古物商許可に有効期限はなく、運転免許のような更新手続きもありません。取得から5年、10年とたっても、同じ許可証で営業を続けられます。
許可が効力を失う場面は、法律で定められています。許可証を返納したときと取消しを受けたときがそれにあたり、その後も営業するには新規申請が必要です。
更新がないぶん、届出の期限は事業者が自分で管理することになります。本記事では、6か月休業したときの扱い、失効した後の再取得、許可取得後に期限付きで求められる届出を解説します。
古物商許可に更新はない
古物商許可は、一度受ければ期限なく続く許可です。許可証に有効期限の欄はなく、何年ごとに手続きをするという仕組みもありません。
毎年の更新料や年会費もかかりません。警察署への手数料は許可証の書換えや再交付を受けるときだけで、東京都では書換えが1,500円、再交付が1,300円です。
かわりに、届け出た内容と今の営業の姿がずれたときは、そのつど届出で直すことになります。
6か月の休業と許可の取消し
許可を受けてから6か月以内に営業を始めなかったとき、または6か月以上続けて営業を休み、現に営業していないときは、公安委員会が許可を取り消すことがあります(古物営業法第6条)。
取り消すことが「できる」という規定のため、6か月たった時点で許可が自動で消えるわけではありません。取消しには聴聞などの手続きがあり、処分を受けるまで許可は残ります。
休業中に引っ越し、届出を出していない場合は、別の取消しにもつながります。営業所や本人の所在が分からないとき、公安委員会はその事実を公告し、30日たっても申し出がなければ許可を取り消せる規定です。
開業が遅れているときの手続きは公式の案内に定めがないため、遅れている理由と開業の見込みを管轄の警察署に相談してください。
休業から営業を再開するときは、休業のあいだに住所や営業所、管理者、URLが変わっていないかを洗い出し、出し漏れの届出を済ませてから取引を始めましょう。
許可が効力を失う場面
許可証の返納と許可の取消しによって、古物商許可は効力を失います。個人から法人への切り替えや本人の死亡も、元の許可を使い続けられない点で同じ結果です。
| 場面 | 元の許可 | その後に営業するには |
|---|---|---|
| 古物営業をやめた | 許可証の返納で効力を失う | 許可証を返納。再開するなら新規申請 |
| 6か月の休業や所在不明を理由に取り消された | 取消しの処分で効力を失う | 許可証を返納。再開するなら新規申請 |
| 個人事業から法人に移った | 法人には引き継げない | 法人名義で新しく許可を受け、個人の許可証は返納 |
| 許可を受けた本人が亡くなった | 相続されない | 同居の親族などが許可証を返納。事業を継ぐ家族は自分の名義で許可を受ける |
返納の期限は、どの場面でも返納の理由が生じた日から10日以内です。主たる営業所を管轄する警察署へ返納理由書と許可証を出し、URLを届け出ていたならそのための様式も添えます。手数料はかかりません。
個人と法人は法律上別の営業主体のため、個人の許可証を会社名に書き換えて使うことはできません。法人名義で許可が下りる日と個人の廃業日を調整し、許可のない期間をつくらない段取りを組んでください。
失効後に取り直す手順
失効した許可は元に戻せないため、再び古物営業をするには新規申請での取り直しとなります。手続きは最初の申請と同じで、申請手数料19,000円と、住民票や身分証明書、略歴書などの書類をそろえる流れです。
取り直せるかどうかは、取消しの理由によって異なります。欠格事由にある「取消しから5年」の期間は、古物営業法などの違反を理由に営業上の処分として取り消された場合(古物営業法第24条第1項)に限られ、6か月の休業や所在不明による取消しには及びません。違反を理由とする取消しの聴聞が公示されたあとに自分から返納した場合も、返納から5年は許可を受けられない規定です。
取消しを受けた許可証も返納の対象のため、手元に残っていれば新しい申請の前に返納を済ませてください。前の許可で使っていた営業所やサイトも、新しい申請では営業所の要件とURLの使用権限をあらためて示す書類が求められます。
