ミキサー車やタンクローリーの特車申請で、使う重量表を決めるのは単車か連結車かという車両の形態です。トラックの車体にタンクを載せた単車と、トラクタでタンク型トレーラをけん引する連結車は、外見が似ていても特車申請での扱いは変わります。
タンク型セミトレーラは特例5車種の一つです。道路の種類と最遠軸距に応じた総重量の特例がありますが、単車のタンクローリーにはこの重量表をそのまま当てはめられません。
液体や粉粒体のように積載量を調整できる貨物では、総重量に加えて軸重や隣接軸重も審査の対象です。車検証の最大積載量のままでは通らず、積載量を下げる減トンで調整する場合もあります。
ミキサー車とタンクローリーの違い
ミキサー車とタンクローリーは、どちらも車体に大きな容器を載せた車両です。ただ、運ぶものと容器の仕組みは大きく異なります。
ミキサー車が運ぶのは生コンクリートです。走行中もドラムを回し続け、材料が分離しないようにかき混ぜながら建設現場へ向かいます。
一方、タンクローリーは、ガソリン・灯油・水などの液体をタンクに入れて運ぶ車両です。一般的なタンクローリーには、生コンをかき混ぜる回転ドラムが付いていません。セメントなどの粉粒体を運ぶのは、主にバルク車(粉粒体運搬車)です。
| 比較項目 | ミキサー車 | タンクローリー |
|---|---|---|
| 主な積載物 | 生コンクリート | 石油類・水などの液体 |
| 車体の特徴 | 回転するミキシングドラム | 積載物に応じたタンク |
| 主な用途 | 生コン工場から建設現場への輸送 | 液体の輸送 |
特車申請では、積載物や装置の違いに加えて、単車かトレーラ連結車かという車両の構造でも扱いが分かれます。
特車でいうタンク型
特車制度では、構造が定型化されたトレーラ連結車のうち、バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用の5種類に、総重量などの特例が設けられています。この5種類が特例5車種です。あおり型・スタンション型・船底型の3種類を加えたものは、特例8車種と呼ばれます。
タンク型の対象は、液体輸送用のタンクに限りません。ミキサー車や粉粒体運搬車も、制度上はタンク型に入ります。
ここで問題になるのが車両の形態です。総重量の特例を使えるタンク型は、タンク型セミトレーラなどの連結車に限られます。タンクやミキシングドラムが付いているという理由だけでは、単車まで同じ重量特例の対象にはなりません。
単車のタンクローリーの扱い

街中で見かけるタンクローリーには、トラックのシャシにタンクを架装した単車も少なくありません。単車の場合は、車両そのものの長さ・総重量・軸重を、実際に走る道路の制限値と比べます。
コンクリートミキサー車も同じで、単車であればタンク型セミトレーラの総重量表は使いません。単車の扱いは、ミキサー車の特車申請の記事で取り上げています。
タンク型セミトレーラの総重量
タンク型セミトレーラは特例5車種に入るため、一般的制限値の総重量20tとは別に、最遠軸距(トラクタの最前軸からトレーラの最後軸までの距離)と道路の種類に応じた総重量の制限値が設けられています。
| 最遠軸距 | その他の道路 | 重さ指定道路 |
|---|---|---|
| 8m以上9m未満 | 24t | 25t |
| 9m以上10m未満 | 25.5t | 26t |
| 10m以上 | 27t | 27t |
最遠軸距が8m未満の車両には、この表は使いません。たとえば最遠軸距が10m以上のタンク型セミトレーラなら、その他の道路でも総重量27tが上限です。
この数字は、特車許可を取れば積める重量という意味ではありません。特例5車種について法令で定められた、総重量の制限値です。この値を超える場合や、幅・高さ・長さ・軸重など別の項目で制限を超える場合に、特車申請の手続きが関わってきます。
最遠軸距が短ければ使える重量も小さくなるため、「タンク型なら27t」と一律に考えないでください。
最遠軸距が短い場合は24t、25.5tに下がります。
最遠軸距に応じて25t、26t、27tの3段階です。
最遠軸距に応じて25tから36tまで9段階に分かれます。
