古物商許可を申請しようとしたとき、最初に悩むのが「営業所をどこにするか」という問題です。
自宅でいいのか、賃貸でもOKなのか、バーチャルオフィスは使えるのか ネットで調べても情報がバラバラで、申請前に不安になっている方は多いと思います。
この記事では、古物商の営業所要件について、警察署への申請実務を通じて得た知識をもとに、賃貸・自宅・バーチャルオフィスそれぞれの可否をわかりやすく解説します。
古物商許可における「営業所」とは?
古物営業法では、古物商許可を取得する際に営業所(古物を取り扱う場所)を届け出ることが義務付けられています。
営業所とは、古物の売買・交換・レンタルなど、実際に古物商としての業務を行う拠点のことです。
重要なのは、「実態のある場所」でなければならないという点です。住所として登録できるだけの場所では認められません。
なぜ営業所の実態が重視されるのか
古物営業法は、盗品の流通を防止し、古物の売買を適正に管理するために存在しています。
そのため、警察は営業所に対して定期的な立入検査を行い、取引記録(帳簿)の確認、本人確認書類の保管状況、盗品受領がないかどうかをチェックします。
私は現在も質屋の店長として勤務しており(業界歴10年以上)、こうした立入検査を実際に経験してきました。検察官や警察官が「本当にここで業務をしているか」を確認しに来ることが前提なので、書類上だけの住所では許可が下りない、あるいは後から取り消されるリスクがあるのです。
だからこそ、申請前に「どこを営業所にするか」を正しく判断することが非常に重要です。
賃貸・自宅・バーチャルオフィス、それぞれの可否

自宅(持ち家・賃貸マンション)
結論:基本的にOK(賃貸の場合は条件あり)
自宅を営業所として申請することは、多くのケースで認められています。特に持ち家であれば問題になることはほとんどありません。
賃貸マンション・アパートの場合の注意点:
賃貸物件の場合、管理会社または大家さんから「事業用途で使用することへの承諾」を得る必要があります。承諾書の提出を求められるケースもあります(都道府県・警察署によって異なります)。
無断で申請しても、後から大家さんとのトラブルになる可能性があります。必ず事前に確認しましょう。
また、物件によっては「住居専用」として事業利用を禁止している場合があります。その場合は別の営業所を検討する必要があります。
事務所・店舗(一般的な賃貸物件)
結論:OK(使用目的の確認が必要)
一般的なオフィスや店舗として借りた物件は、営業所として問題なく使用できます。
ただし、賃貸契約書に記載された使用目的が古物商の業務に合致しているかを確認してください。「事務所使用」「店舗使用」となっていれば基本的にOKです。
古物を保管・展示・販売する場所として機能しているかどうかも重視されます。
バーチャルオフィス
結論:原則NG(認められないケースがほとんど)
バーチャルオフィスとは、住所だけを借りるサービスです。実際のデスクや部屋はなく、郵便物の受け取りや電話転送が主なサービスです。
古物商許可の申請において、バーチャルオフィスはほとんどの都道府県で認められていません。
理由は先述の通り、古物営業法が「実態のある営業所」を求めているからです。警察が立入検査に来たとき、そこに古物台帳(取引記録)が保管されていなかったり、買い取った古物を保管するスペースがなかったりすると、業務実態がないと判明し、許可が取り消されるリスクがあります。
ただし、レンタルオフィス・シェアオフィス(専用デスクや個室が確保されているもの)は、認められる場合があります。この場合も、利用契約書や実態の確認が求められます。
判断フローチャート
申請前に以下のフローで確認してください。
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実務経験から見た注意点

注意点1:警察署によって判断が異なることがある
営業所の要件は古物営業法で定められていますが、細かい運用は都道府県・警察署によって異なる場合があります。「他の地域ではOKだった」という情報が、自分の申請先では通用しないこともあります。
最近は無料の書類作成ツールなどもありますが、ツールは書類を作ってくれても、「あなたの管轄の警察署が、どのような形式の使用承諾書を求めているか」までは教えてくれません。せっかく書類を作っても窓口で突き返されてしまうケースが多発しているため、不安な方は管轄の警察署に事前相談するか、古物商専門の行政書士に依頼することをおすすめします。
注意点2:「複数の営業所」を持つ場合は追加届出が必要
事業拡大にともなって営業所を増やす場合、最初の申請で届け出た営業所とは別に「営業所の新設」の届出が必要です。無届けで別の場所で営業を始めると法律違反になります。
注意点3:自宅申請でも「古物の管理状況」は見られる
自宅で許可を取得した後も、警察が立入検査に来た際に、古物の保管・管理がきちんと行われているかを確認されます。台帳(取引記録)の整備や本人確認書類の保管は、許可取得後も継続して行う義務があります。
よくある質問(FAQ)
- Qバーチャルオフィスで古物商許可を申請することはできますか?
