タンク型セミトレーラの申請書類を準備するとき、最初に迷ってしまうのは「単車なのか連結車なのか」という点です。トラックの車体にタンクを架装した単車と、トラクタでタンク型トレーラをけん引する連結車は、外見が似ていても特車申請では扱いが変わってきます。
タンク型セミトレーラは特例5車種の一つで、道路の種類と最遠軸距に応じて総重量の特例が設定されていますが、単車のタンクローリーには、この重量表をそのまま当てはめることができません。
液体や粉粒体のように積載量を調整できる貨物では、総重量だけでなく軸重や隣接軸重も申請結果を左右します。車検証上の最大積載量のままでは通らず、積載量を下げる減トンで調整する場合もあります。
この記事では、単車とタンク型セミトレーラの違いから、特例5車種の総重量、軸重、減トン、複数台をまとめる場合の注意点までを順番に取り上げました。
特車でいうタンク型とは
特車制度では、構造が定型化されたトレーラ連結車のうち、バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の5種類について、総重量などに特例が設けられています。これが特例5車種です。
あおり型・スタンション型・船底型を加えた全体像は、特例8車種で解説しています。
タンク型には、液体輸送用のタンクだけでなく、ミキサー車や粉粒体運搬車も含まれます。
ここで注意したいのが車両の形態です。特例5車種として総重量の特例を使えるタンク型は、タンク型セミトレーラなどの連結車に限られます。車体にタンクやミキシングドラムが付いているというだけで、単車まで同じ重量特例の対象になるわけではありません。
単車のタンクローリーは別に判断する
街中で見かけるタンクローリーには、トラックのシャシにタンクを架装した単車も多くあります。単車の場合は、車両そのものの長さ・総重量・軸重を、実際に走る道路の制限値と照らし合わせます。
「タンクが付いているから特例5車種」と決めつけるのではなく、まず単車かセミトレーラ連結車かを見極めることが重要になります。
コンクリートミキサー車も同じで、単車であればタンク型セミトレーラの総重量表は使いません。単車の扱いは、ミキサー車の特車申請で取り上げています。

タンク型セミトレーラには総重量の特例がある
タンク型セミトレーラは特例5車種に含まれるため、一般的制限値の総重量20tとは別に、最遠軸距と道路の種類に応じた総重量の制限値が設けられています。
| 最遠軸距 | その他の道路 | 重さ指定道路 |
|---|---|---|
| 8m以上9m未満 | 24t | 25t |
| 9m以上10m未満 | 25.5t | 26t |
| 10m以上 | 27t | 27t |
たとえば最遠軸距が10m以上あるタンク型セミトレーラなら、その他の道路でも総重量27tが上限です。
ここで示した数字は、特車許可を取れば積める重量ではありません。特例5車種について車両制限令上定められた総重量の制限値です。この制限値を超える場合や、幅・高さ・長さ・軸重など別の項目で制限を超える場合に、特車制度の手続きが関わってきます。
最遠軸距が短ければ使える重量も小さくなるため、「タンク型なら27t」と一律に考えないことがポイントです。
最遠軸距が短い場合は24t、25.5tと上限が下がります。
最遠軸距に応じて25t、26t、27tと段階的に変わります。
最遠軸距に応じて25tから36tまで細かく設定されています。
高速自動車国道では最遠軸距に応じて最大36t
高速自動車国道では、総重量の特例がさらに細かく段階分けされています。
| 最遠軸距 | 総重量の制限値 |
|---|---|
| 8m以上9m未満 | 25t |
| 9m以上10m未満 | 26t |
| 10m以上11m未満 | 27t |
| 11m以上12m未満 | 29t |
| 12m以上13m未満 | 30t |
| 13m以上14m未満 | 32t |
| 14m以上15m未満 | 33t |
| 15m以上15.5m未満 | 35t |
| 15.5m以上 | 36t |
最遠軸距が長くなるほど上限も上がり、15.5m以上で36tにもなります。
ただし、この「高速自動車国道」には首都高速道路や阪神高速道路などの都市高速道路、本州四国連絡橋道路は含まれません。名称に「高速」と付くかどうかではなく、実際に通る道路の区分によって重量の扱いが分かれます。
高速自動車国道では長さ16.5mの特例もある