高速自動車国道は最大36t
高速自動車国道の総重量は、最遠軸距ごとに次の9段階です。
| 最遠軸距 | 総重量の制限値 |
|---|---|
| 8m以上9m未満 | 25t |
| 9m以上10m未満 | 26t |
| 10m以上11m未満 | 27t |
| 11m以上12m未満 | 29t |
| 12m以上13m未満 | 30t |
| 13m以上14m未満 | 32t |
| 14m以上15m未満 | 33t |
| 15m以上15.5m未満 | 35t |
| 15.5m以上 | 36t |
最遠軸距が長いほど上限も上がり、15.5m以上で36tになります。
ただし、この「高速自動車国道」には、首都高速道路や阪神高速道路などの都市高速道路、本州四国連絡橋道路は含まれません。名前に「高速」と付くかどうかではなく、実際に通る道路の区分で重量の扱いが決まります。
長さ16.5mの特例
セミトレーラ連結車の特例は、総重量だけではありません。一般的制限値の長さ12mに対し、高速自動車国道を通るセミトレーラ連結車は16.5mまで認められています。
この特例を使えるのは、積載貨物が被けん引車の前後にはみ出していない場合です。タンク型セミトレーラでは貨物がタンクの中に収まるのが普通ですが、車両の長さはトラクタとトレーラを連結した状態で測ります。
重要物流道路の44tは別制度
大型トレーラの重量を調べていると、「44t」という数字がよく出てきます。混同しやすいのが、40ft背高国際海上コンテナ車の許可不要制度です。
この制度で許可なしに走れるのは、一定の条件を満たす車両が指定区間を通る場合で、上限は総重量44tです。タンク型セミトレーラの特例とは別枠のため、重要物流道路を走るというだけでは44tまで許可なしで通れません。
液体・粉粒体と軸重
タンク型セミトレーラは、液体やセメント、石灰など、積載量を調整できる貨物も運びます。こうした貨物では、総重量を制限値に収めるだけでは足りません。
一般的制限値では、軸重10t・輪荷重5tが上限です。隣り合う2軸の重さの合計にも、軸距などに応じて18t・19t・20tの隣接軸重が設けられています。総重量に余裕があっても、トレーラ後部に重さが集まると、特定の軸や隣り合う2軸が先に上限へ達するケースに注意が必要です。
トラクタとセミトレーラの組み合わせでは、第五輪荷重(トレーラからトラクタの連結部にかかる重さ)や軸距によって重量配分が変わります。そのため、各軸の軸重は総重量だけでは判断できません。
特車申請は、最遠軸距や軸重の計算だけでなく、積載量と経路の調整にも手間がかかります。当事務所では、車両・経路の確認から、申請書類の作成・申請後の補正対応まで代行します。
フル積載で通らないときの減トン
タンク型セミトレーラの申請で欠かせないのが、積載量を下げて申請する減トンです。車検証の最大積載量まで積んだ諸元で申請すると、軸重や隣接軸重、橋梁の審査で通行できない場合があるためです。
車検証上の最大積載量で車両諸元を作成
軸重・隣接軸重・橋梁などで通行できない
積載する貨物の重量を下げ、各軸への負担を軽くする
総重量・軸重・隣接軸重を調整した状態で経路を検討
液体や粉粒体は積載量を調整できるため、こうした場面では貨物の重量を下げ、各軸への負担を軽くした状態での再検討が必要です。たとえば最大積載量まで積むと後ろの2軸が重くなる車両でも、積載量を数トン下げれば軸重の配分が変わり、申請できる範囲に収まる場合もあります。
注意したいのは、車検証の最大積載量と、許可を受けて実際に走れる積載量が必ずしも一致しない点です。減トンで許可を受けた場合は、実際の運行も申請した積載重量の範囲で行います。
橋梁がネックになる経路
タンク型などのバラ積み車両では、経路上の橋梁が重量面のネックになることもあります。同じ車両でも経路を変えると審査結果が変わるのは、このためです。
フル積載で橋梁の審査を通せない場合、対応は二つに分かれます。積載量を下げて車両を軽くするか、重量条件の厳しい橋梁を避けて経路を変えるかのどちらかです。減トンは、軸重を合わせるためだけでなく、経路を成り立たせるためにも使う調整方法です。
包括申請と合成車両
