特殊車両通行許可の許可証が交付され、依頼者へ引き渡す際には、車両への備え付け方まで説明しておく必要があります。許可証を受け取って終わりではないためです。
特殊車両通行許可を受けた車両は、許可された経路を通行する際に、許可証をはじめとする必要書類をその車両へ備え付けておく必要があります。許可証を事務所の書庫に保管しているだけでは、要件を満たしたことにはなりません。
許可証は紙のほか、ノートパソコンやタブレットなどの電子機器に保存して携行する方法も認められています。ただし、取締りでドライバー自身がその場で表示できることが前提です。この記事では、備え付ける書類の内容、電子携行の注意点、不携帯の罰則、社内での管理方法まで押さえていきます。
特車許可証は通行する車両に備え付ける
特殊車両通行許可を受けて道路を通行する際は、交付された許可証を当該車両に備え付けます。
オンライン申請による通常の許可を取得した場合、基本となる書類は次の5種類です。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 許可証 | 許可番号や通行期間などが記載された書類 |
| 条件書 | 徐行・誘導車・通行時間帯などの条件を示す書類 |
| 通行経路表 | 許可された経路を一覧にした書類 |
| 通行経路図 | 許可経路を地図上で表した書類 |
| 車両内訳書 | 包括申請の場合に必要 |
許可証の表紙だけを車両に積んでおけば足りるわけではありません。実際に通行する車両と経路に対応する許可書類を一式でそろえておく必要があります。
C・D条件が付く経路では、許可関係書類に含まれるC・D条件箇所一覧もあわせて携行します。どの橋梁や交差点で条件が付くのか、運行前に確認しておきましょう。
許可の種類によって携行する書類の構成が異なる場合もあるため、交付された書類を基準にしてください。
特車許可証は電子データでも携行できる
許可証は紙だけでなく、電子媒体による携行も認められています。
電子許可証などのデータをノートパソコンやタブレット等へ保存しておき、取締りなどで提示を求められた際に画面へ表示する方法です。
電子携行では、端末にデータが入っているだけでは足りません。ドライバー自身が端末を操作し、走行している経路に対応する許可証を速やかに表示できる状態にしておく必要があります。
許可証だけでなく、条件書、通行経路表、通行経路図、包括申請であれば車両内訳書まで画面上で開けるようにしておくと、運行中の条件把握にも役立ちます。
許可証、条件書、通行経路表、通行経路図など、実際の運行に必要な許可関係書類を車両へ備え付けます。
ノートパソコンやタブレット等に許可関係書類を保存し、取締り時にドライバー自身が速やかに画面へ表示できる状態にしておきます。
画面サイズは8インチ以上が推奨されています。通信切れやバッテリー切れにも備えておきましょう。
実際に通行する車両・経路に対応した許可書類を、その車両で提示できる状態にしておくことが必要です。
電子携行に使う端末の大きさは?
国土交通省の案内では、電子許可証を表示する機器としてノートパソコンやタブレット等が示されており、画面サイズは8インチ以上が推奨されています。
重要なのは、取締り時にドライバー自身が必要な許可書類を速やかに操作し、内容を明瞭に表示できることです。経路図や条件書まで確認することを考えると、十分な画面サイズのタブレット等を用意しておくと運用しやすくなります。
電子携行は通信・バッテリー・操作方法まで備えておく
クラウド上に許可証を保存すること自体が禁止されているわけではありません。
問題になるのは、電波が入らない、端末が故障した、バッテリーが切れた、ドライバーが操作方法を分からないといった理由で、必要な許可証をその場で表示できない場合です。
こうした事情で速やかに表示できなければ、許可を取得していても許可証不携帯として警告等の対象になります。
実務上は、通信環境だけに頼らず、必要なPDF等を端末本体にも保存しておくと安心です。出発前には、保存されているかだけでなく、実際にファイルを開けるところまで確認しておきましょう。
当事務所では、取締り側の機器へUSBメモリなどを接続して許可証を表示する方法はセキュリティ上避けるよう案内しています。ドライバー自身の端末で速やかに提示できる準備をしておいてください。
許可証を携行していない場合は100万円以下の罰金
特殊車両を通行させる際に許可証を備え付けていなかった場合、道路法では100万円以下の罰金が定められています。
許可証不携帯と、許可を取得せずに特殊車両を通行させる無許可通行は同じ違反ではありません。ただし、許可を取得しているからといって、許可証を持たずに通行してよいわけではありません。
無許可通行や許可条件違反についても、それぞれ道路法上の罰則や行政上の措置の対象です。特殊車両の違反・罰則とあわせて区別しておくと分かりやすくなります。
従業員が業務として違反した場合には、行為者だけでなく法人や事業主にも罰金刑が科される場合があります。
条件書は許可証とセットで押さえておく
許可証を備え付ける目的は、取締りへの対応だけではありません。
特殊車両は、許可された車両・経路・期間だけでなく、徐行、誘導車、通行時間帯などの条件にも従って通行します。その具体的な内容を確認するのが条件書です。
たとえば同じ車両でも、経路によって重量B条件、C条件、D条件などが付く場合があります。特車の通行条件A〜Dを把握したうえで、実際の運行では交付された条件書を基準にします。
C・D条件が付く場合は、対象となる橋梁や交差点がC・D条件箇所一覧に示されます。配車担当者だけでなく、ドライバーや誘導車の運転者まで条件を共有しておくことが重要です。
D条件の通行時間は許可関係書類で判断する
重量D条件では、通行時間帯が夜間に指定される区間があります。
基本となる時間帯は21時から翌6時ですが、一部の対象道路では所定の要件を満たす場合に20時から翌7時まで通行できる緩和試行も行われています。夜間条件は経路全体に一律で付くとは限りません。