セミトレーラ連結車には、総重量だけでなく長さにも特例があります。一般的制限値の長さは12mですが、高速自動車国道を通行するセミトレーラ連結車は16.5mまで認められています。
この特例が使えるのは、積載する貨物が被けん引車の前方や後方へはみ出していない場合です。タンク型セミトレーラでは貨物がタンク内部に収まるのが通常ですが、車両の長さ自体はトラクタとトレーラを連結した状態で判断します。
重要物流道路の44tはタンク型セミトレーラの特例ではない
大型トレーラの重量を調べていると、「44t」という数字を目にすることがあります。混同しやすいのが、40ft背高国際海上コンテナ車の許可不要制度です。
一定の条件を満たす40ft背高国際海上コンテナ車には、指定区間で総重量最大44tまで許可不要になる制度がありますが、これはタンク型セミトレーラの特例とは別枠です。タンク型セミトレーラが重要物流道路を走るという理由だけで、44tまで許可なく通行できるわけではありません。
タンク型は申請時の車種区分も重要
特車申請では、車両の寸法や重量だけでなく、どの車種区分で申請するかも重要です。実際にはタンク型セミトレーラであるのに別の車種として登録すると、タンク型に設定された特例を前提にした申請になりません。
反対に、タンクのような設備が付いているというだけの理由で、単車までタンク型セミトレーラとして扱うこともできません。車検証やメーカーの諸元表、車両外観図などから構造を確認し、実際の車両に合った区分を使います。
「単車か連結車か」は、最初に押さえておきたいポイントです。
液体・粉粒体は軸重まであわせて判断する
タンク型セミトレーラでは、液体、セメント、石灰など、積載量を調整できる貨物を運ぶことがあります。このとき、総重量だけをそろえても十分ではありません。
一般的制限値では軸重10t、輪荷重5tが基準で、隣り合う2軸についても軸間距離に応じて18t・19t・20tの隣接軸重が設定されています。車両全体の総重量に余裕があっても、トレーラ後部へ重量が集中すると、特定の軸や隣接する2軸が先に上限へ達することがあります。
トラクタとセミトレーラでは、第五輪荷重や軸距によって重量配分が変わるため、総重量だけから軸重を判断することはできません。基準と計算方法は、軸重・輪荷重・隣接軸重で解説しています。
タンク型セミトレーラの特車申請で迷ったら
タンク型セミトレーラの特車申請は、最遠軸距や軸重、積載量、経路など確認する項目が多く、思ったよりも手間がかかります。
当事務所では、車両諸元や経路の確認から申請後の対応までサポートしています。
特車申請サービス →フル積載で通らない場合は「減トン」を検討する
タンク型セミトレーラで重要になるのが、積載量を下げて申請する減トンです。車検証上の最大積載量まで貨物を積んだ諸元で申請すると、軸重や隣接軸重、橋梁の審査などで通行できないことがあります。
液体や粉粒体は積載量を調整できるため、こうした場面では貨物重量を下げ、各軸への負担を軽くした状態であらためて検討します。
たとえば最大積載量まで積むと後部2軸の重量が大きくなる車両なら、積載量を数トン下げることで軸重配分が変わり、申請できる範囲に収まることがあります。
重要なのは、車検証上の最大積載量と、実際に許可を受けて走行できる積載量が必ずしも同じではないという点です。減トンで許可を受けた場合、実際の運行もその申請重量が前提になります。
橋梁で通らない場合も減トンか迂回を検討する
タンク型などのバラ積み車両では、経路上の橋梁が重量面のボトルネックになることもあります。同じ車両でも経路を変えると審査結果が変わるのは、このためです。
フル積載の状態で橋梁の審査を通せない場合、対応は大きく二つに分かれます。積載量を下げて車両重量を軽くするか、重量条件の厳しい橋梁を避けて経路を変更するかのどちらかです。
つまり減トンは、車両の軸重を合わせるためだけでなく、実際の経路を成立させるために使うこともある調整方法です。
複数台をまとめる場合は合成車両にも注意する
運送会社では、複数のトラクタやタンク型セミトレーラを同じ区間で使用することがあります。車種・軸種・経路・積載貨物・通行期間などの条件がそろえば、特車申請の包括申請を利用できます。
ただし、複数台を一件にまとめれば必ず申請しやすくなるわけではありません。包括申請では、複数車両の諸元から審査用の合成車両が作られます。この合成車両では各車軸について厳しい数値が組み合わされるため、個々の車両では問題がなくても、まとめた結果として軸重や橋梁の審査が厳しくなることがあります。
