産廃許可では、車両を所有しているだけで登録できるとは限りません。法人申請で最初に確認するのは、車検証の名義と使用者欄です。
東京都では、原則として使用者欄が申請者となっている車両を登録します。運搬容器は廃棄物の性状に合わせ、申請者が実際に保有していることが分かる写真を添えます。駐車場の地図や契約書は提出不要ですが、車両の保管場所まで不要になるわけではありません。
1.車検証の使用者欄が申請者か
2.飛散・流出を防げる車両または容器か
3.駐車場の所在地を申請書へ記載できるか
※この記事は、東京都知事の産業廃棄物収集運搬業許可のうち、積替え保管なしの新規申請を中心に扱います。特別管理産業廃棄物、PCB廃棄物、積替え保管を含む許可は対象外です。
車両登録の判断フロー
記載がある
使用者は申請者か
名義の基準を満たす
原則として登録できない
空欄
所有者は申請者か
名義の基準を満たす
原則として登録できない
土砂等禁止の記載、ディーゼル規制、廃棄物の性状に合った容器
車検証で登録可否を分ける
産業廃棄物を適正に運ぶには、事業計画に合った運搬施設を備えなければなりません。そこで基準となるのが、車検証に記載された使用者です。
| 車検証の記載 | 申請上の扱い |
|---|---|
| 使用者欄が申請者 | 登録の対象 |
| 使用者欄が空欄で、所有者欄が申請者 | 登録の対象 |
| 使用者欄が申請者以外 | 原則として登録できない |
先に照合するのは、所有者欄ではなく使用者欄です。
たとえば、所有者がリース会社でも、使用者欄に申請法人や個人申請者の名前が載っていれば、車両名義の基準を満たします。
反対に、会社が代金や維持費を負担していても、使用者が別の法人や代表者個人のままなら、その事実だけで法人の車両にはなりません。
電子車検証の提出書類
ICタグ付きの電子車検証では、「自動車検査証記録事項」の写しを添付します。
2023年6月1日以降は、電子車検証本体の写しと記録事項の両方を出す方式ではありません。提出するのは、自動車検査証記録事項の写しです。
従来型の車検証を使っている車両については、車検証の写しを用意します。いずれも申請日時点で有効なものを使ってください。
リース車と個人名義車の分かれ目
リース車とレンタル車は、どちらも借りて使う車両ですが、許可手続上の扱いが異なります。分かれ目は契約書の名称ではなく、車検証の使用者欄です。
| 車両の状態 | 登録の考え方 |
|---|---|
| リース車で使用者が申請者 | 登録の対象になり得る |
| レンタル車 | 登録できない |
| 代表者個人名義の車を法人で使用 | 登録できない |
| グループ会社・関連会社名義 | 登録できない |
| ほかの事業者に登録済み | 登録できない |
法人申請と代表者個人は別
代表者が所有するトラックを、日常的に会社の業務で使っていることもあるでしょう。それでも、法人と代表者個人は別の申請主体です。
使用者欄が代表者個人のままでは、法人の運搬車両として登録できません。法人へ名義を移すか、使用者が法人となる別の車両を用意します。
リース契約は使用者欄まで確かめる
リース車は、所有者がリース会社であっても、使用者が申請者なら登録の対象になり得ます。
これから契約する場合は、見積額や契約期間だけでなく、車検証の使用者欄へ誰の名前が載るのかも押さえておきましょう。契約後に名義が合わないと分かると、車両の変更や契約内容の見直しが生じます。
車種だけで運搬品目は決まらない
名義を満たした車両でも、すべての産業廃棄物を運べるわけではありません。
荷台の構造や最大積載量に加え、運ぶものが固形か、泥状か、液状かも関係します。ダンプだから大丈夫、と車種だけで決めないことが大切です。
土砂等禁止車両
車検証に「土砂等禁止」と記載されている車両では、土砂等に類する過積載のおそれがある次の産業廃棄物を運搬できません。
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- 鉱さい
- がれき類
- 汚泥
建設現場からがれき類や汚泥を運ぶ予定なら、車検証の備考欄まで照合します。荷台の形だけで判断すると、取得したい品目と使用車両が合わなくなるためです。
建設工事では、車両の要件とは別に、元請と下請のどちらが排出事業者となるかも重要です。
ディーゼル車走行規制
ディーゼル車走行規制に適合しない車両は登録できません。
古いディーゼル車を使用する場合は、型式や規制への適合状況を先に調べます。DPFなどの粒子状物質減少装置を取り付けている車両では、その内容が分かる資料を求められることもあります。
被けん引車の扱い
被けん引車であるトレーラやセミトレーラは、通常の運搬車両ではなく、容器として扱います。
けん引するトラクタと、荷台部分に当たる被けん引車は分けて考えます。通常のトラックと同じ形で登録するものではありません。
容器は「何をどう運ぶか」で選ぶ
同じ「汚泥」でも、含水量や粘度によって適した運搬方法は変わります。容器選びの基準は品目名ではなく、廃棄物の性状です。
車両の構造だけで飛散や流出を防げるのか、密閉容器を組み合わせるのかを事業計画へ落とし込みます。対策例は次のとおりです。