実際の運行では、許可証、条件書、C・D条件箇所一覧から、どの区間を何時に通過するのかを判断します。詳しい時間帯や対象条件は特殊車両の夜間通行条件で取り上げています。
出発前に許可証がないことに気づいたら
許可証が車両に備え付けられていないことに出発前に気づいた場合は、そのまま運行を始めず、必要な書類を準備しましょう。
電子携行であれば、対象となる許可証や条件書を端末へ保存するだけでなく、実際に開いて内容を判読できる状態にしておきます。
基準になるのは「会社に許可証があるか」ではなく、実際に通行する車両で必要な許可書類を提示できるかどうかです。
走行中に許可証の提示を求められたら
道路管理者等による現地取締りで許可証の提示を求められた場合は、走行している経路に対応する許可証を提示します。電子携行の場合は、ドライバー自身が端末を操作して画面に表示します。
許可証データが事務所にしかない、通信できなければ開けない、どの許可証を表示すればよいか分からないという状態は避けておきましょう。
取締り時に慌てないためにも、車両ごとに使用する許可証を仕分けし、ドライバーが保存場所と表示方法を把握しておくことが大切です。
不携帯を防ぐには車両ごとの管理を決めておく
許可件数や車両数が増えてくると、許可を取得することよりも、その後の管理でミスが起きやすくなります。
紙で管理する場合は車両ごとに許可証ファイルを用意し、電子管理なら車両番号などでフォルダを分けておくと分かりやすくなります。
更新許可や変更許可が交付された場合も注意が必要です。新しい許可証が出ているのに、車両には以前の許可証が残ったままという状態を防ぐため、
「新しい許可証を受領 → 内容を確認 → 車両へ配布 → 古い許可証を回収」
までを一連の作業として扱うと管理しやすくなります。
許可取得後のデータ保存や社内の運用については、特車許可証を受け取ったらやることも参考になります。
ドライバーまで通行条件を共有する
許可証を車両に入れるだけでは、実際の運行管理としては不十分です。
ドライバーには、許可証の保存場所や電子データの開き方に加えて、許可された経路、通行時間帯、徐行、誘導車などの条件も共有しておきましょう。
特に包括申請では、複数の車両や経路を管理することになるため、実際に運行する車両と許可内容を取り違えないようにします。
配車担当者だけが許可内容を把握している状態では、現場で経路違反や条件違反につながりかねません。
特車許可証の出発前チェック
出発前には、次の内容を確認しておくと携行漏れや条件違反を防ぎやすくなります。
- 許可証を車両に備え付けている
- 条件書の内容を把握している
- 通行経路表・通行経路図を照らし合わせられる
- 包括申請の場合は車両内訳書がある
- C・D条件箇所一覧が交付されている場合は内容を確認している
- 電子携行の場合は端末で実際に表示できる
- 車両と許可内容が一致している
- 許可期間内である
- 走行する道路が許可経路に含まれている
- 通行時間帯や誘導車などの条件を把握している
電子携行では、「保存したはず」で終わらせず、出発前に一度ファイルを開いて内容を確認しておいてください。
よくある質問
- 許可証は表紙だけ持っていればいいですか?
-
いいえ。オンライン申請による通常の許可では、許可証のほか、条件書、通行経路表、通行経路図を確認できるようにします。包括申請の場合は車両内訳書も必要です。
許可内容によってC・D条件箇所一覧などの関係書類が添付される場合もあるため、交付された書類を一式で管理してください。
- 紙の許可証を持たず、電子データだけでも大丈夫ですか?
-
電子媒体による携行も認められています。ただし、取締りなどで提示を求められた際に、ドライバー自身が必要な許可証を速やかに明瞭な状態で表示できることが必要です。
- クラウドに許可証を保存しておけば大丈夫ですか?
-
電子データの保存方法より、必要なときに速やかに表示できることが重要です。
電波状況などによって開けない可能性があるため、実際の運行では端末本体にも必要書類を保存しておきましょう。
- スマートフォンで許可証を表示してもいいですか?
-
電子許可証を表示する機器について、国土交通省はノートパソコンやタブレット等を例示しており、許可証の内容を明瞭に表示できることを求めています。画面サイズは8インチ以上が推奨されています。
- 許可証を持っていないと無許可走行になりますか?
-
許可証不携帯と無許可通行は別の違反です。許可を取得している場合でも、特殊車両を通行させる際に許可証を備え付けていなければ、100万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
- D条件なら必ず21時から翌6時までですか?
-
重量D条件では21時から翌6時までが基本ですが、一部の道路では所定の要件のもと20時から翌7時まで通行できる緩和試行があります。経路全体が一律に夜間になるとは限らないため、実際の時間帯は許可証、条件書、C・D条件箇所一覧で判断してください。
まとめ
特特殊車両通行許可を受けた車両は、通行時に許可証、条件書、通行経路表、通行経路図などの必要書類を当該車両へ備え付ける必要があります。包括申請では車両内訳書も加わり、C・D条件が付く場合はC・D条件箇所一覧もあわせて携行します。
許可証は電子媒体でも携行できますが、端末の故障やバッテリー切れ、電波状況などで速やかに表示できなければ不携帯として扱われ、100万円以下の罰金の対象にもなり得ます。
許可取得後は、車両への配布や新しい許可証への差し替え、条件書の共有まで含めて管理しておくと、不携帯や条件違反を防ぎやすくなります。
特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特車許可証の管理・申請でお困りならご相談ください
当事務所では、車両諸元や通行経路を整理したうえで、特殊車両通行許可の申請代行を行っています。
許可取得後の書類の扱いが分からない場合や、更新・変更に伴って許可証を整理し直す必要がある場合もご相談ください。