新しい許可が下りるまでは、営業として古物を買い取ることも、仕入れて再販売することもできません。フリマアプリやYahoo!オークションに出していた許可番号の表示も、新しい許可証の内容に差し替えましょう。
再申請の準備で
失効後の申請では、前の許可との違いを踏まえて、営業所やURL、欠格事由を一から見直すことになります。取り直しの進め方に迷ったら、当事務所へご相談ください。
更新の代わりに出す届出
更新のない古物商許可でも、変更届や書換え、再交付、返納には、それぞれ期限と手数料が設けられています。
| 手続き | 必要になるとき | 期限 | 手数料(東京都) |
|---|---|---|---|
| 変更届(事前) | 営業所の移転・新設・廃止・名称変更 | 変更の3日前まで | なし |
| 変更届(事後) | 住所・氏名、管理者、法人の役員、取扱品目、URLの変更 | 変更から14日以内(登記事項証明書を付ける場合は20日以内) | なし |
| 書換申請 | 許可証に載っている事項(氏名・住所、法人の名称・所在地、代表者、行商の有無)の変更 | 変更届と同時 | 1,500円 |
| 再交付申請 | 許可証の紛失・滅失 | 速やかに | 1,300円 |
| 返納 | 古物営業の廃止 | やめた日から10日以内 | なし |
自宅を営業所にしている個人事業主が引っ越すと、営業所の移転(3日前まで)と本人の住所変更(14日以内)が同時に発生します。引っ越してからまとめて出すと営業所の届出が期限を過ぎるため、新居が決まった段階で警察署に相談しておきましょう。
主たる営業所を他の都道府県へ移すときも、許可はそのまま使えます。移転先を管轄する公安委員会へ、移転の3日前までに届け出れば足ります。屋号の変更も同じ考え方で、その屋号を営業所の名称として届けていれば、名称変更の届出で対応する形です。
添付書類は変更届の種類ごとに異なり、管理者の交代では新しい管理者の住民票や身分証明書、法人の役員変更では登記事項証明書が必要です。
よくある質問
- 更新の時期を知らせる通知は届きますか?
-
更新制度がないため、期限を知らせる通知は届きません。営業所の移転や住所変更の届出も、事業者の側で期限を管理して出すことになります。
- 他県に営業所を増やすときは、その県で許可を取りますか?
-
新しい許可はいりません。主たる営業所を管轄する公安委員会へ、営業所の新設として3日前までに届け出る形です。営業所ごとに管理者を1人置く決まりは、増やした営業所にも当てはまります。
- 引越しをしたら古物商許可を取り直しますか?
-
許可を取り直す必要はありませんが、変更届が必要です。自宅を営業所としている場合は、引越し日の3日前までに営業所移転の事前届出が必要となる点にご注意ください。
- 休業中の許可を、家族や知人に使わせてもよいですか?
-
許可の名義を他人に使わせることは、古物営業法で禁じられています。家族でも、自分で営業するなら本人名義の許可が必要で、許可を持つ本人の営業を手伝う形とは区別されます。
- 変更届や返納を行政書士に任せられますか?
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書類の作成と警察署への提出は、委任を受けた行政書士が代わりに行えます。書換えや返納のように許可証を出す手続きも、許可証をお預かりして提出するため、本人が窓口に出向く必要はありません。
まとめ
許可に有効期限や更新はなく、更新料もかかりません。6か月の休業は取消しの対象になるものの、期間がたっただけで許可が消えることはなく、返納か取消しによってはじめて効力を失います。
失効した後は新規申請での取り直しとなり、休業や所在不明による取消しなら、ほかの欠格事由がない限り5年待たずに申請できます。更新がないぶん、営業所の移転は3日前まで、住所や管理者の変更は14日以内、廃業は10日以内と、届出ごとの期限を押さえて手続きを進めてください。
参考資料・公式情報
本記事は、以下の公的機関・法令の情報を参考に作成しています。
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