルカーやブルドーザーなどの建設機械を低床トレーラーで回送する場合、特車申請システムには「走行する状態」の寸法・重量を入力します。トレーラーの車検証の数値をそのまま転記するのではなく、トラクタ・トレーラ・重機を合わせた状態を自分で計算して入力する仕様です。

「車検証と仕様書は揃えたが、どう組み合わせるのかわからない」「高さはどの状態で計測するのか」という確認漏れが現場では多く見られます。入力値が実態と違えば差し戻しになるだけでなく、許可後の走行も条件違反になります。

目次

申請の基本:「車両+積荷」で1申請

重機回送の特車申請は車両単体ではなく、走行する状態で行います。トラクタ・トレーラ・積載する重機をすべて含めた寸法・重量をオンライン申請システムに入力するのが原則です。

重機を積まない空車状態では制限値以内でも、積載状態では超過するケースがほとんどです。積載と空車の両方で申請が必要になる場合もあるため、どちらの状態で走行するかを先に確定させてから申請に入ってください。

往路(実車)と復路(空車)で寸法・重量が大きく変わる場合は、片道ごとに別申請として処理されることがあります。実車用と空車用の2枚の許可証が発行され、走行時には両方を携行しないと不携帯違反になります。ドライバーへの事前共有は欠かせません。

低床トレーラーは重量物運搬用セミトレーラ(重セミ)に分類されます。車両タイプと申請上の位置づけはそちらを参照してください。

システムへの入力諸元

低床トレーラーに油圧ショベルを積載した状態の側面図。トラクタの長さ(最前部から連結部まで)とトレーラの長さ(連結部から最後部まで)をそれぞれシステム入力①②として赤矢印で示し、全高・荷台高・軸重の計測箇所を青矢印で示す

総重量の計算

総重量は以下の3項目を合算します。

総重量 = トラクタの車両重量 + トレーラの車両重量 + 積載する重機の重量

項目確認先
トラクタの車両重量トラクタの車検証
トレーラの車両重量トレーラの車検証
重機の重量メーカー仕様書・計量票
乗員重量55kg × 乗車定員

特車申請の総重量制限(20t・25t)とは別に、トレーラの車検証に記載された最大積載量も照合します。アタッチメントを含めた重機の総重量が最大積載量を超えていると、道路交通法上の過積載として差し戻しになります。申請前に自社トレーラの積載量と重機の重量を確認してください。

重さ指定道路では25t、それ以外は20tが制限値です。低床トレーラーへの重機積載は、ミニショベルなど中型機械を除きほぼすべて20tを超えます。

高さの確認

高さは地面からの最高点で計測します。

確認箇所注意点
低床トレーラーの荷台高積み込み状態で変わる場合がある
重機本体の高さキャブ・アンテナ・ミラーを含めた最高点
アタッチメントバケット・ブレーカー等の収納状態で計測

一般的制限値は3.8mです。高さ指定道路では4.1mまで緩和されますが、経路上に指定されていない区間が含まれれば3.8mで判定されます。アタッチメントを外して積載するか、そのまま積むかによって高さが変わるため、申請する状態と実際の積載状態は一致させること。

長さの算出

長さの入力で最多の誤りが、「トラクタとトレーラの車検証の長さを合計して全長として入力する」パターンです。

オンライン申請システムには「連結状態の全長」を入力する欄はありません。入力するのは次の2つです。

  • トラクタの長さ欄:最前部から連結部(カプラ)までの長さ
  • トレーラの長さ欄:連結部(キングピン)から最後部までの長さ。重機がはみ出す場合はその分を加算

トラクタ欄に全長を入力すると異常値として差し戻しになります。四面図でカプラ・キングピン位置を正確に読み取り、それぞれの欄に入力してください。制限値は12mです。

幅の確認

重機の幅がトレーラの幅を上回る場合、重機の幅が判定基準になります。制限値は2.5mで、重機がトレーラからはみ出す場合は幅広積載となり、通行条件に影響します。

軸重の確認

低床トレーラーは複数軸で重量を分散する設計ですが、重機の積載位置(重心位置)によって特定の軸に荷重が集中します。軸重の制限値は10tです。

諸元表または実際の計量で確認し、超過が出たら積載位置の変更でコントロールできるかをメーカーや車両管理担当者と確認します。

複数パターンの重機を申請する場合

1台のトレーラーでA・Bの重機を日によって載せ替える包括申請では、重機によって重心が変わるため軸重も変動します。「各軸において最も重い(不利な)数値を選択して入力する」というルールがあります。計算を誤ると軸重超過(10t超)で許可が下りないため、車両管理担当者と連携して進めてください。