- A
原則として認められていません。古物営業法では「実態のある営業所」が必要とされており、住所だけを借りるバーチャルオフィスは、警察の立入検査に対応できないため許可が下りないケースがほとんどです。ただし、専用デスクや個室が確保されているレンタルオフィス・シェアオフィスは、実態があると認められる場合もあります。事前に管轄の警察署に確認することをおすすめします。
- Q自宅(賃貸マンション)を営業所にすることはできますか?
- A
可能ですが、条件があります。賃貸の場合、管理会社または大家さんから事業利用の承諾を得る必要があります。また、物件によっては「住居専用」として事業利用が禁止されている場合もあります。申請前に契約書を確認し、必要に応じて大家さんに相談してください。
- Q営業所は自分が所有・契約していなければいけませんか?
- A
必ずしも自分名義の契約である必要はありませんが、その場所で業務を行う権限があることを示す書類(賃貸借契約書など)の提出が求められます。たとえば、ご実家(親族名義の持ち家)を営業所とする場合でも、名義人であるご家族からの「使用承諾書」の提出を警察から求められるケースが一般的です。家族名義の物件や、法人が借りている物件を使う場合は、事前に警察署に確認することをおすすめします。
- Q営業所は1か所だけでないといけませんか?
- A
複数の営業所を持つことは可能です。ただし、最初に申請した営業所以外で古物の取引を行う場合は、「営業所の新設」の届出が別途必要です。無届けで複数の場所で営業することは法律違反になりますのでご注意ください。
- Q営業所の住所は、古物商プレートに表示しなければいけませんか?
- A
はい、古物商は営業所の見やすい場所に「古物商プレート(標識)」を掲示する義務があります。プレートには氏名または名称、許可番号、主たる営業所の所在地などを記載します。自宅を営業所にした場合も同様です。
まとめ
古物商の営業所要件をまとめると、次のようになります。
まず、営業所は実際に古物の業務を行う場所でなければなりません。書類上の住所だけを登録するバーチャルオフィスは、ほとんどの場合で認められていません。
自宅(持ち家)は基本的にOKですが、賃貸の場合は大家さんや管理会社から事業利用の承諾を得る必要があります。事務所や店舗として契約した物件は、使用目的が合致していれば問題ありません。
いずれのケースも、申請前に管轄の警察署に事前相談することが最も確実な方法です。
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【参考・引用元データ】 本記事の執筆にあたり、以下の公的機関の情報を参照・遵守しています。
・警視庁:[古物商許可申請の手続き]
・e-Gov法令検索:[古物営業法]
・大阪府警察:[古物営業法Q&A]
お困りの際は当事務所へ
古物商許可の取得は、必要書類の準備から警察署への申請まで、手続きが複雑です。また、「この場所を営業所にできるか」「賃貸でも大丈夫か」など、判断に迷う場面も多いです。
当事務所では、古物買取の現場で10年以上の経験を持つ行政書士が、書類作成から許可取得までサポートいたします。「自分のケースで許可が必要か確認したい」「申請が複雑で困っている」といった場合は、お気軽にご相談ください。
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行政書士手島宏典事務所 古物商許可申請の専門サポート
執筆者プロフィール
手島宏典 行政書士・現役質屋店長 業界歴10年以上。大手買取店FC3年経営。
行政書士手島宏典事務所 東京都葛飾区亀有3丁目27-30 Tビル1階 TEL:03-6821-4578(年中無休 9:00〜19:00)