とくに積載重量の大きいタンク型セミトレーラでは、どのトラクタとトレーラを同じ申請にまとめるかによって結果が変わります。合成車両の数値を確認しながら、必要であれば申請を分けることも選択肢に入ります。
タンク型セミトレーラの申請で用意する資料
タンク型セミトレーラの申請では、まずトラクタとトレーラの車検証をそろえます。あわせて、最遠軸距、各軸の軸重、第五輪荷重などが分かる車両諸元表や外観図も用意します。
液体や粉粒体を積載する場合は、何を運ぶのかに加えて、実際にどの程度の重量を積む予定なのかも重要な情報になります。最大積載量のままでは審査が通りにくい場合、車両諸元と経路を踏まえながら減トンする重量を決めていきます。
複数台を申請する場合は、それぞれのトラクタ・トレーラの組み合わせも早い段階で整理しておくと、車両諸元をまとめやすくなります。
よくある質問
- タンクローリーはすべて特例5車種ですか?
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すべてではありません。特例5車種のタンク型として総重量の特例が適用されるのは、タンク型セミトレーラなどの対象となる連結車です。単車のタンクローリーには、同じ総重量表をそのまま使えません。
- コンクリートミキサー車もタンク型ですか?
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制度上のタンク型には、ミキサー車や粉粒体運搬車なども含まれています。ただし、単車のミキサー車がタンク型セミトレーラの総重量特例を使えるという意味ではありません。単車と連結車は分けて考えます。
- タンク型セミトレーラなら27tまで許可なしで走れますか?
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その他の道路で27tの特例が使えるのは、最遠軸距10m以上の場合に限られます。9m以上10m未満なら25.5t、8m以上9m未満なら24tです。幅・高さ・長さ・軸重など別の制限を超えていれば、その項目について特車制度の手続きが必要になります。
- 高速道路なら36tまで走れますか?
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36tになるのは、最遠軸距15.5m以上の場合です。高速自動車国道では最遠軸距に応じて25tから36tまで段階的に変わり、首都高速道路などの都市高速道路はこの重量表に含まれません。
- 最大積載量まで積めない場合はどうしますか?
-
液体や粉粒体など積載量を調整できる貨物であれば、積載重量を下げる減トンを検討します。軸重・隣接軸重や橋梁の審査結果を踏まえながら、実際に通行できる重量へ調整します。
- 重要物流道路なら44tまで通行できますか?
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40ft背高国際海上コンテナ車の44t基準を、そのままタンク型セミトレーラに当てはめることはできません。44tは、一定の車両・道路・通行要件を満たす場合に適用される別制度です。
まとめ
タンク型セミトレーラの特車申請では、単車のタンクローリーとセミトレーラ連結車を分けて考えることが出発点です。
タンク型セミトレーラは特例5車種に含まれ、総重量の制限値は最遠軸距と道路の種類によって変わります。その他の道路や重さ指定道路では最大27t、高速自動車国道では最大36tですが、どの車両にも最大値がそのまま適用されるわけではありません。
液体や粉粒体を運ぶ場合は、総重量だけでなく軸重・輪荷重・隣接軸重まで踏まえて判断します。最大積載量のままでは経路が成立しない場合、積載量を下げる減トンや経路変更が選択肢になります。
複数車両をまとめて申請する場合も、合成車両の数値によって審査が厳しくなることがあるため、車両の組み合わせまで含めて判断することが重要です。
特車申請全体の判断基準や車種別の手続きは、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
タンク型セミトレーラの特車申請でお困りならご相談ください
タンク型セミトレーラでは、車種区分、最遠軸距、積載重量、軸重、通行経路を組み合わせて申請内容が決まります。
最大積載量のままでは通らず、減トンや経路変更が必要になるケースもあります。
当事務所では、車両諸元と経路を確認したうえで、特殊車両通行許可の申請代行まで対応しています。