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貨物情報の入力

重機回送はシステム上で「積載する貨物が特殊な車両(重量物運搬用セミトレーラ)」として申請します。貨物の品名・寸法・重量の入力が必須で、ここに入力するのは重機自体の寸法です。積載状態での全高など車両全体の寸法は「車両諸元」の項目に入力します。

入力項目内容
品名システム上の分類から「建設機械」を選択
長さ重機の全長(アタッチメント収納状態)
重機の最大幅
高さ重機自体の高さ
重量重機の総重量(オイル・燃料含む)
分割不可の理由「自走不可能な建設機械のため」等

品名が曖昧だったり、分割不可の理由が不明確だったりすると差し戻しになります。メーカー・型式・重量は仕様書の数値を正確に転記することが前提となります。

経路設定の実務ポイント

現場への進入路に注意する

現場への進入路に注意する

重機の搬入先は建設現場であることが多く、現場直前の市町村道や私道がシステムに収録されていない未収録道路である場合があります。

未収録道路を通行する場合は、その道路の正式な路線名(○○町道□号線など)を管轄の役所で確認したうえで付近図を作成して添付します。加えて、システム画面上で未収録区間のすべてに路線名を手入力する作業が必要です。名称が未入力のまま送信すると差し戻しになります。

未収録道路が絡む申請は道路管理者の個別審査が入るため、2〜3か月かかることもあります。工期が決まっている案件ほど早期着手が求められます。

橋梁の通過可否を事前に把握する

総重量が大きくなると、経路上の橋梁の設計荷重との関係が問題になります。過大な重量がかかる経路では通行条件が厳しくなるか、その橋梁を避けた経路変更が必要です。

特殊車両通行確認制度を使うと、申請前にシステム上で通行可能経路を事前に絞り込めます。重量がD条件に該当しなくても、幅3.0mを超える車両は寸法C条件(幅員・交差点等)で夜間通行が付きます。重機回送用の低床トレーラーには幅2.99mや3.2mの車両が多いため、申請前に通行条件A〜D夜間通行条件も確認してください。

まとめ

重機回送の特車申請は、トラクタ・トレーラ・重機を合わせた状態の諸元で行います。長さはシステム上でトラクタとトレーラを別項目に入力する仕様のため、連結状態の全長を一方の欄に入力しないよう注意してください。貨物情報の品名・分割不可の理由が不明確なまま送信すると差し戻しになります。

申請前に簡易算定で経路の通行条件を確認し、工程に影響が出ないよう段取りを組みます。幅3.0mを超える車両は重量とは別に寸法条件で夜間通行が付く場合があるため、幅の確認も忘れずに行います。

特車申請の制度・手続き・車種別対応の全体像は特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。

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よくある質問

重セミと特例8車種は何が違いますか?

特例8車種はバン型・タンク型など車両の構造が許可の根拠になります。重セミは「分割不可能な重量物を運ぶ」という貨物の特殊性が根拠で、道路運送車両法上の保安基準緩和を受けた車両の総称です。同じセミトレーラでも、何が特殊かで分類が変わります。

重量C条件が付いた場合の義務は何ですか?

橋梁等の構造物上での徐行、橋脚から橋脚までの一径間を同時通行する他の車両がない状態での通行(連行禁止)、後方への誘導車1台の配置、以上の3つが義務付けられます。

重セミで確認制度を使える条件は何ですか?

セミトレーラ連結車の場合、総重量143.6t以下・長さ20m以下・幅3.5m以下・高さ4.3m以下・最小回転半径12m以下が対象範囲です。ただし現場への進入路など未収録道路はシステムで検索できないため、実務では確認制度と許可制度を併用するケースが多くあります。

重セミの申請で個別審査になるのはどんなケースですか?

申請する重量・寸法が算定要領の範囲を超えていたり、未収録道路を経路に含んでいたりして、道路管理者による個別の協議が必要と判断された場合です。2〜3か月以上かかることもあるため、工期が決まっている建設案件では早期着手が求められます。

D条件が付いた区間でも昼間に通行できますか?

令和元年6月以降、D条件に該当する箇所のみが夜間制限の対象です。経路全体が夜間縛りになるルールではなくなりました。ただし幅3.0mを超える車両は寸法C条件でも夜間通行が付くため、申請前に簡易算定で条件を把握しておくことが必要です。

空車(重機なし)で回送する場合も申請が必要ですか?

空車状態で一般的制限値(総重量20t・長さ12m等)以内に収まれば申請不要です。ただし重セミは空車でも長さや重量が制限値を超えることがあります。積載・空車の両方で確認し、条件が異なる場合はそれぞれの許可証を携行してください。

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