運送会社では、複数のトラクタやタンク型セミトレーラを同じ区間で使う場面も出てきます。車種・軸種・経路・積載貨物・通行期間などの条件がそろっていれば、包括申請でまとめて申請することも可能です。
ただし、複数台を1件にまとめれば申請が楽になるとは限りません。包括申請の審査に使うのは、複数車両の諸元から作る合成車両です。合成車両では各車軸に厳しい数値が組み合わされるため、1台ずつなら問題のない車両でも、まとめると軸重や橋梁の審査が厳しくなる場合もあります。
積載重量の大きいタンク型セミトレーラでは、とくにトラクタとトレーラの組み合わせ方に気を配ってください。合成車両の数値を見ながら、必要なら申請を分けることも選択肢の一つです。
申請で用意する資料
タンク型セミトレーラの申請では、まずトラクタとトレーラの車検証をそろえます。あわせて、最遠軸距、各軸の軸重、第五輪荷重などが分かる車両諸元表や外観図も必要です。これらの書類で構造を見て、実際の車両に合った車種区分を選びます。実際はタンク型セミトレーラなのに別の車種で登録すると、タンク型の特例を使った申請になりません。
液体や粉粒体を積む場合は、何を運ぶかに加えて、実際にどれくらいの重量を積む予定なのかも欠かせない情報です。最大積載量のままでは審査が通らないおそれがあるときは、車両諸元と経路をもとに減トンする重量を割り出します。複数台を申請するなら、車両諸元をまとめやすいように、トラクタとトレーラの組み合わせを早めに決めておきましょう。
よくある質問
- タンクローリーはすべて特例5車種ですか?
-
すべてではありません。特例5車種のタンク型として総重量の特例を使えるのは、タンク型セミトレーラなどの連結車です。単車のタンクローリーには、同じ総重量表をそのまま使えません。
- コンクリートミキサー車もタンク型ですか?
-
制度上のタンク型には、ミキサー車や粉粒体運搬車なども含まれます。ただ、単車のミキサー車がタンク型セミトレーラの総重量特例を使えるという意味ではありません。単車と連結車は分けて考えてください。
- タンク型セミトレーラなら27tまで許可なしで走れますか?
-
その他の道路で27tの特例が使えるのは、最遠軸距10m以上の場合に限られます。9m以上10m未満なら25.5t、8m以上9m未満なら24tです。幅・高さ・長さ・軸重など別の制限を超えていれば、その項目について特車申請の手続きが必要です。
- 高速道路なら36tまで走れますか?
-
36tになるのは、最遠軸距15.5m以上の場合です。高速自動車国道では最遠軸距に応じて25tから36tまで段階的に変わり、首都高速道路などの都市高速道路はこの重量表に含まれません。
- 最大積載量まで積めない場合はどうしますか?
-
液体や粉粒体など積載量を調整できる貨物なら、積載重量を下げる減トンが選択肢です。軸重・隣接軸重や橋梁の審査結果をもとに、実際に通行できる重量まで下げて申請します。
- 重要物流道路なら44tまで通行できますか?
-
40ft背高国際海上コンテナ車の44tを、そのままタンク型セミトレーラに当てはめることはできません。44tは、一定の車両・道路・通行の条件を満たす場合に使える別の制度です。
まとめ
ミキサー車やタンクローリーの特車申請では、まず単車かタンク型セミトレーラかを分けます。タンク型セミトレーラの総重量は最遠軸距と道路の種類によって異なり、上限はその他の道路と重さ指定道路で27t、高速自動車国道で36tです。
液体や粉粒体を運ぶ場合は、軸重や隣接軸重まで踏まえて申請内容を組み立てます。最大積載量で通らないときは減トンか経路変更で調整し、複数台をまとめる場合は合成車両の数値にも注意しましょう。
特車申請の制度・手続き・車種別対応は、特殊車両通行許可申請ガイドにまとめています。
特車申請のことでお困りならご相談ください
タンク型セミトレーラの申請で手間がかかるのは、車種区分や軸重に加えて、減トンや経路変更まで含めて申請内容を組み立てる部分です。当事務所では、車両諸元と経路の確認から申請書類の作成、申請後の補正対応まで一括でお引き受けしています。積載重量の調整や経路選びに迷ったときも、お気軽にお問い合わせください。