| 産業廃棄物の例 | 容器・車両の例 |
|---|---|
| 燃え殻、ばいじん、鉱さい | オープンドラム、フレコンバッグ、水密仕様ダンプ、密閉コンテナ車 |
| 汚泥 | オープンドラム、水密仕様ダンプ、密閉コンテナ車、タンク車 |
| 廃油 | クローズドドラム、タンク車 |
| 廃酸、廃アルカリ | 耐腐食性の密閉容器、耐腐食性タンク車 |
表にある組み合わせは一例です。オープンドラムを用意すれば、すべての汚泥を運べるという意味ではありません。
荷台へ直接積むときは、シートがけや荷崩れ防止の方法も事業計画に反映します。容器を載せるなら、運搬中に倒れたり蓋が開いたりしないよう固定します。
廃油、廃酸、廃アルカリなどの液状物は、漏れだけでなく容器の腐食にも注意が必要です。性状に適した密閉容器や専用車両を選びます。
車両・容器写真は設備の実在を示す
車両や運搬容器の写真は、申請者がどの設備を使い、どのような方法で産業廃棄物を運ぶのかを示す書類の一部です。
新たに登録する車両と容器について、鮮明なカラー写真を用意します。
車両写真
車両は、前面と側面を撮影します。
- 前面を真正面から撮り、ナンバープレートが読める状態にする
- 側面を真横から撮り、車両全体を一枚に収める
- 車体表示があるときは、文字を読み取れるように撮る
車体の一部が切れていたり、ナンバーが不鮮明だったりすると、撮り直しを求められることがあります。
すでに他自治体の許可を受け、車体表示を付けている場合は、その文字まで判別できるように撮影します。全体写真で読みにくければ、表示部分の写真も添えます。
容器写真
容器は、申請者が実際に所有していることが分かる状態で撮影します。
- 容器全体を写す
- 1種類につき1枚を用意する
- 会社名入りの看板や登録車両の前などで撮影する
- オープンドラムは蓋と留め金具も一緒に写す
- カタログやホームページ上の画像を使わない
申請時点で、実際に所有している容器を撮影します。購入予定品の写真では代用できません。
駐車場資料は提出しない
積替え保管なしの申請では、駐車場の地図や賃貸借契約書などは提出不要です。
ここで注意したいのは、提出書類がないことと、保管場所がなくてよいことは別だという点です。
申請書の「運搬施設の概要」には、駐車場の所在地を記載します。自社所有でも賃借でも構いませんが、登録車両を保管する場所は定めておかなければなりません。
また、その駐車場へ運搬途中の産業廃棄物を降ろすことはできません。積替え保管なしの許可で認められるのは収集と運搬であり、駐車場を仮置場として使うことは許可範囲から外れます。
申請前にそろえる4点
車両の買替えや名義変更が絡むと、準備には時間がかかります。まずは次の4点を用意してください。
- 自動車検査証記録事項または車検証
- 運搬予定の産業廃棄物の種類と性状
- 所有している運搬容器の一覧と写真
- 駐車場の所在地
この資料がそろえば、現在の車両を使えるのか、容器を追加するのか、名義変更を先に行うのかを見極めやすくなります。
よくある質問
- 法人申請で社長個人名義の車を使えますか?
-
原則として使えません。
法人と代表者個人は別の申請主体です。車検証の使用者欄が代表者個人のままでは、法人の運搬車両として登録できません。使用者を法人へ変更するか、法人名義で利用できる車両を用意します。
- リース車でも登録できますか?
-
車検証の使用者欄が申請者であれば、登録の対象になり得ます。
所有者がリース会社であることだけでは除外されません。契約を結ぶ前に、使用者欄へ法人名または個人申請者名が記載されるかを確かめてください。
- レンタカーで申請できますか?
-
レンタル車両は登録できません。
借受契約書を提出しても扱いは変わらないため、車検証の使用者が申請者となる車両を準備します。
- 電子車検証では何を提出しますか?
-
自動車検査証記録事項の写しを提出します。
電子車検証本体の写しは求められていません。申請日時点で有効な記録事項を用意してください。
- 駐車場の賃貸借契約書は必要ですか?
-
積替え保管なしの手続では、駐車場の地図や契約書は提出不要です。
ただし、申請書には駐車場所在地を記載します。車両の保管場所が不要になるわけではなく、産業廃棄物の仮置場として使うこともできません。
- 容器は申請後に購入してもよいですか?
-
申請時には、実際に所有していることが分かる容器写真を添付します。
購入予定品のカタログ画像やホームページ上の写真では代用できません。運ぶ品目と使用する容器を決め、撮影まで済ませておきます。
まとめ
最初にそろえたいのは、車検証または自動車検査証記録事項、運搬品目、容器写真、駐車場所在地の4点です。
なかでも車検証の使用者欄は、車両選びの出発点になります。代表者個人名義の車を法人で使っている場合や、リース契約を予定している場合は、名義の照合を先に済ませておくと、その後の判断が速くなります。
そのうえで、土砂等禁止の記載、ディーゼル規制、廃棄物の性状に合った容器へと進めます。順番を決めて押さえれば、車両の買替えや書類の差し替えといった手戻りを減らせます。
